2015年2月27日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記,世界のロック探求ナビ
タグ: ジャズ・ロック
マグマに影響を受けた一連のバンドの総称「ZEUHL(ズール)系」。
ZEUHLとは、マグマのクリスチャン・ヴァンデが創作した独自言語コバイア語で「神聖な音楽」。
そんなズール系に属する作品のリイシューと、そのDNAを継ぐ現在のバンドの作品のリリースを目的に98年に設立されたレーベルが、SOLEIL ZEUHL。
ディスコグラフィの中から注目作をピックアップいたしますので、マグマが内包した、高度なテクニックとその土地ならではの歴史や文化を受け継いだ高い精神性を受け継いだサウンドをどうぞお楽しみください。
まずは、70年代~80年代の往年のズール名盤をピックアップ!
74年に結成されたフランスのグループ。79年録音、81年にリリースされたデビュー作。
ウネリをあげる強靱なリズム隊、狂気のスキャットは、まさしくマグマ譲り。
トリプル・キーボードが描く深遠なる暗黒世界は、マイナーながら、マグマに匹敵するスケール!
ZEUHL系の筆頭バンドSHUB NIGGURATH、83年の結成前後にカセットのみでリリースされた音源の発掘盤。
怪奇度/恐怖度に関しては、マグマもユニヴェル・ゼロも凌駕!!!
そんなSHUB NIGGURATHの前身バンドにあたるのがこのAPSARA。
凶暴極まりないリズムセクション、サステインの効いたフリップ彷彿のギター、重々しく吹き荒れるブラス、そしてミステリアスな女声スキャットが妖しく舞う戦慄のサウンド!
地中海に浮かぶフランス領コルシカ島のグループによる78年作。
幻想的に彩る艶やかなローズピアノ、エスニックかつ鬼気迫る旋律を奏でるヴァイオリンとエレキ・ギター、そして時に四層にも重なりあう男女混声コーラス。
MAGMA影響下にあるグループのなかでも傑出した美的センシティビティと実力が光る、全ジャズ・ロック・ファンに推薦の傑作!
80年代にはJaco Pastoriusとも活動した仏の名ドラマー&コンポーザー、80年の1stでZEUHL系の名作として人気が高い一枚。
ストラヴィンスキーなど近現代クラシック的エッセンスも散りばめた、マグマにも負けない精神性と音楽的野心を持った傑作。
元ART ZOYDで、ズール系名作とされるSerge Bringolf率いるグループSTRAVEにも参加したギタリスト。81年リリースのソロ唯一作。
強靱なリズム隊を土台に、エレピ、ピアノ、ギターが高速フレーズをビシバシとキめていく緊張感みなぎるチェンバー・ロック名作!
70年代中期にフランスで結成された女性ヴォーカル擁するグループ。80年唯一作。
ダグマー・クラウゼ(SLAPP HAPPY)やパスカル・ソン(COS)らと同種のアヴァン・ポップ寄りな匂いを漂わせる女性ヴォーカルが魅力!
ここからは、現行バンドをピックアップしていきましょう。90年代と00年代に分けて紹介していきますよ~。
【90年代】
OFFERINGやMAGMAでクリスチャン・ヴァンデを支えた名Key奏者Emmanuel Borghiを中心に、90年代以降MAGMAのギターとベースを加えた結成されたMAGMA別働隊。
カンタベリーにも通ずるシャープかつ陰影豊かなジャズ・ロック名作。
現行MAGMA/ONE SHOTのベーシストがMAGMA参加前に組んでいた超攻撃型ジャズ・ロック・トリオ。
MAGMAフォロワーのなかでも屈指の強度とヘヴィネス!
【00年代】
MAGMA/ZEUHLサウンド影響下のフランスのマルチ・ミュージシャン、FRANCOIS THOLLOTによるグループ。12年作2nd。
初期ヘンリー・カウに『レッド』期クリムゾンの暗黒ヘヴィネスを注入したようなアンサンブルが素晴らしすぎる傑作。
女性ヴァイオリン奏者/Vo、サックス奏者を含むアメリカはLAを拠点に活動する5人組。12年2nd。
ずばりマグマ~高円寺百景から影響を受けた超絶技巧&テンションみなぎるズール系アヴァン・ロックを展開。
英語ではなく、まるでコバイアのような異言語で歌っていますし、まさか00年代のアメリカにこんなバンドが出てくるとは!
フランスの新鋭による13年作。
『MDK』マグマか『RED』クリムゾンかという迫り来る音塊の如きヘヴィ・アンサンブルに、これまた嵐のように吹きすさぶ轟音メロトロンがもう強烈すぎ!
こちらは19年作。
MAGMAの暗黒立ち込める強靭なサウンドを受け継ぎつつ、ヴァイオレンスに弾きまくるギターを軸とする『太陽と戦慄』ばりの緊張感も放出。大嵐のように吹き荒れるヘヴィ・プログレになぎ倒される衝撃の一枚!
復活したOFFERINGのメンバーとしても名を連ねるドラマーPhilippe Gleizes率いる新鋭アヴァン/ジャズ・ロック・グループ。2013年デビュー作。
こ、これは、ソフト・マシーンやハットフィールドやナショナル・ヘルスなどカンタベリーのファン、『レッド』期キング・クリムゾンやマグマのファンは必聴!
恐るべきデビュー作ですよ~。
05年結成のフランスのグループ。09年デビュー作。
変拍子をビシバシきめる重厚なリズム隊、ポリリズミックなキーボード、そして凶暴かつスリリングな速弾きギター。もう、こんなんライヴで観たら失禁しまっせ。2009年のライヴ映像をどうぞ!
フェンダー・ローズ/ピアノ奏者、オルガン奏者のダブルキーボード編成の5人組新鋭ジャズ・ロック・バンド。07年デビュー作から6年ぶりの2013年作2nd。
アグレッシヴに動きまくる跳躍力あるファズ・ベース、カンタベリー・フィーリングたっぷりな淡いトーンのファズ・オルガンが印象的。
ハットフィールド&ザ・ノースの1stにマグマの暗黒さをいいあんばいに注入した感じと言いましょうか、カンタベリーのメロウネスとマグマの緊張感が絶妙にバランスしたサウンドがかなり完成度高いです!
執拗な反復フレーズで聴く者を追い詰めるかのような展開、そしてチャントやシャウトが飛び交う狂乱のヴォーカル・パフォーマンス。
これぞマグマ直系と言える要素を備えた凄まじいサウンドです。なんとテキサスから登場したバンドによる16年作!
シャープな中にスリルを孕んだリズム隊、反復フレーズで緊張を保つエレピ、生々しいトーンで唸るシンセ、随所で牙をむくギター&サックス、そして不穏な女性スキャット…。
MAGMA影響下、「ZEUHL」の系譜を受け継ぐ暗黒ジャズ・ロックは痺れるカッコ良さ!
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