2019年1月20日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
今年5月に「JAZZ ROCK LEGENDS 2019」として来日が決定したイタリアン・ジャズ・ロックの巨頭、AREA&ARTI E MESTIERI。
その記念といたしまして、今回は彼らを筆頭にイタリアの優れたジャズ・ロック・グループ達をピックアップしてまいりましょう。
英国のSOFT MACHINEや米国のMAHAVISHNU ORCHESTRA等にも劣らぬ超絶技巧と、地中海地域特有のしなやかな叙情性を備えた珠玉のサウンドをお楽しみ下さい!
まずはプログレッシブ・ロック界を代表する技巧派ドラマーFurio Chiricoと名キーボーディストBeppe Crovellaを擁する、イタリアを代表するジャズ・ロック・グループARTI E MESTIERI。
74年のデビュー作『TILT』でおなじみの彼らですが、その同年に録音されたこのライヴ盤もスタジオさながらの超絶技巧が炸裂していて見事!
スタジオ盤未収録曲「Comin Here To Get You」というのがあるんですが、これが名曲なんです。
続きましては強靭な声帯を誇る稀代のヴォーカリストDemetrio Stratosを中心に結成され、テクニカル且つアヴァンギャルドなジャズ・ロックを展開したグループ、AREA。
こちらも75年の名ライヴ盤をご紹介。強靭なギター&リズム隊にDemetrioの奇妙なスキャット、叙情性と狂気の狭間を行き来するかの如きキーボード。
ヒリヒリした緊張感の中でアグレッシヴに畳みかけるアンサンブルが格好良すぎっ!
さあここからは数々のイタリアン・ジャズ・ロック名盤をご紹介してまいりましょう。
まずはフォルムラ・トレのA.ラディウスとG.ロレンツィが腕利きスタジオミュージシャンらと結成したイタリアンロック史上のスーパーグループ、74年作。
ジャズロック、シンフォ、フォークが混在したサウンドを、テクニカルかつしなやかな演奏でエモーショナルに紡ぐセンスは超一級!
IL BARICENTROの前身バンドによる73年唯一作。
ダイナミックな技巧派ピアノが舞い飛び、哀愁あるヴォーカルが歌う、極上イタリアン・ジャズ・ロック!
EL&Pのマンティコア・レーベルからワールド・デビューしたイタリア屈指のプログレ・バンドと言えばP.F.M。
初期は叙情的なシンフォ寄りの作風を聴かせていた彼らですが、この77年作では当時隆盛を極めていたフュージョンへと接近したサウンドを聴かせています。
Mauro Paganiの後任ヴァイオリニストGregory Blochによる緩急自在のプレイも聴きどころの、ラテン・フレイヴァー溢れる好盤!
荘厳なクラシックを取り入れた作風で知られるNEW TROLLSも実はジャズ・ロックに接近したアルバムをリリースしていたんです。
『ATOMIC SYSTEM』リリース後の74年ライヴを収録した本作ですが、これがSOFT MACHINEやNUCLEUSにも劣らぬシャープでテクニカルなジャズ・ロックを聴かせる「唯一のジャズ・ロック期NEW TROLLS」。
なおかつエッジの効いた攻撃的なギターが炸裂したり、途中でConcerto Grossoのフレーズも飛び出すなど、彼ららしさもたっぷり残したユニークな一枚となっています。
元OSANNAのメンバーにより結成された伊ジャズ・ロック・グループなのですが、ずばりイタリアからのリターン・トゥ・フォーエヴァーやマハヴィシュヌへの返答!?
ギターやエレピが超絶技巧で畳みかけるクロスオーヴァーを土台に、イタリアらしいむせかえるような熱情も加えたサウンドのテンションたるや!
ソフト・マシーンが好き? なら、このイタリアン・ジャズ・ロックは悶絶しちゃうはず!
テクニカルでシャープ、かつアヴァンギャルドに通ずるフリーフォームなど実験性もふんだんに散りばめられた73年デビュー作。
イタリアのソフト・マシーンと言えるグループならこちらもオススメ。
英国的な淡い叙情性とイタリアらしい熱情が混ざり合った上質なジャズ・ロック盤。
最後はちょっぴりマイナーなこの76年作で締めくくりましょう。
ムーディーで南国的な旋律を紡ぎつつ、ちょっぴり湿っぽく暗めのサウンド。まるで60年代のイタリア映画を観てるみたい?
洗練された本格派ジャズ・ロック/フュージョンが楽しめる逸品です。
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イタリアを代表するプログレッシブ・ロックバンドFORMULA TREのAlberto RadiusとGabriele Lorenziを中心に、現在もシーンで活躍するスタジオ・ミュージシャンを加え結成されたグループの74年デビュー作。その内容は、イタリア叙情を感じさせる絶品なメロディーを持ちながらもツイン・ギター、ツイン・キーボード編成で迫るテクニカルなプログレッシブ・ロックであり、荒々しいヘヴィー・プログレッシブな音像と、ジャズ・フュージョンの滑らかなサウンド、そしてイタリア然としたフォークタッチを絶妙なバランスでブレンドした名盤です。イタリアン・ロックのボーカル曲としても、プログレッシブ・ロックとしても一級品の傑作。
イタリアのサイケデリック・ジャズ・ロックグループの73年デビュー作。インストゥルメンタルで構成されたその内容は、テクニカルでせわしないリズム・セクションとよく動くベースが印象的なサウンドであり、サックスやチェロが彩りを添える作風となっています。中でも個性的なのはエレクトリック・チェロの超絶技巧を駆使したスリリングなソロであり、心地良く歪みながら鋭いパッセージを連発し、バンド全体にもエレクトリックな質感を与えています。またバンド全体を見ても、通常のジャズ・ロック・アンサンブルは登場するものの、実験的要素を感じるセクションや、アヴァンギャルドに通じるフリー・フォームなセクションも目立っており、唯一無二の個性的なジャズ・ロック作となっています。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの77年作。Mauro Paganiが脱退したあとの本作は、ヴァイオリニストにGregory Blochを迎えてラテン・フレーバーを散りばめたジャズ・フュージョン色濃いサウンドを提示。前作からの流れでシンフォニックな音像は姿を消していますが、軽快でテクニカルなジャズ・フュージョンサウンドの中にもイタリアの叙情をほのかに感じられるなど、過渡期とは思えない個性はやはり彼ららしい佳作と言えるでしょう。
イタリアを代表するプログレッシブロックバンドの74年の作品、ライブ盤。「ATOMIC SYSTEM」を作り上げたN.T. ATOMIC SYSTEMのメンバーによる演奏が収録されているのですが、ここで聴けるのは大曲2曲のジャズロック。NEW TROLLSとジャズロックというのは意外な組み合わせであり、事実このアルバムが彼らの作品群の中で特異な位置にあるのは昔から語られてきたことですが、本作はNEW TROLLSのテクニカルな演奏が存分に堪能できる素晴らしい内容となっています。途中でConcerto Grossoのフレーズが飛び出すなど聴き所が多い作品となっており、やはり名盤「ATOMIC SYSTEM」を生み出したメンバー達の基礎体力は並大抵のものではないのだと認めざるを得ません。4分の7拍子、8分の13拍子という変拍子をそのまま楽曲タイトルに採用し、Soft MachineやNucleusにも劣らない超絶なサウンドで畳み掛けつつ、サックスが登場すればKing Crimsonのようなへヴィープログレにも表情を変える、白熱のライブ作となっています。
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