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【プログレ温故知新】北欧プログレ【定番】KAIPA->【新鋭】MOON SAFARI

【定番】KAIPA -> 【新鋭】MOON SAFARI

新旧北欧プログレをテーマに、北欧プログレの原点とも言えるスウェーデンのシンフォニック・ロック・バンドKAIPAの75年1stと、今やプログレ・シーン屈指の人気バンドとなった同じくスウェーデンのグループMOON SAFARIによる13年作『HIMLABAKKEN VOL.1』をご紹介いたします。

皆さんは北欧プログレと聞くと、どういうイメージを持たれるでしょうか。鋭く硬質なトーンにシリアスな曲展開、そこはかとなく漂う荘厳な空気感など、北欧の厳しい自然環境はこういう要素をイメージさせるかもしれません。

実際、90年代初頭に登場したANGLAGARDなどのバンドはまさにそのような音楽性を持っていますし、これが北欧プログレの一面であることは間違いないと思います。

しかしここでご紹介するKAIPAは、温かみと豊かなファンタジーに包まれた、北欧プログレの陽の側面とも言うべきサウンドを聴かせてくれるバンドです。

KAIPAは74年に結成されたスウェーデンのバンドで、82年までに5作品を発表し解散、その後02年に再結成され現在も活動を続けています。このバンドについて語る際欠かせないのが、やはりギタリストROINE STOLTの存在でしょう。

KAIPAを経て、ソロ、FLOWER KINGS、TANGENT、TRANSATLANTIC、AGENTS OF MERCYなど、いくつものバンド/プロジェクトに参加してきた今やプログレ界で最も忙しいアーティストと言える人物です。

ではその彼が若干18歳で結成に参加したKAIPAの記念すべき75年デビュー作からオープニングを飾るこのナンバーを聴いていただきましょう。

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CAMELを彷彿させる優美さにクラシカルな格式が加わったメロディ、淡い色調で広がるキーボード・サウンドとROINEのエモーショナルなギターによって描かれる透明感溢れるアンサンブル。うーん、素晴らしいですね。

英国プログレを思わせる端正でクセのない音作りながらも、オルガンやシンセ、そしてギターと音の純度が非常に高いところに北欧産ならではの特徴を感じ取ることができます。

現在までのROINEの八面六臂の活躍が全てこの一曲から始まったと思うと、何だか感慨深いものがありますよね。のちに彼の特徴となるエモーショナルで深みのあるギター・サウンドとは異なり、ヴォリューム奏法を多用した繊細なタッチを重視した演奏が特徴的です。SAMLA MAMAS MANNAやKEBNEKAIJE、TRETTIOARIGA KRIGETらとともに70年代北欧プログレを彩った傑作ですよね。

なお、02年にROINEとキーボードのHANS LUNDINによって再結成されたKAIPAですが、彼らの在籍時は勿論のこと、二人が抜けた後にもかなりの力作を発表していますので是非聴いてみていただければと思います。


さて、90年代初頭にANGLAGARD、ANEKDOTENなどが登場して以降、ヘヴィで硬質なシンフォニック・ロックを演奏するバンドが増えてきた北欧プログレ界ですが、KAIPAを始めとする70年代の北欧プログレ・バンドが持っていた音の透明感やメロディを大切にした曲作りなどを、見事に受け継ぎさらに発展させることで高い人気を獲得した新鋭バンドがいますよね。そう、スウェーデンの新星MOON SAFARIです。

MOON SAFARIはスウェーデンの北部に位置する都市シェレフテオ出身のメンバーによって03年に結成されたバンドで、結成当時のメンバー構成はキーボード/リード・ヴォーカルのSIMON AKESSON、アコースティック・ギター/リード・ヴォーカルのPETTER SANDSTROM、ギターのANTHON JOHANSSON、ベースのJOHAN WESTERLUND、ドラムスのTOBIAS LUNDGRENの5人組でした。

結成後、さっそくレコーディングしたデモがROINE STOLT率いるFLOWER KINGSのKEY奏者TOMAS BODINに認められ、05年にはBODINによるプロデュースの下、デビュー作を発表する運びとなります。

05年1st、08年2nd、10年3rdと作品ごとに高まる完成度に連動するように、プログレファンの人気も高まっていきます。12年にはアメリカ公演も成功させ、人気バンドの座を不動のものにしました。13年1月の来日公演でも素晴らしいパフォーマンスを披露してくれましたよね。

そんな彼らが満を持してリリースしたのが、4作目のフルレンス・スタジオ・アルバムとなる『HIMLABACKEN VOL.1』です。
まずは、本作からの音源をお聴きいただきましょう♪

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いかがですか?いかにも北欧的な透明感とファンタジックな色彩感の両方を感じさせるマジカルなメロディに、どこまでも親しみやすいサウンドメイクを可能にするポップセンス、そしてハートフルな温かみに溢れたヴォーカルと一糸乱れぬ自在のコーラスワーク。全ての要素が理想的なバランスで交じり合い、この珠玉のサウンドを紡ぎ上げていきます。演奏は前作と比較してアグレッシヴに疾走するパートが加わっており、アンサンブル面でもさらなる表現の広がりが生まれているのが特徴。演奏テクニックにもますます磨きがかかってきているのが本作ではよくわかりますよね。

それにしても前作『LOVER’S END』のあまりの完成度の高さからピークを迎えたかに思われた彼らでしたが、まだまだ進化を続けている途中であることを本作は証明していますね~。VOL.1と付いたタイトルから本作の続編が近いうちに発表されるのかも知れません。期待したいところですよね。



というわけで、今回はこれぞ北欧!という要素を存分に味わえる新旧2つのバンドをご紹介してまいりました。ただ彼らのような陽の要素を強く持つバンドがいるかと思えば、ANEKDOTENやANGLAGARD、WOBBLARのような陰の要素をより感じさせるバンドもいて、そのどちらもそれぞれに北欧らしさを主張するサウンドを聴かせているところに、北欧シーンの懐の深さが感じられますよね。

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  • KAIPA / MINDREVOLUTIONS

    再編後の3作目となる05年作、オリジナル・メンバーのRoine Stolt & Hans Lundin他、TFKのJonas Reingold、MATS/MORGANのMorgan Agren、RITUALのPatrik Lundstromなど強力メンバーが集結!

  • KAIPA / ANGLING FEELINGS

    スウェーデン・プログレの黎明期を担った名グループ、オリジナル・キーボーディストHANS LUNDINを中心に強力メンツを揃えた07年作!

    オリジナルkey奏者Hans Lundinを中心に、MATS/MORGANのMorgan Agren(dr)、RITUALのPatrick Lundstrom(vo)など強力メンツによる07年作!

  • KAIPA / VITTJAR

    北欧を代表するシンフォ・バンド、12年作

  • KAIPA / NATTDJURSTID

    スウェーデンを代表する名グループ、ニューウェーブ然とした82年作

    スウェーデンを代表する名グループ、82年リリースの5作目。打ち込みを大幅に導入した80年代然としたニューウェーブ/エレポップ・サウンドを展開。

  • KAIPA / SOMMARGRYNINGSLJUS

    ご存じ北欧シンフォニック・ロックを牽引する人気グループ、24年リリースの15thアルバム!

    名実ともに北欧のレジェンドと言えるシンフォニック・ロック・グループ、24年リリースの15thアルバム。女性ヴォーカルAleena Gibsonの物悲しい歌唱から幕を開け、北欧の雪原や雪深い森を映し出すような叙情的で粛々とした演奏が続く序盤から、悠然と立ち上がっていくKAIPAの世界観に惹きこまれます。Patrik Lundstromのヴォーカルも加わって、男女のヴォーカルがエモーション溢れる歌声を引き継ぐと、力強く躍動し始めるギターとシンセサイザー。この1〜2曲目にかけて徐々に熱くドラマティックに盛り上がっていく展開が言葉を喪う程に素晴らしい。この揺るぎなき音世界は彼らにしか見いだせない境地と言っていいでしょう。Hans Lundinの色彩溢れるキーボードも最高の、北欧シンフォ然としたファンタスティックで気品高い3曲目も絶品です。持ち前の圧倒的スケールと情景描写力が見事に発揮された、今作も傑作と呼ぶべき内容です。

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MOON SAFARIの在庫

  • MOON SAFARI / HIMLABACKEN VOL.2

    00年代プログレを代表するバンドの一つと言えるスウェーデンの人気グループ、23年作、待望の「HIMLABACKEN」第2部!

    00年代プログレを代表するバンドの一つと言えるスウェーデンの人気グループによる、待望の「HIMLABACKEN」第2部となる23年作!高らかに響くシンセサイザーにキラキラしたピアノが寄り添うワクワクするような冒頭、そこにリズム隊とギターがバーンッと入ってくると一気に視界が開けます。ギターの流麗なフレーズを合図に、お待ちかねの力強くも優しさに溢れたコーラスが飛び出してきて、10年待ち続けた身としては早くも感動。まばゆいばかりのオープニングに、ファンであれば「MOON SAFARIが帰って来た…!」と呟いてしまう事でしょう。ハードなギターとドラマティックに歌い上げるヴォーカルになんとJOURNEYがよぎるキャッチーな2曲目、かと思うと『LOVER’S END』に入っていそうなめくるめくポップ・チューンの3曲目も実に素晴らしい。必殺のコーラスワークが劇的に盛り上げる胸を打つバラードの4曲目も最高です。そして21分の大作がまた聴きモノ。ストリングスが荘厳に迫りくるQUEENばりの導入部に始まり、ハートフルでメロディアスなMOON SAFARI節のヴォーカル・パートを経ると、シンセとギターがアグレッシヴに疾走しシアトリカルなヴォーカル&コーラスが登場する『II』『オペラ座』QUEEN彷彿の展開が再び幕を開けます。終盤には彼ららしい美麗なコーラスを生かしたファンタスティックな演奏へと回帰し、北欧の雄大な自然を映し出すようなイマジネーション溢れるサウンドでエンディングを迎える、この一大シンフォ絵巻には間違いなく圧倒されてしまうはず。抜けるようにファンタジックで爽快な演奏と、マジカルなコーラスワーク、そして珠玉のメロディ。そんな変わらぬMOON SAFARI印のサウンドを核としつつも、エッジの効いたメロディアス・ハード的表現や初期QUEENばりの荘厳さなど新たな要素も織り込んで、前進する彼らの姿を浮き彫りする傑作に仕上がっています。文句なしのカケレコメンド!

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