2016年2月19日 | カテゴリー:スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。
タグ: プログレ
こんにちは、カケレコ・スタッフ佐藤です。
「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」は、一般的にはあまり注目を集めることのない作品ながら「実は良い作品なんだけどなぁ、もっと聴かれてほしいなぁ。」とスタッフ佐藤が日頃から感じている、愛して止まない作品たちを取り上げてご紹介していこうというコーナー。
今回取り上げるのは、GENESISの初代ヴォーカリストとしてお馴染み、ピーター・ガブリエルの78年作2nd『II』です。
こんな連載をやっているとおり、私スタッフ佐藤は他の作品からすると比較的地味なポジションにある作品により愛着を持つ傾向があるようで、クリムゾンなら『リザード』や『アイランズ』、ツェッペリンなら『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』、ビーチボーイズだったら『ワイルドハニー』、好きなアルバムの話をするたびに知人友人からは「なんでそれ!?」と責めを受ける始末。でも好きなんだから仕方ないんです。
それがピーター・ガブリエルであれば、この『II』になります。
ロバート・フリップがプロデュースと演奏に参加している本作ですが、サウンドについて言うならそれはそれは地味。「On the Air」「D.I.Y.」と初っ端こそ威勢よくスタートしますが、以降は曇り空あるいはしとしと雨が降っているような印象を抱かせる、色彩を意識させないようなサウンドがメインとなります。1stでは「Here Comes the Flood」を筆頭にスケール感のあるドラマティックな音づくりがされていましたが、本作にはそういった方向性のサウンドは皆無と言っていいでしょう。
ただそれが悪いかと言えば、全くそうではありません。本作で特に素晴らしいのがしみじみとしたバラード系のナンバー。全編を覆うモノトーンな空気感を生かした静謐で美しいサウンドが本作ならではの持ち味となっているんですよね。
ジェネシス時代はフロントマンでありながら対人恐怖症であったり、ジェネシスでの過密スケジュールに加え難病を患った娘のことなどを抱え精神に不調をきたしてしまうなど、スターでありながらも同時にそういった繊細な部分を常に持ち合わせてきた彼ですが、そういうある種の「人間臭さ」がピーター・ガブリエルというミュージシャンの奏でるサウンドには不可分に結びついているように感じられます。
そういう点から見て、やや肩に力の入った印象もあった前作に比べ、より等身大のピーター・ガブリエルに近いサウンドを聴かせているのが本作ではないかと思えるのです。
ピアノとアコギを基調とした美しく味わい深いバラード。ガブリエルの優しくも物悲しい歌声が泣けますね。抑え気味に弾いていたフリップが終盤ギューンと鳴らすのも、らしくていい感じ。
ゆらめくスティール・ギター、トニー・レヴィンによるスティックなど印象的な音色が重なり合うナンバー。シンプルを極めたドラミングは美しくすらあります。そしてこれでもかと胸に迫ってくるサビの歌唱と来たら。
どうでもいいですが、音楽を聴いて泣いたのはジョージ・ハリスン「Let It Roll」とこの曲だけ。妻子を喪った男の悲哀を歌い上げるガブリエルの表現力に改めて圧倒されます。そこに絡んでくる哀愁いっぱいのサックスがまた泣かせるんです。ピーガブの泣ける曲No.1ではないでしょうか。
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