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マイナー言語のユーロ~辺境ロック・セレクション<中東・アフリカ・アジア編>

スタッフ増田です。

いつの間にかシリーズ化していたこの「マイナー言語」セレクション、今回はついにユーロを離れ、アフリカ・アジアまで足を運んでみたいと思います。
アフリカの言語なんてユーロ以上に耳にする回数が少ないですが…ぜひこの機会に楽しんでみてください。

と言いつつ、まずは前回の「ユーロ・ロック」で触れられなかったトルコおよびイスラエルの作品からご紹介。
カケレコではトルコやイスラエルのロックも「ユーロ・ロック」として取り扱っていますが、今回は「中東」というくくりにさせていただきました。
それでは最初の作品を見てみましょう。

中東

まずはトルコから。
トルコ語は書き言葉ではラテン・アルファベットを使用しますが、アラビア語やペルシア語など中東言語の要素を多く含む言語で、近隣のギリシャ語とも共通点があるようですね。

HARDAL/NASIL ? NE ZAMAN ?(トルコ)

79年発表のサイケ・プログレ。
お決まりのファズ・ギターに温かみのあるオルガン、突然の素っ頓狂なシンセ、突然の疾走…。
変拍子プログレばりの目まぐるしい展開に振り回されますが、ちょっぴりチープかつこれでもかと哀愁を醸し出すサウンドがどうしても憎めない…。
トルコ語ヴォーカルの響きは日本語とは全く違うのですが、まるで昭和歌謡のように日本人の心の琴線を震わせてきます。
ちなみにアルバム名は「どう?何時?」といった意味のようですが、ジャケと何か関係があるのでしょうか。

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次はカケレコでも度々オススメしているイスラエルのロックを取り上げてみましょう。

イスラエルの言語はヘブライ語。旧約聖書を書くのに使われた言語として、名前は聞いたことのある方も多いと思います。
聖書に使われた古典ヘブライ語は紀元70年頃以降日常的な言語としては使われなくなっていましたが、20世紀に入ってそれを日常語として復活させたのが、現在イスラエルで使われている現代ヘブライ語だそうです。

イスラエル・ロックは比較的現地語ヴォーカルが多く、ジャケも英語でなくヘブライ語で書かれていることが多くて少し近づきがたいイメージがありますが、聴いてみるとその聴きやすさやメロディの美しさ、そして演奏のテクニカルさに驚かされます。

SHESHET/SHESHET

カンタベリーに通ずるテクニカルさと甘美なメロディを有するイスラエル・ロックですが、中でも彼らの77年唯一作は特筆。
緻密な音の配置、たおやかで流美な旋律、男女ヴォーカルのハーモニー…どこを取っても完璧な美しさです。
イスラエル・ロックの金字塔にして、入門盤と言える作品。

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SHESHETの77年作『SHESHET』 - イスラエル・ロック金字塔

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本日の「ユーロロック周遊日記」は、イスラエル・ロックを代表する金字塔的名作、SHESHETの77年唯一作『SHESHET』をご紹介

MUSICA FICTA/A CHILD AND A WELL

イスラエルの新鋭プログレグループ、05年作。
抜群の安定感を誇るテクニカルな演奏もさることながら、澄み切った伸びやかな女性ヴォーカルのとにかく美しい事。
SHESHETなどイスラエル・ロックの遺伝子を確かに受け継いだと言い切れる、ハイ・クオリティな一枚。

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アフリカ

さて、次はアフリカです。
アフリカでは数え切れない少数民族が生活しており、話されている言語は数え方によっては3000以上もあるそうです。

まず始めににご紹介するのはザンビアのグループ。…ってどこ?

ここです。

1924年から64年までイギリスの植民地だった国で、公用語も英語ですが、その他にもいくつかの各民族の言語が話されているみたいです。
ご紹介するグループも、英語と何らかの民族語(何語かはわかりませんが…)を使い分けて歌っています。

NGOZI FAMILY/45000 VOLTS

アフリカはザンビア出身のサイケ・ハード・グループ。77年作。
植民地時代に持ち込まれた欧米の音楽を吸収し、持ち前の音楽センスに融合させることに長けたアフリカの国々。
彼らもまた強烈なサイケと陽気なアフロ・サウンド、そしてキャッチーな現地語ヴォーカルをうまくマッチさせていて、非常に気持ちのよい聴き心地!
商品ページでさらに詳しく説明しておりますので、ぜひチェックしてみて下さいね。

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次は南アフリカ。ネルソン・マンデラ政権で知られる、アフリカ最大の経済規模を持つ国です。
英語と民族語を含む11言語が公用語として定められていますが、多くの国民は英語ではなく民族語を日常語として使っているようです。

ASSAGAI/ASSAGAI

こちらは南アフリカ出身のジャズ・ロック・グループで、英VERTIGOからリリースされた71年作。
VERTIGOのジャズ・ロックと言っても「B級感」はなく、陽気なアフロ・ミュージックに基づくファンク・ジャズ・ロックは驚くほど洗練された音。
英語でも歌っていますが、現地語のヴォーカルやコーラスもファンキーな曲調に馴染んで非常にクールです。
やたらと陽気だし現地語で歌ってるせいでよくわからないけど、よく聴くと「Hey Jude」な「Hey Jude」カバーも聴き所ですが、今回は「ザ・アフロ!」なブラス・ロックをお聴きいただきましょう。うーん、カッコイイ!

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アジア

さて、いよいよ我らがアジアにやってきました。
まず最初はフィリピン。かつてアメリカの植民地だった国です。
こちらもアフリカと同じくフィリピン語に加えて英語が公用語に定められていますが、現地で話されている母語の総数は172にものぼるそう。

JUAN DE LA CRUZ/HIMIG NATIN(フィリピン)

フィリピンのサイケ・ハード・グループで、日本から帰国したスピード・グルー&シンキのドラマーが加入した2nd。
全体的にはSG&Sを彷彿とさせるブルージーなヘヴィ・サイケで歌詞も英語ですが、ラストを飾るこの曲のみ現地語で歌われています。
哀愁のあるアコースティカルなサウンド、伸びやかなエレキの音色に土着的なヴォーカルの不思議な響きが非常に幻想的ですね。
ちなみに「Himin Natin」は訳すと「Our Hymn(我らが賛歌)」という意味だそうです。

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最後はプログレ大国インドネシアのこのグループ。
公用語はインドネシア語ですが、やっぱり各地域で語彙も文法規則も異なる583以上の言葉が話されているそうです。
日本にも少数言語がないこともないですが、さすがにこの数は考えられないですね。

DISCUS/…TOT LICHT !(インドネシア)

驚異的な演奏技術を誇るインドネシア・プログレの中でも代表的と言えるのがこのDISCUS。
こちらも歌詞はほとんど英語ですが、一部の曲は現地語です。
穏やかな男性ヴォーカルと透明感のある女性ヴォーカルのデュオが美しく、素晴らしい完成度の高さ!
楽器陣のテクニックだけでなく、「歌」でも非常に聴かせてくれるグループです。

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中東やアジアが気になった方は、こちらのアシッド・フォーク特集もご覧ください。

おまけ

マイナーマイナーと言ってきましたが、世界のロックの中では日本語ヴォーカルだってきっとマイナー。
というわけで、最後は日本語ロックをご紹介です!

はっぴいえんど/風街ろまん

60年代後半から70年代初頭にかけて日本のニューロック界で起こった「日本語ロック論争」。
ロックは日本語で歌ってもいいのか?英語で歌うべきなのか?という議論に終止符を打ったのが、この71年作『風街ろまん』ですね。
西洋と遜色ないメロディに日本語をうまく乗せることに成功しただけでなく、ロックやフォーク、歌謡曲の垣根を取り払い、現在へ続く日本のロックを作り出したといっても過言ではない作品です。

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サディスティック・ミカ・バンド/サディスティック・ミカ・バンド

高中正義がギターを務めたことでも知られるサディスティック・ミカ・バンド。
73年の1stは発売当初日本ではほとんど話題になりませんでしたが、イギリスで話題になり、逆輸入という形で注目を集めることになりました。
海外で先に話題になった日本のロックというとFLOWER TRAVELLIN’ BANDも浮かびますが、不思議なのはあちらが英詞なのに対してこちらは完全に日本語詞であること。
素晴らしいロックに言語の壁は関係ないということが、はっきりと示された瞬間ですね。

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CAN/TAGO MAGO

さて、『風街ろまん』が発売される9ヵ月前に、遠く離れたドイツの地から日本語ロックが聴こえてきました。
ヴォーカリストの名前はダモ鈴木。ヒッピーとして世界を放浪していた最中にクラウトロック・グループCANに雇われ、この71年作から全面参加することになりました。
ミニマルで呪術的なバンド・サウンドに、パンキッシュで気だるげな聴きなれない日本語ヴォーカル…当時これを聴いた人はどんな気持ちだったのでしょうか。
何もかもが新しすぎます。

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いかがでしたか?
「英語や日本語以外はちょっと聴きづらいかも…」という方も、この機会にカケレコから異国語ロックを探求していただければ幸いです。

前回の記事はこちら


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