2018年11月2日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
ヴァイオリンやオーボエ、ファゴットなどの管弦楽器をふんだんに用い、ロックにクラシカルな室内楽的アンサンブルを導入した「チェンバー・ロック」。
でもチェンバー・ロックって、THIRD EAR BANDだったりUNIVERS ZEROあたりのRIO系グループが元祖って言われてるし、なんだか暗くて怖そうだよなあ・・・。
そんなイメージをお持ちの方々のために、今回は叙情的でファンタジックだったり軽やかでユーモアたっぷりだったりする、「非暗黒系」!?なチェンバー・ロックをご紹介。
まずはこちらのイタリアン・ロック名盤からスタート!
イタリアのアヴァン・ロック・グループ、80年作2nd。
デビュー作ではMATCHING MOLEやHATFIELD AND THE NORTHなどを思わせるカンタベリー色の強い作風でしたが、本作ではサックスなどの管楽器セクションがフィーチャーされ、HENRY COWにも通ずるアヴァンギャルドなチェンバー・ロックを展開しています。
とはいえ前衛的なだけでなく、印象的なフレーズや透明感のある音色でメロディアスにも聴かせている点が見事!
続きましてはカナダのケベック産、管弦楽器をフィーチャーしたこちらのプログレ・バンド。
75年のライヴ盤。たおやかな管弦楽器とドラマチックなピアノやシンセ、そしてジャズ・タッチのギターが織り成す、どこまでもファンタジックなサウンドが心地良い~。
時にはアグレッシヴなアンサンブルを展開するもののそれほどアヴァンギャルド色は強くなく、カンタベリー・ロックにも通ずる浮遊感に包まれたリリカルなチェンバー・ジャズ・ロックを展開しています。
お次はフランスから、RIOへの参加でも知られるこちらのアヴァンギャルド・グループ。
79年の代表作。ゆらゆらと優雅かつ不安定に奏でられるヴァイオリンやピアノやクラリネット・・・。美しくも奇妙なチェンバー・サウンド。
フランスらしくちょっぴり毒もありつつ、幻想性と浮遊感のある音世界が癖になる逸品です。
お次は北欧チェンバー・ロック!
ジャズ、アヴァンギャルド、サイケ、北欧トラッドをゴッタ煮にした北欧ジャズ・ロック/チェンバー・ロックの名作、75年作。
テクニック抜群ながら、緻密さとルーズさの度合が絶妙…。これまた癖になりそ~。
さあさあ、次は注目の新鋭チェンバー・ロック・グループを紹介していきますよ~。
ベルギー/ハンガリー/フィンランド/チリといった多国籍構成のチェンバー・ロック新鋭、11年作。
サムラ的疾走チンドン屋フレイヴァーとカンタベリー叙情が合わさったような、流麗でテクニカルでユーモア満載のサウンドが見事!これは傑作!
CASTに参加するヴァイオリニストを中心とするイタリアの管弦楽カルテット、15年作。
ファンタジックで華やかな広がりを持つ管弦楽アンサンブルは、室内楽的な取っつきにくさを微塵も感じさせない心地よいまでの聴きやすさ。シンフォ・ファンにもオススメです☆
ここからご紹介するバンドにはちょっぴりダークな部分もありますが、同時に芳醇なメロディや気品あるサウンド・メイクなど叙情的な要素も含んでいてオススメですよ~。
次はロシアのおとなりベラルーシのチェンバー・ロック・グループによる13年作。
ダークでテンションみなぎるパートもありますが、全体的なサウンドは優雅で格調高く叙情的。
深みのあるヴァイオリンをはじめどの楽器も艶やかな質感に包まれていて、非常に心地よく聴けます。
イタリアン・チェンバー・ロックを代表するグループYUGENのKey奏者による11年リーダー作。
スリリングで強靭な「動」のパートと幽玄で幻想的な「静」パートの見事なコントラスト…。
「一日千秋」という日本語の持つ美しさと儚さを描いた叙情派チェンバー・ロック!
イタリアン・チェンバー/アヴァン・プログレ・グループによる18年作。
プリミティブなパーカッションに乗せてビブラフォンが静謐に旋律を奏で、スラップ・ハッピーあたりに通ずる男女ヴォーカルがコミカルに歌い出す…。
不穏なシンセ音響も交えたアヴァンギャルドさと気品ある佇まい、そしてほんのりと漂う洒脱なユーモア。ZNRにも近い奇妙な心地良さがあって良いなあ…。
ダイナミックでお洒落なピアノ・ジャズかと思いきや、チェロやクラリネット等の管弦楽器が厳かなチェンバー・テイストを醸し出していて新鮮。
洗練されたモダンさと格調高い伝統性がブレンドされた、陰翳ある英国アコースティック・チェンバー・ジャズ・ロック!
最後はこちら、米国テキサスのチェンバー・ジャズ・ロック・グループによる18年作!
MAGMAやKING CRIMSONに通ずる強靭なギター&ベースとコミカルでどこかエキゾチックなチェンバー・サウンドのコラボレーション!?
モダンな要素と人懐っこく暖かみのある要素が複雑に絡み合う、楽しさ一杯のチェンバー・ロック。
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スウェーデン出身、8人編成のグループ、75年作の1st。サウンドは、ジャズ、アヴァンギャルド、サイケ、北欧トラッドをゴッタ煮にしたジャズ・ロック/チェンバー・ロック。テクニック抜群ですが、緻密さとルーズさの度合いが絶妙で、格調高さとともに、ジャケットの通りどこか愛嬌のある雰囲気も印象的。名作です。
イタリアン・チェンバー・ロックの新鋭グループ=YUGENのキーボーディストによる初リーダー作。11年発表。YUGENと同様、高速変拍子をビシバシ展開するスリリングなアンサンブルを主体としながらも、本作は、ジャケットに刻まれた「一日千秋」という日本語の持つ美しさと儚さを見事に内包したような、抒情的な美学が随所に滲み出た作風が特徴。不穏さとシュールさを併せ持った室内楽器の響き、心を揺さぶる幻想的なキーボード、ヘヴィなロック・ダイナミズム、淡き幼少期を思い起こさせるような子供の声のSE…。柔らかさ/儚さ=「静」と、スリリングでダイナミックな展開=「動」による圧倒的なコントラストから、イタリアン・ロックの確かなDNAが感じられる傑作です。
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