2018年8月4日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,今週のカケレコFacebook
こんにちは。ついに8月ですね。夏の真ん中、毎日大変な暑さですが、皆様ご無事でしょうか。
先日ベトナムに行かれたというお客様からお便りがあり、何とベトナムの方が気温が低かったと仰っていました。
一体どうなっているのでしょうね?不思議です。
さて今週は、「真夏の納涼アルバム選」というテーマで、facebookに投稿してまいりました。
涼しさを感じるアルバムを様々にピックアップいたしましたので、ぜひご覧ください。
最初のアルバムはコチラ。CAMELによる75年発表の傑作『SNOW GOOSE』です。
ポール・ギャリコの小説「白雁」にインスパイアされたこの作品。コンセプトからして冬のイメージが強い一枚ですが、これが夏に聴くと実に涼しげでグッド。
アンディ・ラティマーの優しく穏やか、なおかつキリッとした壮麗さも感じさせるフルートの音色、そしてピーター・バーデンスの透きとおるようなキーボードのトーン…。
耳を澄ませば暑さを忘れてロマンと幻想に満ちた別世界に連れて行ってくれそうな、癒しの一枚ですね。(増田)
今日取り上げるのは、北アイルランド出身のSSW、ギリアン・マクファーソンの71年作です。湖畔に佇むジャケットが、とても涼しげですよね!
このアルバム、ギリアンの透き通ったボーカルもさることながら、バックの演奏陣が非常に豪華なのです!
特に素晴らしいのが、TOMMY EYREのキーボード。MARK-ALMONDなど英国の名グループを渡り歩いたミュージシャンです。
TOMMY EYREの演奏は、主張するのではなく、あくまでも控えめで上品に曲中でアクセントのようにキラリと光っています。
ギリアンの良い意味であか抜けないボーカルを、ぐっと洗練したフォーク・ポップへと仕上げています。
他にもプロデューサーにPENTANGLEのダニー・トンプソン、アコギにSTRAWBSのデイヴ・カズンズ、ストリングスのアレンジに、ニック・ドレイク作品でお馴染みのROBERT KIRBYなどなど、ギリアンをしっかりサポートしています。
ギリアンの素朴なボーカルと、洗練されたサウンドがとても涼やかで、夏になるとついつい取り出してかけたくなる作品です。(みなと)
本日ご紹介する作品はドイツを代表する電子音響集団、TANGERINE DREAMによる74年作『PHAEDRA』です。
シンセサイザーをはじめとする電子楽器の可能性をいち早く模索し、後のエレクトロ、アンビエントといったジャンルに多大なる影響を与えたグループ、TANGERINE DREAM。
ミニマルなシーケンサーの反復、はっきりとした旋律のないシンセの抽象的な音響、現れては消えゆく効果音…水や風のように形なく流動するサウンドは難解なようにも思えますが、じっくり聴き入るとこれが実に神秘的な叙情性に満ち溢れているのです。
そして本作の特徴はシンセと同じくらいフィーチャーされているフルート&メロトロン!CAMELなど英国プログレでもよく用いられる楽器ですが、TANGERINE DREAMにおけるフルートやメロトロンの音色はどこか英国のそれとは違った、不気味な無機質さを醸し出しているから不思議。
「人の暖かみ」が排除されたような彼らの冷ややかで幻想的な音世界に浸っていると、夏の暑さも消え失せて氷の空間に閉ざされたような気分を得られます。もしSF小説に出てくるコールドスリープ(冷凍睡眠)の感覚を音で表現したら、こんな感じかもしれません…?(増田)
今日ご紹介するのは、「スコットランドの一人ビーチ・ボーイズ」ことクリス・レインボウの79年作『WHITE TRAILS』です。
クリス・レインボウは、CAMELやALAN PARSONS PROJECT作品への参加でプログレ・ファンにもその名が知られる、英国屈指のポップ・クリエイター。
今作は抜けるような青空が気持ちいいジャケットですが、音も最高にすっきりとしています!
上品かつポップなメロディーに、何重にも重ねたコーラス、シャリシャリとしたパーカッション、洗練されたギターやホーン、メロウなキーボードが一体となって、一見爽やかながらも、奥深いハーモニー・ポップを作り上げています。
今年は高温が続いてへばってしまいますが、夏は本来ウキウキする季節ですよね!このアルバムを聴くと、青空の下を駆けだしたくなるような、爽やかな気持ちになれます。(みなと)
最後の一枚は、ポーランドよりQUIDAMの96年デビュー作『QUIDAM』です!
キャメル、ジェネシス、そしてルネッサンスなど往年の英国プログレから強い影響を受けたシンフォニック・ロック・グループで、初期には美声の女性ヴォーカルを擁する編成で人気を博した彼ら。
特に1曲目「SANKTUARIUM」は絶品で、泣きのギター、幻想的にたなびくシンセ、そしてフルートやオーボエら管楽器らが繊細に音を重ねて織り上げていくシンフォニックなアンサンブル、そして美声で切々と祈るように歌い上げるヴォーカルが静かな感動を呼びます。
ドラマチックに盛り上がるパートでも、同時にポーランドらしいしっとりとしたメランコリーが影を落としているのが印象的で、壮大な中にも凛とした気品高さが保たれているのが素晴らしいところです。
きっと暑さを忘れてヒンヤリとした美麗な音世界に浸ることができる、今の時期にピッタリのプログレ・アルバムだと思います。
ただ一つ言わせてもらえるなら、ジャケットの女性をもう少し美女に描いてほしかった…。(佐藤)
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廃盤、紙ジャケット仕様、3枚組、SHM-CD、デジタル・リマスター、復刻紙ジャケ付き・巻き帯2枚付き仕様、定価4571+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
3作目にして、大作の72年作。ポポル・ヴーのフローリアン・フリッケ参加4本のチェロを大胆に導入し、神秘性がさらに増した作品。
Edgar Froeseを中心に結成され、シンセサイザー、アナログシーケンサなどの電子機器を巧みに使用したメディテーショナルなジャーマン・エレクトロの原点に位置するグループの75年ライブ作。名作「Phaedra」と「Rubycon」をリリースしたあとの本作は、ライブ盤という性質もあり「Atem」以来久しぶりに生ドラムを採用。シーケンサーのアルペジオがミニマルに変化するセクションをベースに、瞑想的なドローンをバックにEdgar Froeseのギターがむせび泣き、Chris Frankeのドラムがシーケンスにシンクロします。怒涛のスケール感で聞かせるジャーマン・エレクトロの重要作です。
78年の通算11作目。無機質なミニマル・フレーズとドラムの叩き出すタイトなロック・ビートを融合させ、ソリッドに未来的なサウンドを展開。ヴォコーダーを交えた情緒的なヴォーカル・ナンバーも披露し話題を呼んだ異色作。
紙ジャケット仕様、1995年デジタル・リマスター、定価2476+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
スコットランドはグラスゴー出身、CAMELやALAN PARSONS PROJECT作品への参加でプログレ・ファンにもその名が知られる、英国屈指のポップ・クリエイターによる75年デビュー作。ビーチ・ボーイズ憧憬の華やかな一人多声コーラスが優しく彩る、どこまでもスウィートでメロディアスなポップ・ソングの数々は聴いていて心が解けます。屈託のないポップなメロディとアレンジが印象的ですが、空へと広がるような解放感よりはどこか密やかでシャイな味わいがあり、そこがまたたまらなく英国的。リリカルなピアノ、温かな響きのシンセ、キラキラしたアコギ、どれもクリスのデリケートなハイトーン・ヴォイスとこれ以上なく調和していて素晴らしい。ルベッツ、ファーストクラス、山下達郎などビーチ・ボーイズ直系ハーモニー・ポップのファン必聴の一枚です。
スコットランドはグラスゴー出身、CAMELやALAN PARSONS PROJECT作品への参加でプログレ・ファンにもその名が知られる、英国屈指のポップ・クリエイターによる78年作2nd。
英スコットランドはグラスゴー出身、CAMELやALAN PARSONS PROJECT作品への参加でプログレ・ファンにもその名が知られる、英国屈指のポップ・クリエイターが79年にリリースした3rdにしてラスト・アルバム。英国の一人ビーチ・ボーイズとも云われるように、多重録音を駆使した多彩なコーラスと、抜けの良いポップなメロディセンスが持ち味で、アメリカ西海岸への憧れに満ちた青空のような爽やかさとほんのり漂う英国らしい気品高さを併せ持ったソングライティングは、ため息が出るほどにメロディアスで芳醇。そこに切なさも秘めた甘いヴォーカルと幾重にも折り重なる自在なコーラスワークが乗り、職人的とも言える完璧なポップ・サウンドが眼前に広がります。これはルベッツ、ファーストクラス、山下達郎などビーチ・ボーイズ直系ハーモニー・ポップのファンならきっと虜になってしまうサウンドでしょう。これぞ胸キュン必至の名盤!
ポーランドを代表するシンフォ・グループ。96年作の1st。ほの暗い叙情性を帯びたロマンティシズム溢れるキーボード、丁寧にメロディを紡ぐギター、優美なフルート、憂いある美しいメロディ、透明感溢れる女性ヴォーカル。東欧シンフォを代表する大傑作。
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