2020年1月8日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
ソラリスやオメガやイーストなど、哀愁に満ちた美しいメロディと荘厳でドラマティックなアレンジを持つ陰影豊かなシンフォニック・ロックを多数生みだしたハンガリーのプログレ・シーン。その特徴を3つに分けるなら、
となるでしょうか。
旧チェコスロヴァキアとともに、ハプスブルク帝国の元で西洋文化と東洋文化が混ざりあった文化的土壌を持つ国ならではの濃厚な香りに溢れたドラマティックな名作の宝庫と言える東欧のプログレ大国ハンガリーの名品をご紹介してまいりましょう。
まずは、60年代から活躍するハンガリー最古参のグループ、ILLES、OMEGA、LOCOMOTIV GTをピックアップ。
1960年にブダペストで結成され、ラジオ・ルクセンブルグの電波に乗せて、ハンガリーの60年代ユース・カルチャーの中でトップ・バンドに躍り出たグループ。
プログレッシヴ度を増した71年の4thアルバムをピックアップ。
まるでVertigoレーベルのグループのような荘厳なオルガン・ハードで実にクール!
62年にブダペストで結成された、日本で最も知名度が高いと言えるハンガリー屈指のグループ。
初期OMEGAの音楽的イニシアティブを握っていたKey奏者のPresser Gaborが参加している最後の作品(70年作3rd)で、ブリティッシュ・ロックからの影響の元、初期のビート・ロックから脱皮し、アートなオルガン・ハードへと進化した名作。
バロック調のクラシカルなピアノ、ひなびた叙情溢れるシンセ、泣きまくるギター。「ハンガリー・プログレここにあり!」な名作ですね。
ジャケが痛すぎますが・・・。優美なソリーナ&キーボード、胸を打つ詩情豊かなメロディ、溢れんばかりの泣きのリード・ギター。東欧シンフォの大傑作なんですけどねぇ。
初期オメガの軸だったKey奏者Presser GaborとドラマーのJozsef Lauxを中心に結成されたグループ。
荘厳に鳴り響くオルガンと情熱的にむせび泣くブルース・ギターにはPINK FLOYDを、重く引きずるようなオルガン・サウンドと幻想的なコーラス・ワークにはURIAH HEEPを、疾走するクラシカルなオルガンとヘヴィ・リフを刻むギター・リフにはDEEP PURPLE、SPOOKY TOOTHを、それぞれ思い起こさせる名品。
70年代はじめには、英ロックの「進化」と呼応したアート・ロックを鳴らすグループが登場したハンガリーの音楽シーンでしたが、それ以降のロック・シーンは下火に。
70年代末に再びロック・シーンが活性化したようで、優れた作品が続々とリリースされています。
他に70年代末の作品をピックアップいたしましょう。
ハンガリー東部のデブレツェンで75年に結成されたグループ。バンドの中心は、Attila、Gyula、TiborのBokor3兄弟。
スラヴ的な哀愁いっぱいのシンフォニック・ロックを軸に、ハープシコードや弦楽、そしてストリングアンサンブルの名機ソリーナを使用したクラシカルなサウンドが絡んでくる演奏が素晴らしい!
ハードに駆け抜けるパートではエッジの効いたギターも登場し、叙情一辺倒ではない巧みな緩急の付け方も見事。
このスリリングかつファンタジックなめくるめく楽曲展開を聴くだけでも、ボコル3兄弟を中心とするバンドの実力の高さが分かりますね。
ブダペストにて74年に結成されたグループで、スタジアムをいつも満員にした70年代末のハンガリー・ロックを代表するグループによる78年作の2nd。
哀愁たっぷりのハード・ロックを軸に、叙情性もあって、良いバンドです。
そして80年代に入り、日本でもキング・レコードよりリイシューされたユーロ・ロック・ファンに大人気となった傑作が2枚リリースされましたね。
ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの代表作『ソラリスの陽のもとに』からバンド名を取ったグループによる84年のデビュー作であり、ハンガリー・プログレを代表するだけでなく、ユーロ・シンフォニック・ロック屈指の傑作。
叙情性と緊張感が見事に調和した構築美は圧巻!
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英国プログレやドイツ・エレクトロ音楽からの影響を下地に、ハンガリー伝統の舞踏音楽が持つ躍動感と構成のダイナミズムを盛り込み、歴史が生んだメランコリーとともに醸成された、スペーシー&ドラマティックなシンフォニック・ロック傑作。
75年に結成され82年にデビューしたグループによる2nd。
透明感溢れるシンセサイザーがしっとりと響く陰鬱な叙情美、そこに被さる荘厳なオーケストレーション!
この奥ゆかしさこそ「東欧」の魅力ですね。
ハンガリーからは、90年代以降にも魅力的な新鋭グループが登場しています。
その筆頭格がこちら!
86年に結成され、90年にデビューした90年代の東欧を代表するグループ。
Key奏者のCsaba Vedresが抜けてからの2作目となった96年作の6thで、管弦楽器とキーボードが彩る壮大なシンフォニック・ロックの極地。
流麗さとともにヘヴィネスもあり、クリムゾンで言えば、格調高い『リザード』と硬質で狂暴な『太陽と戦慄』を掛け合わせた感じと言えるダイナミックさ!
82年にブダペストで生まれ、6歳から本格的なクラシックの教育を受けたBalazs Alparを中心に、多数の管弦楽器奏者を含む編成で結成されたハンガリーの大所帯グループ。04年作に続く2010年作2nd。
ひとことで言って『鮮烈』なシンフォニック・ロック!
クラシック、民族音楽を中心に、ロックのダイナミズムを加えた、西洋音楽史を総括したような壮大な作品と言える大傑作。
ブダペスト南西にあるセーケシュフェヘールヴァールのジャズ・スクールを出た生徒達により00年に結成されたテクニカル・プログレ・グループ。02年作1st。
インドネシアのDISCUSのバカテク&雑食ぶりも凄かったけど、ハンガリーのこのグループも全然負けてませんっ。ロック、ジャズ、フュージョン、メタル、民族音楽エッセンスなど何でもあり、なんだけどビックリするほど洗練されてる!
試聴是非!
こちらの2ndもそれはとんでもない一枚。
DREAM THEATER彷彿のメタリックな硬質さ、アコースティックなジャズのふくよかさ、フュージョンの軽快さが違和感なく融合したアンサンブルは前作以上と言うべき驚異の完成度!
初期AFTER CRYINGでキース・エマーソン譲りの凄まじい演奏を聴かせていたKey奏者Vedres Casaba率いるグループによる99年の唯一作。
この曲の冒頭での躍動感みなぎるピアノ!
EL&PやBANCOに比肩するテンション!
ハンガリーの新鋭シンフォ・グループ、06年のデビュー作。
たおやかなアコギをバックにフルートがリリカルに舞い、溢れんばかりにメロトロンが鳴らされる!極めつけは、美声の女性ヴォーカル!
EASTゆずりの透明感に英国CAMELやアンソニー・フィリップスのような牧歌性を掛け合わせたフォーキー・シンフォの傑作。
そのYESTERDAYSによる待望の18年作3rdもさすが必聴の出来!
フルート、メロトロン、女性ヴォーカルらが繊細織り上げる、信じられないように繊細で浮遊感ある美麗世界に恍惚としてしまいます…。
そんなYESTERDAYSのリーダーによるソロプロジェクトの13年デビュー作がこちら。
これがもう最初の5分でジェネシスやイエスのファンならヤられること間違いなしなファンタスティックぶり!
70年代プログレのファンはもちろん、英ニッチ・ポップのファンまでオススメできちゃう快作です。
『火星年代記』でおなじみSOLARISのベーシストを中心としたバンド、13年作2nd。
SOLARISのエネルギーはそのままに、よりメロディアスで表情豊かに仕上げたようなサウンドが見事です。
そしてなんと2019年、あのソラリスによる新譜がリリースされました!
ハンガリー・シンフォの雄による、99年作『NOSTRADAMUS』の続編19年作。
持ち味である哀愁たっぷりのフルートやシンセを伴った、この終始力みっぱなしの生真面目なまでに厳粛なサウンド、相変わらずでほんっと素晴らしい!!
いかがでしたか?
カケレコには「ハンガリー・プログレ」というカテゴリーがあって、中古CDもあわせて検索できますよ~。下記のリストをどうぞチェックください。
06年デビュー作『HOLDFENYKERT』でシンフォ・ファンの度肝を抜いた、ハンガリー出身/ルーマニアを拠点とする新鋭シンフォ・グループ、18年作3rd。いや今作も素晴らしいですよ〜!シャープなキレを持つリズム・セクションを土台として、メロトロンが幻想のカーテンをなびかせ、フルートが幽玄を奏で、品のある艷やかなシンセが疾走し、そして柔らかなアコースティックギターが心地よく響く、驚くほどに瑞々しく透明度の高いアンサンブル。そこに命を吹き込むのが、土着的な響きを持つハンガリー語を息を呑むほど神秘的に聴かせる女性ヴォーカル。それらがしなやかに組み合わされて形作られていくどこまでも繊細な音世界は、過去作よりもさらに美しく洗練されている印象です。ここぞという場面でヴァイオリン奏法を駆使して優美に泣くギターのプレイも胸を打ちます。パーカッションを交えエキゾチックに彩る民族エッセンスもシンフォニックなサウンドに自然に溶け込んでいて素晴らしい。終始、この世とは思えない淡く浮遊感ある幻想世界が眼前に広がる名品。文句なしにおすすめ!
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ペーパーケース仕様、盤面が黒い特殊CD-Rです
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ハンガリーのグループ。06年のデビュー作。たおやかなアコギをバックにフルートがリリカルに舞い、溢れんばかりにメロトロンが鳴らされる!極めつけは、流れるように美しいメロディとスッと入ってくる美声の女性ヴォーカル!全体的に柔らかな音像でハードさは無いものの、タイトなリズム隊のせいか、演奏はダイナミズムに溢れています。全員がテクニック抜群ですが、特にアコギ奏者はかなりの腕前で、格調高くリリカルなリードは必聴。ファンタスティックなシンフォニック・ロックとして一級品の傑作。本当に素晴らしいです。
ペーパーケース仕様、新装ジャケット&オリジナル・オーディオでの2014年新規リイシュー盤。バンドサイトでは、MUSEA盤と異なる06年にハンガリーでリリースされた音源で、LPのようなアナログのフィーリングを最大限に活かし、アコースティックやメロトロンが魅力的に響くようにミックスされているそうです
盤質:傷あり
状態:良好
軽微な汚れ・軽微な圧痕あり
東欧を代表するハンガリーのプログレ・グループ。96年の6th。室内楽的な管弦楽器や壮大なオーケストラはそのままに、クリムゾンばりの凶暴性や現代的なヘヴィネスを加えた圧倒的なダイナミズムを聴かせる作品。鋭利な攻撃性とオーケストラの瑞々しさが、これほど違和感無く共存したサウンドは、他に聴いたことがありません。90年代以降の数あるシンフォニック・ロックの名作の中でも、群を抜く傑作。AFTER CRYING恐るべし!
名実ともにハンガリー・プログレを代表するバンドと言える彼らの2019年作。99年にリリースされた『NOSTRADAMUS』の続編となっています。いやはや今作も怒涛の熱量とスケール!!女性ヴォーカルも伴ってエネルギッシュに渦巻くコーラスが全編に配された壮大なサウンドで聴き手を飲み込むようなスタイルは99年作そのまま。終始力みっぱなしで生真面目なまでに厳粛なサウンドにもかかわらず、テーマも反映してかどこかMAGMAにも通じる呪術的な世界観が形成されていくサウンドが印象的です。デビュー作『MARSBELI KRONIKAK』からの持ち味である尺八のように鳴らされる激しいフルートと太くうねりのあるシンセサイザーのコンビネーションももちろん冴えわたっておりやはり素晴らしい。冒頭34分の大作が圧巻ですが、哀愁を帯びたメロディアスなギターも活躍する他の曲も魅力的です。有無を言わせぬ迫力で押し寄せてくる、唯一無二のSOLARISワールドを堪能できるシンフォニック・ロック傑作です。おすすめ!
ハンガリー出身、抜群のテクニックを武器に、シャープでスリリングなアンサンブルで次々と畳みかけるテクニカル・プログレ。02年作の1st。DREAM THEATER譲りのメタリックに疾走するパートあり、フュージョン・タッチの流麗なギターと広がり豊かなアンサンブルが気持ち良い軽快なパートあり、ピアノが躍動するAFTER CRYINGばりの鮮烈なシンフォ・パートあり、とにかく硬質さとしなやかさが絶妙にバランスしたアンサンブルはかなり完成度高いです。名作!
82年にブダペストで生まれ、6歳から本格的なクラシックの教育を受けたBalazs Alparを中心に、多数の管弦楽器奏者を含む編成で結成されたハンガリーの大所帯グループ。04年作に続く2010年作2nd。ひとことで言って『鮮烈』なシンフォニック・ロック!とにかく「動」と「静」の対比が鮮やか。「動」のパートでは、シャープでダイナミックなリズム隊、早いパッセージのヴァイオリンが躍動し、「静」のパートでは、格調高くクラシカルなピアノ、リコーダーやフルートなど管楽器が舞い上がります。クラシック、民族音楽を中心に、ロックのダイナミズムを加えた、西洋音楽史を総括したような壮大な作品。エレクトリック・ギターやキーボードがないのに、これほどまでにロック的なダイナミズムを出せるんですね。傑作です。
ハンガリーのグループ、06年作2nd。名作1stの延長線上にあるテクニカル・プログレ。メタリックな硬質さ、アコースティック・ジャズのふくよかさ、フュージョンの軽快さが違和感なく融合したサウンドからは、一聴して聴き手を捉える明快なテンションとともに、豊潤な奥行きを感じます。各音の瑞々しさと躍動感は特筆もの。単にテクニックで押すだけではない、豊かな音楽性が感じられます。これは傑作です。
初期AFTER CRYINGでキース・エマーソン譲りの凄まじい演奏を聴かせていたKey奏者Vedres Casaba率いるグループ。97年作。躍動感溢れるタッチのクラシカルなピアノとシャープで力強いドラムを中心に、ダーク&アグレッシヴに畳みかけるシンフォ・プログレ。テクニカルでスリリングなフレーズをこれでもかと連発。もの凄い緊迫感。対照的に静謐でリリカルなパートも実に美しいです。BANCOに通じるクラシックとロックの剥き出しの融合と圧倒的なダイナミズム。名作。
ハンガリー新鋭プログレの人気バンドYESTERDAYSのリーダーでギター/ベース/キーボードを操るマルチ奏者の奇才Bogati Bokor Akosによるソロ・プロジェクト。2013年のデビュー作。バックは、SAMURAI OF PROGに在籍するフィンランドのドラマーなど、世界中のミュージシャンが参加しているようで、インターネットを介してレコーディングを行ったようです。タイトで躍動感いっぱいドラムとリッケンバッカー・ベースのゴリゴリとアグレッシヴで疾走感あるベースが生むグルーヴ、青空へと伸びやかに飛翔するようなヌケの良いムーグ・シンセのファンタスティックなリード。繊細に紡がれるアコースティック・ギターとリリカルなピアノを散りばめた緻密さも印象的だし、メロトロンやフルートによるヴィンテージな味付けもグッとくるし、ピーター・バンクス直系のキーボードのバッキングや、歌心いっぱいの流麗なギター・ソロも良いし、最初の5分で、ジェネシスやイエスのファンならヤられること間違いなしでしょう。次々と溢れ出る70年代プログレへの憧憬に満ちたフレーズにただただ心奪われます。男女ヴォーカルが4〜5人参加していますが、どのヴォーカリストもふくよかでジェントルな歌唱でメロディの美しさ、アンサンブルのファンタジーを見事に引き出しています。手作りの空気感に包まれたアナログな音色もアンサンブルにあっていて良い感じ。ジェネシスなど70年代プログレのファンから、英ニッチ・ポップのファンまでオススメの快作!
ハンガリーを代表するグループ。70年作3rd。初期OMEGAの音楽的イニシアティブを握っていたPresser Gaborが参加している最後の作品(脱退後、LOCOMOTIV GTを結成)。中域にコシのあるトーンのハードなギター、タイト&ヘヴィなリズムによるエネルギッシュなアンサンブルを軸に、オルガンとピアノが荘厳な色を加えます。ブリティッシュ・ロックに通ずる引きずるような重量感と東欧らしい哀愁が融合した、陰影に富んだハード・ロックの逸品!
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