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ソフト・マシーン『6th』 – ユーロ・ロック周遊日記

カンタベリー・ミュージックのみならず、ブリティッシュ・ジャズ・ロックを代表する言わずと知れた名グループ、ソフト・マシーンによる73年作の6枚目となるアルバム『6th』をピックアップいたしましょう。

前作『5th』を最後にサックス奏者のエルトン・ディーンが脱退し、代わりに元ニュークリアスのカール・ジェンキンス(オーボエ、Key)が加入。メンバーは、下記の4人組となりました。

マイク・ラトリッジ(Key)
ヒュー・ホッパー(B)
カール・ジェンキンス(Oboe、Key)・・・元ニュークリアス
ジョン・マーシャル(Dr)・・・元ニュークリアス

ニュークリアス組が2人となったことで、『3rd』から『5th』までに磨き上げた硬派でクールなフリージャズ・ロックを軸に、初期ニュークリアスでのカール・ジェンキンス作の曲で印象的だったミニマルな反復リフとたゆたうホーンとが織りなす幻想美が加わり、緊張感の中にもベールに包まれたような優美さがただようイマジネーション豊かなサウンドへと進化しています。

新生ソフト・マシーンのサウンドを解きほぐすために、カール・ジェンキンスの経歴をチェックしてみましょう。

【カール・ジェンキンス】

出身はウェールズで、1944年生まれ。教会の聖歌隊長を務めていた父親の影響で、幼少期からピアノやオーボエを始めます。

高校時代にはすでにウェールズの国立ユース・オーケストラでオーボエ奏者として活躍し、その後、カーディフ大学、ロンドン王立音楽院にてクラシックの教育を受けるとともに、ジャズに没頭。グラハム・コーリアーのグループに参加した後、1970年にイアン・カーとともにニュークリアスを結成し、70年のデビュー作『エラスティック・ロック』、同じく70年に2nd『ウィル・トーク・アバウト・イト・レイター』、71年に3rd『ソーラー・プレクサス』にて、メイン・コンポーザー、オーボエ奏者として才能を発揮しました。

カール・ジェンキンスと言えば、ミニマルなフレーズが幾何学模様のように組み合わさってできたリフの反復と、たゆたうように優美なオーボエによるリードが生み出す浮遊感ある叙情的なジャズ・ロックが持ち味ですが、すでにニュークリアスのデビュー作でその特徴を聴くことが出来ます。

同じく元ニュークリアスで、前作『5th』からソフト・マシーンに合流したジョン・マーシャルのドラムもまたニュークリアス時代から魅力的で、ホーンやエレピが醸す幻想性にはおかまいなしに、手数多く細かくシャープなドラミングで、フリー・ジャズ/ジャズ・ロック的な推進力を生み出すのが持ち味です。

Torrid Zone from the album『Elastic Rock』

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ニュークリアス時代に磨いたカール・ジェンキンスとジョン・マーシャルの個性は、ソフト・マシーンに合流してからも健在で、ソフト・マシーンのサウンドに色彩と重層性をもたらしました。そんな4人の個性が「ぶつかりあう」というより「折り重なり」生まれたサウンドが『6th』です。

アルバムは『3rd』と同じく2枚組の大作で、1枚目が新曲中心のライヴ、2枚目がスタジオ録音という構成。従来の硬派なソフト・マシーン・サウンドにニュークリアス組が色彩を添えた、という感じのライヴ・サイド、よりカール・ジェンキンス色が強まり、ジャズというより現代音楽のエッセンスが濃厚となったスタジオ・サイドという印象。

スタジオ・サイドの幕を開ける「Soft Weed Factor」から「新生」っぷりにびっくり。左右チャンネルにいくつも配置されたエレピによるミニマルなフレーズ。まるでベル音のような綺羅びやかなトーンのエレピが幾何学模様のように絡み合い、浮遊感と幻想性を生み出します。幻惑するようにゆったりと吹かれるサックスとそこにユニゾンで重なるファズ・オルガン。硬質なトーンのシャープなドラムがエネルギーを増していくと、クールなミニマル・ミュージックとジャズ・ロックとが奇跡的に融合した新生ソフト・マシーンならではのサウンドが現れます。

「Soft Weed Factor」 by カール・ジェンキンス

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本作でのラトリッジの曲は基本的には、これまでのソフト・マシーンのサウンドを引き継いだフリージャズ・ロックを聴かせていますが、「Chloe and The Pirates」はラトリッジの曲とは思えないアブストラクトさに驚きます。シンセを逆回転にしたような音が時にキラキラと輝き、時に柔らかに減衰しながら生み出される非現実感たっぷりなウネリ。対照的に温かなトーンのエレピの反復と、詩情を紡ぐようなオーボエの静謐なリード。カンタベリー・ミュージックらしい精緻でいて緊張感あるリズム・チェンジを経ると、ふくよかなベース・ラインと夢想的なエレピをバックに、オーボエがこれでもかとイマジネーション豊かなメロディを奏でます。少しずつエネルギーを増していきながら、いつのまにかアンサンブルの要の位置に入り、フリーフォームなドラミングを炸裂させるのはジョン・マーシャルの真骨頂。柔らかに登りつめると、またも変拍子のキメとともに、現実が去ったようにドラムが消え去り、残響音のようなエレピの反復とともに、またも夢の世界へ。

溢れるイマジネーションの音像化とも言えるサウンドは、ギルガメッシュ~ナショナル・ヘルスを率いたアラン・ガウエンにも影響を与えたでしょうし、カンタベリー・ミュージックの新たなるベースとして、後のカンタベリー発の作品に大きな影響を与えたはずです。

「Chloe and The Pirates」 by マイク・ラトリッジ

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後にアディエマスを組んで全世界を席巻するコンビとなる、カール・ジェンキンスとマイク・ラトリッジが組んだ記念すべき初の作品であり、同じ1970年に生まれた2つの作品、ソフト・マシーン『3rd』とニュークリアス『エラスティック・ロック』とが切り開いたブリティッシュ・ジャズ・ロック・シーンが、必然のようにその2つのバンドのメンバーが融合することで新たな地平へと進み出た記念碑とも言える傑作と言えるでしょう。

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  • SOFT MACHINE / MAN IN A DEAF CORNER

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  • SOFT MACHINE / FOURTH

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  • SOFT MACHINE / SEVEN

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  • SOFT MACHINE / BUNDLES

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  • SOFT MACHINE / SOFTS

    ホールズワースに代わり名手ジョン・エサリッジが加入した76年作、ギター入りソフツ第2弾!

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  • SOFT MACHINE / ALIVE AND WELL

    前任ホールズワースに匹敵するギター名手ジョン・エサリッジ、ヴァイオリニストのリック・サンダースら在籍、77年パリでのライヴ音源、78年リリース

    『SOFTS』に続く78年作。パリは「Theartre Le Palace」で収録されたライヴ音源。編成は、Karl Jenkins(Key)、John Etheridge(G)、Rick Sanders(Vln)、Steve Cook(B)、John Marshall(Dr)。しなやかなヴァイオリンがフィーチャーされ、たおやかさのあるユーロ・ジャズ・ロック的なサウンドが印象的。John MarshallのスリリングなドラムをバックにJohn Etheridgeが高速フレーズを炸裂されるアグレッシヴなパートも特筆もの。ライヴならではの緊張感がみなぎる逸品!

    • AIRAC1669/70

      廃盤、紙ジャケット仕様、スリップケース付き仕様、追加音源10曲を収録した2枚組、Blu-spec CD、2012年デジタル・リマスター、英文ブックレット付仕様、ポストカード付仕様、定価3500

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      帯有

  • SOFT MACHINE / LAND OF COCKAYNE

    ソフト・マシーンの最終作となった通算11作目、再参加のホールズワースの他ジャック・ブルースも参加した81年作

    英ジャズ・ロックを代表するグループ、SOFT MACHINEの最終作となった通算11作目。81年作。Karl Jenkinsがイニシアチブを取り、John Marshall、Jack Bruce、Alan Holdsworthらが参加して作られた作品。テクニカルなジャズ・ロックを期待して聴くと肩すかしですが、イージー・リスニング的な浮遊感のあるジャズ・ロックとして聴けばかなり完成度高いです。

    • AIRAC1682

      紙ジャケット仕様、Blu-spec CD、2012年デジタル・リマスター、内袋・英文ブックレット付仕様、定価2940

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

      8cmシングルCD付き

  • SOFT MACHINE / TANGLEWOOD TALES

    63-70年のレア音源集、全23曲

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