2016年3月14日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
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英国出身のキーボード奏者キース・エマーソン氏が、3月11日にカリフォルニアの自宅で亡くなりました。71歳でした。
大変悲しいことですが死因は自殺ということで、4月には来日公演も予定されていただけに、まさか…という思いが未だ拭えないのが正直なところですが、受け止めなければならないようです。
エマーソン・レイク&パーマー(ELP)のメンバーとして、70年代の英国プログレ・シーンを牽引した名キーボード奏者であることは、プログレ・ファンでなくともご存知の方は多いと思います。卓越した演奏技術を駆使し、クラシックやジャズなどを幅広く取り込んだインスピレーション溢れるプレイが魅力で、60年代後半~70年代にかけて英国屈指のスタープレイヤーとして君臨しました。
また、ロックにおいてはまだ限定的な使用に留まっていたシンセサイザー(モーグ・シンセサイザー)をメイン楽器として大きくフィーチャーし使いこなした第一人者的功績でも知られ、開発者の故ロバート・モーグ博士からもその手腕は高く評価されています。
ロックの歴史に大きな足跡を刻んだエマーソン氏への追悼の意を込めて、彼の音楽活動の重要な位置を占めるバンドELPまでの経歴を、主要な楽曲とともに振り返っていきたいと思います。
彼が初めて音楽シーンに登場したのが、ピアノトリオ編成のキース・エマーソン・トリオとしてレコーディングをおこなった1963年。スタイル自体は比較的オーソドックスなジャズ・ピアノ・トリオながら、グルーヴィーな旨みを含んだプレイは後の活躍を予感させるに十分なもの。ナイスやELPのノリの良い小曲にも通じる小気味いいプレイが聴けます。
その後は、自身のバンドであるジョン・ブラウンズ・ボディーズを経て、共にナイスを結成することになるベーシストのリー・ジャクソンも参加したゲイリー・ファー&T.ボーンズに加入。マーキークラブでのステージやTV出演をこなしながら、数枚のシングルを残します。軽快にオルガンを弾きこなす姿がカッコいいですね。
そして66年末にはアメリカ人女性ソウル・シンガーP.P.アーノルドのバックバンドとしてナイスが結成され活動をスタート。アーノルドの元を離れリリースした1stの時点ではギターを含めた4人編成でしたが、ギタリストが脱退した2nd以降は当時としてはまだ珍しかったキーボード・トリオというスタイルで人気を集めます。ナイスでの活動の中で、クラシックの要素を大きく取り入れたエマーソンらしいプレイスタイルが確立されていきました。
デイヴ・ブルーベック「トルコ風ブルーロンド」を原曲とするアグレッシヴなナンバー。ワイルドに唸りを上げるプレイから小技を効かせた込み入ったプレイまで、ハモンドオルガンを自在に操るキース・エマーソンここに在り!という演奏を聴かせます。
68年のライヴより。バッハやヴィヴァルディを引用しながら展開する、ELPへと繋がるプログレッシブ・ロックへの萌芽も感じさせる組曲。クラシックからの影響を反映した荘厳なオルガンとノリの良いジャジーなピアノを巧みに切り替え楽曲を色付けしていく、センスみなぎるキーボードワークに才能を感じさせます。
レナード・バーンスタインの「アメリカ」を元にしたダイナミズム溢れる名曲。ELP結成と同年だけあって、洗練度の高まったサウンドに仕上がっています。エマーソンはハモンド・オルガンを主体に攻撃的なフレージングとヘヴィに歪ませた刺激的な音作りで、まさにプレELPと呼ぶべきサウンドを披露しています。
そしてついに70年6月、元キング・クリムゾンのグレッグ・レイク、元アトミック・ルースターのカール・パーマーらとともにスーパーグループELPとして活動を開始します。彼らはその音楽的完成度の高さはもとより、メンバー3人のルックスのよさ、そしてライヴステージ上でのエマーソンの過激でアクロバティックなパフォーマンスなどが話題となり、音楽面での評価とともに一種アイドル的な人気も獲得。英国プログレッシブ・ロックの主要バンドの一つと目されながらも、多くのプログレ・グループたちとは一線を画する、よりエンターテインメント志向の明快さを持ったサウンドを展開していきます。
ファースト中最もヘヴィな聴きごたえを持つナンバー。タイトルの通りギラリと光を放つナイフの刃のような、切れ味鋭いオルガンのプレイが圧巻です。
ロック・ミュージックにおけるモーグ・シンセサイザーの可能性を追求したのが傑作組曲「TARKUS」。様々に音を変化させながらとにかくアグレッシヴに弾き倒すエマーソンのプレイは痛快そのもの。モーグ・シンセサイザーの性能をフルに引き出した金字塔として、現在に至るまで世界中のキーボード・プレイヤーに影響を及ぼし続けています。
72年の完全オリジナル曲によるライヴ録音作『PICTURE AT AN EXHIBITION』より。ライヴでより真価を発揮する彼ららしい、鬼気迫るまでの緊張感と綱渡りのようなスリルをはらんだパフォーマンスに手に汗握ります。
繊細で叙情的なピアノ、力強くうねるシンセ、渋い音色のハモンドオルガンと、各種キーボードの特性を完璧に把握し的確な場所で使いこなすセンスの高さもエマーソンの才能の一つだと感じます。いくつものキーボードが流れるように演奏を受け継いでいくこういったナンバーでその手腕は発揮されます。
ELPの集大成とも言える組曲。30分に及ぶ長尺曲ながら難解なパートはほぼ登場せず、一貫して質の高いエンターテインメント性を感じさせるところが流石ですが、その要となっているのがエマーソンの多彩にして絢爛、スリリングでアグレッシヴなキーボードワーク。長大さを感じさせず一気に聴かせてしまう彼のプレイからは、単なる技術や理論というものを超えた真なるミュージシャンシップと言えるものがひしひしと伝わってくるように思います。
こうしてエマーソンの革新的なキーボードプレイの数々を聴いていくと、改めてロック界にとってあまりに大きな存在を失ってしまったことを思い知らされます。
どうして、という思いがあるのは事実ですが、今はただ安らかに眠っていてくれることを願うばかりです。
ロックにおけるキーボードの可能性を大きく広げてくれた偉大なるミュージシャンに敬意を込めて。心よりご冥福をお祈りします。
4枚組ボックス、各CDはペーパースリーヴ仕様、デジタル・リマスター、ポスター付仕様
盤質:傷あり
状態:良好
ペーパーケースに糊付け部分剥がれあり×1、ボックスに若干圧痕あり
廃盤、紙ジャケット仕様、2枚組、HQCD、定価3800
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
盤キズ多めにあり
NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成され、ギターレスのトリオという変則的な編成ながらそのハンディを全く感じさせない音楽性でプログレッシブ・ロックの1つのスタイルを築いたイギリスのグループの70年デビューアルバム。のっけからバルトークのクラシック曲を肉感的で屈折したオルガン・ロックにアレンジし、全体的に荒削りながらバンド結成最初期の勢いを感じさせます。また攻撃的なオルガン・ロック、ジャジーなピアノ・インプロヴィゼーションに留まらず、当時最先端テクノロジーであり、後の彼らの作品に大きな個性と彩を添えることになるモーグのモノシンセが咆哮する人気のバラード「ラッキー・マン」など、先鋭的なアイディアを閉じ込めた名盤となっています。
NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成され、ギターレスのトリオという変則的な編成ながらそのハンディを全く感じさせない音楽性でプログレッシブ・ロックの1つのスタイルを築いたイギリスのグループの71年2nd。アルマジロと戦車が合体したような架空のキャラクターである「タルカス」をコンセプトにした大曲を含むその内容は、怒涛の変拍子とテクニカルなバンド・サウンドで迫る彼らの初期の代表作の1つであり、前作同様、非常に屈折したクラシカル・ロックの名盤となっています。また、オルガンやピアノに加えて飛躍的にモーグ・シンセサイザーが存在感を示すようになっており、大きく楽曲に取り入れられているのが特徴と言えるでしょう。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、ビニールに情報シール付き仕様、定価2205
盤質:傷あり
状態:
帯無
帯無、紙ジャケ側面部若干色褪せあり
NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成され、ギターレスのトリオという変則的な編成ながらそのハンディを全く感じさせない音楽性でプログレッシブ・ロックの1つのスタイルを築いたイギリスのグループの71年3rd。その内容はEL&Pの人気を不動のものにしたライブ作であり、タイトル通りムソルグスキー作曲、ラヴェルのオーケストレーションによる組曲「展覧会の絵」を強引にキーボード・ロックでねじ伏せた名盤となっています。アンコールにはチャイコフスキーの「くるみ割り人形」をクラヴィネットで弾き倒す「Nutrocker」を収録。クラシックとロックを融合させたその特異な音楽性は現在のプログレシーンまで脈々と受け継がれ多くのフォロワーが登場していますが、その元祖にして完璧な完成度を誇る傑作です。
紙ジャケット仕様、24bit K2デジタル・リマスター、ビニールに情報シール付き仕様、定価2205
盤質:傷あり
状態:
帯有
若干タバコ臭あり
廃盤、シール帯付き仕様、定価3200
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
ケース不良、帯はケースに貼ってある仕様です
廃盤、デジパック仕様、ボーナスディスク付き2枚組、08年マスター、定価3675
盤質:傷あり
状態:並
帯有
若干タバコ臭・黄ばみあり、若干カビあり
NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成され、ギターレスのトリオという変則的な編成ながらそのハンディを全く感じさせない音楽性でプログレッシブ・ロックの1つのスタイルを築いたイギリスのグループの72年4th。初来日と時を同じくしてリリースされた本作はヒプノシスのデザインによるジャケットが物語るとおり、メンバーが同じ方向を向きながらもそれぞれの個性を感じさせる作風であり、冒頭「永遠の謎」のブリティッシュ然とした壮大なサウンドからGreg Lakeのバラード「フロム・ザ・ビギニング」、オルガンの早弾きが印象的なコープランド作曲の「ホウダウン」、シンセサイザー・オーケストレーションともいうべき「奈落のボレロ」まで、まさに三位一体の傑作となっています。
NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成され、ギターレスのトリオという変則的な編成ながらそのハンディを全く感じさせない音楽性でプログレッシブ・ロックの1つのスタイルを築いたイギリスのグループの73年5th。自身のレーベル「マンティコア」よりリリースされた、70年代英国ロック屈指の名盤であり、それまでの彼らの集大成を最高の形で結実させた傑作です。ヒューバート・パリー作曲の「聖地エルサレム」で荘厳に幕を開け、ヒナステラ作曲の超絶曲「トッカータ」などこれまでの彼らの音楽性に沿った個性的な楽曲が並ぶものの、本作から全編に本格的にシンセサイザーが導入されており、より彩り豊かな英国叙情を伝えています。極めつけは30分にも及ぶ3楽章から成る「悪の経典#9」の完璧なロックシンフォニー。全ロックファン必聴の名作です。
86年規格、シール帯仕様、定価3200
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
ケース不良、ケースにヒビあり、シール帯がケースに貼ってあります、若干帯中央部分に色褪せあり、若干経年変化があります
廃盤、デジパック仕様、ボーナスディスク付き2枚組、08年マスター、定価3675
盤質:傷あり
状態:並
帯有
若干タバコ臭・黄ばみあり、若干カビあり
NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成され、ギターレスのトリオという変則的な編成ながらそのハンディを全く感じさせない音楽性でプログレッシブ・ロックの1つのスタイルを築いたイギリスのグループの74年ライブ作。彼らの絶頂期を収めたライブ盤となっており、名盤「タルカス」の表題曲、「恐怖の頭脳改革」収録の大曲「悪の経典」などをスリーピースとは思えない重厚なサウンドで演奏しており、Keith Emersonの超絶なオルガンさばきとGreg Lakeの伸びやかな歌声、そしてCarl Palmerの手数の多いドラムを堪能することが出来ます。
1977年8月22日、モントリオール・オリンピック・スタジアムにて70人のオーケストラを率いて行われたコンサート。
DVD、NTSC方式、リージョン2(日本市場向)、帯元からあったか不明、解説付き仕様、定価4935
盤質:傷あり
状態:
帯-
若干たばこのにおいあり
71年2月6日・7日、ブリュッセルのテアトル140でのライヴ音源。1STからの楽曲を中心に6曲。高音質サウンドボード音源。ボーナストラックには71年7月19日ロサンゼルスのハリウッド・ボウルでの「TARKUS」ライヴ音源(オーディエンス録音)を収録。1.The Barbarian2.Take A Pebble3.Nutrocker4.Rondo5.Knife Edge6.Nutrocker RepriseBonus Track7.Tarkus
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