2019年2月8日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: ハード・ロック
スタッフ増田です。
今回のテーマは「壮大なハード・ロック」。管弦楽器やメロトロン、果てはフル・オーケストラ・・・。ドラマチックなスケール感を演出するアレンジはプログレだけのものではありません!
スタンダードなハード・ロックとは一味違う、豪華なプログレ的アプローチを試みたハード・ロック作品をどうぞお楽しみ下さい。
まずは英国から。後にFUZZY DUCKに発展するオルガン・ハード・グループで、スペインのみで発売された72年作3rd。
一曲目「Coming on Again」から14分に及ぶ大組曲で、スペインのオーケストラ楽団を導入した本格的なシンフォニック・ハード・ロックを聴かせてくれます。
この完成度、あの有名なDEEP PURPLEのロイヤル・フィルとの共演をも上回るかも!?
DEEP PURPLEといえば、グレン・ヒューズがPURPLE加入前に在籍していたこのグループの70年作も壮大。
なんてったってプロデューサーはMOODY BLUESのジョン・ロッジ!
スピード感のあるハード・ロックとMOODY BLUESを彷彿とさせるたおやかな叙情パートを使い分ける、ダイナミックな構成が魅力的です。
幻想的なロジャー・ディーンのジャケが美しいこの一枚。なんと元YESのキーボーディスト、トニー・ケイ率いるプログレ/ハード・グループ!72年作。
デビュー作にしてライヴ盤という異色のアルバムですが、サウンドもかなり個性的。
パワフルでブルージーなハード・ロックにこれでもかと注ぎ込まれるメロトロンがプログレッシヴな色合いを醸し出しています。ドライヴィングなベースもカッコいい!
英国ハード・ロック・グループ、74年作の1st。
「FREEを土台にDEEP PURPLEのエッセンス」とライナーにある通り力強くも哀愁漂うハード・アンサンブルが絶品ですが、さらにそこへエネルギッシュなブラスや華やかなストリングスまで入ってきちゃって、もう凄いドラマチックさ・・・。
この時期のブリティッシュ・ロックの魅力を詰め込んだようなサウンドにグッときっぱなしの名作!
CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWNやKHANで活躍したベーシストのソロ、72年作。
ヒプノシスっぽい(ヒプノシスではありません)肉ジャケもインパクト大ですが、中身はさらに見事!
歪んだオルガンの凄まじい音圧、管弦楽器も取り入れた豊かなアレンジ、ジャジーで叙情溢れるメロディ、そして哀愁のヴォーカル・・・。もしも英国Vertigoあたりからリリースされていたらかなりの名作として評価されていたこと間違いなしの逸品。
元BULLDOG BREEDのKeith Cross(g)と元GUNのPeter Dunton(ds)を中心とする英ハード/プログレ・バンド、70年作。
ささくれ立ったギターのスケールの大きなプレイに叙情的なヴォーカル、メロトロンやオーケストラによる荘厳なアレンジが絡み合うアンサンブル。
70年の英国らしいヘヴィさとクラシカルさ、淡い叙情美が渾然一体となった名作。
CREAMのジャック・ブルースとMOUNTAINのレスリー・ウェスト&コーキー・レイングが結成した夢の英米混合トリオ、73年作!
特徴的なブイブイ主張するベースやブルージーでソウルフルなヴォーカルは健在ながら、さらにドラマチックなピアノや荘厳なコーラスも取り入れ、ドラマチックな広がりを持ったサウンドを聴かせています。
ハード・ロックやブルースでおなじみの彼らも時代に合わせてプログレッシヴな方向性にトライしてみたのでしょうが、いやはや流石の出来です!
次は米国から、ユニークなメロトロン・ハードをご紹介!74年作。
ツェッペリンやヒープからの影響を感じさせる陰影に富んだへヴィネスにドアーズ的なアート・ロック・テイストをちりばめつつ、そこに投入される豪快なメロトロン!
ハードながらもファンタジックさたっぷりで、これはブリティッシュ・ロック・ファンに一押し!
こちらも米国ですが、英ハード・ファンの心を打ち抜く作品!71年唯一作。
フルートとアコギによる幻想的なパートをドラムが徐々に盛り上げていき、ここぞでスティーヴ・マリオットばりのシャウトやセンス抜群のオーバードライブ・ギターが炸裂。
起伏のある展開に伸びやかなスケール感、テクニックも申し分なし。かなりの本格派プログレッシヴ・ハード・ロックです。
最後はドイツから行ってみましょう!ジャーマン・ハード・ロックの先駆者、ルシファーズ・フレンドの74年作4th。
ヘヴィなハード・ロックのイメージが強いグループですが、本作はブラス隊やオーケストラをフィーチャーしたプログレ/ジャズ・ロック色の強いサウンドが特徴。
流麗さとハードさ、ドラマチックさが見事にブレンドされた「Spanish Galleon」はプログレ・ハード史に残る名曲!
こちらはBRAINレーベルより72年にリリースされたデビュー作。
ウィッシュボーン・アッシュばりにタメの効いたツイン・ギター、クレシダばりにたなびくオルガン、さらにはBJHの如き壮大なストリングスまで導入したサウンドは実にドラマティック!
このバンド、VERTIGOやHARVESTの作品のファンは是非一聴を。
こちらもドイツ。75年に一枚の激レア盤を残して解散したグループですが、00年代以降再結成しており、これが復活後4作目となる17年作!
繊細なアコギやジャーマン・シンフォを彷彿とさせる伸びやかなシンセ、弦楽器などプログレッシヴなアプローチを取り入れつつも、軸となるのはアーシーで暖かい昔ながらのハード・ロック。
生々しいギターの音色にバタバタとした縦ノリのドラム、叙情的でアーティスティックなヴォーカル…70年代ジャーマン・ハードが好きなら要チェックの一枚。
いかがでしたか?こちらの記事もどうぞ!
AARDVARKなどと同じDERAMレーベルよりリリースされた、元GUNのPeter Duntonを中心に結成されたブリティッシュ・へヴィー・ロックグループの70年作。その内容はギタリストKeith Crossのパワフルなプレイを中心に、サイケデリックな質感を残したサウンドとブルース・ロックに根ざした渋みを持ったバンド・アンサンブルで聴かせる作風ですが、一方でピアノやメロトロンなどのキーボードやブラス・セクションなどが登用され英国然としたクラシカル・ロック・アンサンブルを提示するなど、シンフォニックな旨みも持ち合わせており、叙情を堪能できる作品です。
デジパック仕様、3枚組、disc2にアルバム用に制作された70年録音の未発表作品7曲、disc3に71-72年の音源9曲を収録、21年デジタル・リマスター
レーベル管理上、デジパック若干の圧痕や軽微な角潰れがある場合がございます。予めご了承ください。
EDISON旧規格、伊藤政則監修『ザ・グローリー・オブ・ブリティッシュ・ロック』シリーズ、定価3066
盤質:傷あり
状態:並
帯有
盤に若干曇りあり、若干カビあり、帯にケースツメ跡あり
ソウルフルなシャウト・ヴォーカルとタイト&スピーディーなアンサンブルによる英ハード・ロック・グループ。74年作の1st。ライナーには、FREEを土台にDEEP PURPLEのエッセンス、と書いてありますが、確かにその通り!絞り出すような太いシャウト・ヴォーカルは存在感抜群で、ブルージー&メロウなハード・ロックを基本に、ツイン・リードやオルガンによるドラマティックなキメのパートを加えるアンサンブルはかなりカッコ良いです!一転して、HUMBLE PIEあたりに通ずるアーシーな雰囲気もあったり、叙情的なストリングスが入ってきたり、この時期のブリティッシュ・ロックの魅力を詰め込んだような味わい溢れるサウンドにグッときっぱなし。ベルボトムが最高に似合う男達による男臭い哀愁や叙情が滲み出た逸品。
メロトロンを豪快にフィーチャーした米ハード・ロック・グループ、74年唯一作。ツェッペリンやユーライア・ヒープからの影響が感じられる陰影に富んだヘヴィネスとドアーズなどアート・ロック的な佇まいとがブレンドしたスケールの大きなアンサンブル、そこにクリムゾンの1stばりに豪快に溢れ出すメロトロン!ハードなセクションでは壮大さを演出し、バラードセクションでは独特の冷ややかさとファンタジックさを見せます。ブリティッシュ・ハードのファンには是非ともオススメした米ハードの名作!
元YESのキーボーディストTony Kayeが中心となり結成されたイギリスのプログレッシブ・ロックグループの72年デビュー作。デビュー作にしてライブ作という異色の内容となっており、当時彼らが前座を務めていた「YESSONGS」レコーディング前のYESの機材をJon Andersonの提案によって使い、ライブ録音が行われました。その内容はブルージーなギターワークとTony Kayeのオルガン、メロトロンで聴かせるブリティッシュ・ハード・ロックであり、ライブ作と言うこともあって強烈なドライブ感あるダイナミックなサウンドが収録されています。
元CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWN〜KHANのベーシスト、72年作ソロ。ドラムEric PeacheyはKHANの同僚で、オルガンのDick Heninghemは、KHAN結成時のメンバー。マイナーな作品ですが、歪んだオルガンを中心としたオルガン・ハードは、もしVertigoからリリースされていたらかなりの名作として評価されていたでしょう。キャッチーかつ叙情に溢れたメロディ、ハートウォームなヴォーカル、フルートなど管弦楽器のメランコリックな調べなど、いかにも英国的な陰影も魅力です。楽曲、演奏ともにセンス溢れるブリティッシュ・ロックの傑作。
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