2019年8月3日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
ロック・フェスの原点にして空前絶後の一大音楽イベントとなった1969年の「ウッドストック・フェスティバル」より、ちょうど50年が経ちます。
ここでは、参加した英国のアーティストたちに焦点を当てて、出演背景やステージでのパフォーマンスの模様に触れていきたいと思います!
なお、ウッドストック・フェスティバルの全容については、こちらの特集記事をご覧いただければ幸いです。
フェス2日目の8月16日夕方、英国のアーティストとしては一番手でステージに上がったのが、Keef Hartley Bandです。
Beatlesに加入するためRingo Starrが脱退したRoly Storm & The Hurricanesに、後任として参加したところからプロキャリアを開始、名門John Mayall & The Bluesbreakersでも活躍したドラマーKeef Hartleyをリーダーに、68年に結成されたブルース・ロック/ブラス・ロック・グループ。後にソロでも活躍するギター/ヴォーカルMiller Andersonや、Uriah Heepのベーシストとして著名なGary Thainらが在籍しました。
69年にデビュー作『Halfbreed』を発表すると、ジミヘンやザッパら大物たちからの好評も手伝って、早くも注目の存在となります。
その勢いのまま、同年に2nd『The Battle Of North West Six』を制作。リリース前にアメリカ・ツアーが決まり、その初日のステージこそがウッドストック・フェスティバルでした。
「Spanish Fly」から始まって『Halfbreed』からのメドレーなど、45分の予定で組まれていたところを約一時間にわたって演奏を披露。コシのある強靭なグルーヴに乗ってブラスとギターが熱気たっぷりに絡む、貫禄のパフォーマンスに痺れます。
なお音源化および映画化の際、マネージャーが高額なギャラを要求したことで交渉が決裂。出演シーンは全カットという憂き目に遭ってしまいました…。
ちなみにウッドストック出演時のエピソードは、彼の自伝『ブリックヤード・ブルース』で読むことが出来ますよ♪
Keef Hartley Bandに続いて登場したのが、Incredible String Band。
マルチ・プレイヤーのRobin Willamson、Clive Palmer、Mike Heronらによって66年に結成、様々な民族音楽/民族楽器を取り入れた無国籍かつ自由奔放なフォーク・スタイルを特徴とする名グループです。
69年までの3年間で7枚のアルバムをリリースするなど精力的な活動を展開していた彼らに、ウッドストックの主催者Michael Langより出演オファーの電話がかかります。
当初彼らはフォーク系アーティストをメインとする1日目に出演が予定されていましたが、雨が降る中での演奏に難色を示したことで急遽翌日の出演枠に変更。初日の空き枠には米女性SSWのMelanieが出演しました。
主にハード・ロックやサイケデリック・ロックのアーティストが出演した2日目は、観客もそういった激しいサウンドを期待していました。そんな中でステージに立った彼らは、味わいのある好演を披露しながらもその反応はやや寂しいものだったようです。
演奏された「Invocation」「The Letter」「When You Find Out Who You Are」が当時まだ未発表のナンバーだったことも、盛り上がりに欠けた要因だったのかも知れません。
おまけにKeef Hartley Bandと同じく彼らの出演シーンもカットされてしまったため、本人たちの心境は分からないものの、状況を見る限りでは彼らのウッドストックは散々と言ってもいいものでした。
出演した英国出身アーティストの目玉として、2日目トリのJefferson Airplain前に演奏したのがThe Whoです。
69年作『Tommy』のリリースに伴う大規模ツアーの最中で疲弊していたこともあり、打診に対して消極的だったPete Townshendを、運営スタッフが必死に説得したことで実現したという彼らのウッドストック出演。
夜10時の出演予定から大きく遅延して早朝4時台から始まった彼らのステージですが、それが図らずも演奏中徐々に夜が明けて日が昇ってくるという自然の演出をもたらしました。
「We’re Not Gonna Take It」「Pinball Wizard」「See Me, Feel Me」といった『Tommy』からの曲をメインに、「Summertime Blues」「My Generation」なども含んだ1時間超のパフォーマンスを披露。
カリスマ性の塊のようなRoger Daltrey、いつにも増してエネルギーに満ちた激しいギタープレイで魅せるPete Townshend。猛烈な手数と爆音でゴリゴリ迫ってくるKeith Moon & John Entwistleのリズム隊も破壊力抜群です。最後はお決まりのギター破壊で締め。
これぞ「世界一のライヴバンド」の面目躍如たる名演と言って間違いないでしょう。
彼らの演奏中は、客同士の喧嘩が勃発したり活動家がステージに乱入してきたりと、フェス中屈指の盛り上がりを見せると同時に会場はかなりの荒れ模様でした。ちなみにこの活動家はタウンゼントにギターで殴りつけられたらしいです…。
3日目の1番手でステージに上がったのが、当時乗りに乗っていたJoe CockerとバックバンドのGrease Bandでした。
このソウルフルな熱唱スタイルを持ち味とするヴォーカリストは、68年にビートルズのカバー「With A Little Help From My Friends」によって全英1位に輝き、一躍大ブレイクを果たします。
そしてその人気をアメリカにおいても不動のものとしたのがウッドストックでの圧巻のパフォーマンスです。
全部で5曲をプレイしていますが、映画にも収録された「With A Little Help From My Friends」は何度観ても強烈。
のちにWINGSでもプレイする名手Henry McCulloughのギターに合わせた渾身のエアギター、そしてありえないほどに力んで発せられるがなるようなヴォーカル、その振る舞いすべてがとにかくインパクト絶大です。個人的には一度観てしまうと、その日中は頭に焼き付いて離れないほど。
このウッドストックでの評判を足がかりにして、翌70年にはLeon Russellとタッグを組んだ大規模なアメリカ・ツアーを敢行。本格的にアメリカへと軸足を移して活動していくことになります。
Joe Cockerのあと、Country Joe and the Fishに続いての登場が、英国からは最後のグループとなったTen Years Afterです。
66年にデビューして以来、ハード・ロック的アグレッシヴさを含んだブルース・ロックを鳴らして人気を博していた彼ら。
ウッドストック前年の68年にはすでにアメリカ・ツアーを経験していたのですが、本格的なアメリカでのブレイクはウッドストックでのステージがきっかけとなりました。
彼らの成功を決定づけた、代表曲「I’m Going Home」のパフォーマンスがこちら。
注目は言うまでもなく、「元祖速弾きギタリスト」Alvin Leeによる超高速なギタープレイ!
フルピッキングでパワフルに弾き倒すスタイルにはギターヒーローとしての資質がみなぎっています。(かなり顔でも弾いてらっしゃいますが。)
69年という時期にこれを観せられたら間違いなく唖然となってしまうレベルの演奏。観客の熱狂ぶりは歓声の大きさが物語っていますね。
そして演奏終了後、ステージに投げ入れられたスイカを抱えて満足げにステージをあとにする彼の姿が一際印象的です。
英国から参加した5アーティストに注目して改めてその映像を見てみましたが、それぞれがしっかり持ち味を発揮した好演を聴かせてくれていましたね。
中には不運に見舞われ、長らく人々の目に触れることの無かった演奏もありました。
しかし今年6月、ついに全参加アーティストの演奏を収録したCD10枚組ボックスセットがリリースされたのをご存じの方も多いと思います。
いずれは映像版もぜひ出してもらいたいところです。
ジョン・メイオール率いるブルースブレイカーズを経て、キーフ・ハートレイが結成したグループ。70年にデラムよりリリースされた3rd。前作からヘンリー・ローザーが正式メンバーとなり、彼を中心とするホーン・セクションをフィーチャーした淡いブラス/ブルース・ロックへと方向を移しましたが、本作もその延長線上にあるサウンドを聴かせています。特筆なのは、ミラー・アンダーソンがほとんどの作曲をしていること。彼がつむぐ英国叙情に溢れた流麗なメロディに、淡くブラスがからむ落ち着いたトーンの楽曲がじんわりと胸に染みます。シンガー&ギタリストとしていぶし銀の才能をみせていたミラーがソングライターとしても覚醒。彼の才能と、バックの英ロック・シーンきっての猛者たちによる味わい深いアンサンブルとがからみ合った極上の一枚。英ロック屈指の傑作です。
ビートルズ加入のためリンゴが脱退したロリー・ストーム&ザ・ハリケーンズの後任ドラマーとしてプロデビューを果たし、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズを経た、実力派ドラマーKeef Hartleyが率いたグループ、69〜71年のラジオ・セッション音源。グループの中核を担うギター/ヴォーカルMiller Andersonや名トランぺッターHenry Lowther(本作ではゲスト扱い)らバンドメンバーの好演は勿論、ソフト・マシーンにも在籍したサックス/フルートのリン・ドブソンらゲスト奏者らによるホーン・セクションの活躍も聴き所。全11曲。
ジョン・メイオール率いるブルースブレイカーズを経て、キーフ・ハートレイが結成したグループ。69年にデッカ傘下のデラムよりリリースされた1stアルバム。キーフのタイトで重みのあるスリリングなドラム、キーフが自伝の中で「今でも俺はロバート・プラントより良いヴォーカルだと思ってるぜ」と絶賛するミラー・アンダーソンのエモーショナル&ソウルフルなヴォーカル&雄弁なブルース・ギター、そして、ゲスト参加したヘンリー・ローザーの英国らしく淡くむせぶジャジーなトランペット。ウッドストックに出演し、本場米国のブルース・マンも魅了した英ブルース・ロックの傑作。派手さはないものの、聴けば聴くほどに味わいが増す、激渋&いぶし銀の逸品です。
Mike Heron、Robin Williamson、Clive Palmerにより結成された英フォーク・グループ、Joe Boydのプロデュースによる66年作の記念すべき1stアルバム。弦楽器、リコーダー、マンドリンをフィーチャーし、66年作とは思えない革新的なサウンドに溢れたアシッド・フォークの逸品。
Mike Heron、Robin Williamsonを中心とするISBの67年作2nd。アコースティック・ギター2本による巧みなアンサンブルを基に、シタール、ダルシマー、フルートなどによるエキゾチックな味付けが施されたサウンドはなんとも魅惑的。リラックスした雰囲気の中にも格調高さが感じられるサウンドは唯一無二。
ウィリアムソン、ヘロン、シンプソンに加え、リコリス・マッケンジーを迎え発表された5作目。68年作。さまざまな民族楽器の特性を生かしつつ、ひとつひとつの楽曲が精巧な透かし細工のごとく繊細に紡がれた名作。
英国フォーク・グループの雄、66年〜72年のレア音源集!活動初中期、69-72年に録音された未発表発掘音源から編纂、選曲された、2枚組編集盤です。デビュー作前の66年10月録音、「Relax Your Mind」や、米ラジオ放送用に録音された68年5月スタジオ・ライヴから「Douglas Traherne Harding」、「See All The People」、「Maya」未発表ライヴ音源等、レアな貴重音源を多数収録。英国トラッドの出自と言えど、何処か東洋的であったり、プレ・ワールド・ミュージックな音楽スタイルは、後続のフォーキー達、とりわけ現代の英米フリー・フォーキーにも多大な影響を与えているのも、この表情豊かな楽曲群から窺い知れることでしょう!
アイランド移籍第一弾、通算では9作目にあたるアルバム。彼等が1stから一貫して持つ「けだるさ」はそのままに、エレクトリック・ギター、ピアノを全面に押し出した多彩なサウンドが絶品。やはり一筋縄では行かないバンドです。
2枚組、SHM-CD、定価2286+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
帯にケースツメ跡あり、カビあり、小さいウォーターダメージあり
65年リリースの記念すべきデビュー作。プロデュースは、KINKSの1stと同じシェル・タルミー。キース・ムーンの超人的なドラムと暴れ回るエントウィッスルのベースによるドライヴ感いっぱいのリズム隊。タウンゼントのエッジの立ったリズム・ギター。ダルトリーのエネルギッシュなヴォーカル。まさに鉄壁のアンサンブル。そしてエバーグリーンなメロディ。素晴らしすぎる永遠のデビュー作。
DELUXE EDITION、デジパック仕様、スリップケース付き、2枚組、デラックス・エディション、デジタル・リマスター
盤質:傷あり
状態:良好
スリップケースにスレあり
69年5月にリリースされた、彼らの通算5作目、初の2枚組コンセプト・アルバム。リーダーであるPete Townshendの幼少期の辛い記憶をインスピレーションの源泉としたこの大作は、不倫した父親を母親に殺され、ショックで盲目になってしまったTOMMY少年が主人公。PETE自身、今まで全く知識のなかったオペラを勉強して、その構成を学んだというこの作品は、ロックンロール、資源の開発問題、宗教団体、ドラッグ問題、子供への虐待、セックスと言った今日の社会でもより一層深刻化しているテーマを取り扱っており、「一個人の体験が大きな精神的意味を持ち得る」「目醒めたもの」を制作したいというPETEの強い意思が感じられる作品となっています。「個の魂の救済」を根幹に据えた、歴史的傑作です。
結成30周年記念コレクション、2枚組、定価3262
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯はケースに貼ってある仕様です・帯に若干スレあり
2枚組、シール帯仕様(税表記無し)、86年規格、定価5800
盤質:傷あり
状態:並
帯有
帯はケースに貼ってある仕様です、若干カビあり
デジパック仕様、2枚組、SACD、デラックス・エディション、スリップケース付仕様
盤質:傷あり
状態:良好
本作は、71年に発表されたWHOの第5作目。冒頭曲の「BABA ORILEY」は反復するシンセサイザーのフレーズが印象的ですが、これはミニマル・ミュージックの先駆者、Terry Rileyからの影響を受けたもの。このことからも、彼等がモッズ・バンドとしてキャリアをスタートさせ、その後、前作の『TOMMY』で確立させたロック・オペラの先へと遥かな音楽的変遷の中を果敢に前進していたことが、端的に伺えます。シンセサイザーの大胆な活用や、長尺曲が並ぶ事からも、ある種プログレッシヴな方法論を取り入れているとも言えるでしょう。元々は未完に終わった『ライフ・ハウス』というプロジェクトの元で録音されていたものですが、無限の宇宙や自然にまで言及して行く詩の世界も含めWHOの新境地でもありました。
86年規格、シール帯仕様(税表記無し)、定価3300
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
ケース不良、ケースにスレあり、帯はケースに貼ってある仕様です・スレあり
DELUXE EDITION、デジパック仕様、2枚組、03年デジタル・リマスター、スリップケース付き仕様
盤質:傷あり
状態:良好
スリップケースに黄ばみあり
THE WHO最盛期の一瞬間を捉えた、70年2月14日、英国リーズ大学でのライヴ盤がこちら。かのニューヨーク・タイムズ誌に「史上最高のロック・ライブ・アルバム」とさえ賞された今作は、彼らのデ代表曲が猛烈な熱気と共に満載に披露されています。ビュー・シングル「I Can’t Explain」、『WHO SELL OUT』から「TATOO」、大人気曲「SUBSTITUTE-恋のピンチヒッター」、英国的旋律が優しい「HAPPY JACK」、間違った性に生まれてしまった少年の歌「I’M A BOY」、そして世代を超えた若者の永遠のアンセム「MY GENERATION」等々、世界最高級のロック・バンドの最盛期の熱狂的な演奏を永遠に封じ込めた、最高級のライヴ盤!
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