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【ユーロロック周遊日記】ALL OUT BAND / MAGIC (ハンガリー/2020)

カケレコ・ユーザーの皆さん、こんにちは!

本日ご紹介するのは、ハンガリーを代表するプログレ・バンド、SOLARISとも間接的に関わる新鋭のデビュー・アルバム。

というのも、SOLARISの元ベーシストTamas Pocsによるプロジェクト、TOMPOXでキーボーディストを務める人物によるグループなんです。

女性ヴォーカリストや管楽器奏者を擁する編成で、ダイナミックなサウンドを聴かせています。

●TOMPOX

1984年にリリースされたSOLARISのデビュー・アルバム『火星年代記』は、ハンガリーのプログレッシヴ・ロックを象徴する傑作として広く知られています。

その屋台骨を支えていたリズム・セクションのひとりが、ベーシストTamas Pocs。

彼はSOLARISを脱退していますが、SOLARIS FUSIONや‎NOSTRADAMUSといったSOLARIS関連プロジェクトを経て自らのグループ、TOMPOXを結成し、2012年にデビュー・アルバム『Hungarian Eclectic』を発表。

ハンガリーのプログレッシヴ・ロック・シーンの重鎮のひとりとして存在感を放っています。

●ALL OUT BANDと 2020年作『MAGIC』

上記のように、TOMPOXでキーボーディストを務めるEndre Ballaを中心に結成されたのがALL OUT BANDです。

メンバーはEndre Ballaに加えて、ギタリスト、ベーシスト、ドラマー、女性ヴォーカリスト兼フルート奏者、サックス奏者、トランペット奏者の7人編成。

メンバーの中には、Endre Ballaと共にTOMPOXに参加しているミュージシャンも含まれています。

デビュー・アルバムとなった2020年作『MAGIC』は、24曲ものトラックが収録された野心的なアルバムであり、TOMPOXはもちろんのこと、本家SOLARISに迫る素晴らしい内容となっています。

ALL OUT BANDはオフィシャル・チャンネルにて数曲のMVをアップしているので、そちらを視聴していきましょう。

●2020年作『MAGIC』試聴

まずはアルバムの実質的なオープニング・トラックである、2曲目の「Extraordinary Creatures」を聴いてみましょう。

試聴 Click!

YESの「Owner Of A Lonely Heart」を思い起こさせるオーケストラ・ヒットに驚かされますが、デジタル・シンセサイザーらしさを隠さない音色選択は東欧プログレの個性のひとつです。

ドラム・ベース・ギターらバンド・セクションはダイナミックにハード・ロック然としたサウンドを奏でており、フルート、サックス、トランペットが伸びやかなプレイを披露。

さらに、女性フルート奏者Sara Dizna Kovacsがヴォーカルまでこなしています。

アルバム冒頭に配置されたこの楽曲は、ALL OUT BANDのポテンシャルの高さを端的に示したナンバーと言えるでしょう。

では次に、12曲目に収められた「The Herbalist 」を聴いてみましょう。

試聴 Click!

Sara Dizna Kovacsがヴォーカルは、ブリティッシュ・プログレではMAGENTAのChristina Boothのようなタイプでしょうか。

この楽曲も2曲目の「Extraordinary Creatures」と同様に、パワフルでヌケの良いサウンド。

サックス、トランペットによる雄々しいフレーズ、シンセサイザーのリード音色、ハードなバンド・アンサンブルが絶妙に混じり合っています。

では次に、 22曲目に収められた「World of Beyond」を聴いてみましょう。

試聴 Click!

イントロのきらびやかなシンセサイザー・サウンドが印象的な楽曲。

しゃくりあげるようなブラス・アンサンブルと、そこにユニゾンのように絡まるエレキ・ギターがカッコいいですね。

ブラス・ロックとしてもハイ・レベルな楽曲です。

いかがでしたか?

ALL OUT BANDのサウンドは、TOMPLOXやSOLARISはもちろん、AFTER CRYINGやFUGATO ORCHEASTRA、RUMBLIN’ ORCHESTRAといったオーケストラ系シンフォニック・ロック・グループを引き合いに出すこともできるハンガリーらしいものです。

非常にクオリティーの高いアルバムであり、すべてのプログレッシヴ・ロック・リスナーにオススメできる1枚となっています!



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  • ALL OUT BAND / MAGIC

    ハンガリー、同国の代表的ロック・バンドEDDA MUVEKの名ギタリストAlapi Istvanらが参加するプログレ/ジャズ・ロック・グループ、20年1st

    1984年作『火星年代記』がハンガリーを象徴するプログレッシヴ・ロック・アルバムとして語り継がれている同国代表格グループ、SOLARIS。そのSOLARISでベースを担当していたミュージシャンTamas Pocsは、現在はSOLARISを離れ自らのグループであるTOMPOXを率いて活動しています。本作は、TOMPOXでキーボーディストを務めるEndre Ballaによるプログレッシヴ・ロック・バンドの2020年デビュー・アルバム。ALL OUT BANDのメンバーはEndre Ballaに加えて、ギタリスト、ベーシスト、ドラマー、女性ヴォーカリスト兼フルート奏者、サックス奏者、トランペット奏者の7人編成であり、メンバーの中にはTOMPOXに参加しているミュージシャンも含まれています。2020年にリリースされた『MAGIC』は、24もの楽曲が詰め込まれた意欲作であり、その内容は、ハード・ロックにブラス・ジャズ・ロックを融合させ、シンセサイザーのきらびやかな音色で装飾を施したプログレッシヴ・ロック。硬質なリズム・セクションとパワフルなエレキギターによるハードなアンサンブル、絡み合う金管楽器の咆哮、TOMPOXにも参加している女性ヴォーカリストSara Dizna Kovacsの伸びやかな歌唱、そしてEndre Ballaの各種シンセサイザーによって生み出されるプログレッシヴ・ロックは、とても東欧らしい響きを持っています。TOMPOXや本家SOLARISにも引けを取らない作品であり、全てのプログレ・ファンにオススメできる会心作です!

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