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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』第67回(最終回) GURANFOE / Sum Of Erda (UK / 2019)

本連載では「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことに重点を置き、フランスのプログレッシブ・ロックレーベルMusea Recordsからシンフォニック・ロックアルバムでデビューを果たしたnetherland dwarfが、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を、幅広くご紹介します。「ミュージシャンの視点」とは言っても、各コラムは平易な文章で構成されていますので、楽器が弾けない、専門用語は分からないという場合でも、心配せずにご覧下さい。

第67回(最終回) GURANFOE / Sum Of Erda (UK / 2019)

2012年、イングランド東部に位置するノーフォーク州のノリッジで結成されたのが、ギタリストJames BurnsとOllie Snell、キーボードもプレイするベーシストRobin G. Breeze、そして、やはりキーボードもプレイするドラマーJoe Burnsによるサイケデリック・プログレッシブ・ロック・グループGUMBO VARIATIONです。グループ名の由来は、アメリカを代表するアーティストであるFrank Zappaが69年にリリースした『Hot Rats』収録の楽曲「The Gumbo Variations」でしょう。GUMBO VARIATIONの音源が初めて公に登場したのは2013年であり、スタジオ・ライブ作『Live At Old School Studios』をダウンロード配信。そして2014年、彼らはFrank Zappaのトリビュート・アルバム『Rare Episodes: Frank Zappa’s Unmined Nuggets』に参加しました。未発表音源など、Frank Zappaのマニアックなナンバーを取り上げるというコンセプトの同作において、彼らは「Little Dots」を選曲。さらに2015年には、上記と同じCordelia Records による、FRANK ZAPPA & THE MOTHERS OF INVENTIONの70年作『Weasels Ripped My Flesh』をコンセプトとしたトリビュート・アルバム『Weasels Re-Ripped』にも参加し、「Toads Of The Short Forest」をレコーディングしました。

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2012年 9月に結成されたGUMBO VARIATIONは2016年5月まで活動し、グループ名をGURANFOEに改めました。GURANFOE に改名後も、メンバー・チェンジはありません。上記のように、GUMBO VARIATIONは2013年に初めての音源をリリースしていますが、その後、リハーサル音源やライブ音源などを次々に発表。GURANFOEが管理するダウンロード・サイト(Bandcamp)には、GUMBO VARIATION時代を含めた膨大なカタログが残されています。そういった事情もあって、彼らのディスコグラフィーを正確に把握するのは難しいですが、正式なデビュー・アルバムは2019年作『Sum Of Erda』と考えて問題ないでしょう。

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2019年に発表されたGURANFOEのデビュー・アルバム『Sum Of Erda』には5つの楽曲が収められており、収録時間は約37分となっています。レコーディングは2018年8月から2019年1月にかけて行われ、ノルウェーのApollon Records Progからリリースされました。幻想的なアートワークを手掛けたJohn Hurfordは、サイケデリックな作風を得意とするイギリスのイラストレーターであり、GRYPHONの約40年ぶりのスタジオ・アルバムとなった2018年作『Reinvention』、あるいはOZRIC TENTACLESのギタリストEd Wynneによる2019年作『Shimmer Into Nature』などにもアートワークを提供しています。本作にはGURANFOEの4名に加え、ヴァイオリン奏者Calum McKemmie、フルートとクラリネットを操るRob Milne、リコーダー奏者David Boyce、そしてヴィブラフォン奏者Dan Ball がサポート・ミュージシャンとして参加しています。

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オープニングを飾る「Eventide」は、厳かなサウンド・エフェクトから、彼らが大きな影響を受けたFrank Zappaを想起させるメロディアス且つリズミカルなサウンドが展開されています。彼らは、サイケデリック・ロック、プログレッシブ・ロック、フォーク・ロック、ジャズ・インプロヴィゼーション、エレクトリック・フュージョン、さらにインドの古典音楽(ラーガ)からの影響まで語っていますが、本楽曲においては上記のFrank Zappaに加えて、フルートが軽やかに舞うセクションなどJETHLO TULLからの影響も伺えるでしょう。2曲目の「Night’s First Light」は、GENTLE GIANTを彷彿とさせる偏屈な、しかしやはりメロディアスなエレキ・ギターが耳に残る楽曲。前半部におけるストリングスのドラマティックなサウンド、そしてロマンティシズム溢れるエレキ・ギターのメロディーは特筆に値するものです。また、中盤から後半部にかけては、ジャム・セッションやインプロヴィゼーションを好むGURANFOEらしいサウンドが展開されています。抑揚を抑えたセクションにおいても間延びした印象を与えないのは、それぞれが確かな腕を持ったミュージシャンであることの証でしょう。

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続く3曲目の「Karu Vatsarin」は、やはりFrank Zappaからの影響を感じさせる楽曲であり、GUMBO VARIATIONのグループ名の由来にもなった上記の『Hot Rats』に通じる世界観を持っています。ミニマルなフレーズの反復が多用されており、ヴィブラフォンとのコンビネーションはPIERRE MOERLEN’S GONGを引き合いに出すことも出来るかもしれません。4曲目に収められた「Etsinta Visions」は、本作で最も演奏時間の短い楽曲であり、エレキ・ギターとヴィブラフォンが中心となり、ふたつのコードのみを用いて瞑想的なサウンドを聴かせます。サイケデリック・ロックの音楽性が色濃く表れた楽曲とも言えますが、あるいは最終楽曲が幕を開ける前のインタールードの役割も持たせているのでしょう。そして、本作のエンディングを飾る5曲目の「Etsinta Harvest In The Thar Sands」は、Frank Zappaの音楽性がワルツのリズムと融合するユニークなアプローチの前半部が印象的な楽曲。中盤では、郷愁を誘うリコーダーも登場します。中盤から後半部ではスペース・ロックの音楽性が強く表れますが、スタイリッシュなサウンドを聴かせるOZRIC TENTACLESよりは、トラディショナルな響きに重点を置くフィンランドの(初期の)HIDRIA SPACEFOLKに近いテイストと言えるでしょう。

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GURANFOEの音楽性を語る上でFrank Zappaからの影響は外せませんが、加えて、彼らはJETHLO TULLの牧歌性やGENTLE GIANTの技巧色、あるいはGONGの酩酊感に通じるサウンドも自由自在に操ります。そしてそれらを、GRATEFUL DEADのサイケデリック・ロックで閉じ込めたようなヴィンテージ・プログレッシブ・ロックに落とし込んでいます。そのサウンド・メイクは徹底しており、70年代の、知る人ぞ知る名盤のリマスター音源と紹介されても違和感はないでしょう。


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さて、1990年代のプログレッシブ・ロック・リヴァイヴァル以降にレコード・デビューを果たした新世代のアーティストたちを取り上げるべく2014年10月にスタートした当コラムですが、今回が最終回となりました。プログレッシブ・ロックと言えば、やはり70年代を中心に語られることの多い音楽ジャンルでしょう。しかし、大御所アーティストたちの動向をチェックしつつ、次なる時代を担うアーティストたちの活躍にも是非注目していただきたいところです。

当コラムをお読み下さった皆様、本当にありがとうございました。




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  • GURANFOE / SUM OF ERDA

    ギター主体のサイケデリックなプレイが持ち味の英テクニカル・インスト・プログレ、19年作

    2015年にデビュー、これまでに3作品をデジタル・リリースしている英国のプログレ・グループによる4thアルバム。サイケデリックなトーンでテクニカルに畳みかけるギターを特徴とするインスト・プログレを展開。ヴァイオリンも交えたふくよかでファンタジックなサウンドは初期YESを思わせますが、チェンバー風の緊張感あるパート、古楽をイメージさせるGENTLE GIANT風のパート、そしてOZRIC TENTACLESばりの疾走感でひた走るサイケデリックなパートなどが次々と現れる目まぐるしいアンサンブルに飲み込まれます。それほどの振れ幅を持ちつつ、終始英国らしい「気品」を失わない演奏がまた素晴らしい。GGファンにOZRICファン、そしてアメリカのDELUGE GRANDERなどがお好きな方にもきっと響くサウンドです!

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文・市川哲史

文・深民淳

文・舩曳将仁

文・netherland dwarf

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