2014年7月4日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記,世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
毎回ユーロロックの名盤をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。本日は、スペインはアンダルシア地方を代表するプログレ・グループTRIANAによる75年の傑作デビュー作『EL PATIO』をピックアップいたしましょう。
TRIANAは、アフリカ大陸と接するジブラルタル海峡があることで知られるスペイン北部アンダルシア州出身のプログレ・グループ。バンド名は彼らの出身地セビーリャにある町の名前から取られています。
このバンドについて注目すべきなのが、キーボード奏者兼ヴォーカリスト、ドラマー、そして専任のフラメンコ・ギタリストという変則的なトリオ編成。そのフラメンコとロック(プログレ)の融合というスタイルに特化した編成から期待される、まさにその通りのサウンドを聴かせてくれるのが彼らの魅力であると言えます。
その音楽性は、哀愁漂うフラメンコ・ギターの調べにシンフォニックな広がりを持たせるキーボード、そして切々とエモーショナルに歌われるスペイン語ヴォーカルが胸に迫る、これぞまさにスパニッシュ・プログレ!と言いたい熱情ほとばしるもの。
このTRIANAの登場により、スペインのポピュラー音楽シーンは一つの転換を迎えたとまで言われており、彼らのサウンドを踏襲した「ロック・アンダルシア(Rock andaluz)」という潮流が生まれたことでも名高いバンドなのです。
イスラム文化からの影響を内包するスペインの伝統的なサウンドと新たに興ったポピュラー音楽との融合、いかにこのフラメンコ・ロックというサウンドが当時革新的だったのかがわかりますよね。
それでは彼らの記念すべき75年1st『EL PATIO』より、オープニングを飾る必殺のナンバーをお聴きください♪
1.Abre la Puerta
ジャカジャカジャカ~というフラメンコ特有の指さばきが冒頭から炸裂!この時点ですでに遠くアンダルシアの情景が目に浮かぶようですよね。そこに情熱的に歌い込むヴォーカルが登場すると、哀愁いっぱいのフラメンコ・ロック・アンサンブルが動き出します。ピアノとシンセが加わり一気にシンフォニックに盛り上がるサビの素晴らしさと来たら!ずばりスパニッシュ・プログレ史上最高の一曲!
2.Sé de un Lugar
前曲の熱を受け継ぐ異国情緒溢れるバラードナンバー。哀愁が零れ落ちるかのようなスパニッシュギターの調べにヴォーカルJesusの熱唱が映えますね~。これも名曲!
バンドはこの後、77年に2nd『HIJOS DEL AGOBIO』、79年に3rd『SOMBRA Y LUZ』をリリースしますが、83年にkey奏者/ヴォーカルのJesus De La Rosaの事故死により解散してしまいます。当時のオリジナルリリース作品はわずか3枚ながら、そのサウンドが後続に与えた影響の大きさは計り知れない、まさに伝説のバンドだったわけですね~。
スパニッシュ・ロックを代表するグループである彼らが75年にリリースした記念すべき1stアルバム。哀愁のフラメンコ・ギターに導かれるキーボード&ピアノのドラマティックな響きと、それに続く熱情的なヴォーカル。めくるめくダイナミックなバンド・アンサンブル。とにかくこれでもかと聴き手の感情を揺さぶる展開はただただ圧倒的。スパニッシュ・シンフォ屈指の傑作。
傑作1stに続き、77年にリリースされた2nd。バックで鳴り続ける分厚いストリング・シンセ、叙情性溢れるキーボード&ギター・ソロ、哀愁溢れるメロディー、熱情的なヴォーカルなど、スペインらしい「泣き」のツボがこれでもかとつまったスパニッシュ・シンフォの傑作。
79年作の3rdアルバム。重厚なキーボードが印象的だった1st&2ndに比べ、フラメンコ・ギターとタイトかつアグレッシヴなドラムをフューチャーした力強いシンフォニック・ロックが印象的。情熱的なメロディーは相変わらずで、ダイナミックな構成とともに一気に聴かせます。
スペイン南部はアンダルシア地方屈指の都市セビリア出身のトリオで、フラメンコとプログレを融合したサウンドが多数のフォロワーを生み、「ロック・アンダルシア」というムーヴメントを生み出したスペインを代表するグループ。80年作の4thアルバム。フラメンコ・ギター、ピアノ、ヴォーカルのすべてからこれでもかと溢れだすエキゾチズムと哀愁。そこにエレキ・ギターがハード・エッジかつ性急なフレージングでプログレッシヴ・ロックとしてのダイナミズムを生み、柔らかに広がるシンセがしっとりとシンフォニックな叙情を添えるアンサンブルが特徴です。初期作品に比べると知名度は劣りますが、フラメンコが日常に流れるスペイン南部出身だからこその円熟味溢れるサウンドは絶品と言えるでしょう。稀有な空気をつめこんだ名作です。
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