2017年9月15日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: ハード・ロック
スタッフ増田です。
60年代末のヘヴィ・サイケがさらにヘヴィさを極め70年代のハード・ロックに、そしてそれがさらに進化して80年代のメタルに……。
そんなメタルに続く「ヘヴィ」の系譜には、歪んだギターもさることながら、凶暴なまでの疾走感も重要なキーワード。
今回はSIR LORD BALTIMOREを筆頭に、暴走的なスピード感で突っ走る「元祖メタル」なハードロック作品を探求してまいりましょう!!!
「元祖ヘヴィ・メタル」と言えばこのアメリカ産バンド。
まるで某花や〇きのジェットコースターのようにスリル満点の、あまりに危険な疾走感!!
ドラム・ヴォーカルを筆頭にせっつくような緊迫感があるせいで、テンポ自体は早くない曲でもものすごい勢いを感じてしまいます。
謎に包まれたバンドながら高いクオリティから、SIR LORD BALTIMOREの変名ではないかという噂も流れた(ガセでしたが)米国産マイナー・ハード。
メロディアスなハモンドやファンキーなパーカッションを加えた濃いサウンドですが、SIR LORD BALTIMOREにも劣らぬ荒々しい疾走感も持ち合わせ、非常にハイ・レベルな演奏を聴かせる文句なしの一枚!
機関車のように真っすぐに突き進んでいく気持ちの良いスピード感もさることながら、ヘヴィに歪みつつも濃密な和音を奏でるギター・リフのカッコ良さと言ったら!
ギタリストのフロイド・ラドフォードは後にジョニー・ウィンターのバンドで2ndギタリストとして活躍しますが、なるほどジョニー・ウィンターのメロディアスに跳ねるブルース・ギターをさらにヘヴィにしたような音。
強烈なハード・サウンドの中に溢れるブルージーな哀愁もたまりません。
ここまではアメリカのバンドでしたが、ここからは英国&ユーロの爆走ハードを探していきましょう!!
アラン・ホールズワースが在籍したことで知られる英国のバンドですが、こちらの2ndはギタリストの交代を経て、さらにハード志向を強めています。
バンド名通り嵐のように吹きすさぶ爆走ハードロックに、PATTOに参加した名ギタリスト、オリー・ハルソールのテクニカルな速弾きが炸裂!
泣く子も黙る勢いにただただ圧倒される名盤です。
71年~77年に活躍したロンドンのハード・ロック・バンド、活動中のスタジオ音源や74年のライブ音源などをまとめた編集盤。
アイアン・メイデンにも影響を与えたとされるだけあって、ザクザクと刻むギターリフのすさまじい硬質さは最早メタル。
ギター2本ではなくギターとオルガンによるメロディアスなツイン・リードも個性溢れていて、これはすごいバンドです。
A面がまるまる一曲の組曲になっているのでちょっと長いのですが、3:22~のギター・リフ、どこかで聞き覚えありませんか?
そう、元ヤード・バーズのキース・レルフ率いるARMAGEDDONの「Buzzard」ですね!
ARMAGEDDONのギタリストMartin Pughが在籍したSTEAMHAMMER。
ハード・ロックとプログレの化学反応とも呼べる作風で、スリリングかつテクニカルなリフをヘヴィに聴かせますが、まさにそんなテクニカル×ヘヴィネスもメタルの原型と言えますね。
イスラエルにもハード・ロックが!? BUDGIEを彷彿させるスリリングな疾走感に強烈なヘヴィネス!
刃物のような切れ味鋭いギター・リフはイギリス・アメリカ顔負けの完成度。
まるでロニー・ジェイムズ・ディオかと思うほどのエッジの効いたシャウトを聴かせるヴォーカルも聴きどころです。
これは速いっ!!すさまじいパワフルな馬力と切れ味……これが1970年、しかもスペインのグループとは恐るべし!
ちなみにこのアルバム、キング・クリムゾン「21st Century Schizoid Man」のカバーも収録されているのですが、数多のカバーが残されている中でもこれまた最速(時期的な意味で)の部類に入るのでは……。
最後はこの曲で締めましょう!ギターではなくキーボード主体なのですが、素晴らしい「暴走度」です。
米ブルース・ロックの「裏番長」Neil Merryweather率いるハード・ロック・バンド。
全体的にはソリッドなギターとメロディアスなキーボードが痛快な男らしいストレート・ハード・ロックなのですが、この曲だけ異様に実験的なアプローチを用いたプログレッシヴな作風になっています。
アグレッシヴでアヴァンギャルドですらあるキーボードが、滅茶苦茶な手数のドラムと共に縦横無尽に駆け巡り、最後は壊れたような即興的ノイズで収束する圧倒的暴走ナンバー!
メタルとは遠くなったかもしれませんが、とにかくこの危ない香りすら漂う超絶怒涛の勢いはNo.1です。
いかがでしたか?
ガレージ的な荒々しさを強めたアメリカン・ハードに対して、ユーロ勢はどちらかといえばテクニカルなリフで攻めたりと、「元祖メタル」的ヘヴィさの中にも違いが見えますね。
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アメリカらしいキャッチーなメロディを持つハード・ロックももちろん魅力的ですが、コアなブリティッシュ・ハード・ロックのファンを唸らせるディープな名作もアメリカに数多く残されています。ツェッペリン旋風の中から生まれた1971年のアメリカン・ハード・ロックを特集いたしましょう。
COLOSSEUMのドラマーであったJon Hisemanが中心となり結成され、Allan Holdsworthの参加でも有名なイギリスのハード・ロックグループの74年2nd。Allan HoldsworthとPaul Williamsが脱退し、Ollie Halsallを迎えスリー・ピースとなった本作は、前作以上のダイナミズムとバンド・アンサンブルの妙技に彩られた名盤。やはりギタリストの変更によりバンドの方向性にも大きく影響が現れており、The Beatlesの「Paperback Writer」のカヴァーをはじめ、前作と比べて楽曲にコマーシャルでキャッチーなポップ・センスが現れています。
紙ジャケット仕様、20bitデジタル・リマスター、内袋付仕様、定価2400+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
軽微な折れあり
アメリカのハード・ロック・トリオ。リック・デリンジャーのプロデュースによる71年の唯一作。ブルースが根っこにあるアグレッシヴかつエモーショナルなギター、ブルージーにシャウトするヴォーカル、力強く疾走するドラムが印象的。哀愁溢れるメロディにも胸が熱くなります。ギタリストのフロイド・ラドフォードは後にジョニー・ウィンターのバンドで2ndギタリストとして活躍します。疾走感の中にも哀愁を忍ばせたブルース・ハードの名作。
イスラエル出身、60年代に後半に活躍したCHURCHILLSを前身に、JERICHO JONESと改名してイギリスに渡ってアルバムをリリースした後、さらにバンド名を短くJERICHOと改名。72年にリリースしたイスラエルが誇るヘヴィ・プログレ/ハードの逸品。エッジのたったトーンでスピーディーに畳みかけるギター・リフが引っ張るアグレッシヴなサウンドが持ち味。痺れるキメのリズム・チェンジなど、自由自在のアンサンブルはさすがイスラエル・ハードNo1グループ。炸裂するシャウト・ヴォーカルも素晴らしい。英国のハード・ロック名作にも一歩も引けを取らないハード・ロック史上に残る傑作。
71年〜77年に活躍したロンドンのハード・ロック・バンド。鍵盤奏者を含む4人組。72年、74年、77年に録音されたスタジオ音源12曲に加え、73年と74年のライヴ音源11曲、さらに75年のラジオ・インタビューを収録した編集盤。アイアン・メイデンやセックス・ピストルズへ与えた影響についてライナーで触れられていますが、音を聴いて納得。エネルギッシュに駆け抜けるリズム隊、エッジの立ったスリリングなギター・リフ、ハイ・トーンの絞り出すシャウト・ヴォーカル!そして、特筆なのが、ツイン・リード。それもギター2本ではなく、ギターとオルガンがメロディアスでスピード感いっぱいなツイン・リードを炸裂させています。初期YESのようなプログレッシヴな疾走ナンバーもカッコ良い。70年代中期の音源は、デヴィッド・ボウイを彷彿とさせるキャッチーなグラム・ロックも。これは素晴らしいグループ!オススメです!
レーベルでの管理状況の都合上、背ジャケに若干折れのある場合がございます。直輸入盤ということでご了承ください。
スペイン・アンダーグラウンド・シーンを代表するグループ。70年作。前のめりに疾走するリズム隊、鋭角に切り刻むようなアグレッシヴなギター・リフ、スピーディーに切れ込むギター・ソロのスピード感は圧巻。グルーヴィーかつアグレッシヴなハモンド・オルガンも炸裂し、音の塊を打ち砕くようなヴォーカルも痺れます。歌詞は英語。スペインを感じさせない、本格派のハード・ロック名作。
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