2014年2月28日 | カテゴリー:MEET THE SONGS,世界のロック探求ナビ
タグ: ジャズ・ロック
後にスペインはバルセロナのジャズ・ロック・シーンで名を残す重鎮たちが70年代初期に産み落とした最高にカッコ良いビートルズ・カバー作『WE ARE DIGGING THE BEATLES』をピックアップいたしましょう。
72年にリリースされたものの、権利の関係で2週間で市場から回収されてしまった幻のアルバム。オリジナルのレコードは恐らく激レアだと思いますが、2010年にめでたくCD化され、この素晴らしいサウンドを手軽に聴くことができるようになりました。
スペインのバルセロナの70年代のロック・シーンと言えば、70年代半ば頃、カンタベリー・ミュージックならぬ『ライエターナ・ミュージック』と呼ばれるムーヴメントが起き、ジャズ・ロック/アヴァンギャルドの好作品が続々とリリースされました。そのシーンを支える名ミュージシャン達がまだ若き70年代初期に集まって録音したのがこの作品です。
関連図を見ながらメンバーを解説していきましょう。
中心はPeter RoarとLucky Guriの2人。
Peter Roarは、70年代初期にバルセロナのシーンの基礎を作った名グループMAQUINA!のサックス奏者で、Lucky Guriは、後にBARCELONA TRACTION~MUSICA URBANAとライエターナ・ミュージックを代表するグループで活躍する名Key奏者。
他のメンバーも豪華。
まず、ギターは後にICEBERGで活躍するなどバルセロナを代表するギタリストと言えるMax Sunyer。リズム隊は、MAQUINA!~MUSICA URBANAのCharles Benavent(B)とSalvador Font(Dr)!
英国で言えば、HATFIELD & THE NORTHのデイヴ・スチュワート(Key)、SOFT MACHINEのロバート・ワイアット(Dr)とヒュー・ホッパー(Dr)とエルトン・ディーン(Sax)、NUCLEUSのクリス・スペディング(G)(または、ISOTOPEのゲイリー・ボイル)が集まった感じでしょうか!?
さすが、ジャズ・ロックの名手達ばかりで、インストカヴァーとはいえ、イージーリスニングな感じは微塵もありません。サイケ・ポップのカラフル感を残しつつ、ロック的シャープさとオシャレな洗練とが同居したサウンドは、最高にカッコ良くワクワク感いっぱい。
とにかく、「Strawberry Fields Forever」のカヴァーをお聴きください。原曲より良いかも!?
ピアノにかぶさる煌びやかでちょっぴりラーガなサウンドの楽器、いったい何でしょう。2つの楽器があわさって、ハープシコードをサイケデリックにしたような音になって、本当にマジカル。
そして、何よりタイトかつ引き締まってシャープなドラミングが素晴らしい!クリムゾン1stでのマイケル・ジャイルズやBLOOD SWEAT & TEARSあたりを彷彿させるスティックさばきに痺れます。
抑制されたトーンでドライヴ感あるカッティングをキメるMax Sunyerのギター、ちょぴりエキゾチックなウネりもあって地中海フレイヴァーが香る管楽器ソロも良いし、後半はまるで『アビー・ロード』のB面のようにドラマティックにソロが連なって、いや~、原曲にも負けない、と言っても過言ではない魅力的な楽曲に仕上がっていますね。
ビートルズ・ファンもサイケ・ポップ・ファンもニッチ・ポップ・ファンもジャズ・ロック・ファンもカンタベリー・ファンも全員必聴!
カケレコが自信を持ってオススメする大傑作です。
この作品を入り口に、是非、メンバー関連のバンドを聴き進め、「ライエターナ・ミュージック」を堪能いただければ嬉しいです。
—–
バルセロナのジャズ・ロック/アヴァン・ロック・シーン「ライエターナ・ミュージック」は本当におもしろい!
スペインというと、フラメンコのイメージが強いと思いますが、フラメンコは南部アンダルシア地方のもので、地中海に面した北東部のバルセロナにはフラメンコのエッセンスはほぼありません(一部のバンドが意識的に取り入れてはいますが)。
中世時代に700年以上イスラムの支配下におかれた南部アンダルシアに対して、カタルーニャ地方は、数十年間イスラムに占領された以外は、キリスト教国のアラゴン・カタルーニャ連合王国として、イタリア南部をも支配する地中海帝国を築きました。
その誇りを継いだ世界都市バルセロナで70年代半ばに生まれたロック・ムーヴメント「ライエターナ・ミュージック」。
イタリアのジャズ・ロックや、イスラエル・ロックや、カンタベリーやその対岸のベルギーのジャズ・ロック(COSなど)が好みなら、間違いなく名盤の宝庫。
各バンドを特集していますので、どうぞ引き続き探求ください!
【関連記事】
70年代にスペインでおこったロック・ムーヴメント「Musica Laietana ライエターナ・ミュージック」を特集!
後にBARCELONA TRACTION〜MUSICA URBANAとスパニッシュ・ジャズ・ロックを代表するグループで活躍する名Key奏者Lucky Guriと70年代初期のスパニッシュ・ジャズ・ロック・シーンを代表するグループMAQUINA!のサックス奏者Peter Roarを中心に、言わずとしれたICEBERGの名ギタリストMax Sunyerや、MAQUINA!のリズム隊が参加したスーパー・グループ。72年作の全曲ビートルズ・カバー・アルバム。もう、このレビュー書きながら、興奮しています!2曲目の「Strawberry Fields Forever」で泣きそうです。イージーリスニングな感じは微塵もなく、サイケ・ポップのカラフル感を残しつつ、ロック的シャープさとオシャレな洗練とが同居した最高にカッコ良くワクワク感溢れるサウンドを聴かせています。シャープでタイトな音色と手数多いフレージングがカッコ良すぎるドラムを中心に、ピアノとサックスが時にどっしりと時に軽やかに躍動し、NUCLEUS時代のChris Speddingを彷彿とさせるセンス溢れるMax Sunyerが脇を固めます。このキラメキが伝わるでしょうか。カケレコが自信を持ってオススメする大傑作!ビートルズ・ファンもサイケ・ポップ・ファンもニッチ・ポップ・ファンもジャズ・ロック・ファンもカンタベリー・ファンも全員必聴!
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