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HONEYBUS特集 – ピート・デロとコリン・ヘアを擁する英フォーク・ロックの名バンド

後にソロで名作を残すPete DelloとColin Hareという2人のミュージシャンを擁し、マイナーながら60年代末から70年代はじめの活動期間中に愛すべきポップな楽曲を数多く残した英フォーク・ロック・バンド、HONEYBUSを特集いたしましょう。

HONEYBUSのメインソングライターで中心人物のPete Delloは、1942年生まれ(ポール・マッカートニーと同い年)。50年代末のスキッフルの時代から音楽活動をはじめ、60年代はじめにはビート・バンドを組み、バンド活動をはじめます。

その頃に出会ったのが、HONEYBUSのもう一人のソングライターRay Cane。2人はバンド活動をするなかで、ソングライター・コンビとしても評価されたようで、APPLEJACKSがDECCAから64年にリリースしたデビュー作にて3曲の曲を提供するなど、早くから活躍します。

APPLEJACKS / BABY JANE (Written By Dello & Cane)

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その後、60年代半ばには、PeteとRayの2人を中心に、THEMで活動していたドラマーのTerry Nooneらが加わり、YUM YUM BANDを結成。DECCAとDERAMから5枚のシングルをリリースし、ロンドンの音楽シーンでは知られた存在となりました。

67年には、いよいよHONEYBUSへと発展。67年にDERAMからシングル「Delighted To See You」でデビュー。そして、68年にリリースした3rdシングル「I Can’t Let Maggie Go」がUKチャートの8位となり、人気バンドとなります。木管楽器による英国の田園風景が目に浮かぶ牧歌的な調べ、優しく奏でられるアコギのストローク、聴き手にそっと寄り添うようなヴォーカルと流れるように美しくも親しみやすいメロディ。ハーモニーも素晴らしいし、キンクスの「Waterloo Sunset」あたりにも負けないグッとくる名曲と言えるでしょう。Pete Delloのメロディ・メイカーとしての才能が溢れています。

I Can’t Let Maggie Go

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なお、この曲は、プログレ・ファンにはお馴染みのイタリアのバンドEQUIPE 84が「Un angelo blu」としてカヴァーし、イタリアでもヒットしたようです。Pete Delloが作るスウィートなメロディは、イタリア語で歌われても実にしっくりきます。

EQUIPE 84 / Un angelo blu

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このタイミングでアルバムをリリースしていれば、栄光のレイト60s英国サイケ・ポップ・ムーヴメントにおいて輝く名作をきっと残し、その後のメンバーのミュージシャンとしての人生も違っていたはずですが、Pete Delloはその道を選びませんでした。「I Can’t Let Maggie Go」の大ヒットの後、ライヴ活動やテレビ出演や取材などが殺到。作曲やスタジオでの活動を重視したいPete Delloはなんとバンドを脱退してしまいます。

バンドは、もう一人のオリジナル・メンバーRay Caneがリード・ヴォーカル&メイン・ソングライターとして活動を続けます。新たな体制で68年にシングル「Girl Of Independent Means」をリリースしましたが、ビート色の強いサウンドは、「I Can’t Let Maggie Go」のような美メロを期待するファンに受け入れられなかったようでヒットせず。続いてリリースしたシングル「She Sold Blackpool Rock」は、イントロから美しいストリングスに導かれる、「I Can’t Let Maggie Go」を彷彿させる優美なバラードで、英国ではそれほど話題にならなかったものの、イタリアなどヨーロッパでヒットします。

She Sold Blackpool Rock (written by Ray Cane)

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ヨーロッパでのヒットをレーベル側が評価したのか、ようやくフル・アルバム制作の機会に恵まれ、70年にDERAMよりフル・デビュー・アルバム『STORY』をリリースしました。

Peteの脱退によりスウィートさこそありませんが、Ray Caneがメロディ・メイカーとして開花。どうしても後にソロ作がCD化されたPeter DelloとColin Hareに注目が集まりますが、Rayも実に素晴らしいミュージシャンで、STEALERS WHEELのGerry Raffertyあたりに通じる英国らしい枯れた哀愁漂うメロディから、ゾンビーズばりの気品あるキャッチーなビート・ポップまで、佳曲ぞろい。

T1: Story (wrriten by Ray Cane)

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T4: Fresher Than The Sweetness in Water (written by Ray Cane)

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後の愛すべき英フォーク・ロックの名作『MARCH HARE』で人気のColin Hareもソングライターとしていよいよ才能を発揮。牧歌的でハートウォームなヴォーカル&メロディが絶品で、『MARCH HARE』の源流がここにあります。ポールとジョージをブレンドしたようなフォーキーな小曲から、メロディが躍動するビート・ポップまで、Ray Caneに負けず劣らず佳曲を提供。特にB面2曲目の「She’s Out There」のなんと泣けること!これでもかと続く陰影ある流麗なメロディ、心に響きまくるコーラス・ワーク。まるでゾンビーズと2ndの時のヘロンを足して2で割った感じ!?英国フォーク・ロック最良の瞬間。しっかし、琴線にビシビシと触れまくり。実に沁みる名曲です。

T8: She’s Out There (written by Colin Hare)

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バンドは残念ながら本作のみを残し、この後、解散。Ray CaneはBO’FLYERSというバンドを結成し、70年代半ばにPYEから3枚のシングルを残しました。76年の2ndシングル「Do The Buster」は小ヒットを記録したようです。

BO’FLYERS / Do The Buster

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Colin Hareはソロとして英フォーク・ロックの名作『MARCH HARE』を71年にリリース。00年代にもアルバムをリリースし、日本のエアメイル・レコーディングスからリリースされています。

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Pete Delloもまたソロとして同じく71年に『INTO YOUR EARS』をネペンザ・レーベルよりリリース(なんと、ジャケット・デザインはロジャー・ディーン!)。盟友Ray Caneも参加しています。その後、音楽教師として活動する傍ら、実業家としても活躍したようです。

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そして、最後にドラムのPete Kircher。何気に彼が一番音楽シーンで長く活躍を続けていて、80年代半ばにはなんとSTATUS QUOのメンバーとして活動しました。

才能溢れるソングライターが3人も在籍していながら、運もなかったのか、音から伝わるように穏やかな性格上のこともあったのか、日の当たる場所には出られなかった(望まなかった!?)ものの、HONEYBUSとしての作品、その後のソロ作品は、英国ポップ・ファンにとって、日常に疲れた時にホッと心を温めてくれる陽だまりのような場所としてあり続けることでしょう。

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