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URIAH HEEP来日公演@ビルボードライブ東京(3/21) ライブレポート

こんにちは。カケレコ・スタッフ増田です。

3月21日にビルボードライブ東京で行われた、ユーライア・ヒープ来日公演の1stステージを観てまいりました。

2016年1月にクラブチッタ川崎で行われた公演から3年ぶりとなる来日。今年で結成50周年という記念すべき節目でもあった彼らのステージの模様をお届けいたします!

ご存知レッド・ツェッペリンやディープ・パープルと並び70年代ハード・ロックの雄として掲げられる英国のグループ、ユーライア・ヒープ。70年代に活躍し今もなお活動を続けるバンドは多数存在しますが、彼らの場合は69年の結成から一度も解散を経ることなく、現在も勢力的にライヴやアルバムリリースを続けているというのだから驚異的です。昨年18年にもなんと25番目のスタジオ・アルバムとなる新譜『LIVING THE DREAM』をリリースしており、今回はそのツアーの一貫として日本を訪れてくれました。

メンバーは16年と同様、以下の5人。

Mick Box – GUITAR
Bernie Shaw – VOCAL
Phil Lanzon – KEYBOARD
Davey Rimmer – BASS
Russell Gilbrook – DRUMS

86年から在籍するベテランのバーニー・ショウ&フィル・ランゾンに、07年から加入したラッセル・ギルブルック&12年加入のデイヴィー・リマーという若いリズム隊。そして結成時より不動のギタリスト、御年71歳のミック・ボックス!既に長年を積み上げてきているこのラインナップ、しかもアルバムをリリースしたばかりという脂の乗った状態でのバンドの演奏に期待が高まります。


ステージのオープニングを飾るのは新作『LIVING THE DREAM』の1曲目「Grazed By Heaven」。初っ端からいきなりパワフルな音圧で襲いかかるアンサンブルに大興奮!普段のビルボードライブだと割合静かに聴き入るような公演が多いと思われますが、しかし彼らは現役のハード・ロック・バンド。間近で鳴らされる重厚なサウンドにベテランのファンたちも腕を振って応え、1曲目から会場の温度は一気に上昇しました。

曲が終わると「コンニチハ!…いやコンバンハの時間かな?」と朗らかに挨拶するバーニー・ショウ。続く2曲目はジョン・ウェットンが在籍した75年作のタイトル曲「Return To Fantasy」。おなじみの「ダッダダッダ」というギャロップ・ビートに乗せて重厚に鳴り響くハモンドの音色、そして荘厳なコーラス・ワーク。ミック・ボックスのワウワウ・ギターも炸裂し、これぞユーライア・ヒープ!と言えるサウンドを披露します。

続いては再び新譜から「Take Away My Soul」。これが格好良かったです!新譜『RETURN TO FANTASY』を聴いた時もベテラン・バンドとは思えぬ活き活きとしたハード・ロック・ナンバー揃いで感動しましたが、生だとさらに素晴らしい。ミック・ボックスの衰え知らぬ切れ味鋭いギター・リフに、会場に響き渡るバーニー・ショウのソウルフルなハイトーン・シャウト。ドラマチックな中間部から分厚いハモンドによるスピーディーなソロへと雪崩れ込むパートはハード・ロック・ファン歓喜!

そして今回印象的だったのが、メンバーの中では若手であるギルブルック&リマーのリズム隊。ミュージシャンとしては全く衰えていないものの、やはり白髪を蓄えた見た目であるミック&バーニー&フィルの3人と、メタル・バンドから引き抜いてきたようなリズム隊2人はヴィジュアル的にはコントラストがありますが、バンドとしての一体感は文句なし。さらにど派手なドラミングを筆頭としたリズム隊の地の底から響くような重厚感&エネルギッシュさとベテラン3人による「往年のヒープ」らしい味わいが混ざり合って、かつてよりもパワーアップした「現代のヒープ」サウンドに仕上がっていました。

4曲目は72年の名盤『悪魔と魔法使い』より「Rainbow Demon」!イントロから「来たー!」と心の中で叫んでしまう、往年の名ナンバーの再現に胸が熱くなります。

その後ミック・ボックスの前にガット・ギターが用意され、新譜からのナンバー「Water Flowin’」を披露。叙情あふれるヴォーカルとガット・ギターの組み合わせは名曲「The Wizard」も彷彿とさせ、ジーンと心に染み渡りました。メンバーによる鉄壁のコーラス・ワークも見事!

続いても新譜より、8分に及ぶ大曲「Rocks In The Road」。ギターとハモンドによる疾走感溢れるユニゾン・リフをフィーチャーした前半部に幻想的な中間部、そして激しいギター・ソロが繰り広げられる後半部へとドラマチックに展開する聴き応えあるナンバーとなっており、特に荘厳で分厚いハモンドがこれでもかと降り注ぐ中盤はオルガン・ファンにとって至福の時間でした。

そして次はデビュー・アルバム『VERY ‘EAVY…VERY ‘UMBLE』から「Gypsy」!歪んだハモンドとギターによる独特のイントロが鳴らされた途端もう会場は大盛り上がり。そして何より、パワーがもの凄い…!原曲のちょっぴり怪しく不気味な雰囲気も良いですが、今回のライヴの音圧、一発一発叩きつけられるような重厚感は「Gypsy」の新たな魅力を引き出していると感じました。「Gypsy(2019 version)」としてシングル・リリースして欲しいくらいです!

会場の熱がピークに達したところで、「Gypsy」のアウトロからそのまま代表曲「Look At Yourself」へ!これも素晴らしく格好いいのですが、もうテンポが早い早い(笑)。目まぐるしく弾丸のように疾走するヘヴィなアンサンブルは、とても最年長71歳の居るバンドと思えぬエナジーに満ちていました。

そして「Look At Yourself」曲内でメンバー紹介&ソロ・パートに突入。ロータムをパワフルに打ち鳴らすドラムに安定感のあるベース(ベースのフレット部が青く光る仕様で格好良かったです)、派手に体を使い鍵盤を掻き鳴らすオルガン・・・。圧巻はギュワギュワとワウを踏み、手を下にビャッビャッと振ったり、観客に向かって投げキッスをしたりしながら(!?)怒涛のソロを披露するミック・ボックス!メンバー交代やバンドの停滞など数々のトラブルに見舞われつつも、それでも50年に渡ってユーライア・ヒープを支え続け、そして未だ歩みを止めぬ彼の姿は本当に「貫禄」の一言でした。

ラスト・ナンバーはライヴ定番曲の「Lady In Black」。始まる前にバーニー・ショウが一階席の観客を立たせ(ビルボードで観客が立つのはあんまり見た事がありません!)、会場一体となっての大合唱!見渡すと上階のお客さんも立っていたりと、その盛り上がりと感動ぶりが伺えました。今回のライヴは会場が小さかったこともあって、メンバー全員が隅々の観客まで見渡しながら手拍子を煽ったり盛り上げていたのがとても印象的でした。曲が終わるとメンバーは一旦退場するも、すぐに戻ってきてアンコール曲「Easy Livin’」を演奏。一階の観客は立ったまま、サビに合わせて手を振ったり一緒に歌ったり。演奏のエネルギーも最後まで全く落ちることなく、メンバーも観客もライヴを心から楽しんでいることが伝わってくる公演でした。


前日に行われた大阪公演などの評判も良く楽しみにしていましたが、思っていた以上に素晴らしいライヴでした!熱量溢れるハード・ロック・アンサンブルを間近で体感できたのは勿論のこと、彼らが現在も第一線を走り続けるライヴ・バンドであることを証明した来日公演だったのではないかと思います。往年のロック・ファンたちの心を若返らせてくれるような、そんな熱い一夜でした。


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