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MEET THE SONGS 110回 スティーヴ・ヒレッジ『FISH RISING』

今日の「MEET THE SONGS」は、スティーヴ・ヒレッジの75年作1stソロ『FISH RISING』をピックアップいたしましょう。

スティーヴ・ヒレッジと言えば、プログレ・ファンにとっては、デイヴ・スチュワートも参加したKHANとフランスのGONGでの活躍がお馴染みですよね。

ヒレッジのKHAN結成までの活動については、KHANの特集記事で詳しく書いてありますので、あわせてご参照ください。


MEET THE SONGS 108回 KHAN『SPACE SHANTY』

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カンタベリーの名盤として愛される、KHANの72年唯一作『SPACE SHANTY』をピックアップ!サウンドを一言で表すなら、「サイケデリック・ロック」と「カンタベリー・ミュージック」とを柔らかなグラデーションでつなぐ橋渡し。

KHANの後の活動をざっと見てまいりましょう。

KHANは、メンバーとの音楽性の違いにより72年10月に解散してしまいます。その後は、ケヴィン・エアーズのサポート・ギタリストとなり、73年リリースの名作『バナナムーア』の録音に参加します。

名曲「Shouting In A Bucket Blues」のリード・ギターはヒレッジ!

試聴 Click!

ケヴィン・エアーズのサポートとしてフランスをツアーした際にライヴを見てファンになったバンドがGONG。そのままフランスにとどまってGONGのセッションに参加し、見事メンバーとなります。GONGを代表する「ラジオ・ノーム」三部作に参加したことで、一躍トップ・ギタリストとして評価されました。

なお、GONG在籍中の73年11月にはマイク・オールドフィールドをサポートし、BBCに出演。名曲「TUBULAR BELLS」では、ヒレッジの他、マイク・ラトリッジやフレッド・フリスなども参加しています。

「ラジオ・ノーム」最終作『ユー』をリリース後、リーダーのデヴィッド・アレンがテクニカルになったバンドとの方向性の違いで脱退。GONGでの活動が停滞する中、ソロ活動をスタートすることとなり、まだGONG在籍時にGONGのメンバーや旧知のデイヴ・スチュワートらが参加してレコーディングされた1stソロが『FISH RISING』です。

アルバムの幕を開けるのが、まだKHAN在籍時に2nd用に作曲をはじめた楽曲で、彼の代名詞とも言える名曲「Solar Musick Suite」。サウンドを一言で言うならば、ずばりKHAN meets GONG!

まずは、メインテーマとして楽曲の中で印象的に繰り返し使われるメロディアスなパートからスタートします。ゆったりとメロウに奏でられる浮遊感あるアルペジオ、くるくるとスペーシーに回転して柔らかにたゆたうドリーミーなシンセ。そして、ちょっぴり鼻にかかったハートウォームな歌声と淡くポップなメロディ。抑制されたトーンのタメの効いた歌心あるオブリガードも絶品で、KHAN『Space Shanty』の2曲目「Stranded」などとも共通する叙情美に溢れています。

3分20秒あたりで、ガツーンとディストーション・ギターが入り、サックスも入って一気にヘヴィに展開。そこから、ヒレッジらしい、ナチュラルなトーンで流れるように上昇・下降するフレーズを織り交ぜた後、ザクザクと荒狂うギター・リフとともにサックスが吹き荒れ、シンセがスペーシーに飛び回って、ドラムが前のめりで手数多く畳みかけ、カッコ良いこと限りなし。これはもうGONGそのままの世界。

5分過ぎに一転して冒頭のメインテーマへと切り替わる展開も鮮やか。6分過ぎからは、デイヴ・スチュワートによる淡いファズ・オルガンが入ってきて、ナチュラルなトーンの2本のギターがからみながらたゆたい、ドリーミー&スペーシーなアンサンブルは絶品の味わい。こちらは、KHANの世界。

ヒレッジのキレのあるブルース・ギターが炸裂するパートをはさんで、9分半あたりで、ベースがイタリアのアレアばりにアラビックなリフを弾き出し、一気に不穏な雰囲気に。ミニマルなエレピ、その裏でスペーシーに回転するシンセが描く静謐なサウンドを打ち破り、ファズ・オルガンがけたたましく鳴らされます。GONGを彷彿させる変拍子の荒々しくキレ味抜群のリフも炸裂して、ヴァイオリンも入ってきて、加速度的に熱を増していく展開にはただただ手に汗を握るばかり。これでもかと上りつめた12分45秒あたりでは、マハヴィシュヌ・オーケストラもびっくりなスリリングなキメが炸裂して最高潮に。カンタベリー史上最高と言っても過言ではない緊張感には悶絶必至です。

ラストへ向けて、再び場面が切り替わってメインテーマへ。ドリーミーにたなびくオルガンと、グレイトフル・デッドを彷彿させる、さえずるようにリリカルなリード・ギターが柔らかに幻想風景を描き、いつまでもひたっていた心地良さとともに余韻を残しながら終曲を迎えます。

「至福」という言葉がぴったりの16分55秒。

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KHAN、GONGで活躍しつつ、ケヴィン・エアーズやマイク・オールドフィールドなど才人もサポートした彼の経験がすべてつまった代表曲であり、カンタベリーを広く見渡しても屈指と言える名曲と言えるでしょう。

素っ頓狂でレコメン度高い「Fish」も痛快だし、ディレイ音がこだまするスペーシーな「Meditation Of The Snake」もいいし、ツェッペリン的ハード・ロックからP.F.M.ばりの祝祭アンサンブルに展開してサーフ・ロック的心地良さに収束する「Salmon Song」も偉大だし、GONGとジョージ・ハリソンを行ったり来たりするような「Aftaglid」も最高だし、本当、素晴らしい名曲ぞろい。

プログレやジャズ・ロックやサイケ/スペース・ロックなどのジャンルを超越した、ブリティッシュ・ロック史上に残る大傑作です。

STEVE HILLAGEの在庫

  • STEVE HILLAGE / FISH RISING

    GONGに在籍した名ギタリスト、盟友DAVE STEWART、PIERRE MOERLENら参加の75年1stソロ

    David Allenを中心に結成され、個性的な浮遊感を持ったサイケデリックなスペース・ロックを確立したプログレッシブ・ロックシーンを代表するバンドGONG。その全盛期を支え続けた名ギタリストによる75年デビュー作。Pierre Moerlin、Tim Blake、Didier Malherbe、Gili Smythといった当時のGONGメンバーが集結し、加えて名キーボーディストDave StewartやHENRY COWのLindsay Cooperといった豪華なサポートを受けて製作された本作は、GONGはもちろん、後の彼の音楽性に通じる浮遊感を持ったサイケデリック・ロック色を強く見せており、STEVE HILLAGE主導のGONGという見方も出来る快作です。

  • STEVE HILLAGE / L

    トッド・ラングレンのプロデュースによる76年2nd、本領発揮のコスミック・ロック名盤!ハマりすぎな「イッツ・オール・トゥ・マッチ」のカバーも聴き所

    David Allenを中心に結成され、個性的な浮遊感を持ったサイケデリックなスペース・ロックを確立したプログレッシブ・ロックシーンを代表するバンドGONG。その全盛期を支え続けた名ギタリストによる76年2nd。Todd Rundgrenのプロデュースで製作されバックにはDon CherryやUtopiaメンバーが参加した本作は、Donovanの名曲「The Hurdy Gurdy Man」で幕を開けGeorge Harrisonの「It’s All Too Much」で幕を閉じる非常にポップな印象のアルバムとなっています。しかしながら音楽的には独特のサイケデリックな音像を持ちオリエンタル・エスノ・フレーバーも感じさせながら彼らしいサウンドを提示。

  • STEVE HILLAGE / MOTIVATION RADIO

    77年作、3rdアルバム、持ち前のサイケデリック&スペイシーなギターワークが冴える好盤

    77年作3rd。

  • STEVE HILLAGE / GREEN

    ニック・メイスンによるプロデュース、80年代以降の活動へとつながるテクノ/アンビエント要素が萌芽した78年4thソロ

    78年作の4thソロ。80年代以降への活動へとつながる、テクノ、アンビエント的な要素が強まった作品。ただ、プロデューサーがニック・メイスンというのが関係しているかは分かりませんが、フロイドと同じく、無機質的なフレーズを奏でてもどこか牧歌的な英国臭さが漂うサウンドには非常に好感が持てます。「FISH RISING」などに比べて評価のあまり思わしくない作品ですが、クオリティは文句無しの名作。

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