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【ユーロ・レーベル探求 第八回】 MAGMA/GROGレーベル~楽しいNEW TROLLS一家と愉快な仲間達

【第八回】「楽しいNEW TROLLS一家と愉快な仲間達」

寄稿:ike333さん

先日、30才前後の同僚などと音楽の話をしていたら、先方から突然KING CRIMSONなどの名前がでてきたので、「よく知っているね」と感心してしまいました。そしてつい、イタリアのポップスとかロックもイイよとか、どこでそんな音楽聴けるんですかとか話が進んで、ジリオラ・チンクエッティ、マティア・バザール、NEW TROLLSなどは自動車やダイヤモンドのCMソングに使われたんだ・・・・この辺りで話題に無理が有ったようでした。

ところで私のNEW TROLLSとの最初の出会いはNEW TROLLSのVittorioのDe Scalzi家が所有するSTUDIO Gのもとで設立されていたMAGMAレーベルから出ていたレコードで、このレーベルとGROGレーベルには、私も少しばかり中高時代にお世話になりました。ということで、ムーミン・トロールならぬ「楽しいNEW TROLLS一家と愉快な仲間達」について簡単に書いてみたいと思います。

NEW TROLLS

まず、このグループを表現するならば、ずばり歌心だと思っています。あるときはジャズ的味付けがあり、また、ある時はヘビーなロックになっていますが、基本は変わらないと思います。ですから、このバンドの持ち味は、F. De Andreバックアップによるデビュー盤『SENZA ORARIO SENZA BANDIERA』(1968)やヒットシングル集の様な2作目の『NEW TROLLS』(1970)からあたりからずっと不変ですよね。目眩く展開をするプログレの傑作『UT』(1972)でも歌心溢れるラストの曲『CHI MI PUO CAPIRE』が大好きです。



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で、このバンドに対して最初に興味を持ったのは、もちろん超有名作、Luis Bacalovのオーケストラアレンジの素晴らしい『CONCERTO GROSSO』(1971)の誉れを知ったからで、中高時代、輸入盤屋に駆けつけて最初に入手したアルバムがMAGMAレーベルから発売されていた、シンセサイザーとオーケストラのコンビネーションが素晴らしい『CONCERTO GROSSO N.2』(1976)でした。


他に、MAGMAレーベルからのアルバムとしては、『UT』以降V. De Scalziと他のメンバーが分裂していた時期の禿げ山の一夜を取り上げたかなりプログレ寄り名作『N.T. ATOMIC SYSTEM』(1973)や演奏主体のジャズロック寄り、でも突然CONCERTO GROSSOのフレーズが飛び出すアルバム『TEMPI DISPARI』(1974)や『LIVE』(1976)があります。



その後、WARNERに移籍して歌ものに戻り、華やかな『ALDEBARAN』(1978)、楽曲がよくQUEENの様にコーラスの素晴らしい『NEW TROLLS』(1979)、ドラマチックな名作『FS』(1981)、表題曲以外OKな『AMERICA OK』(1983)、安定感ある歌もの『AMICI』(1988)、セルフカバー集的な『QUELLI COME NOI』(1992)、伊語歌の感動的名曲満載の『IL SALE DEI NEW TROLLS』(1996)など、ずっと、この歌心路線は変わっていません。

なお、21世紀になり、また『CONCERTO GROSSO 3』(2007)を発表してくれたので、別の意味で懐かしさがこみ上げました。

ALPHATAURUS

MAGMAレーベル第一弾『ALPHATAURUS』(1973)は、ボーカル、キーボード、ギター、ベース、ドラムスの5人組のバンドで、迫力あるイタリア語ボーカルとアコギ、ヘビーなキーボードとギター、バタバタドラム、ピアノが活躍といった、ユーライアヒープ張りのハードロックとイタリアン・プログレ風サウンドが見事に融合した作品で、CD化のおかげで聴くことができましたが、大好きなアルバムです。

PHOLAS DACTYLUS

MAGMAレーベル第二弾の『CONCERTO DELLE MENTI』(1973)は、イルバレ、ムゼオという訳にはいきませんが、ギター、オルガン、ピアノ、バタバタドラムスにより、時にアバンギャルド、時にヘビープログレ的演奏をバックに語り続けるという変則的作品です。ちょいと地味な感じがします。

LATTE E MIELE

中高校時代であった70年代後半にこのバンドのPOLYDOR盤を探そうとしたってもう見つかりませんでした。ようやく入手できたレコードが3作目『AQUILLE E SCOIATTOLI』(1976)でした。MAGMAレーベルからのリリースです。で、A3の『MENESTRELLO』のもの悲しくも美しいメロに大感動、さらにB面の『PAVANA』はツインキーボードを活かしたダイナミックかつ心地よい大作で、これらのおかげでこのアルバムは当時からの愛聴盤です。

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次ぎにFONIT CETRAがディストリビューションをしていたGROGレーベルのアルバム達ですが、このレーベルも、MAGMAと同様にAldo,Vittorio de Scalzi兄弟により設立されました。

MANDILLO

記念すべきGROG第一弾『MANDILLO』(1976)はフーテンの万次郎です。中古をジャケ買い、右上のとぼけたウサギの後ろ姿が気に入って万次郎と名付けました。で、内容は、ビートルズの様なポップでほのぼの系の歌ものです。元GARYBALDIのM.Cassinelli (Ds)がメンバーに居り、A.De Scalzi(key)、V.De Scalzi (g)がゲスト参加しているなど錚々たるミュージシャンが居るのに・・・ということで一般に評価はイマイチですが、B2の『IL COMMERCIANTE DI LIMA』などはフルートが美しくてドラマチック。私は、結構好きです。

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CELESTE

GROGレーベル第二弾『CELESTE』(1976)。中学生の時に『LA GRANDE ISORA』がNHK FMで放送されたのを聴き、牧歌的であるものの、アコギとイタリア語の歌、さらにフルート、怒濤のメロトロンと展開する美しさがあまりにすばらしく、その後ずっと探していたのですが、全く伊盤レコードを見つけられませんでした。レコードは後に日本盤が発売されていますので、それまではお預け。放送をカセットテープに録音した1曲だけという状態、この飢餓状態はたまらないものでした。

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ということで、私にとって、最もイタリア的な音楽の一つでありイタリアンロック最重要アルバムの一つとなっており、CDも、VINYL MAGIC盤、日本盤、紙ジャケ、ボックスと、何度も買い直してしまいました。

PICCHIO DAL POZZO

GROG第三弾『PICCHIO DAL POZZO』(1976)。NTのVittorioの実弟Aldoのグループで、骨折系ハット&フィールドとも言われています。さわやかな伊語の歌部分とアバンギャルドな部分が交互に出てくる傑作ジャズロックで、CELESTEのメンバーもゲスト参加しています。CELESTE同様、何度もCDを買ってしまっているアルバムです。

CORTE DEI MIRACOLI

GROG第4弾『CORTE DEI MIRACOLI』(1976)。NTのVittorioが冒頭曲にギターでゲスト参加しています。ダブルキーボードで適度にスリリングな展開を楽しめるアルバムです。私にとってリアルタイムに入手できた伊盤GROG唯一のアルバムでして愛聴盤でした。ドラムスのバタバッタ感が気になるものの、イタリア語の歌が伸びやかで瑞々しく、とても素敵なアルバムです。

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MAGMA/GROGレーベル

イタリアの名バンドNEW TROLLSが率いたプログレ系レーベル、MAGMA/GROGレーベル!

NEW TROLLS

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言わずと知れた伊屈指の名バンド、73年作。ギタリスト兼リーダーのVittorio主導で制作された本作はプログレ然とした構築性とクラシカルな重厚さが全編を包み込む傑作。各種キーボードを存分に使用しためくるめく音世界は、彼らのプログレ・バンドとしての力量の高さを雄弁に物語ります。

NEW TROLLS

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71年作の続編にあたる76年作。泣きのオーケストラをバックにした哀愁のバラードは相変わらずの素晴らしさですが、『N.1』での荘厳さ、緊張感は幾分和らいでおり、特に後半は思わず口ずさんでしまうようなポップな佳曲が目白押しの一枚。彼らの音楽性の幅広さが覗える作品でもあります。

NEW TROLLS

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74年作より。持ち前の圧倒的なテクニックを駆使し、本格派ジャズ・ロック・アンサンブルを展開する異色作。クールな序盤が徐々にエネルギッシュな熱気に溢れる演奏へと発展する所が何とも彼ららしいです。

ALPHATAURUS

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オルガン、ヴィヴラフォン、チェンバロ等多彩なキーボード群をフィーチャーしてアグレッシヴに展開する73年作。ヘヴィーかつスリリングなアンサンブルの中にも独特の荘厳さや幻想性が感じとれるハイレベルな逸品です。

PHOLAS DACTYLUS

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73年作。ジャジーで軽やかな演奏からヘヴィーに叩きつけるような演奏まで変幻自在なアンサンブルを聴かせる演奏陣と、カンタゥトーレ調のヴォーカルが交錯する、どこか不穏さが漂うヘヴィー・シンフォを展開。

LATTE E MIELE

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ジェノヴァ出身の伊ロック・バンドによる76年3rdより。クラシカルな美しさを湛えた切ないメロディと、エネルギッシュなギター&キーボードが飛翔する中盤の展開が素晴らしい彼らを代表する名曲の一つです。

MANDILLO

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GROG第一弾バンドによる76年作。ビートルズかスタックリッジかというパストラルな歌物中心の作品で、同時期の他の作品のような重厚さ・荘厳さとは無縁の、もう一つのイタリアン・ロックの顔を垣間見れる一枚となっています。

CELESTE

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荘厳なメロトロンを堪能できる作品として名高い76年作。アコギを基調としたたおやかな曲調をベースとしながらも、その上を覆うメロトロン、シンセ、フルートなどによる壮大な幻想美に圧倒されずにはいられない伊プログレ屈指の名盤。

PICCHIO DAL POZZO

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NTのリーダーVITTORIOの弟ALDOが率いるプログレ・バンド76年1st。アヴァンギャルドな展開を含みながらも、カンタベリー直系のジャジーなアンサンブルと煌めくような美しい音使いが随所に散りばめられた傑作です。

CORTE DEI MIRACOLI

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76年作より。濃厚なロマンを湛えた歌パートや叙情的に広がるキーボード・サウンド、バタバタと性急に畳み掛けるアンサンブルなど、イタリアン・ロックらしさがこれでもかと詰まった、伊ロック好きにはマストな一枚。

関連カテゴリー

MAGMA/GROGレーベル在庫一覧

  • CELESTE / CELESTE

    76年発表、イタリアン・ロック随一のメロトロン名盤にして素朴な歌心にも溢れる珠玉のイタリアン・シンフォ

    単発ながら素晴らしい作品を残したイタリアのプログレッシブ・ロックグループの76年唯一作。ゲスト・プレイヤーにPICCHIO DAL POZZO のAldo De Scalziを迎えて製作され、メロトロンの名盤としても知られるその内容は、ファンタジックなフォーク・ロック風の牧歌性が素晴らしい優美なサウンド。フルートやヴァイオリン、ギターが彩るフォーキーな音楽性を基本にメロトロンやアナログ・シンセサイザーが神秘的な広がりを加味しています。ほとんどリズム・セクションを廃した作風とシンセサイザー・サウンドの効果もあって、ジャーマン・ロックなどにも通じる浮世離れした浮遊感を持っていることが個性的ですが、やはり優美なメロディーには確かなイタリア叙情を感じます。

  • NEW TROLLS / CONCERTO GROSSO N.1

    71年発表、ロック×オーケストラの決定版、イタリアン・ロック必聴作!

    イタリアを代表するプログレッシブ・ロックバンドの71年の作品。Luis Enriquesz Bacalovのアレンジにより、彼らがオーケストラを従えてクラシックとロックの融合を成し遂げた不朽の名作である本作は、イタリアン・シンフォニック・ロックを代表する名盤であり、彼らの代表作の1枚。ストリングスによるバロック・アンサンブルとバンドサウンドが華麗に重なり合い、表情を変えながらクラシカルに、ハードに盛り上げます。バンド、またオーケストラ共に叙情的な旋律の応酬であり、非常にイタリア然とした凛々しさに溢れています。LP。

  • NEW TROLLS / UT

    72年作、ハード・ロックに根ざしたアグレッションとイタリアならではの叙情美が調和する名盤!

    イタリアを代表するプログレッシブ・ロックバンドの72年の作品。Nico Di Paloのハードな音楽性の色濃い作品となっており、純ハードロック然とした楽曲から哀愁のバラード、キーボーディストMaurizio Salviが大活躍のシンフォニック・ロックまでを放り込んだイタリアン・ロックを代表する1枚。もともと雑多な音楽性を持ちながら咀嚼能力に優れたNEW TROLLSらしい作品となっています。本作を発表後にバンドは分裂、Nico De Paloは新バンドIBISを結成、一方Vittrio De ScaltiはN.T. ATOMIC SYSTEM名義でクラシカルな音楽性を追求した名盤「ATOMIC SYSTEM」をリリースします。

  • ALPHATAURUS / ALPHATAURUS

    イタリアン・ヘヴィ・シンフォ、73年発表の唯一作、多彩なキーボードが躍動する変幻自在の曲展開が魅力

    イタリア出身、73年発表の唯一のアルバム。オルガン、ヴィヴラフォン、チェンバロ等多彩なキーボード群をフィーチャーしたアグレッシヴなプログレッシヴ・ロック。各パートがせめぎ合うスリリングなアンサンブルによる変幻自在の曲展開が持ち味。幻想的なチェンバロのリフレインに、神秘的なムーグ・シンセサイザー、歪んだギター、ドタバタと手数が多くパワフルなドラムが加わり、鮮やかさを増していく夜明けのような導入部から、優美な電子ピアノ・ソロを挟んで、男声コーラスに包まれた情熱的なヴォーカルがムーグ・シンセサイザーと共に飛翔するドラマティックなクライマックスへとダイナミックに楽曲が表情を変化。若々しい勢いと迫力が伝わるイタリアらしさ満載の一枚です。

  • CORTE DEI MIRACOLI / CORTE DEI MIRACOLI

    キーボードを主体とする叙情的なイタリアン・シンフォ好盤、76年作

    イタリアのプログレッシブ・ロックグループの76年作。その内容はツイン・キーボードの編成で作り上げるキーボードベースのシンフォニック・ロックとなっており、クラシカルなサウンドからジャジーなソロまでを演出するピアノやオルガン、アナログ・シンセサイザーが彩る作風となっています。キーボードがリードするスリリングなサウンドでは、手数の多いドラムに支えられたロックのダイナミズムをふんだんに感じさせるも、ボーカルが挿入されるとストリングス・キーボードの広がりと共にイタリアン・ロックのメロディアスな叙情が溢れ出てくる素晴らしいサウンドを聴かせており、重くなりすぎない軽やかなアンサンブルが個性的な1枚です。

  • NEW TROLLS / TEMPI DISPARI

    唯一のジャズ・ロック期NEW TROLLS、74年リリース

    イタリアを代表するプログレッシブロックバンドの74年の作品、ライブ盤。「ATOMIC SYSTEM」を作り上げたN.T. ATOMIC SYSTEMのメンバーによる演奏が収録されているのですが、ここで聴けるのは大曲2曲のジャズロック。NEW TROLLSとジャズロックというのは意外な組み合わせであり、事実このアルバムが彼らの作品群の中で特異な位置にあるのは昔から語られてきたことですが、本作はNEW TROLLSのテクニカルな演奏が存分に堪能できる素晴らしい内容となっています。途中でConcerto Grossoのフレーズが飛び出すなど聴き所が多い作品となっており、やはり名盤「ATOMIC SYSTEM」を生み出したメンバー達の基礎体力は並大抵のものではないのだと認めざるを得ません。4分の7拍子、8分の13拍子という変拍子をそのまま楽曲タイトルに採用し、Soft MachineやNucleusにも劣らない超絶なサウンドで畳み掛けつつ、サックスが登場すればKing Crimsonのようなへヴィープログレにも表情を変える、白熱のライブ作となっています。

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