プログレッシヴ・ロックの中古CD豊富!プログレ、世界のニッチ&ディープな60s/70sロック専門ネットCDショップ!

プログレ、60s/70sロックCDのネット通販/買取

24時間以内発送(土・日・祝は翌営業日)、6,000円以上送料無料

<ロック黄金時代回想企画>1969年デビュー・アルバム特集Vol.7 ー YES『YES(イエス・ファースト・アルバム)』

こんにちは。スタッフ佐藤です。

3月より連載中の特集「ロック黄金時代回想企画【1969】」。

ちょうど今から50年前、ロックが多様なスタイルへと細分化していく転換期と言えた1969年に着目し、ロック史に名を残す重要アーティスト達による69年デビューアルバムを連載形式で取り上げていきます。

今回は、プログレッシヴ・ロックの歴史そのものと言える偉大なバンド、イエスが1969年7月25日に発表したデビュー・アルバム『YES(イエス・ファースト・アルバム)』を取り上げます!

アルバムデビューまでの経緯

イエスの半世紀に及ぶ歴史は、ヴォーカリスト ジョン・アンダーソンとベーシスト クリス・スクワイアの出会いに始まります。
まずはイエスの二本柱と言える2人について簡単に触れていきましょう。

ジョン・アンダーソン

イエスのリード・ヴォーカリストであり、名実ともにプログレ・シーンを象徴するヴォーカリスト。繊細ながら華のあるハイトーン・ヴォイスで、多くのプログレ・ファンを魅了してきました。純粋な美声というわけではなくハスキーさも帯びた声質ながら、ヘヴンリーな聴き心地の良さを持つその歌声はまさに唯一無二と言えます。

62年、兄トニー・アンダーソンと共にTHE WARRIORSに加入し音楽活動を開始。このバンドのドラマーは後にキング・クリムゾンへと加入するイアン・ウォーレスでした。64年にデッカよりシングル「You Came Along / Don’t Make Me Blue」をリリースし、バンドは67年に解散。

翌68年にはハンス・クリスチャンという芸名で「Never My Love」「(The Autobiography Of) Mississippi Hobo」という2枚のシングルを発表します。

また同年、彼を担当していたEMIのプロデューサーでミュージシャンのポール・コルダが、ジョンをガーヴィッツ兄弟率いるザ・ガンと引き合わせ共にバンドを組ませようと計画。この時おこなわれたギグは大変評判を呼びますが、それに気をよくした兄弟がジョンなしでもやれると確信したことで、ジョンはあっさり解雇されてしまいます。ちなみにジョンの解雇が知れると、次のギグには全然人が入らなかったとか。

ガーヴィッツ兄弟は翌年にハード・ロック黎明期の名盤と言える1stを発表しその後も一定の成功を収めますが、ジョンおよびイエスのこの後の大活躍を考えると逃した魚は大きかったのかもしれません。



クリス・スクワイア

頼れるリーダーとして全盛期イエスを牽引した不動のベーシスト。2015年に惜しまれつつ他界した彼ですが、結成以来イエスに在籍し続けた唯一のメンバーです。リッケンバッカーベースを愛用し、イエスの緻密でテクニカルなアンサンブルの原動力を担いつつも、トレブルを巧みに使った派手なプレイを得意としました。プログレのみならずロック界全体を見ても最高峰のベーシストであったことに疑う余地はありません。

65年に5人組R&BグループTHE SYNを結成。後にオリジナル・ギタリストと入れ替わる形でイエスの初代ギタリスト、ピーター・バンクスが加入します。66年にプロデビューを果たし、67年にデラムから2枚のシングル「Created By Clive / Grounded」「Flowerman / 14 Hour Technicolour Dream」をリリース、同年11月に解散。

そしてその翌月の12月には、クリスとピーターを含む4人で新バンドMABEL GREER’S TOYSHOPを発足させます。このバンドこそイエスの母体にあたるグループです。


イエス結成メンバーの集結

結成直後のMABEL GREER’S TOYSHOPからピーター・バンクスが脱退しますが、そこに現れたのがジョン・アンダーソンでした。ロンドンのとあるナイトクラブで出会ったジョンとクリスは意気投合し、ジョンはMABEL GREER’S TOYSHOP加入を決意。その後別バンドでの活動を終えたピーターも復帰します。

バンドは有名なマーキークラブを含むロンドンのクラブや大学を回ってギグを行ない、徐々に知名度を上げていきます。BBCの名物DJジョン・ピールからもお呼びがかかり、彼の番組で曲をプレイしたこともあったようです。

さらにメンバー募集広告を見たドラマーのビル・ブルーフォードが加入。ピーターがその名を考案した新たなバンド「イエス」での始動に向けて動き出します。デビューメンバーの最後の一人であるキーボード奏者トニー・ケイもこの時期にバンドに加入しました。

その後はビルの一時離脱などありながらも、マーキークラブでのギグを積極的におこないイエスというバンドの評判はどんどん高まっていきます。それに伴い、英ツアーのステージをキャンセルしたスライ&ザ・ファミリーストーンの代役として出演したり、クリームの解散公演やジャニス・ジョプリンの英公演で前座を務めたりと大役を任される機会も増えていきました。

そうしてイエスは満を持してアルバム・デビューを迎えるのです。

69年デビューアルバム『YES』

英国のロック・バンドとして初めてアメリカを本拠とする大手レコード会社アトランティックと契約を交わしたイエスは、69年7月25日にデビュー・アルバム『YES』をリリースしました。

そのサウンドは実に69年という時代らしい、サイケデリック・ロック、フォーク・ロック、ジャズなどの要素が複合されたいわゆる「アート・ロック」と呼ぶべきもの。ただ、その言葉から連想される実験性や長尺のインストといったものはさほど目立たず、ポップな歌ものロックとしての魅力が際立っているのが特徴です。6分前後の楽曲を多く含みながらも全編無駄なくスタイリッシュに聴かせる音像は、まだ60年代の音楽とは思えないほどに洗練されていて驚きます。

後のイエスの特徴となる組曲形式も取り入れた構築的なサウンドはまだ登場していませんが、このデビュー作の時点で既にモンスター・バンドとなり得るポテンシャルをひしひしと感じさせますよね。

そのあたりが実感できるナンバーをご紹介していきましょう。

Beyond and Before

前身バンドMABEL GREER’S TOYSHOP時代にクリスとギタリストのクライヴ・ベイリーが共作した、本作のオリジナル曲の中で最初に生まれたのがこのOPナンバー。コーラスを伴ったポップなヴォーカルに対し、サイケデリックに唸るギターと硬質なリズムがゴリゴリと鳴らすアグレッシヴな演奏が炸裂します。リリカルな終盤に存在感を発揮するオルガンはファンタジックな浮遊感を演出。各メンバーがしっかりと持ち味を出しており、デビュー当時のイエスを知るにはまさにうってつけの一曲です。

試聴 Click!

Yesterday And Today

ジョンの優しい歌声とそれを包み込むようにデリケートなフォーク・タッチの演奏に癒されます。こういう曲が様になるのは、やはりジョン・アンダーソンという稀有なヴォーカリストの存在あってこそでしょう。これほどの歌を持っていながらThe Warriors加入時はヴォーカリスト志望ではなかったというから驚きですね。

試聴 Click!

Looking Around

初期イエスの持ち味であるスケール大きく躍動感あるアンサンブルの原型は間違いなくこの曲にあり!デビュー時の勢いをそのまま伝えるような生き生きとした演奏が良いですね。オルガンも元気よく鳴っていて、ギターとの息の合ったコンビネーションが実にカッコ良し。

試聴 Click!

Every Little Thing

当時のイエスはカバーも聴き所。2曲目のバーズ『I See You』のジャジーなカバーもさすがのセンスでしたが、このビートルズカバーも凄い。スリリングなインストが2分近く続き、ようやく原曲のメロディを弾きはじめる大胆な構成にビックリします。原曲へのリスペクトを感じさせつつ、イエスらしいファンタジックで広がりある演奏でダイナミックに再構築した名カバーですね。

試聴 Click!

Survival

イントロからしてカッコ良すぎる疾走感たっぷりのラストナンバー。原動力となっているのは勿論ドライヴ感満点のベースです。一方ヴォーカルパートはしっとり叙情的かつドラマチックに聴かせていて静かな感動を呼びます。エンディングの各楽器がフレーズを繰り返すところが大好きです。

試聴 Click!



う~む、イエスはやはりデビュー時からとんでもないバンドでした。この創造性豊かなサウンドはプログレ・バンドとして名を馳せる全盛期の作品群にも決して引けを取っていないと思います。そこにデビュー作らしい勢いが加わっていて、本作でしか味わえない魅力をたっぷりと含んでいるのは誰もが認めるところではないでしょうか。

あらゆる音楽を「肯定」し受け入れ血肉とした彼らだからこそ生み出すことが出来た作品であり、「プログレッシヴ・ロック・バンド」イエスの原点が間違いなくこの作品にあります。




コメントをシェアしよう!

あわせて読みたい記事

中古CD買取案内

カケレコ洋楽ロック支店

新着記事

もっと見る

プロのライター&ミュージシャンによるコラム好評連載中!

文・市川哲史

文・深民淳

文・舩曳将仁

文・netherland dwarf

人気記事ランキング

* RSS FEED

ロック探求特集

図表や代表作品のジュークボックスなどを織り交ぜ、ジャンル毎の魅力に迫ります。