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【ユーロ・レーベル探求 第三回】CRYPTOレーベル~赤いサソリと黒のサソリ(黒サソリ編)

【第三回】「赤いサソリと黒のサソリ(黒サソリ編)」

寄稿:ike333さん

「赤サソリ編」に続き「黒サソリ」がロゴのCRYPTOについてです。

WAPASSOU

最初に登場したアーティストはWAPASSOU。所謂CRYPTO3部作(『MESSE EN RE MINUER』(1976)、『SALAMMBO』(1977)、『LUDWIG』(1978))は彼らの2~4作目に相当します。キーボード、バイオリン、ベースの変則3人組で、浮遊感のあるとても不思議な音楽空間を作っています。



AB面通して1曲の『MESSE~』はスキャットが美しく、サランボは3部作の中では最も構築的な音楽で、傑作です。4作目を買った当時、このアルバムの裏ジャケのメンバー写真みて、それまで謎だったたどたどしいギター兼ベースが女性であったことを知りました。出だしは美しいのですが中間部が少し緩むところがあります。

その後、同バンドはCRYPTOを離れ、少しハスキーでかわいらしい声の女性ボーカルとドラムをメンバーに加えポップなロック(といってもKeyとVlnの音は3部作当時と同じ雰囲気がしっかり残っている)の『GENUINE』(1981)を発表。ラストアルバム、『ORCHESTRA 2001』(1986) は、3部作よりもロック的になっていますが当時の香りも十分入っていて、結構、幻想的な好盤です。

JEAN-CLAUDE VINCENT

Jean-claude Vincentの『LETTRE AU PASSE』(1977)は、J-C Pongnant氏が変名で発表したアルバムです。バックには、C.Decampsや、TANGERINE、CARPE DIEMのメンバー等がサポート。曲はC.Decampsが作曲していて、クリプトレーベルの学芸会の様な感じですが、結構悪くないアルバムです。

METABOLISME

METABOLISMEの”『TEMPUS FUGIT』(1977)は、瑞々しい仏語ボーカル、シンフォニックなキーボードで出だしが魅力的なアルバムです。やはりフランスでしか生まれないようなメロディと演奏となっています。ただし昔からもう一つ隠し味が欲しいと思っており、この時期の4PiecesバンドとしてはARTCANEやSHYLOCKの方に先に耳が行ってしまうのは私だけでしょうか。魔術的なグリーンのジャケットの怪しさが魅力ですね。

JPM&Co

JPM&Coの『PHANTASMES』(1977)は、ヘビー・シンフォのVISITORSの仕掛け人Jean-Pierre Massiera (『SALAMMBO』にも声で参加他CRYPTOのアルバム達にENGINEER等で結構クレジットされている重要人物。)のプロジェクトで、ファンクなロックだったり、歌謡曲の様なのが登場したりと、かなり怪しげなアルバム。ジャケットも表裏いずれもイカれてます。トルコ辺りの辺境ロックが好きならばお勧め?プログレとは言い難いです。

ATLANTIDE

さて、YESの「HEART OF SUNRISE」「YOUR MOVE」「MOOD FOR A DAY」 「LONG DISTANCE RUNAROUND」 「ROUNDABOUT」と並べて仏語のボーカルを加えたら何になるでしょうか。はい、これもMassiera氏のプロジェクトであり、VISITORSに参加していたPatrick Attali (vo), Bernard Torelli (g)も参加しているATLANTIDE (S/T)(1976)です。吹き出してしまうほどのパクリさえ気にしなければ、演奏もなかなかよく概ね好盤といえます。

Michel Moulinie

アンジュのF.DecampsがプロデュースをしているMichel Moulinie(g,b)の『CHRYSALIDE』(1978)は、CRYPTOのMike Oldfieldとも言われてますが、全5曲の本アルバムは、深淵な音色のキーボードをバックにアコギとエレキギターが鳴り響くもので、むしろ独のPOPOL VUHの『AGUIRRE』あたりに近いかなと思われる好盤です。

BREZOVAR

BREZOVARの『RUE DE SALBERT』(1979)は、ANGEのギタリスト、Michel Brezovarのソロです。内容は、アメリカンスタイルの普通のロック。歌は英語でプログレサウンドは片鱗もありません。当時、ANGEをあえて脱退してやりたかった音楽が「これ?」と疑問符の2乗ぐらいついてしまい、肩すかしを食らってしまいました。

CORTEX

CORTEXは、フランス映画のサントラの様なジャズロックをやっている1作目『TROUPEUA BLEU』(1975)が有名ですが、これを当時レコード屋で探しそこね、ようやく見つけたのがCRYPTOに移籍して出したサードアルバムの『POURQUOI』(1978)のレコードでした。仏語の歌とエレピ等が主体のファンキーな面もあるフレンチポップロックのアルバムで意外だったのを覚えています。今聞くと楽曲は結構素敵です。なお、2作目『VOL.2』(1977)はフュージョン系ジャズロックです。



Daniel Haas & Yves Hasselmann

Daniel Haas & Yves Hasselmannの『COULEURS DU TEMPS』(1978)は、ANGEのベーシスト、D.Haasが、ANGE脱退後、淡いトーンのオルガンと流麗なピアノが特徴だったジャズロックバンドのTRAVELLINGに在籍していたY.Hasselmann (key)と組んで発表したアルバムで全曲インスト。

HaasとHasselmannそれぞれが作曲した曲を4曲ずつ寄せ合っており、ジャケットの通り、薄もやのなかで、さりげなく演奏しているフランス的な軽い感じのジャズロックアルバムのなかなかの傑作です。なお、Y.Hasselmannは少し難解な印象派風ピアノソロアルバム『MECANIQUE MENTALE』(1980)もCRYPTOから発表しています。

以上、赤黒サソリのレーベルの主立ったアルバムについて2回に渡り長々と書いてしまいましたが、このレーベルは結構長持ちして70年代を生き抜いたわけで、つくづく良かったねと思います。

【ユーロ・レーベル探求 第一回】「懐かしのGONG」はこちら!
http://kakereco.com/blog/?p=5105

【ユーロ・レーベル探求 第二回】「赤いサソリと黒のサソリ(赤サソリ編)」はこちら!
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CRYPTOレーベル

CRYPTOレーベル

WAPASSOU

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77年の3rdより。瑞々しさとクラシカルな荘厳さをあわせ持つキーボードとヴァイオリンが織り成す、まさにフレンチ・プログレにおける耽美さを凝縮したかのような18分に及ぶ大曲。美しく響く女性スキャットもバンド独自の世界観を豊かに彩ります。

METABOLISME

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77年の唯一作。メランコリックなアコギとリリカルにさえずるフルートによるたおやかな導入から、YESを彷彿とさせる躍動感たっぷりのアンサンブルを展開する、ドラマティックな曲構成が見事な一曲です。どこか翳のある哀愁が漂っているところがまた魅力的。

JPM&Co

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VISITORS他、CRYPTOレーベルの数々の作品に参加するJEAN-PIERRE MASSIERAによるプロジェクト77年作。こちらは本来のヴァージョンをファンキーにアレンジしたヴァージョンだそうです。本来のサウンドの方については本文をご参照くださいませ^^

ATLANTIDE

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こちらもJEAN-PIERRE MASSIERAによるプロジェクトであるATLANTIDEの76年作。確かに思わず笑っちゃうほどにあの曲なんですよね〜。しかしYESとまではいかないまでも演奏技術はなかなかで、フレンチらしい格調高さも備えたいい楽曲には仕上がっています。

MICHEL MOULINIE

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MICHEL MOULINIEの78年作『CHRYSALIDE』からの一曲。豊饒なアコギの音色と独特のサウンドを持つギターとによる、ヨーロッパの深い森を想起させる幻想性に満たされた名曲です。これはMIKE OLDFIELDと比べられるのも納得の完成度を持っていますよね。

BREZOVAR

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ANGEのギタリストであったMICHEL BREZOVARの78年ソロ作。ANGE在籍時より内に秘めていたブルーズ・フィーリングが前面に現れた、アメリカンな哀愁、あるいはブリティッシュな陰影に対する憧憬が感じられる一曲です。

CORTEX

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フレンチ・ジャズ・ロック・バンドCORTEXの78年3rdより。フュージョン風味の軽快なジャズ・ロックを展開する佳曲。いかにも78年という時代らしい音だと言えそうなサウンドです。それにしてもエレピの洒脱な音色はフランス語ヴォーカルとよく合いますね〜。

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