プログレッシヴ・ロックの中古CD豊富!プログレ、世界のニッチ&ディープな60s/70sロック専門ネットCDショップ!

プログレ、60s/70sロックCDのネット通販/買取

24時間以内発送(土・日・祝は翌営業日)、6,000円以上送料無料

舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第四十七回 FLOWER KINGS『ISLANDS』(スウェーデン)

緊急事態宣言が3月まで延長されることに。僕が住む大阪の新規感染者数は下がってきている感じがあり、そのうち緊急事態宣言も解除されるんじゃないかと言われているが、さてどうなることやら。とにかく一日でも早い新型コロナウイルス感染症の収束を願うばかりです……と書き続けてもうすぐ一年が経つ。不安や苛立ち、ストレスを抱えている人も多いかと思いますが、こんな時こそ音楽でも聴いて、気持ちだけでも荒まないようにしたいものです。

さて、『レコード・コレクターズ』2021年2月号はご覧になられたでしょうか?「この曲のドラムを聴け!」という企画で、ドラムが印象的な曲が101曲紹介されている。僕も選曲等に参加させてもらったが、この企画では、まず各ライターが「この曲のドラムが好き!」というものを20曲選び、それを編集部が調整して101曲に絞っている。そうすると、当然ながら僕が選んだけれど採用されなかった曲も出てくる。

『レコード・コレクターズ』では、2020年5月号でも「究極のギター・ソロ:ロック編」という企画があった。そちらにも参加させてもらったが、僕が選んだけれど採用されない曲があったので、前回の当コラムで紹介させていただいた。担当のカケレコ佐藤さんが、各曲の音源までアップしてくださって、選考外になった曲たちの無念も浮かばれました!

ということで、今回は『レコード・コレクターズ』2021年2月号の「この曲のドラムを聴け!」で僕が選んだけれども採用されなかった曲&ドラマーたちの弔い合戦(?)です。前回のギター特集の時は、曲が選ばれなくても、その曲で弾いているギタリストは採用されていたというケースが多かったが、今回はドラマーもろとも選ばれなかった曲が7曲もあった。これは救済してあげなければ! 佐藤さん、音源よろしく!


まずは、GENTLE GIANTのジョン・ウェザース。彼がドラムを叩く姿はぜひ動画で見てほしい。あの複雑怪奇なGENTLE GIANTのリズムを難なくこなすだけでも立派だけど、顔をゆがませながら、チープなドラム・セットで、あの難リズムをパスパス叩く姿に痺れます。僕が選んだ曲は「Runaway」です。ガラスの割れる音が徐々にリズムへと変化していく導入部も最高ですね。

試聴 Click!

選ばれなかった二人目はピップ・パイル。初期GONGを支えたドラマー。デヴィッド・アレンが作る異世界の音楽みたいな楽曲を、軽やかに叩いている才人です。曲は「You Can’t Kill Me」で。エキセントリックなデヴィッド・アレンに合わせるのは大変だったろうなと想像されるが、同曲が収録されたアルバム『CAMEMBERT ELECTRIQUE』の内ジャケに写るピップ・パイルの衣装を見ると、ピップも結構キてる奴なのかもと思わせてくれます。

試聴 Click!

三人目はスコット・トラヴィス。JUDAS PRIEST『PAINKILLER』でシャープなバスドラを聴かせていたスコット。残念ながら1990年発売の同作は対象外だったので、それ以前に参加していたRACER Xの「Scarified」を挙げた。アグレッシヴだけど、どこかクールで、バスドラのドコドコを心地よく聴かせてくれるスコット・トラヴィスは、JUDAS PRIEST復活の立役者だと思う。

試聴 Click!

DREAM THETAERのマイク・ポートノイも選ばれなかった一人。彼らのデビュー作『WHEN DREAM AND DAY UNITE』から「Ytse Jam」を選出。彼の歌心があるドラムは、以降のプログレ・メタルにおけるドラムの手本になっていくという意味でも重要なドラマーだと思います。

試聴 Click!

この人選ばれなかったか!と驚いたのはフリオ・キリコ。イタリアン・プログレのARTI E MESTIERIのドラマー。「こんなに叩くかね?」というほどに手数が多く、時に主旋律を聞きもらしてしまうぐらい、フリオ・キリコのドラムばかりが耳に入ることも。曲は『GIRO DI VALZER PER DOMANI』収録曲の「Mirafiori」です。

試聴 Click!

この人は選ばれないだろうな!と思ったら、やっぱり選ばれなかったのはテッド・マッケンナ。ロリー・ギャラガー、マイケル・シェンカー、グレッグ・レイク、ゲイリー・ムーア等々、凄腕ギタリストのリズムを支えた敏腕ドラマー。2019年に他界したけど、それほど再評価もされてないので絶対に書きたいと思ったのだが……。その個性がわかる名演を選んでやる!と息巻いたのに、なぜかSENSATIONAL ALEX HARVEY BANDの「Faith Healer」が頭から離れない! この曲でテッドはほぼ活躍していないし、TV出演時でこの曲を演奏した時も「つまんねーなー」って顔で叩いている。テッド、大丈夫だ、このあと名だたるギタリストと共演するんだから、と言ってあげたい。しかし、「この曲のシンガーを聴け!」企画があったら、アレックス・ハーヴェイは1位に選びたいな。いや3位、まあ5位? うーん20位以内には入れたい。

試聴 Click!

最後はDEF LEPPARDのリック・アレン。大ヒット作『HYSTERIA』のレコーディング前に事故で左腕を失ってしまうという、バンドにとっても致命的といえる状況でも、メンバーは誰一人あきらめなかった。リックはそれに答え、ドラムメーカーのシモンズ協力の下、キック・ペダルを増やしたドラム・セットを開発。ハンデをまるで感じさせないところまで持っていくには、もちろんリック自身が血のにじむような努力をしたに違いないけど、それをサラッと、まるで苦労を感じさせず心底楽しいハード・ロックをやり続けているDEF LEPPARD、やっぱり素敵なバンドですよ。曲は「Run Riot」を選出。

試聴 Click!

ということで、コラムの本編。今回はもう決まっておりまして、FLOWER KINGSの最新作『ISLANDS』です。FLOWER KINGSは、元KAIPAのギタリスト、ロイネ・ストルトが率いるプログレ・バンド。1994年にロイネのソロ作『THE FLOWER KING』が発表され、それがバンドとして発展。FLOWER KINGSというバンドとして、1995年に『BACK IN THE WORLD OF ADVENTURES』を発表して以降、『ISLANDS』が14作目になる。彼らのアルバムは、いずれもロイネの叙情的なギターがリードするメロディックなプログレ良作なのだけれど、初期作品のジャケットにはイマイチなものもある。まあ各人の感じ方だと思うが。

ファンタジー系のジャケットというのは、実はとても難しい。特に宇宙系ファンタジーのイラスト・ジャケットは、ややもすると滑稽にみえることがある。それもあってか、FLOWER KINGSの『FLOWER POWER』(1999年)とか、『UNFOLD THE FUTURE』(2002年)は、僕の中では平均点以下のジャケット・センスで、続く『ADAM & EVE』(2004年)には正直ガッカリだった。ところが、『THE SUM OF NO EVIL』(2007年)以降、彼らのジャケット・センスがグッとアート性の高いものになってきている。

そして最新作『ISLANDS』だ。カケレコ・ユーザーなら一目でわかるだろう。そう、、かのジャケット・アートの巨匠ロジャー・ディーンが手掛けているのだ。ロジャー・ディーンって、今76歳だよ?! そのイマジネーションの豊かさときたら!という感動がまずある。ジャケットをよく見ると、空中に浮かぶ島に二人の人影が見える。中央の平らな岩の上には五人の人影が。この両者の間は近いようでもあり、かなりの距離があるようにも見える。また、空中に浮かぶ島は、中央の岩場に近づこうとしているのか、それとも遠ざかろうとしているのか、見る人の現在の心境によって見え方が異なってくる。本作のテーマは孤独や別離。なんとも絶妙なジャケット・アートじゃないか!

曲自体はハートウォーミングなメロディに溢れていて、柔らかかつピースフルな雰囲気のアルバムになっている。前作に比べるとコンパクトな楽曲が多くなっていて、プログレ作だと大上段に構える必要はない。FLOWER KINGSの根本にあるリリカルでファンタジックなセンスは変わらず、モーグやメロトロンといったヴィンテージ・キーボードの音色が似合う温かみのある楽曲が詰まっている。新型コロナウイルスや、それに伴うストレスにさらされて疲弊気味の心にも、スーッとしみ込んでくる作品だ。

それではまた世界のジャケ写からお会いしましょう。

Balck Swan

試聴 Click!



舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第四十四回  HARMONIUM『LES CINQ SAISONS』(カナダ)

【関連記事】

舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第四十四回 HARMONIUM『LES CINQ SAISONS』(カナダ)

コラム「そしてロックで泣け!」が好評だった音楽ライター舩曳将仁氏による、新連載コラム「世界のジャケ写から」。世界のプログレ作品より魅力的なジャケットを取り上げ、アーティストと作品、楽曲の魅力に迫ってまいります。


舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第四十五回  TRIPSICHORD『TRIPSICHORD』(アメリカ)

【関連記事】

舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第四十五回 TRIPSICHORD『TRIPSICHORD』(アメリカ)

コラム「そしてロックで泣け!」が好評だった音楽ライター舩曳将仁氏による、新連載コラム「世界のジャケ写から」。世界のプログレ作品より魅力的なジャケットを取り上げ、アーティストと作品、楽曲の魅力に迫ってまいります。


舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第四十六回  WHITE WILLOW『EX TENEBRIS』(ノルウェー)

【関連記事】

舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第四十六回 WHITE WILLOW『EX TENEBRIS』(ノルウェー)

コラム「そしてロックで泣け!」が好評だった音楽ライター舩曳将仁氏による、新連載コラム「世界のジャケ写から」。世界のプログレ作品より魅力的なジャケットを取り上げ、アーティストと作品、楽曲の魅力に迫ってまいります。

それ以前の「世界のジャケ写から」記事一覧はコチラ!

前連載コラム「そしてロックで泣け!」はコチラ!

FLOWER KINGSの在庫

  • FLOWER KINGS / UNFOLD THE FUTURE

    30分と24分の超大作を含む02年作

  • FLOWER KINGS / WAITING FOR MIRACLES

    現プログレ・シーンの王者と呼ぶべき、ギタリストRoine Stolt率いる人気グループ、6年ぶりとなる19年作!

    ご存じ現プログレ・シーンの王者と呼ぶべき人気グループによる6年ぶりとなる19年作。2015年にキーボードのTomas BodinとドラムのFelix Lehrmannが脱退して以来初のスタジオ作となっており、新メンバーにはZach Kamins(key/g)とMirkko DeMaio(dr)を迎えています。特筆はキーボードの活躍。冒頭からピアノとメロトロンがリリカルに舞うインスト小曲で幕を開けると、力強く溢れ出すヴィンテージ・トーンのオルガンでTFKサウンドに厚みをもたらします。前任者T.BodinよりはKAIPAのkey奏者Hans Lundinに近い柔らかくも芯のあるタッチのプレイが印象的です。メロトロンも随所で北欧プログレらしい透明感を描き出していて、全体のサウンド的にもKAIPA的なファンタスティックさが従来よりも強めかもしれません。もちろんRoineのエモーショナルな入魂ギターを筆頭にスケール大きく展開するTFKらしいスタイルは健在。キーボードのカラーの変化を原動力にして軽やかなファンタジーが全編を覆うさすがの力作です!

  • FLOWER KINGS / ISLANDS

    ギタリストRoine Stolt率いる人気グループ、KAIPAファンにもオススメのドリーミーでファンタジックな2枚組力作!

    ご存じプログレッシヴ・ロック界を代表するギタリストRoine Stolt率いる人気グループ、久々となる2枚組の2020年作。KAIPAのHans Lundinを思わせる柔らかくも芯のあるシンセやオルガンのプレイと、Roineによる歌うように情感豊かなギターがエモーショナルに交歓する、ハードさよりもドリーミーな面を強く感じさせるシンフォニック・ロックを繰り広げます。抜群の安定感でタイトにアンサンブルを支えるリズム隊もいつもながら素晴らしいし、ハスキーながら伸びのある歌声が魅力のHasse Frobergも、熱く歌い上げる力強い歌唱と囁くようにジェントルな歌唱を織り交ぜ、表現力豊かに歌っていてさすがの一言です。S. Hackett周辺で活動するサックス奏者Rob Townshendによるジャジーで軽やかなソプラノ・サックスをフィーチャーしたナンバーも聴き所。ロジャー・ディーンの幻想的なジャケット通りと言える、夢の世界を冒険するようなどこまでもファンタジックなサウンドが胸に迫る作品。KAIPAファンなら是非!

  • FLOWER KINGS / RETROPOLIS

    元KAIPAのギタリストROINE STOLT率いるスウェーデンのシンフォ・バンド、96年の傑作コンセプトアルバム!

    現代北欧プログレを代表するバンドによる96年発表の3rd。ファンタジックで雄大な音の広がりとダイナミズムたっぷりのアンサンブルはデビュー作から変わらず健在ですが、本作ではシンフォニック・ロックというよりはプログレッシヴ・ロック的な骨太さがより強調された演奏が特徴的。シンフォニックで荘厳なシーンとハードタッチなサウンドで突き進むシーンとを巧みに配して劇的に進行していくアンサンブルが見事に決まっています。コンセプト作ならではと言うべき、起伏豊かなドラマ性を湛えたストーリーテリングもまた素晴らしいもので、これこそあらゆるプログレ・ファンに聴いていただきたいと思えるシンフォニック・ロックの傑作です。

「FLOWER KINGSの在庫」をもっと見る

コメントをシェアしよう!

あわせて読みたい記事

中古CD買取案内

カケレコ洋楽ロック支店

新着記事

もっと見る

プロのライター&ミュージシャンによるコラム好評連載中!

文・市川哲史

文・深民淳

文・舩曳将仁

文・netherland dwarf

人気記事ランキング

* RSS FEED

ロック探求特集

図表や代表作品のジュークボックスなどを織り交ぜ、ジャンル毎の魅力に迫ります。