2017年7月31日 | カテゴリー:カケレコ中古棚探検隊,世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
スタッフ佐藤です。
中古棚より「これは!」という作品をピックアップしてご紹介する「カケレコ中古棚探検隊」。
今回は、可憐で涼やかな音色を届けてくれるフルートをフィーチャーした各国のプログレ作品を、中古棚よりご紹介してまいりましょう☆
サイケ・バンドJULYでの活動を経てヴァージン・レコード所属のマネージャー/エンジニアとして活躍、『TUBULAR BELLS』のほかヘンリー・カウ『LEGEND』やハットフィールド&ザ・ノースの1stなどを手掛けた彼が、77年に発表した2ndソロ・アルバム。古楽器も含む多岐にわたる楽器群が織り上げる、アイリッシュ/ケルト色が強く出た神秘的なサウンドは、マイク・オールドフィールドにも通じる幻想性を帯びています。JULY時代の盟友だったJADE WARRIORのJon Fieldによるミステリアスなフルートの旋律が印象的です。
VERTIGOからの最終作となった71年作2nd。前半はリリシズムたっぷりのフルートが可憐に舞うハートフルな英国ロック、後半はアグレッシヴにフルートが暴れるアクの強いハード・ロックと、A面とB面で方向の異なるサウンドが楽しめます。特に前半の英国叙情溢れる楽曲が感動的なんですよね。
黄金期のP.F.M.を脱退した彼が、地中海音楽と真摯に向き合って作り上げた79年の名作1stソロ。キレのあるヴァイオリンのプレイに耳を奪われがちですが、6曲目「CHORON」(動画22分あたり)で民族フレイヴァーたっぷりのエキゾチックなフルートソロを披露しています。
ノルウェーを代表するプログレ・グループ93年作。北欧トラッドをベースとする哀愁溢れるシンフォニック・ロックを持ち味とします。トラッド然とした流れるように美しいフレーズを奏でるフルートは必聴。
イスラエルの至宝と言えるこのバンドも涼やかなフルートを堪能したいならもってこいの一枚!カンタベリー・ロックにも通じる、辺境色ゼロの非常に洗練された華やかなジャズ・ロックには誰もがきっと驚くはず。イスラエル・ロック界の重鎮フルート奏者Shem-Tov Leviの軽やかに躍動するフルートが暑さを忘れさせてくれます。
当時の唯一作だった78年作によって「スペインのキャメル」の異名を取った名グループ、2016年にリリースされ話題となった幻の2nd!1stと同年の録音だけあって、1stと全く遜色ない緻密だけど涼しげなフュージョン・タッチのアンサンブルがとにかく心地いい~。終始メロディアスなフルートのプレイが出色!
泣きのフルート代表なら、このバスクのバンドはやはり外せません。哀愁がこぼれ落ちるような切ないフルートの調べが珠玉。キーボードの洪水とエキゾチックな響きを持つバスク語ヴォーカルと相まって、泣きの叙情がとめどなく溢れ出してきます…。
たおやかなアコースティックギター、溢れんばかりのメロトロン、美声の女性ヴォーカル、そして舞い踊るように奏でられるリリカルなフルート。ハンガリーと言えばアクの強いイメージですが、こんなに洗練されたファンタスティックなシンフォニック・ロックが登場していたとは!
ブラジル出身のマルチ・ミュージシャン/コンポーザーで、その才能が高い評価を受けながらも30代半ばにして惜しくも早逝した才人による83年3rd。持ち前の繊細さ格調高さはそのままにロック度が高まったのが本作で、フルート、弦楽器、鍵盤を用いたドラマティックなアンサンブルを奏でます。フルートとヴァイオリンがなぞるテーマ・メロディの美しさ、張り詰めた空気をそっと包み込む生楽器の暖かみ、長尺の曲を必然的に聴かせる構成力。豊かな才能が結晶化した名盤です。
世界中からセレクトした納涼フルート名盤の数々、いかがだったでしょうか?少しでもこの夏を涼しく過ごせるお役に立てれば幸いです。
あえて情熱的な唾吐きフルート名演を堪能したいという方にはこちらのジュークボックスをオススメ☆
元PFMのヴァイオリン/フルート奏者。77年にPFMを脱退した後は、自身の音楽的ルーツを求め、地中海の民族音楽を探求。その成果として制作された79年作の1stソロ。イスラム文明とキリスト教文明とが幾重にも重なった地中海で育まれた地中海音楽と、ロックやジャズとを結びつけた地中海ロックの頂点に君臨する一枚。マウロは、ヴァイオリン、フルートの他、ギター、オルガン、ピアノ、ピッコロ、ブズーキ、ウード、サズを操るなど、マルチ・インストゥルメンタル奏者としての才能を見事に開花。そこに、AREAやPFMのメンバー、地中海プログレの名グループCANZONIERE DEL LAZIOのメンバーが加わり、アラビックな旋律が渦巻くエキゾチズムとロックのダイナミズムとがぶつかりあった芳醇かつ強靱なサウンドが生み出されています。特にアレアが参加したオープニング・ナンバーは、ヴァイオリンと民族弦楽器とのユニゾンによるこぶしを効かせたようにウネる旋律を軸に、強靱なジャズ・ロック・パート、CANZONIERE〜のメンバーのパーカッションが北アフリカの祝祭に紛れ込んでしまったような土着フレイヴァーを奏でるパートとを対比させながら展開するスケールの大きな名曲。PFMのメンバーが参加したクラシックとジャズと地中海音楽の豊かなフュージョンの豊かなフュージョンを聴かせる4曲目や、デメトリオ・ストラトスの超絶スキャット、マハビシュヌばりのソロの応酬が凄まじい5曲目もまた必聴。様々な時代・地域・民族が交差し溶け込んだコスモポリタン・ロックと言える傑作です!
ハンガリーのグループ。06年のデビュー作。たおやかなアコギをバックにフルートがリリカルに舞い、溢れんばかりにメロトロンが鳴らされる!極めつけは、流れるように美しいメロディとスッと入ってくる美声の女性ヴォーカル!全体的に柔らかな音像でハードさは無いものの、タイトなリズム隊のせいか、演奏はダイナミズムに溢れています。全員がテクニック抜群ですが、特にアコギ奏者はかなりの腕前で、格調高くリリカルなリードは必聴。ファンタスティックなシンフォニック・ロックとして一級品の傑作。本当に素晴らしいです。
ペーパーケース仕様、新装ジャケット&オリジナル・オーディオでの2014年新規リイシュー盤。バンドサイトでは、MUSEA盤と異なる06年にハンガリーでリリースされた音源で、LPのようなアナログのフィーリングを最大限に活かし、アコースティックやメロトロンが魅力的に響くようにミックスされているそうです
ペーパーケース仕様、新装ジャケット&オリジナル・オーディオでの2014年新規リイシュー盤。バンドサイトでは、MUSEA盤と異なる06年にハンガリーでリリースされた音源で、LPのようなアナログのフィーリングを最大限に活かし、アコースティックやメロトロンが魅力的に響くようにミックスされているそうです
ペーパーケースにスレがあるため、値引きセール品になります。
サイケデリック・ロックグループJULYからそのキャリアをスタートさせMike Oldfieldの名盤「TUBLAR BELLS」を手がけるなど、アーティスト活動からエンジニアリングまで、その多才ぶりを発揮したイギリスのマルチアーティストの作品、77年作2nd。その内容はMike Oldfieldと同じく多重録音を駆使したファンタジックな作品であり、アイリッシュも含むトラッド・フォークナンバーが心地良い好盤です。ダイナミックなロック色は皆無であり、繊細に編み込まれたヒーリング色の強いサウンドは「TUBLAR BELLS」的なミニマルな質感を持っています。ゲストとしてJULY人脈であり当時はJADE WARRIORで活動していたJon Fieldがフルートで参加しています。まさにジャケットが全てを物語っているような英国然とした作品。
スペインは地中海沿岸のカタルーニャ地方出身、「スペインのキャメル」の異名でプログレ・ファンから愛されているバンド。78年のデビュー作に続き、2nd用にすぐさま78年に録音されながらお蔵入りとなった幻の2ndアルバム。フルート奏者にメンバーチェンジがあり、新たなフルート奏者が加入。また、ギターはゲスト扱いでしたが、正式にギタリストがメンバーとしてクレジットされ、新たな5人編成となっています。オープニングからフルートがこれでもかとフィーチャーされ、キャメルとリターン・トゥ・フォーエヴァーの中間に位置するような流麗なフルートの旋律が溢れて感激。緻密なリズム・セクション、キーボード、ギターは1stと比べてフュージョン色が増していて、地中海の風のように爽やかでいて軽快なアンサンブルが印象的です。変拍子の激しいリズムを土台に、歪んだギターが躍動し、時にフルートと不穏なユニゾンを奏でるパートはまるでP.F.M。キャメルから受け継いだ幻想性、フュージョンのテクニック、地中海の躍動感が合わさったサウンドはこれぞ地中海プログレ。1stに負けず劣らずの名作です。
83年作の3rdアルバム。前作までの繊細で格調高い雰囲気はそのままに、ロック的な要素が高まり、フルート、弦楽器、鍵盤とともにドラマティックなアンサンブルを奏でています。フルートおよびヴァイオリンによりなぞられるテーマ・メロディの胸を打つ美しさ、張り詰めた空気をそっと包み込む生楽器による暖かみ、長尺の曲を一瞬の輝きとして聴かせる抜群の構成力。すべての音が必然としてなっているような奇跡的な作品です。大傑作。おすすめ!
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