2019年11月7日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ増田です。
キング・クリムゾン、マグマ、ソフト・マシーン……スリリングでアヴァンギャルドなプログレにつきものの楽器、それがサックス。
メロウでムーディーな旋律を奏でるサックスもいいけれど、やはりここはファズ・ギターかと聴きまがうような、ロックならではの熱気みなぎるサックスが聴きたい!!
今回はそんな「強靭な」サックスをフィーチャーしたプログレをピックアップ!まずは70年代の作品からどうぞ。
最初はこちら。
オルガンとサックス、そして英国最高峰の実力を持つヴォーカリストが織りなす孤高の暗黒プログレと言えば? はい、ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターですよね。
未聴の方にざっくり言っちゃうと、デヴィッド・ボウイのバックをクリムゾンが務めた感じ!?彼らの最高傑作と評される71年作4th!
次はGONGの71年作2nd『キャマンベール・エレクトリック』!
悲鳴のようなサックスとファズ・ギター、呪文のようなヴォーカルに悶絶ドラミング。
ジャズやサイケやその他もろもろをグルグルと混ぜ合わせた、3部作前にしてGONGワールド全開の傑作!
英国からこんな作品もご紹介。
NEONレーベルの中でも最もレアなサイケデリック・ロックの質感を有したハード・ジャズ・ロックで夢うつつ?
VAN DER GRAAF GENERATORを髣髴とさせるような質感が漂う、非常に中身の濃い名盤です。
南米ヘヴィ・プログレの最高峰、アルゼンチンのグループによる78年作。
70sクリムゾン、はたまたマグマの吹き荒れる嵐のようなヘヴィ・アンサンブルに、南米の涼風が混じりあうと・・・?
ギターにベースにドラム、サックス、フルート、ヴァイオリンが圧倒的なテンションで繰り広げる、緩急めくるめく演奏にひたすら圧倒されます。
北欧ではこちらの一枚がオススメ!
ジェスロ・タルにも通じるいなたいトラッド・ロックで幕を開けますが、徐々にサックスとファズギターが暴れだしてクリムゾンばりに強度と重量感が増していきます。
ジャケ通りの混沌が渦巻くフィンランド・プログレ怪作。
こちらはデンマークの秘宝盤77年作。
トラッド色醸し出しつつ吹きすさぶサックス、アヴァンギャルドに切り込むギター、そしてザッパばりの諧謔精神!
こんな凄いバンドが眠っていたとは…。視聴是非!
次は新鋭作品をご紹介!
GONGやクリムゾンやCOLOSSEUMを行き来しながら颯爽と駆け抜けていくアンサンブルがセンス抜群。
疾走感の中にも毒気あるユーモアを散りばめた仏インスト・ジャズ・ロック18年作!
フランスのチェンバー・グループ、12年作2nd。初期ヘンリー・カウに『レッド』期クリムゾンの暗黒ヘヴィネスを注入すると?
ミニマルな変拍子ギターとゴリゴリとアグレッシヴなベースにフリーキーかつ温かなトーンのサックスを交えた、緻密さと豪快さを兼ね備えるアンサンブルが気持ちいい!
こちらはテキサスから登場した驚異のズール系バンド、16年作!
執拗な反復フレーズでジリジリと聴き手を追い詰めていくような展開、チャントやシャウトが飛び交う狂乱のヴォーカル・パフォーマンス。
マグマ直系と言える要素が揃った凄まじいサウンドです。
最後はコチラ。ベルギーのレコメン系グループの12年作。
縦横無尽にうねるサックス&クラリネット、力まずしなやかに鋭角な変拍子を織り交ぜるリズム隊…。
アカデミックさと奇天烈さとヨーロピアンな洗練とがゴッタ煮されてて、テクニカルなのに温かく柔らか。これはザッパやゴングのファンはヤられるはず!
こちらも合わせてどうぞ!
非凡なる才能を持ったボーカリストPeter Hammillを擁し、難解な哲学詩と前衛的なアプローチ、初期のKING CRIMSONに負けず劣らずのへヴィネスと神秘性を兼ね備えたイギリスのプログレッシブ・ロックバンドの71年4th。前期VAN DER GRAAF GENERATORの総括的作品として名盤の誉れ高い本作は、20分を超える大作を中心にした3曲で構成され、Peter Hammillはもちろんのこと、Hugh Bantonの痛ましいほどに強烈なオルガンさばき、David Jacksonの荒々しいダブル・ホーンが刺激的な1枚。ゲスト参加したKING CRIMSONのRobert Frippでさえ霞みかけるほどに、一節一節強烈なインパクトを残しています。
デヴィッド・アレン率いるGONGが71年にリリースした2ndアルバム。Pip Pyleの悶絶ドラミング、サックス&オルガンのアグレッシヴかつジャジーな演奏、Gilli Smythのスペース・ウィスパー、David Allenのユーモア溢れる弛緩ヴォーカルなど、すべてが聴き所。(ジャズ+サイケ+ロック)÷David Allen=Gongという公式が見事に確立したジャンル不問の大傑作。
デンマーク産ジャズ・ロック・バンド、77年作1st。こ、これは凄いです…。北欧トラッド感漂うフレーズを吹き鳴らすサックスとアヴァンギャルドなギターが変拍子織り交ぜつつ疾走、かと思えば突如洒脱でムーディーなジャズ・ロック・パートに突入し、ヴォーカルが入れば人を食ったようにファンキーなサウンドに変貌し…。本格的なジャズの素養を感じさせるしなやかな技巧性と、ザッパやSAMLA MAMAS MANNAを思わせる諧謔精神が交わった変幻自在のアンサンブルは、とても無名とは信じられぬほどの完成度。とにかくキレのあるサックスが出色で、幻想的なエレピや強靭に歪んだギターと絡み合うナンバーはクリムゾンやHENRY COW好きにもグッと来ること間違いなしでしょう。COMPANYIA ELECTRICA DHARMAのファンにもオススメです!視聴是非。
テキサス出身、現在はLAを拠点に活動する、女性ヴァイオリン奏者/Vo、サックス奏者を含む5人組。前12年作に続く16年作3rd。基本的なサウンドは前作を引き継ぐ、MAGMA及びその周辺人脈による所謂ZEUHL系バンドからの影響を受けたジャズ・ロック。猛烈な手数で荒れ狂うドラミングとベースによるバカテク変拍子リズムセクションの上を、鈍い光沢を放つ重厚な切れ味のサックスと不穏さを煽るような緊張感たっぷりのヴァイオリンがスリリングなフレーズの応酬を繰り広げるアンサンブル。執拗に反復フレーズを繰り返しジリジリと聴き手を追い詰めていくような展開。そして何語か不明な妖しすぎるチャントや強烈なシャウトを交えた狂乱のヴォーカル・パフォーマンス。まさにMAGMA直系と呼んで差し支えない要素が揃った凄まじいサウンドです。MAGMA好きであれば「これを待ってた!」と声をだすこと間違い無しの逸品!
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