2016年5月16日 | カテゴリー:スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。
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こんにちは、カケレコ・スタッフ佐藤です。
「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」は、一般的にはあまり注目を集めることのない作品ながら「実は良い作品なんだけどなぁ、もっと聴かれてほしいなぁ。」とスタッフ佐藤が日頃から感じている、愛して止まない作品たちを取り上げてご紹介していこうというコーナー。
今回取り上げるのは、SPINETTAの80年作『Only Love Can Sustain』です。
これまで14回にわたり、英・欧州プログレより作品を取り上げてその愛聴ポイントを語ってきた本連載ですが、今回は一気に地球の裏側、南米アルゼンチンのミュージシャンを取り上げてみようと思います。佐藤にとってはジョージ・ハリスンやデヴィッド・ボウイらとともに好きなミュージシャンTOP5までには必ず入ってくる、故ルイ・アルベルト・スピネッタ氏です。
このスピネッタ、アルゼンチン出身ということもあり日本ではまさに知る人ぞ知るという存在ではありますが、母国アルゼンチンでは国民的な知名度と人気を誇るレジェンドとして知られています。その死に際しては、ベテラン/若手を問わず同国の数多くのミュージシャンが追悼ライヴや追悼コンピレーションを企画。有名所で言うと、パット・メセニー・グループにも在籍したシンガー/ベーシストのペドロ・アスナールが全曲スピネッタのナンバーを取り上げた追悼ライヴを行ったのも、その影響力の大きさを物語っていると言えるでしょう。
さて、そんなスピネッタの作品の中で今回ご紹介したいのが80年発表のアルバム『Only Love Can Sustain』。アルゼンチン国内ではすでに知らぬものはいないほどのスターとなっていたスピネッタが、アメリカのマーケットへの進出を狙って制作した、おそらく彼の作品中唯一全編英語で歌われた作品です。(一曲スペイン語の曲がありますが…)
アメリカでレコーディングされた本作の演奏には、名うてのセッションマンが名を連ねています。「キング・オブ・グルーヴ」ジェームス・ギャドソン、U.K.~ミッシング・パーソンズ結成の時期のテリー・ボジオ、大御所セッション・ギタリストのデニス・バディマー、他にもジャズ・シーンやR&B/ファンク・シーンから腕利きが多数起用されています。
そんな気合いの入った本作でしたが、アメリカのマーケットへ向けて送り出された本作はセールス的に振るわず、スピネッタは結局アメリカ進出から手を引いてしまうのです。結果的に、スピネッタ本人にとっては出来はともかく商業的に言えば失敗作、アルゼンチン国内のファンにとっては英語で歌っているよくわからない作品という、なんとも不遇な扱いに甘んじている一枚だと思います。
しかし本作、佐藤のスピネッタ愛を差し引いたとしても、メロウAOR作品として相当に高品質な作品に仕上がっていると思うのです。
カナダのSSWジノ・ヴァネリのカバー。甘く優雅に広がるストリングスの音色にこれまた甘美なスピネッタの歌声が絡みます。哀愁のアコギ爪弾きもいい感じ。お聴きのとおりスピネッタ特有の鼻にかかった甘い歌声は英語詞でも健在で、都会派AORに南米らしいメロウネスを加えているんですよね。
曲自体はオーソドックスなアーバンAORという印象ですが、ファンクの跳ねるリズムとスピネッタの線の細めなヴォーカルが意外にもハマっていて独自の味わいを醸し出しています。洗練されたスタイリッシュな質感とメロウな哀愁とのバランスが何とも絶妙。
スピネッタの繊細なヴォーカルが生きる、得意のセンチメンタルなナンバー。AORという形式にとらわれない、スピネッタらしい美しくも官能的なメロディラインが冴え渡っています。うーん名曲。
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ALMENDRA、PESCADO RABIOSO、INVISIBLEのリーダーとして知られる奇才。72年作の初ソロアルバム。ファズ・ギターを中心としたブルース・ロックを基本に、流麗なピアノ、幻想的なフルート、ラテン的なパーカッションが絡んだオリジナリティ溢れるサウンドが魅力的。グループでは、PESCADO RABIOSOに最も近い印象です。
デジパック仕様
盤質:全面に多数傷
状態:良好
ケース不良、トレーツメ折れ1カ所あり、盤無音部に劣化あり、経年変化あり
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