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「妄想プログレ・フェスティヴァル 2017」ライブレポート【1日目/2日目】

カケレコ・スタッフの佐藤です。

8月某日、カケレコが主催する「妄想プログレ・フェスティヴァル2017」が開催されました!

寄居は玉淀河原に特設ステージを設けて行われた今回のフェス。
屋台も沢山出店していて、まさにお祭りの様相を呈していました。

言わずと知れたビッグネームから知る人ぞ知る各国の名バンドまで、世界中から23組のプログレ・バンドが集結。1日目は12組が出演します。

フェス運営のスタッフがステージ裏で走り回っている中、レポート担当のスタッフ佐藤は観客に混じってビール片手に開演を待ちます。


1日目、トップバッターを務めたのが大御所中の大御所イエス!
リック・ウェイクマンやビル・ブルーフォードが在籍した黄金期メンバーでのステージです。

登場と同時にウワァァァァという熱狂的な歓声が沸き起こります。
さ、さすがはプログレ最高峰、改めて人気の凄まじさを実感。

あれ始まらないな~と思ったら小鳥の鳴き声と水音がフェードインしてきます。
こ・こ・これは「Close To The Edge」だ~っ!のっけからこの超大作を聴ける、これが妄想プログレ・フェス!

スティーヴ・ハウのギターが縦横無尽に暴走し、スクワイアのリッケンバッカーがブイブイ唸り、ブルーフォードが鬼気迫るドラミングでまくし立てる、オリジナル通り隙間なく音で埋め尽くされた超絶的な演奏を、ただただ全身で浴びるように聴く観客。

…圧倒的です。

そして満を持して会場に響きわたる澄み切った神々しいハイトーンヴォイス。

すべてをなぎ倒す大嵐のような冒頭パートから緊迫感あるヴォーカルパート、そして心洗われるオルガンとヴォーカルの崇高なパートが過ぎ、最後は再び嵐がやってきて…

約18分間の曲があっという間に終わってしまいました。

間髪入れず「Heart Of The Sunrise」に突入!オリジナルと寸分も違わない一糸乱れぬ快速アンサンブルでゴリゴリと突き進む演奏はもう痛快そのもの!ウェイクマンも派手にオルガンを響かせます。

アンダーソンの憂いを帯びた祈るようなヴォーカルが始まると、イエスの世界に一気に惹き込まれます。すごい吸引力…。
これも気づいたら終わってました。

いや~最盛期イエスのパフォーマンス、想像以上でした。これぞプログレッシヴ・ロックの王道!

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続いての登場は、イタリアよりイル・バレット・ディ・ブロンゾです!

ブレーンのキーボーディスト、ジャンニ・レオーネがステージに上がるとワッと歓声。彼も手を上げて歓声に応えます。

名盤『YS』より、1曲目「Introduzione」をプレイ。

クラシカルなオルガンの旋律が何とも神秘的な導入、その雰囲気を突き破るようにバイオレンスにうねるシンセサイザーを軸としたアグレッシヴで邪悪さみなぎる全体演奏へと突入します。今にも観客に襲いかからんとする迫力のサウンドは、思わずのけぞってしまうほど。

邪悪さを滲ませたイタリア語ヴォーカルも雰囲気抜群です。

コード弾き主体のオルガンと超絶的なソロピアノを左右の手で同時に弾きこなすレオーネの凄まじさと言ったらありません!演奏のテンションの高さなら「Close To The Edge」の冒頭部分にも負けてない!

ジャンニ・レオーネはプレイから立ち居振る舞いからカリスマ性に溢れていましたね。さすがのカッコよさでした!

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邪悪な空気に飲み込まれた会場を、優美でファンタジックな演奏によって洗い流してくれたのがキャメル。

一曲目「Chord Change」は、スピード感あるアンサンブルで一気に畳み掛ける序盤、
ラティマーの存在感ある温かなトーンで紡がれるソロをじっくりと堪能できる中盤、
オルガンが味わい深い終盤と初期キャメルらしさが凝縮したナンバー。

最高にいい音でオルガンを鳴らすピート・バーデンス、
ジャズ・ロック的なタイトなドラミングで演奏を引き締めるアンディ・ウォードらももちろん素晴らしい~。

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もう一曲は「Rhayader」をプレイ。ギターを提げたままのラティマーが、今度は可憐なフルートのプレイで魅せます。
後半メロディアスに飛翔していく展開は最高にワクワクしましたね。リリカルで流麗な極上のファンタジーが会場を包みます。

真夏の暑さでは日本屈指を誇る寄居に、一陣の涼風を吹かせてくれました。
溜息が出るほどいいバンドです…。

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続きましてはジャーマン・サイケ/ジャズ・ロックの雄エンブリオがステージに上がります!

曲は「Radio Marrakesch」。

手数多く畳み掛けるリズム隊に目を奪われていると、オルガンがジャジーに唸り、エレピが舞い、
ワウの効いたギターがファンキーに鳴らされ、そしてエキゾチックなヴァイオリンが炸裂!

オリエンタルテイストたっぷりの強靭なサイケデリック・ジャズ・ロックは、圧倒的にスリリング。
この混沌としながらもどこまでもクールな音像は唯一無二と言う以外にありません!

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そして、ロバート・ワイアットがソロで登場。ついにあの歌声が生で聴ける…!

まずは「Sea song」。

原曲に忠実な淡い色調の演奏をバックに、一声一声を優しく言葉を選ぶように歌うワイアットの姿に早くもグッと来ます。
手折れそうなほどに繊細なヴォーカルが胸に沁みます…。

終盤のスキャットのところに至ってはもう涙腺崩壊です。周りからはすすり泣く声も聞こえてきましたね。
ロバート・ワイアット、罪な男です…。

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「Shipbuilding」も良かったなぁ。最小限の音を用いたジャジーな演奏にワイアットの切ない歌声が映えます。
うーんやはり名曲~。

演奏中時が止まったように静まり返っていた観客、会場中がその天上の歌声に酔いしれました。ああ至福なり。

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お次はジェスロ・タル。
のっそりとステージ上に現れたイアン・アンダーソンは、やはり異様な迫力があります。

「My God」をプレイ。

マーティン・バレが弾く這い寄るように怪しげなリフに乗って、ケレン味たっぷりに歌うイアン・アンダーソン。
バレとアンダーソンのコンビネーションはやっぱり鉄壁!

オリジナル通りスリリングなフルートソロも絶好調です。
汗を飛ばしながら一心不乱にフルートを吹き鳴らすイアンを、会場中が固唾を呑んで見守ります。そして…

でた~!イアン・アンダーソンの一本足奏法!

みんなこれを見に来た!と言わんばかりに大きな拍手と歓声が沸き起こります。

一度は観たかったジェスロ・タル。
噂に違わぬ極上のパフォーマンスを見せてくれました。

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次にステージに上ったのが、スペインの秘境バスク地方より参加のENBORです。

立て続けの大物バンドからの流れで最初はやや硬さがあった気はしましたが、
すぐにバスク・プログレならではと言えるエキゾチックな哀愁をたっぷり含んだ演奏で観客を魅了します。

抑えたトーンで繊細に鳴らす泣きのギター、幻想的なフルート、咽び泣くサックス、そして切なさを掻き立てるバスク語のヴォーカル。
日本人にはどこか懐かしさも感じるサウンドで、濃いメンツが続いた後だったこともあり観客もいい感じにチルアウトしていたようです。

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今や英国プログレを牽引する存在となったBIG BIG TRAINも堂々の出演。

2017年に出した『GRIMSPOUND』から、2曲を披露してくれました。

1曲目はオープニングナンバーの「Brave Captain」。
静謐な世界の中をギターが幻想的にたゆたう導入からオリジナル通り、
そして一気にクライマックスが押し寄せるようにアンサンブルが動き出すドラマチックな展開はやっぱり感動的です。

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続いて70s英国トラッド調のメランコリックな演奏で始まる「Ivy Gate」が始まります。
ということは、オリジナルでゲスト参加しているあの方がまさか来るのか…!?と思ったら、おお~来てくれました!

歌いながらステージに登場したのがジュディ・ダイブル!
フェアポート・コンヴェンションやトレーダー・ホーンで美声を聴かせた名ヴォーカリストです。
当時から50年近く経っているにもかかわらず、ほとんど変わることのない凛とした歌声には驚く他ありません!

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ハットフィールド&ザ・ノースは、大作「Mumps」を披露してくれました。

ピップ・パイルの職人的ドラム、デイヴ・スチュワートのメロディアスなエレピ&オルガン、フィル・ミラーのリリカルで浮遊感あるギターが、
リラックスした流麗なアンサンブルを紡いでいきます。

そして素朴な味わいなのにどうしようもなく胸を揺さぶるリチャード・シンクレアのヴォーカル。
すべてが完璧に噛み合ったカンタベリー・ロックの真髄をこれでもかと生で味わわせてくれます。

ワイアットとシンクレア、カンタベリーロックの2大ヴォーカルを一度に楽しめるとは何たる幸福…!

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続いては、ダリル・ウェイズ・ウルフが登場。

まずは挨拶代わりの「Cadenza」で一気にギアを上げていきます!ウェイのスリリングなヴィオラソロを受けて、名手ジョン・エサリッジのジャジーな速弾きも炸裂!イアン・モズレーのパワフルなドラムソロもカッコいい~。

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続いては観客もお待ちかねの生「McDonalds Lament」です!囁くエレピをバックにヴィオラがゆっくりと鳴り始めるとワァっと大きな歓声が起こります。ヴァイオリンより低い音域で鳴るヴィオラならではの深い哀愁を伴った音色が、観客の涙を誘います…これは泣くなという方が無理!

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ウェイのヴァイオリンが大活躍する名曲「Toy Symphony」もやってくれました!ヴァイオリンはオリジナルのように多重録音ではないのですが、
それを全く気にさせないほどにスリリングに畳み掛けるプレイに愕然とします。さすがプログレ界最高峰のヴァイオリニスト、圧巻です…。

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これで終わりかと思いきや、再びウェイがヴァイオリンを構え弾き始めたのがまさかの「Vivaldi」!おお~~~っと観客も興奮!
すると突如ステージに現れギターを弾き始めたのは、シークレット・ゲストのジョン・ウィリアムズ!さらに大きな歓声が会場を包みます。

なんというサプライズ…!!カーヴド・エア~ウルフ~スカイという3バンドを一度に堪能できる豪華すぎるステージでした。
演奏を終え抱き合う二人。素晴らしい友情を感じましたね。

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英国バンド3連発に続いたのが、現中南米シーン最強のプログレ・バンドCASTです!
メンバーがステージに登場すると、大きな歓声が起こります。日本での人気も上がってきてますね~。

17年作『POWER AND OUTCOME』からの2曲「Rules Of The Desert」と「Conquest」をプレイ。

スタジオバージョンと遜色ないあまりにスケールの大きい演奏に、観客もただ息をのんで聴き入ります。
雄大な音のうねりが会場を飲み込んでいます。凄いのは知っていたけど生で聴くとさらに凄い、CAST!

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そして、1日目のトリを務めたのがエマーソン、レイク&パーマー!

フェードインしてくる荘厳なシンセが聴こえてきた時点で、オワァァァーーーっと大歓声が!
そして重戦車の突進を思わせるリズム隊にアグレッシヴなハモンドがぶつかるスリリング過ぎるアンサンブルへなだれ込みます!
そう「Tarkus」!

左右に配置したハモンドとムーグシンセを同時に弾きまくりながら激しく身体を揺らすエマーソン、かなりやばいです。

上半身裸で一心不乱に叩きまくるパーマーもかなりのキテます。

一方レイクは落ち着いたクールな振る舞い。巧みなベースプレイと同時に艷やかな美声ヴォーカルを聴かせます。
それにしてもなんていい声なんだろう…。

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大歓声の中、ふと気づくと、あれ?パーマーがいない。
ザワザワしだした会場、そこに現れたのがなんと、まさかのコージー・パウエル!

なんとここでエマーソン、レイク&パウエルが来ました!これはなんと心憎いサプライズ!

最後の最後でのシークレット演出に観客もヒートアップします!

凄まじい歓声の中で「The Score」をプレイ!
ファンファーレのように鳴り響く輝かしいエマーソンのシンセサイザー、大歓声の中でもよく通るレイクの伸びやかなヴォーカル、
そしてただただダイナミックに叩き出されるコージー・パウエルによる強靭なドラミング!圧巻でした。

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今日一番大きな歓声の中、ステージ正面に集まるメンバー。パーマーも再登場しパウエルと肩を組みます。これは良い光景でした。
差し出される握手や鳴り止まない声援に笑顔で応える姿が感動的でしたね~。



いやはや1日目にして声は枯れて全身が筋肉痛になってしまったスタッフ佐藤。
翌日も濃い~メンツが揃っているのに、果たして最後まで伝えきることができるのでしょうか?

【次のページ】「妄想プログレ・フェスティヴァル 2017」2日目

「妄想プログレ・フェスティヴァル 2017」1日目

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