2021年2月19日 | カテゴリー:50周年記念連載企画「BACK TO THE 1971」,世界のロック探求ナビ
2021年にカケレコがお届けする特別企画「BACK TO THE 1971」!
今からちょうど50年前、1971年に産み落とされた名盤を取り上げて、その魅力に改めて触れてみようというのがこの企画です。
英米ロックの名作はもちろん、欧州各国の重要作品も取り上げて、各作品の誕生日または誕生月に記事をアップしてまいります。
この機会に、ロックが最もまばゆい輝きを放っていた時代の作品達にぜひ注目していただければ幸いです。
それでは皆で、BACK TO THE 1971 !!!
連続企画2回目にご紹介させていただくのは、ジャーマンプログレの雄であり、史上最強のサイケデリック・バンドとの呼び声高いCANが1971年に発表した3rdアルバム、『TAGO MAGO』です。
野球と政治と「CANの最高傑作はどれか」の話はするなとよく言いますが、独創的な世界観が詰まりに詰まったこの作品、CANで一番好きな作品に上げる人は多いでしょう。
CANは1968年に西ドイツで結成されたグループで、彼らの実験的な楽曲は後に様々なジャンルに大きな影響を与えたと言われています。
本作は、ダモ鈴木が正式加入後にはじめて全面参加して製作された作品で、全曲がメンバー5人の共作となっています。
タイトルはイビザ島の近くに実在するタゴマゴ島にちなんでおり、ドラムのヤキ・リーベツァイトはCAN結成前にこの島で自殺を図った事があるとかないとか・・・
それでは「TAGO MAGO」の魅力に触れていきましょう!
テクニックを披露するだけでもなければ、緻密なアレンジを繰り返すだけでもない。
シンプルでありながら混沌、理性的でありながら奔放とも言える、典型的なCANの世界観。
突然の日本語詞とダモ鈴木が醸しだすほんのり演歌ロックの匂いにハッとしつつも心奪われる妖作、、、もとい快作です。
繰り返される反復ビート、重なり合うパーカッションで構成される複雑なリズム、現代音楽と何ら遜色ないカットアップは時代を先取りしてます。
現代のクラブシーンで流しても評価されるのでは、、、とひそかにニヤニヤしております。
当初は1枚で出す予定だったものが、製作を進めていく中で2枚組となったそうです。
ダモ鈴木が参加したことで化学反応が起こり、彼らの創造性がレッドゾーンを振り切った瞬間を閉じ込めた作品と言えるでしょう。
様々な音を素材として即興でミックスしていくポップアートのような感覚はCANの到達点の一つ、自由にどこまでも調和したグルーヴ感に心を奪われてみてはいかがでしょうか。
▼関連記事
【関連記事】
1969年からちょうど50年を記念して、70年代を代表する名バンドによる69年リリースのデビュー作をピックアップ。今回はクラウトロックの金字塔にしてロック史に残る傑作、CANの『MONSTER MOVIE』!
【関連記事】
CANのドラマーであるヤキ・リーベツァイトが亡くなりました。その追悼として彼の参加作品群を振り返ります
▼関連ジュークボックス
ペーパーケース仕様、2枚組、英文ブックレット付仕様、定価2700+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり、軽微な折れあり
シュトックハウゼンに師事した現代音楽家や、プロのジャズ・ミュージシャンらによって68年に結成されたドイツのグループ、CAN。彫刻家としてドイツにやってきたアメリカの黒人、マルコム・ムーニーをヴォーカリストに迎えたこの1stは、まさに歴史的な衝撃作です。延々と繰り返されるドラムのビート、ノイズまがいのガレージ・サウンドをかき鳴らすギター、飛び跳ねるように蠢くベース……。そんな音楽家たちによる実験的極まりないアンサンブルに、アマチュア同然のムーニーのヴォーカルが見事に調和しているのだから驚き。ムーニーはこの1stの発売後、神経衰弱によって脱退してしまいますが、時にけだるげに囁き、時にパンクロックのように叫び散らす歌声は、後のヴォーカリスト・ダモ鈴木にも負けず劣らず多彩で個性的。それまでのどんな音楽の型にも収まらない、無機質かつ無国籍なサウンドは、約50年経った今でも未だに最先端と言えるでしょう。
クラシック、実験音楽、ジャズ・フィールドのミュージシャンらが集結し68年に結成、「共産主義」「無政府主義」「虚無主義」の頭文字をバンド名に、パンク・ロックやニュー・ウェーヴ、エレクトロ・ミュージックにまでその影響を拡散させたドイツを代表するクラウト・ロックバンドの、最高傑作と名高い73年5th。ダモ鈴木在籍時最後のアルバムとなる本作は、リズムを前面に押し出していたこれまでの作風から変化し浮遊感すら感じるサウンドを構築しており、淡々と進行する中に彼らならではの毒と呪術性を感じる名盤となっています。
カンにとって「Spoon」以来のシングル・ヒットとなり、とりわけイギリスではディスコ・チューンとしてトップ10入りまで果たしてしまった素晴らしいポップ・ソング「I Want More」を含む76年のアルバム。2曲目の「Cascade Waltz」を筆頭にレゲエからの影響が強く感じられる作品で、その一貫して明るくリラックスした雰囲気もこれまでのカンのレコードにはなかったもの。
すでに公式ディスコグラフィから抹消されている失敗作『OUT OF REACH』(ホルガー・シューカイが全く関わっていない唯一の作品)を経て、解散前に録音された最後のアルバムとなった1979年作品。シューカイは、演奏には加わっていないものの、「編集」担当としてクレジットされており、そのセンスは遺憾なく発揮されている。もうこのバンドでやれることはやりつくしたとでも言うかのような、エセ民族音楽シリーズ第99番「CAN CAN」(なんとオッフェンバックのオペレッタ『天国と地獄』の有名なカンカン踊りのくだりをロック風にアレンジしたもの)〜「Ping Pong」(卓球の実況録音)〜「CAN BE」(やる気なさそうなタイトル)と続く最後の3曲のヤケクソのような超絶ユーモアに思わず笑い泣き。やはりカンは最後の最後まで突き抜けていました。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、定価2200+税
盤質:全面に多数傷
状態:良好
帯有
ブックレットにスレあり
ファースト・アルバム『モンスター・ムーヴィー』の収録曲のレコーディングと同時期に録音されていた、マルコム・ムーニー加入直後のカンの姿が生々しく刻印されている凄まじい内容の編集盤(オリジナルLPは81年に発表)。曲はどれをとっても素晴らしく、とりわけ、レディオヘッドが何度かライヴで取り上げている「Thief」やホルガー・シューカイが自身のフェイヴァリットと語っている「Little Star of Bethlehem」などは印象的。ゆらゆら帝国の坂本慎太郎や三島賞作家の中原昌也もこの作品をフェイヴァリットに挙げており、カンのディスコグラフィーの中でも絶対に外せない超重要作。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!