ザ・ムーヴ『ザ・ムーヴ』- MEET THE SONGS 第78回

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今日の「MEET THE SONGS」は、ザ・ムーヴの68年デビュー作『ザ・ムーヴ』をピックアップいたしましょう。

ロンドンとリヴァプールの中間に位置する工業都市バーミンガムで66年に結成。後期にはジェフ・リンが加入し、ELOへと発展するグループとしてもお馴染みですね。

中心メンバーは、60年代の英ロック・シーン屈指のメロディ・メイカーと言えるロイ・ウッド！

バーミンガムの人気バンドのギタリストとして腕を磨いた後、ザ・フーの活躍に刺激され、自分のバンドを作ることを決意。バーミンガムの他の人気グループの腕利きを誘って結成したのがザ・ムーヴです。

すぐに地元でトップ・バンドに上りつめ、同郷の人気バンド、ムーディー・ブルースを手がけていたマネージャー、トニー・セカンダと契約。ロンドンにも進出し、マーキークラブに出演するなど活躍。結成から1年も経っていない66年12月にデラムレーベルより「Night Of Fear」でデビューします。

フランスのTV出演時の映像がこちら！

Night Of Fear

まぶしいぐらいにキャッチーなメロディ、ホリーズと双璧と言えるような卓越したコーラス・ワーク、エッジの効いたドライヴ感いっぱいのアンサンブル。

わずか2分の間にビート・ポップのワクワクが凝縮されていますね！

デビュー曲にして全英2位の大ヒット！

波に乗ってリリースされた2ndシングルも、相変わらずのキャッチーなメロディ炸裂で全英5位！

I Can Hear The Grass Grow

リードVoのカール・ウェインを中心に、ロイ・ウッドとベースのエース・ケフォードも代わる代わるリード・ヴォーカルを取ってカッコ良い！

ザ・フーの破壊力とホリーズのキャッチーさを併せ持った名曲ですね！

ここでデラムからリーガル・ゾノフォンにレーベルを移籍。1st＆2ndシングルは、残念ながらレーベル移籍に伴いデビューアルバム『ザ・ムーヴ』には収録されていませんが、2000年代リリースのボーナス・トラック付きのリマスター盤にはボーナス・トラックとして収録されておりますので、要チェック。

さぁ、ここからは68年3月にリリースされた『ザ・ムーヴ』収録曲を聴いてまいりましょう。

まずは、3rdシングルとしてリリースされ2位の大ヒットとなったグループの代表曲であり英サイケ・ポップ屈指の名曲「Flowers In The Rain」！

Flowers In The Rain

木管楽器のウッドウィンドやストリングスなど管弦楽器が彩るアンサンブルは、一気にサイケデリックなカラフル感が増していますね！

アレンジは、トニー・ヴィスコンティ！

B面曲「Lemon Tree」もまたキャッチーな名曲！それにしても、次から次へと魅力的なメロディが飛び出てきて、凄いぞロイ・ウッド！

トニー・ヴィスコンティによる、後半の艶やかなストリングス・アレンジも見事！

Lemon Tree

4thシングル「Fire Brigade」もマジカルキャッチーで、全英3位！

前のめりに突っ走るキャッチーなサビ、それと対照的な叙情みなぎるCメロがグッと胸に突き刺さります。

『リヴォルヴァー』制作時のジョンとポールやジョージにも比肩しちゃうぐらいにメロディ・メイカーとして尖ってますね！

Fire Brigade

最後に紹介するのは、アルバムの最終曲で、5thシングルとして制作されながら、プロモーションに伴うマネージャーとバンドのゴタゴタによりシングル・カットされなかった「Cherry Blossom Clinic」

狂った男とその幻覚をテーマにした楽曲で、トニー・ヴィスコンティによる狂気みなぎる管弦楽アレンジが凄まじくって、ビートルズの「A Day In The Life」ばりにプログレッシヴ！

Cherry Blossom Clinic

いかがでしたか？

ロイ・ウッドは実力に比して知名度はそれほどでもありませんが、ソングライティングのセンスは英国ロック屈指。

英国で9曲ものシングルをトップ20ヒットさせながら、全米ではなぜか売れませんでした。もう一年デビューが早く、ブリティッシュ・インヴェイジョンの波に乗っていればもっともっと評価されていたことでしょう。

ちなみにカラフルなジャケットのデザインは、アップルのファッション部門アップル・ブティックでお馴染みのデザイン集団のザ・フール！

ザ・フールは他にもカラフルで印象的なジャケをデザインしていますね！