2022年2月2日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
他に類を見ないほどに個性的なミュージシャンがひしめくプログレ・シーンですが、サイケデリック・ロックからの流れを汲んだコズミックでトリッピーなギターワークを持ち味とする、一際個性的なギタリストと言ったらスティーヴ・ヒレッジですよね。
2018年10月にはアレン亡きゴングと共に来日し、その健在ぶりを見せつけてくれました。
今回は、そんなスティーヴ・ヒレッジがお好きに方には是非聴いてみて欲しい、コズミックなギターが活躍する新鋭プログレを各国で探索してまいりたいと思います!
まずはヒレッジの作品から聴いていただきましょう。今回のテーマをふまえてソロ名義から1枚選ぶならこれかな?
ニック・メイスンがプロデュースを担当した78年4thソロ。
実質的に2曲のみで構成されたそのサウンドは、SYSTEM 7~MIRROR SYSTEMへと繋がるトランシーな音響を下地にしたコズミックな反復音楽。
シンプルなジャケットどおり、トランシーながらクールな質感が印象的な名作です。
ヒレッジ好きの方、先日入荷したばかりのこのポーランド新鋭はいいですよー!
2枚組の大作となった21年作『VALLEY OF KINGS』も見事だったポーランドのエレクトロニックなプログレ新鋭HIPGNOSIS。その元キーボーディストが結成した新バンドがこちらです。
ギターが心地よく疾走するOZRIC TENTACLESやS.Hiilage彷彿の疾走感あるテクノ/ネオ・サイケ調と、ポーランドらしい美麗なアコースティック・サウンドが鮮烈に対比される音像が素晴らしい~!
GONGを受け継ぐサイケ・プログレの筆頭格がロシアのVESPERO。その中核を担うリズム隊が参加するユニットの20年作をピックアップ☆
スペインOCTOBER EQUUSのギタリストと、ロシアVESPEROのリズム隊が結成したバンド!
GONG&OZRICファンにおすすめしたい絶品スペース・ジャズ・ロックで、特にヒレッジのコズミック感覚とテリエ・リピダルのジャジーな浮遊感覚を合わせたようなギターがお見事~。
そのVESPEROのリズム隊の別ユニットもハイクオリティなコズミック・プログレなのです!
「テクノ色を減らしたOZRIC TENTACLES」というバンド自身の言葉通りのサウンドが繰り広げられる痛快作。
ひたすらアグレッシヴなリズム隊、エド・ウィンやヒレッジばりにスリリングに疾走するギター、そこにコズミックなSEがピョンピョン跳ねるサウンドは、オズテンやテクノ期ヒレッジとほぼ同等の心地よさでこれは素晴らしい!
プログレ・ファン注目の国エストニアにもナイスなグループがおりますよ♪
ノイ!などクラウト・ロックやゴングなどサイケ・ジャズ・ロックのDNAを継ぐ新鋭をなんとエストニアで発見っ!
浮遊感たっぷりのミニマルなフレーズで幾何学模様を描くエレピ、透明感やエスニックな香りを漂わすマリンバ、スコーンと突き抜けるドラム、そしてゴングでのスティーヴ・ヒレッジばりにエッジの立ったトーンでエキセントリックに炸裂するギター。
これほど「個性派」という言葉が似あうバンドはそうはいないはず!
ラストは、直接的ではないものの、聴いていて何となくヒレッジ・テイストを感じたこのイタリアのグループをご紹介。
THE WATCHで活動したギタリストValerio Vadoを中心とするシンフォニック・フォーク・プロジェクト。
Mike Oldfield影響下の幻想的なギターサウンド+Annie Haslamに似る慈愛の伊語女性vo。この世とは思えない幽玄の世界が広がります。
ディレイやリヴァーブを深くかけたギターサウンドを繊細に折り重ねるスタイルからは、スティーヴ・ヒレッジががプログレ・フォークをやったら…なんてフレーズも頭に浮かんできました。
いかがでしたか?
気になる作品が見つかりましたら幸いです☆
【関連記事】
ゴングが残した名盤『YOU』のサウンドにヒントを得たであろう、コズミックかつサイケデリックなプログレを探求してまいりましょう~☆
エストニアのジャズ・ロック/プログレ・バンド。2012年に配信されたデビュー作が、イタリアの注目レーベルALTROCKより2014年リリース。バンドは、Key奏者、サックス奏者、トロンボーン奏者、トランペット奏者を含む7人編成。浮遊感たっぷりのミニマルなフレーズで幾何学模様を描くエレピ、透明感やエスニックな香りを漂わすマリンバ、スコーンと突き抜けるようなドラム、ゴングでのスティーヴ・ヒレッジばりにエッジの立ったトーンでエキセントリックに炸裂するエレキ・ギター。ゴングからヒッピー/サイケデリック要素を抜いて、弾け飛ぶようにカラフルに、そして叙情に流れることなく、ノイ!やエルドンばりに無機的に疾走した感じ。非常に個性的なサウンドスケープを聴かせる好盤です。
イタリアの新鋭シンフォニック・フォーク・グループによる21年作。LETHE、THE WATCHで活動したギタリストValerio Vadoを中心とするプロジェクトで、オーストリアの詩人リルケの作品「オルフォイスへのソネット」を題材にしたコンセプト作です。ディレイやリヴァーブを深くかけたギターサウンドを繊細に折り重ねた夢想的かつ物悲しい音空間と、イタリア語による慈愛に満ちた女性ヴォーカルの調和が息をのむほど素晴らしいシンフォニック・フォークを奏でます。ギターはおそらくMike Oldfieldの影響下にありそうですが、Steve Hillageがプログレ・フォークをやったら…なんてフレーズも頭に浮かんできました。どこかAnnie Haslamの声質に似る女性ヴォーカルもスッと耳になじむ心地よさがあります。終始この世とは思えない幽玄の世界を描写するようなサウンドに圧倒される、ただならぬ一枚です。
ポーランドの新鋭シンフォ/スペース・ロック・バンドHIPGNOSISに2011年まで在籍していたキーボーディストにして物理学者でもあるPrzemyslaw Piekarzを中心とするバンド、21年デビュー作。OZRIC TENTACLESやSteve Hillageを彷彿させる疾走感あるテクノ/ネオ・サイケ調のサウンドと、ピアノやアコギやヴァイオリンらが紡ぐポーランドらしい美麗なアコースティック・アンサンブルが鮮烈に対比される音像が素晴らしいです。HIPGNOSISに通じるスペイシーなプログレのスタイルをよりスタイリッシュかつ繊細にアウトプットしたような逸品となっています。
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