6月28日はニワトリの日だそうです。「に(2)わ(8)とり」の語呂合わせから、日本養鶏協会などが1978(昭和53)年6月に制定したそうです。鶏卵・鶏肉の消費拡大が目的だそうですが、6月の意味は何なんでしょうか? 最初は2と8でニワトリ、然もありなんであるなぁ、と思っていましたが、そんな閏年でも毎月やってくる28日をわざわざ6月に設定した意図は何だったのか・・・考え始めるとやたらと気になります。日本鶏卵協会のホームページの協会概要を見て見ましたが、昭和53年のところは「養鶏危機対策委員会を設置し、1万羽以上飼養に対する羽数削減を県協会で 同意書を取り推進することを決定(3月)」ニワトリの日のホンワカ・ムードとは異質の表記になっております。養鶏危機対策委員会ですから。
この協会概要、その年のトピックを綴っているのですが、平成の前半までは協会としての責務は果たしてはいるが、それほど波風立つわけでもなかったようで、平成8年の欄なんかは「鶏卵消費全国イベントとして、大阪・川崎でタマゴ祭りを実施(11月)」そりゃ、どんなイベント?と思わずツッコミたくなる記載にニヤケてましたが平成13年を境に雰囲気が一変します。鳥インフルエンザ関連の取り組みがメインになってくるからです。結局、6月の起源は解らずじまいでしたが、鳥インフルエンザ、日本鶏卵協会にとってはとんでもない一大事だったのだなぁ、としみじみ考えてしまいました。だって、それまで年の概要1、2行で済んでいたのに、平成13年以降はどんどん長くなっていくんだもん。
というわけでコケコッコーですと、まずはこれ。Deep Purple 1988年発表ライヴ・アルバム『Nobody’s Perfect』収録「Hush ’88」。再結成Deep Purpleの2ndアルバム『House Of Blue Light』に合わせたツアーのライヴ・アルバムのラストにセルフ・カヴァーのスタジオ・リレコ・ヴァージョンで収録されています。オリジナルはヴォーカルにロッド・エヴァンス、ベースにニック・シンパーのDeep Purple MK.1。1968年のデビュー・アルバム『Shades Of Deep Purple』に収録。作曲はアメリカのシンガー・ソングライター、ジョー・サウスなんですが、ジョー・サウス自身のヴァージョンは1969年発表の3rdアルバム『Games People Play』に収録ですからDeep Purple版より後の発表となります。オリジナルPurple版では冒頭、狼の遠吠えで始まりますが「Hush ’88」ではニワトリの鳴き声に変更されています。Deep Purple MK.1の代表曲をイアン・ギランが歌い直したという点では話題性があったのですが、出来の方は若干微妙。いきなりのニワトリの鳴き声には意表を突かれるのですがね。
Chicken Shackはこれまで何回か登場しています。前にも書いていますが1971年発表の『Imagination Lady』はギタリスト、スタン・ウェッブがToe Fat、Carmen、Jethro Tullなどで活躍した骨太・歪み気味のトーンが魅力のベーシスト、ジョン・グラスコック、ダブル・バス・ドラムで手数の多い元Mindbendersのドラマー、ポール・ハンコックと組んだウェッブ版Creamとでもいうべきブリティッシュ・ハード・ロックの名盤ですので未聴の方は見つけたら是非聴いてみていただきたいと思います。
Chicken Shackは名前自体が「鶏小屋」ですので、すでにニワトリ繋がりではありますが今回はよりニワトリ度の高い3rdアルバム『100Ton Chicken』を挙げておきます。メンバーが道化師、騎士、猟師、魔法使いに扮し巨大鶏を倒すために探索している風のフロント・アートワークをひっくり返すと裏面は巨大鶏に逆にやられて全滅というストーリー仕立てになっております。1st『Forty Blue Fingers Freshly Packed And Ready To Service』、2nd『O.K.Ken?』ではホーンもドカドカ投入されたシカゴ系アーバン・ブルース・サウンドを真面目に追求しており、他の英国三大ブルース・バンド、Fleetwood Mac、Savoy Brownと比べるとかなり黒っぽく、かつ本格的だったわけですが、キーボードのクリスティン・パーフェクト(マクヴィー)が脱退し、後にUFOに加入するポール・レイモンドに交代したこの『100Ton Chicken』からはよりハードなエレクトリック・ブルース指向に変化を遂げます。元々B.B.キング愛が強い音太め・ピッキング強めのギター・スタイルがスタン・ウェッブの持ち味でしたが、このアルバムあたりからリヴァーブを強めにかけ、高音強めのカリッとしたトーンのプレイがアルバート・コリンズあたりにも通じる「Horse And Cart」を収録するなど、ホーン等を排してストレートになった分曲ごとに微妙に異なるトーン・コントロールの妙で聴かせるスタイルへの変化は説得力ありますね! アーバン・ブルース・スタイルの初期2作とよりハード・ロック色を強めの傑作『Imagination Lady 』のプロトタイプとなった4thアルバム『Accept Chicken Shack』の間に挟まり「サウンド地味だし」と言われている『100Ton Chicken』ですが、自在にトーンやサウンドの色彩を変化させるウェッブの非凡な才能の一旦が垣間見られるという点においては貴重な作品だと思います。
雄鶏はRoosterで雌鶏はHen。Henの方はそう言えばMother Henがいたなぁって感じですがRoosterの方はまず曲だとRolling Stones等でお馴染みの「Little Red Rooster」があります。作曲者クレジット見るとWillie Dixonになっているのですが、元々Stonesは「The Red Rooster」名義でレコーディングしたハウリン・ウルフのヴァージョンを下敷きにしているのだろうという認識を持っていましたが、いい機会なので調べてみました。結果、そういう話だった模様。ハウリン・ウルフ・ヴァージョンは1962年発表のロッキン・チェアーにアコースティック・ギターが立てかけてあるアートワークの『Howlin’ Wolf』に収録されていますが、Stonesのメンバーはアルバムではなくその前年に発売されていたシングル盤を入手して聴き倒していたに違いないでしょう。
「Little Red Rooster」はブルースの有名曲ですのでRolling Stonesに限らず多くのアーティストが取り上げています。1963年にはサム・クックが『Night Beat』で取り上げていますし、Grateful DeadやThe Doorsはライヴのレパートリーとして頻繁に演奏していたのでライヴ・アルバムや数多く出ているアーカイヴ・ライブ盤に収録されています。ブルース・ロック系アーティストも数多く取り上げており、Savoy Brown、Climax Blues Band、オランダのCuby + Blizzards、ロビン・トロワー、ピーター・グリーンのSplinter Group等も取り上げています。最も有名なStonesヴァージョンはスタジオ盤だと『The Rolling Stones Now』他に収録。ライヴ・ヴァージョンは『Love You Live』、『Flashpoint』に入っていますが、個人的には『Love You Live』ヴァージョンが好きですね。
Stones以外では個人的な趣味でロベン・フォードが2016年に発表した『Lost In Paris Blues Band』収録ヴァージョンが気に入っています。このアルバム「Little Red Rooster」に続く曲がアシュフォード& シンプソン作というよりHumble Pieでお馴染みの「I Don’t Need No Doctor」なのですがこの2連発はかなり強烈ですよ。
RoosterということになるとAtomic Roosterは外せません。現行最新リマスター音源はESOTERIC版でこれも十分良い出来なのですが、入手する機会があればマーキー・コーポレーションが紙ジャケット・SHM-CDフォーマットで出したヴァージョンを強く推奨します。マーキー版もESOTERICリマスターを使用しているのですが、SHM-CDフォーマット採用の効果なのでしょうか、出音がESOTERICの輸入盤より太く豪快な鳴りになっています。マーキー版は2016年発売ですが現在はほぼ売り切れで中古市場に出るのを待つ状態ですが、同社の紙ジャケット・SHM-CDシリーズはKaipa、Wigwam、Budgieなどが再プレスされた実績があるのでAtomic Roosterも出る可能性はあるかもしれません。
ここでは2nd『Death Walks Behind You』を取り上げます。EL&P加入前のカール・パーマーが在籍した1stアルバム『Atomic Rooster』、名ヴォーカリスト、ピーター・フレンチ在籍時の3rd『In Hearing Of』、後任のこれも英国の伝説的ヴォーカリスト、クリス・ファーロウ在籍時の4th『Made In England』、5th『Nice ’N’ Greasy』も素晴らしい出来ですが、中心人物であるヴィンセント・クレーンが目指したキーボード主体のハード・ロック・サウンドという観点から見るとこの2ndがやはり魅力的です。
まずは『Death Walks Behind You』に至るメンバー変遷から行きましょう。1st『Atomic Rooster』完成後に脱退したベース&ヴォーカルのニック・グラハムの後任として元Andromedaのジョン・カンが加入。カンはベースではなくギター&ヴォーカルとして加入。ベースはクレーンが鍵盤ベースを兼ねるスタイルとなります。しかしこの直後にカール・パーマーがEL&P結成のために脱退。短期のヘルプとして後にバンドに正式加入するリック・パーネルが参加した後、正規メンバーとしてポール・ハモンドが参加。『Death Walks Behind You』はこのメンバーを中心に制作されます。
この時期のAtomic Roosterの特徴はキーボード、ギター共にリフの押しが強く、粘着質とも言える粘っこさがありしかも全体的にダークな質感。重量感も申し分なし。またヴォーカルを担当したジョン・カンはハード・ロック向きの粘り気のある声質ながらブルースやR&Bの影響があまり感じられない、ある意味無機質歌い方をするヴォーカリストで、そのヴォーカル・キャラクターがこの作品が持つダークで閉塞感に満ちたサウンドを完成させるのに大きく貢献したと思います。
さて『Death Walks Behind You』ですがアートワークにはウイリアム・ブレイクの絵画「ネブカドネザル」が使われ、見開きに配されたメンバー写真は墓地で撮影されたもので、バンドは黒魔術に傾倒していたわけではないのですが、Black Sabbathと比較されることも多かったようです。そのダークなアートワークに包まれた『Death Walks Behind You』は実際、Black Sabbathの1stアルバムと双璧をなすダークで不穏な雰囲気のイントロに導かれスタートします。不穏なイントロを押しのけてスタートするタイトル曲はオルガン、ギターのユニゾンリフが畳みかけるヘヴィなナンバー。間髪入れずにスタートする2曲め「Vug」はキーボード主体の展開が激しいプログレ色の強いインスト・ナンバー。重量感溢れるオープニング2曲の後はキャッチーなメロディラインを持ちシングルにもなった「Tomorrow Night」と怒涛のハード・ロック攻勢が続きます。
楽曲配置の妙が光るヘヴィな導入部3連発に続く中間部もまた圧巻です。4曲めに置かれたのはジョン・カンが在籍したANDROMEDAのレパートリーだったナンバー「Seven Street」( Andromeda時代のタイトルは「Seven Lonely Street」)。ヘヴィだが妙に耳に残るギター・リフが印象的。リフ攻勢は続き5曲め「Sleeping For Years」はキーボード、ギターの疾走感溢れる複合リフが炸裂。「I Can’t Take No More」は収録曲中最も短いナンバーながら、叩きつけるかのような釘打ちベースラインが絶え間無く続きます。
ようやく一息つけるのが「Nobody Else」。ここまでリフの嵐と激しい場面展開に翻弄されてきた耳に染み入る情感溢れるピアノの旋律と美しいヴォーカル・メロディラインが光る秀逸なバラードです。
この「Nobody Else」でアルバムが終わっていても十分上出来なのですが、最後のだめ押しとばかりに疾走感の半端ない8分間のキーボード・プログレ大曲「Gershatzer」が控えています。耳馴染みの良いスピーディなキーボード・リフを核にピアノ・ソロ、ドラム・ソロも盛り込んだ強烈なインパクトを持つインスト・ナンバーでアルバムは幕を閉じるのでした。
サウンド的には同傾向にある3rd『In Hearing Of』も素晴らしい出来だと思うのですが、実際のBPMよりも疾走感を感じさせる押しの強いリフを主体としていたAtomic Rooster固有のハード・ロック・スタイルには粘っこくわずかに生理的不快感を感じる声質ながら先にも書いたようにどこか無機質な雰囲気のあるジョン・カンのヴォーカルの方が向いていたと思う次第。『In Hearing Of』のピーター・フレンチは専任ヴォーカルならではの存在感がありそれも素晴らしいのだけれども、随所にフレンチ色の強い場面が生じてしまっている感があるわけです。それを踏まえ、これぞAtomic Roosterサウンドという点ではこの2nd『Death Walks Behind You』が一歩抜きん出ているのではないかと思う次第です。
今月の1枚は発売されたばかりのRare Bird『Beautiful Scarlet The Recordings 1969-1975』(ESOTERIC)を取り上げます。
ESOTERICが最近立て続けにリリースしている、カタログまとめてボックスに入れたシリーズの一環です。Byzantium、Mighty Baby、Fruuppとかが出ているシリーズの一環です。今回取り上げたAtomic RoosterもESOTERICからリマスター盤が出ているのでこれもボックスになっています。リマスターした作品をまとめてボックスに入れただけのものもあれば、ボーナス・ディスクとしてレア音源集やライヴが追加されているタイプのものがありますが、Rare Birdボックスは未発表のライヴ盤が1枚追加されています。
Rare BirdのESOTERICリマスター盤は2007、8年に単体発売がありましたが、ボーナス・トラック等を見る限りその時のリマスター音源の流用のようです。今回のボックスにはマルコム・ドームによるRare Birdヒストリーのブックレットとイギリス、ビクトリア朝の画家リチャード・ダッドの細密絵画「お伽の樵の入神の一撃」(The Fairy Feller’s Master-Stroke)のポスターが付いています。精神に異常をきたし「中にいる悪魔を殺すため」という理由から実の父をナイフで殺害し王立ベスレム病院(ベドラム)に収容されていた時期に描いた作品で、カッコ内の原題をみてピンときた方いると思いますが、Queen『QUEEN II』に収録された同曲のモチーフとなっています。
なんでこの絵が折り込みポスターとしてボックスに入っているかというと、このポスターが3rdアルバム『Epic Forest』のアナログ初回プレス盤に3曲入りの7インチ盤と一緒に付いていたからです。『Epic Forest』の英ポリドール盤を見たことがある方なら分かると思いますが見開き内側の左面に7インチ盤を差し込む切り込みが入っていたのですが、2ndプレス以降は7インチ盤をつけなかったようで、7インチ盤がついたオリジナルは結構レアですし、「お伽の樵の入神の一撃」のポスターまで揃った完品は中古市場にもなかなか出ないRare Bird屈指のレア・アイテムとなっているわけです。
昔のプログレッシヴ・ロック・ファンの認識としてはRare Birdはオルガン、キーボード担当のグラハム・フィールドが在籍したツイン・キーボード時代の初期2作品が華で3rd以降はポップになってイマイチ、ラストの『Born Again』は駄作と見られていたように思いますが、2007、8年にESOTERICリマスター(『Epic Forest』はCHERRY REDレーベルから出ていたと記憶している)が出たことで3rdアルバム『Epic Forest』以降の作品も再評価されるようになりましたが、未だ初期2作と後期3作のギャップは払拭されていないように思います。今回のボックス化は値段的にも手頃だし全作品を網羅した点で意義があると思います。
初期のRare Birdは後に登場するGreensladeよりも早くギターレスのツイン・キーボードをフィーチュア。オルガン担当のグラハム・フィールドの時にクラシカル、時にアグレッシヴなプレイともうひとりのキーボード奏者で主にエレピを担当したデヴィッド・カフィネッティのプレイが打ち出すプログレ然としたサウンドとR&Bフィーリングを強く打ち出したベースのスティーヴ・グールドのヴォーカルの対比が個性的でした。オルガン主体でR&B体質のヴォーカルといえば、この時代Procol Harumが既にステイタスを築いており、他にもEyes Of Blueなどもありクラシカル・R&B傾向を持ったバンド群はそれなりに多かったわけですが、Rare Birdはそこにキース・エマーソンが在籍したThe Niceのインスト部分を拡張したダイナミックなキーボード・ロック・スタイルを加えスケールの大きなサウンドを提示。1969年発表の1st『Rare Bird』は世界的な大ヒットとなった「Sympathy」、このボックスのタイトルにもなっている「Beautiful Scarlet」、オープニングの「Iceberg」など名曲がありオルガン主体のプログレ好きには強くアピールする作品ですし、2nd『As Your Mind Flies By』はオリジナルではアナログB面を丸ごと使った19分超え、4パート構成の大作組曲「Flight」がキーボード・プログレの歴史に残る逸品として圧倒的な存在感を今も保っています。前半に置かれた4つの小品の出来も良く、英国のプログレッシヴ・ロックを探求する上では避けて通れない名作と言っても過言ではないでしょう。
残念なことにこの2nd『As Your Mind Flies By』を最後に間違いなくバンドの看板であったグラハム・フィールド、加えてドラムのマーク・アシュトンが脱退。フィールドはKING CRIMSON加入前のグレッグ・レイク、アンディ・マカロックが在籍していたShy Limbsの後期メンバーだったアラン・バリー、前出のアンディ・マカロックとグラハム・フィールド版EL&P、Fieldsを結成。Rare Birdはスティーヴ・グールド、デヴィッド・カフィネッティの2人に新ドラマーにフレッド・ケリー、ギターに後にLong Helloに参加するアンディー・チェッド・カーティス、ベースに後にStackridgeに参加するポール・カラスを加えバンドを立て直します。
グラハム・フィールドのクラシカルにもハード・サウンドにも対応できるオルガンが抜けたのを受け、スティーヴ・グールドのR&Bスタイルを感じさせるヴォーカル・スタイルを前面に打ち出し、またギタリストが加入したことによって、よりメロディアスでファンキー体質とフォーク・ロック的エッセンスが加味されたサウンドにシフトしたRare Birdは1972年3rdアルバム『Epic Forest』、翌73年にはベースがVDGGのメンバーとしても知られるニック・ポッターに変わり『Somebody’s Watching』を発表します。
この時期のサウンドは初期のプログレ然としたサウンドから大分かけ離れてしまいましたが、『Somebody’s Watching』にはゲストとしてポール・コーダ、ケヴィン・ラムといったフォーク・ロック系アーティストが参加しており、その両者の楽曲を取り上げる他、初期にはなかったコーラス・パートの強化が図られており、サウンドの傾向は『Cunning Stunts』から『Better By Far』に至る時期のCaravanに通じるものがあるように思います。キーボード・プログレからパストラル系プログレ・サウンドへの転身といった感じでしょうか。また、この『Somebody’s Watching』には「Dollers」1曲だけベースでジョン・ウェットンが参加しています。原題は「A Few Dollars More」でこれは1965年制作クリント・イーストウッド主演のマカロニ・ウエスタン「夕日のガンマン」のテーマ曲で作曲はエンニオ・モリコーネでした。
Rare Birdとしてのラスト・アルバムは1974発表の『Born Again』。前作におけるパストラル系プログレ・サウンドからさらにポップ化が進みほとんどAOR系サウンドへ移行。初期のサウンドからは遠く離れた所に来てしまったこともあり、昔からプログレ・ファンの猫またぎに遭ってきた可哀想な1枚。こんなものはダメだと切り捨てるのは簡単なのですが、このアルバムでグールド、カフィネッティ・コンビが打ち出したサウンドは1976年あたりからプログレ志向のバンドがポップ化していった時期に出てきたCity Boy、Sad Cafe、Charlie、Voyager、ドイツのLakeに通じるものがあります。そのサウンドを1974年段階で出しているわけですよ。ある種先見の明があったといってもいいのではないかと思う次第です。
そして今回のボックスのボーナス・ディスクとして追加収録されているのが、その『Born Again』発表時のライヴ・アルバム。1974年6月30日ロンドン、ドルリーレーンのシアター・ロイヤルに於けるライヴ録音で8曲共に未発表音源とクレジットされていますが、うち2曲「All That I Need」と「Third Time Around」は2004年に発売になったコンピレーション盤『Third Time Around: An Introduction To Rare Bird』に収録されているので未発表は8曲中6曲。『Somebody’s Watching』から4曲、『Born Again』から4曲という構成になっています。
Rare BirdのESOTERICリマスターが最初に商品化された2007年にこの74年のライヴが出ていたら恐らくほとんど注目されなかったと思うのですが、それから10数年、プログレ・リスナーの嗜好にも変化があっただろうし、マニアの聴き方もより幅広いものになてきている実感があるので、今回のこのボックス発売は結構いいタイミングだったのではないかと思っています。
鉄板のプログレ名盤である1st、2ndは勿論、今だからこそ、グラハム・フィールズ脱退後の3作品が偏見なく聴かれると思うし、長い間ゴミ扱いされてきた『Born Again』が実はかなり出来の良いプリティッシュ・ポップ・ロック・アルバムだったことがきちんと評価される時代になっていると思うわけです。ボーナスとして追加された『Born Again』時代の演奏レベルの高いライヴも魅力的でかなりポイントの高いボックスだと僕は思っています。
「音楽歳時記」バックナンバーはコチラ!
フリートウッド・マック、サヴォイ・ブラウンと並び英ブルース・ロックを代表するグループ、記念すべきデビュー作。リーダーStan Webbによる攻撃的に切り込むギター、Andy Silvesterのグルーヴィーなベース、そして紅一点Christine Perfectによる芳醇かつ繊細さの残るヴォーカルやピアノが織り成す、哀愁に満ちたブルース・サウンドは絶品。
FLEETWOOD MAC、SAVOY BROWNとともに“英国三大ブルース・バンド”に並び称されるCHICKEN SHACK。硬派なブルースマンStan Webbと、才色兼備の紅一点Christine Perfectという強烈な二枚看板を掲げる彼らが、69年に発表した2nd。カヴァー中心だった前作を経て、オリジナル曲の割合がぐっと増し、独自のユーモアが随所に散りばめられ、バンドのアイデンティティが見事に花開いた快心作。大胆に導入されたホーンが決して濃密なブルース臭を侵すことなく華やかさを添えている。BBCラジオの名物DJであるJohn Peelのナレーションを曲間に配したコンセプチュアルな遊び心も愉しい。ちなみにそのSEは05年のリマスター時にカットされてしまい非常に残念。ジャケットも最高にクールな、英国ブルースの最重要レーベル「ブルー・ホライゾン」が世に送り出した名盤のひとつ。
THE CRAZY WORLD OF AUTHR BROWN出身のVince Craneを中心に結成され、後にNICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lakeと共にEL&を結成することになるCarl Palmerが在籍していたことで知られているイギリスのハード・ロックグループの71年2nd。Vince Crane以外の2人が脱退し、後にHARD STUFFへと参加することになるJohn Du CannとPaul Hammondが参加しています。前作ではベース奏者がギタリストを兼ねた編成でしたが本作ではベースレスで構成されており、前作よりハード・ロック然としたアンサンブルと渋みを持ったブリティッシュ・ロックが炸裂しています。
盤質:傷あり
状態:良好
レーベル面に指紋あり、スリップケース無し
6枚組ボックス、各CDはペーパーケース入り仕様、デジタル・リマスター、ミニポスター・ブックレット付仕様
盤質:傷あり
状態:良好
4枚は無傷〜傷少なめ、2枚は傷あり、ボックスに若干スレあり
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!