2021年5月3日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: 英ロック
GWいかがお過ごしでしょうか。ここ埼玉は少し不安定な天気が続いていますが、晴れると爽やかな風が気持ち良いです。今日は、英国が誇るペダル・スティール・ギタリスト、B.J.コールの参加作をカケレコ棚よりピックアップいたします。ほんの一部になりますが、フォーク・ロックからハード・ロックまでジャンルを超えた作品群をお楽しみください!
B.J.コールと、後にプロコル・ハルムに参加するギタリストのミック・グラバムが中心となって結成されたグループ、71年。前作よりスワンピーな土くさい演奏を聴かせますが、繊細さの感じられるメロディーラインや優しいハーモニーに英国フォーク的な雰囲気も残っています。英国人のアイデンティティがにじみでた味わい深いサウンドが印象的です。
上の作品では、スティーヴ・マリオットが1曲参加していますが、こちらではB.J.コールが1曲参加。スティーヴ・マリオットとピーター・フランプトンを中心に結成されたハード・ロック・グループ、70年作3rd。引きずるようなギターとタイトなリズム隊によるソリッド&ブルージーなハード・ロック、ペダル・スティールが心地よく響くメロウなフォーク・ロックが持ち味で、どちらも一体感ある演奏とスケールの大きなヴォーカルが聴き所です。
ニック・ロウが率いた英国パブロックの最高峰バンド、70年2nd。B.J.コールが参加しているのはカントリー・ロック「Starship」。おおらかながら哀愁感じるメロディをペダル・スティールが引き立てています。
60年代からソングライターとして活躍していた英SSW。71年作の2nd。バックを後にキャメルを結成するラティマー/ファーガソン/ウォードの3人が担当しています。スワンピーだけど、土臭さというより英国的な叙情美が香るメロディが印象的で、ザ・バンドに影響を受けつつも英国ならではのメランコリーが溢れる英SSW名作!
エルトン・ジョンの71年作。B.J.コール参加はオープニングの美しく切ない「Tiny Dancer」。エルトン・ジョンの表現豊かなヴォーカルに呼応するようなスティール・ギターが胸に染みる名曲です!
特徴的なスコティッシュ・ハードの雄、71年作&72年作。B.J.コールは71年デビュー作『NAZARETH』の内の1曲、哀愁たっぷりのカントリー・ロック「Country Girl」に参加しています。
後にDEEP PURPLEで活躍するGlenn Hughesの在籍で知られるハード・ロック・トリオ、72年作3rd。ストレート&ソリッドなハード・ロックの名作!B.J.コールはT1「Keepin’ Time」T2「Coast To Coast」に参加しています。幅広さに驚きます。
70年のFREE解散の後、Paul KossoffとSimon Kirkeが、後にFACESでも活躍する日本人ベーシストの山内テツと米国人Key奏者RABBITを迎えて結成したグループ、71年の唯一作。RABBIがもたらしたアメリカン・ロック的なアーシーな哀愁とPaul Kossoffのギターによる英国叙情に富んだブルース・フィーリングとメロウネス。繊細さと憂いに溢れたセンシティブなブリティッシュ・ロックの逸品です。
DEEP PURPLE、LED ZEPPELIN、BLACK SABBATHに並ぶ、70年代英国HRを代表する名グループ、1972年5THアルバム。彼らの全盛期を代表する三部作の最終作です。B.J.コールが参加しているのはスペーシーなシンセが飛び交う「Tales」。ゆらめくスティール・ギターが非常に幻想的です。
スコットランド出身のSSW、73年のデビュー作。B.J.コールを始め、ギターはウィングスでお馴染みのJimmy McCulloch、キーボードはZoot Money、ベースはジョン・メイオールを長くサポートしているSteve Thompson、ドラムはストーン・ザ・クロウズをはじめフォーカスでも活躍したColin Allenという鉄壁の布陣。渋みあるフォーキー・バラードも味わい深いし、軽快なパブ・ロック・ナンバーから翳りあるSSWナンバーまで名曲ぞろいです!
Shane Fontayneの名でブルース・スプリングスティーンのサポートなど米国を拠点に活躍するギタリストで、ピーター・バラカン氏の実弟であるMick Barakanを擁した英ロック・グループ。B.J.コールが参加しているのは73年作『Seasons Changing』の「October Andy」。PARLOUR BANDあたりを彷彿させる陰影あるフォーク・ロックです。
英フォークSSW、セプテンバー・プロダクションのサンディ・ロバートンによるプロデュースで73年に録音されながら、1500枚しか流通しなかった幻のアルバム。「アメリカなイギリス」として最高峰の逸品!
初期のKING CRIMSONを支えROXY MUSICのプロデュースなどでも活躍した作詞家が、KING CRIMSONを脱退後、EL&PのMANTICOREから発表した73年ソロデビュー作。EL&PのGreg LakeをはじめKING CRIMSON人脈からはBoz BarrelやKeith Tippett、Ian Wallace、Melo Collins、John Wettonなど豪華メンバーが集結しています。
1974年リリース、名作『グランド・ホテル』に続く7枚目のスタジオ・アルバム。前作同様、ピアノやストリングスによる荘厳で華やかなアレンジを施した重厚なサウンドが特徴。プロコル・ハルムらしい哀愁の歌メロも存分に聴かせつつ、よりダイナミズムに富んだ賑やかなサウンド・メイクで楽しませてくれます。B.J.コールは「As Strong As Samson」で参加。
ミュージカル俳優としての顔も持つ英ポップSSW、持ち前のポップセンスを遺憾なく発揮した75年作。B.J.コールは、感情豊かなヴォーカルが光るフォーク・ロック「Running Through The City」に参加。
URIAH HEEPで活躍した名Key奏者、BRONZEレーベルよりリリースした73/75/80年ソロ+ヘンズレーによる19年の各タイトル解説DVDを収めたボックス。B.J.コールが参加しているのは75年作『EAGER TO PLEASE』の「Secret」。どこを切り取っても英国叙情に満ちた名品です。
最後はこちら。アイルランド出身、スティーライ・スパンのメンバーとしても知られる夫婦デュオ、76年作。アイリッシュ・ミュージックを感じさせるフィドルや、カントリー・フレイヴァーたっぷりの温かいスティール・ギター等、英国情緒と米国憧憬が溶け合った豊穣なサウンドです。
後にDEEP PURPLEで活躍するGlenn Hughesの在籍で知られるハード・ロック・トリオ。72年作の3rd。このトリオのグルーヴと音圧はちょっと他では味わえません。タイト&グルーヴィーな強靭なリズム隊、後にWHITESNAKEでも活躍するMel Galleyの切れ味鋭く図太いギター、そして圧巻はGlenn Hughesのソウルフルなシャウト・ヴォーカル。特筆すべきはトリオとしてのまとまりで、雪崩のようにソリッドに襲いかかる部分と、ピタッと止まる「間」の部分との緩急が激しく、レッド・ゾーンと無音との間を猛烈な勢いで行き交います。圧倒的なダイナミズム。脳天を音がブチ破るような快感。ストレート&ソリッドなハード・ロックのファンは必聴の名作!
DEEP PURPLE、LED ZEPPELIN、BLACK SABBATHに並ぶ、70年代英国HRを代表する名グループ。1972年5THアルバム。結成当初のヘヴィ・ロックから、キャッチーで疾走感溢れる名盤『対自核』を経て、徐々に音楽性を変化。イニシアティブを鍵盤奏者のKen Hensleyが握り始め、アコースティック・ギターやキーボードをフィーチャーした叙情的でドラマティックなサウンドとなりました。本作は、鍵盤重視の音楽性をよりはっきりと示した集大成的な内容。オルガンに加えて、シンセサイザーの音色も印象的です。特にアルバム最後に収められた、10分を越すタイトル曲「MAGICIAN’S BIRTHDAY」は素晴らしい出来栄え。Roger Deanによるアルバム・ジャケットの如き、色彩豊かな幻想世界が繰り広げられます。親しみやすいヴォーカル・メロディに、ムーグ・シンセサイザーを被せて、呪術的な雰囲気を演出し期待感を煽ります。更に中盤に置かれたMick Boxのギター・ソロ・タイムは圧巻。計算尽くされたワウペダルの操り振りには鳥肌です。HR度の高い『対自核』では楽しむことが出来ない、アコースティックで繊細な世界感。本作を聴いて、URIAH HEEPの真の魅力に触れてください。
1974年リリース、名作『グランド・ホテル』に続く7枚目のスタジオ・アルバム。前作同様、ピアノやストリングスによる荘厳で華やかなアレンジを施した重厚なサウンドが特徴。プロコル・ハルムらしい哀愁の歌メロも存分に聴かせつつ、よりダイナミズムに富んだ賑やかなサウンド・メイクで楽しませてくれます。B面では同時期のロキシー・ミュージックなどを彷彿とさせるポップでパンキッシュな曲調も披露。当時の所属レーベルChrysalisへの不満を歌った「Butterfly Boys」など毒のあるナンバーもありつつ、その中にどこか隠し切れない気品が滲み出ているのが大変彼ららしい、愛すべき一枚です。
70年のFREE解散の後、Paul KossoffとSimon Kirkeが、後にFACESでも活躍する日本人ベーシストの山内テツと米国人Key奏者RABBITを迎えて結成したグループ。71年の唯一作。RABBITことJohn Bundrickが10曲中5曲の作曲を担当。RABBITがもたらしたアメリカン・ロック的なアーシーな哀愁とPaul Kossoffのギターによる英国叙情に富んだブルース・フィーリングとメロウネス。繊細さと憂いに溢れたセンシティブなブリティッシュ・ロックの逸品。音と音との「間」の雄弁さはさすが。専任ヴォーカリストの不在が弱点として言われますが、RABBITやSimon Kirkeの誠実な歌声がメロディの繊細な魅力を見事に引き出しています。
アイルランド出身、元STEELEYE SPANの夫婦フォーク・デュオ、76年作。1曲を除き全てオリジナル曲の今作は、アイリッシュ・ミュージックを感じさせるフィドルや、カントリー・フレイヴァーたっぷりの温かいスティール・ギター等、英国情緒と米国憧憬が溶け合った豊穣なサウンドです。トラッドというよりはシンガー・ソング・ライター的な内省的な旋律で、Gayの伸びやかなボーカルがひときわ澄んで響きます。ザ・バンドに通じるようなTerryの枯れたボーカルも味わい深く、ダルシマーやオート・ハープ、バンジョーなど多彩な弦楽器やDave Pegg、Dave Mattacksによる安定のリズム・セクションが厚みあるアンサンブルを繰り広げています。TENNENT & MORRISONのDavid Morrison、B.J. Cole参加、Sandy Robertonプロデュース。
LOVE AFFAIRに曲を提供しヒットさせるなど、60年代からソングライターとして活躍していた英SSW。71年作の2nd。オーディションで採用したバック・ミュージシャンは、BREWとして活動していた後にキャメルを結成する3人、アンディ・ラティマー、アンディ・ウォード、ダグ・ファーガソン!年輪が刻まれたようにしわがれていて、かつ英国的な淡さやメロウネスもあるヴォーカル、スワンピーだけど土臭さというより英国的な叙情美が香るメロディが印象的で、ザ・バンドに影響を受けつつも英国ならではのメランコリーが溢れる英SSW作に仕上がっています。リリカルなピアノ、格調高いストリングス、静謐なタッチのアコギ・アルペジオなど、「気品」いっぱいでまぎれもなく英国的。バックの引き締まった演奏も特筆で、アンディ・ウォードの歌心あるドラム、時に伸びやかにソロを取るアンディ・ラティマーのギターが良いです。2曲で参加したB.J.Coleのスティール・ギターも素晴らしい。これは聴けば聴くほどに味わいが増す、ヴィンテージな香りに包まれた逸品。英SSWの名作です。
Shane Fontayneの名でブルース・スプリングスティーンのサポートなど米国を拠点に活躍するギタリストで、ピーター・バラカン氏の実弟であるMick Barakanを擁した英ロック・グループ。前身バンドにあたるORAの69年作+BYZANTIUMの72/73/74年作、そして18年にデジタル音源でリリースされていた未発表のライヴ音源集10曲収録の『HIGH TIME』、全5タイトルを収録した2021年リリースBOXです。
5枚組ボックス、デジタル・リマスター(『LIVE/STUDIO』『HIGH TIME』のみ)、ボーナス・トラック17曲
URIAH HEEPの中心人物として活躍したKey奏者、19年リリースのボックス・セット。内容はBRONZEレーベルよりリリースした73年作『PROUD WORDS ON A DUSTY SHELF』、75年作『EAGER TO PLEASE』、81年作『FREE SPIRIT』のソロ3作品に、ヘンズレー自身が各作品を解説した19年のDVDを収録。英国のSSW作品にも通ずるような、気品と叙情に富んだメロディを推し出した作風はブリティッシュ・ロック・ファンなら堪らないはず。ギターやヴォーカルまでマルチに手掛けるヘンズレーの才覚を堪能できる豪華盤です。
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