2019年9月26日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
フレンチ・プログレと言えばATOLLのような幻想性あふれるシンフォニック・ロックや、MAGMAのような荘厳で強靭なZEUHL系アヴァン・プログレの印象が強いですが・・・。
実は英国のカンタベリー・ミュージックを彷彿とさせるような、流麗さやたおやかさを持ったジャズ・ロックも沢山生まれているんです。
今回はMAGMAなどフレンチ・プログレ好きは勿論、カンタベリー好きにもオススメできそうなフレンチ・ジャズ・ロックの名作たちをピックアップしてみました!
まずはMAGMA~ZAOのサックス奏者ヨシコ・セファーなどが参加したプロジェクト、SPEED LIMITによる74年作1st。
マグマ直系のサウンドかと思いきや、朗々と歌うようなサックスはかなりエルトン・ディーン風だし、ギターの奔放に音数を詰め込む速弾きはかなりジョン・グッドソールだし、ベースも時にパーシー・ジョーンズばりにうねってるし。
ソフツやBRAND Xなど英ジャズ・ロック好きには堪らないはず!
ついでにZAOの作品もご紹介しておきましょう。MAGMAの傑作ライヴで最高にスリリングなプレイを聴かせていたVln奏者ディディエ・ロックウッドも参加した76年4th。
彼のヴァイオリンとヨシコ・セファーによるサックスが織り成すインタープレイがとにかく圧巻…。フレンチ・ジャズ・ロック史上の傑作です。
またまたMAGMA関連作、MAGMAのメンバーであったBernard PaganottiとPatrick Gauthierが結成したジャズ・ロック・グループによる78年唯一作。
マグマの熱気にソフト・マシーンのミニマルなクールネスをブレンドし、さらにスペーシーな浮遊感を加えたようなサウンドがいいですねえ。
こちらもフレンチ・ジャズ・ロックが誇れる傑作!
ここまではMAGMA色が強めでしたが、ここからはたおやかさ溢れるグループを紹介してまいりましょう。
こちらは今年めでたく再発がリリースされたフランスの隠れた名ジャズ・ロック・バンド。
手数多くシャープに畳み掛けるアンサンブルと印象的なメロディメイクを特徴とする、ARTI E MESTIERIタイプと言えるジャズ・ロックが絶品!
え!? この音でゴングよりデビュー早いの? 怪しさムンムンのジャケも堪りません。
このフランスのジャズ・ロック・グループ、恐るべし。
こちらはMAGMA直系の張り詰めた緊張感と、カンタベリーからの影響を感じさせるふくよかな幻想性&柔軟性を共存させた見事な逸品!
柔らかな女性ヴォーカルのスキャット&エレピと、タイトで切れ味鋭いリズム隊のアンサンブルが絶妙。
「フランスのジャズロックというとマグマやザオが個性派で代表格ですが、Brand XやIsotopeなどに近いテクニカルでインターナショナルなサウンドで、メージャーでないながらも捨てがたいものがあります」by レビュワーike333さん
これ、ジャズファンク+カンタベリーと言えちゃうかな?
ヴァンデ総帥からMAGMAの2ndドラムに抜擢されるメンバーやB.パガノッティがいたCRUCIFERIUSの元メンバーなど実力者が集った仏ジャズ・ロック・バンド、強靭かつ気品高い73年デビュー作!
次はかのヒュー・ホッパーも在籍し80年代後半に活動したジャズ・ロック/アヴァン・ロック・バンドによる16年復活作!
サウンドは・・・SLAPP HAPPYのダグマー・クラウゼがMAGMAをカヴァーしたようだって?!
カンタベリーとZEUHL系のエッセンスがブレンドしたアンサンブルが堪りません。
最後は新鋭グループからもフレンチ・ジャズ・ロックのオススメをご紹介!
仏新鋭グループの2013年作なんですが、ソフト・マシーンやハットフィールドやナショナル・ヘルスなどカンタベリーのファン、『レッド』期キング・クリムゾンやマグマのファンは必聴。
強靭なギター、ベース、ドラムの渦の中をフリーフォームに疾走するエレピ…。これは恐るべきデビュー作です。
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MAGMA〜ZAOのサックス奏者ヨシコ・セファーが同じくZAOのベーシストJoel DugrenotやキーボーディストJean-Louis Bucchiらと結成したプロジェクト、74年作1st。本作はMAGMA影響下のサウンドを聴かせる所謂ズール系ジャズ・ロックとはやや毛色が異なり、フリージャズ色はあるものの中期SOFT MACHINEやBRAND Xなど英国ジャズ・ロックに接近したサウンドを聴かせるのが特徴です。セファーのサックスもエルトン・ディーンを思わせる朗々とした歌うようなプレイが印象的だし、ギターの奔放なフレージングセンスや音数を詰め込むような速弾きはかなりジョン・グッドソール的だし、ベースは曲によってはもろパーシー・ジョーンズだったりと、アンサンブルの端々に英国ジャズ・ロック的な流儀が感じ取れるのが本作の面白み。しかしフレンチ・ジャズ・ロック・シーンの猛者たちだけあって隙のないサウンドに仕上がっているのはやはり流石と言うべきでしょう。フレンチ・ジャズ・ロックとしては異色ながら、英国ジャズ・ロックの名盤たちと同列に聴かれるべきクオリティを持った好盤です。
フランスのジャズ・ロック・グループ、70年作の1st。手数多く軽快なドラムと動き回るベースによる疾走感溢れるリズム隊を土台に、ギターがテンションいっぱいにカッティングを刻み、フルートやサックスがエネルギッシュに炸裂!シリアスなだけでなく、ユーモアも盛り込むなど、ソフト・マシーンやヘンリー・カウなどカンタベリー勢からの影響大。まだゴングが1stをリリースしていない70年ということを考えると、恐るべしな作品。北欧のサムラに通ずる痛快さもあり。カンタベリーのファンは必聴の名作です!
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