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彼らがNWOBHMという括りのもと「再発見」されたのは90年代頭のこと。元Iron MaidenのD.ストラットンやP.ディアノが加入し初来日。甘美なメロディとツインリードが界隈の話題となった。「ビッグ・イン・ジャパン」なバンドと揶揄もされるが、本国でもアルバムリリースとライブを行い活躍中である。
本作は当時「戦慄のマンティス」なる帯キャッチを付けられ国内盤も発売されたが、「戦慄の〜」ではなく「旋律の〜」がふさわしいかと思う。キャッチーでありながら、これまた日本人が好むマイナーコードによる旋律がこれでもかと盛り込まれている。シングルカットされたM1は一見ポップだ。美しいコーラスとツインリードがたまらん。M2はキンクスのカバー。M5のようなバラードもきっちり決めているが、このバンドに足りなかったのがアレンジ能力。Key奏者とKeyを入れるともっとよくなるんだがな。一旦本作で解散してしまうが、中心メンバーで結成されたStratusというバンドは同じ路線でありながらKey入り。こうでなくちゃね。今はオランダ人のVoとDsが加入し活躍中であるが、美旋律は相変わらず。蟷螂伝説はここから始まったのだ。
かつて日テレ系のクイズ番組でヘッドフォンをしたまま回答する(ほかの回答者の発言が聞こえないようにするため)コーナーがあった。クイズ番組の名はよく覚えてないが「マジカル云々」とかそういうクイズだったような気がする。ある日のOA。ヘッドフォンからいつものように音楽が流されて、ほかの回答者の声は聞こえない。ところが所氏がなかなか回答しない。司会者が「所さん、なんで回答しないの?」と問いかけると。「あぁ、ユーライアヒープだったので聞き入っちゃった」という旨の返答をしたと思う。
ワイがヒープを聞き始めた頃だったので思わずツボッたが、「へぇ、所さんもユーライアヒープ聞くんだ」と感心してしまった。
あぁ、そんなことはどうでもいいんだ。時は1970年、DPがIn Rockをリリース。M1はSpeed KingやHighway Starにも負けず劣らずの疾走感あふれるハードな曲だ。DPが車ならヒープは何だろう…駿馬か。リズムの刻みは車のスピード感とは違う印象だ。ヒープのよいところは突出した技巧者がおらず、アンサンブル主体であることだろうか。特にVoのハーモニーはDPにはない魅力だ。この曲をグッとさせるポイントはOsibisaのパーカッションにある。どういう縁だったのだろうか。パーカッションが入って、一気にスピード感が上がり、感情が爆発するような展開は、まさにオリジナリティが出ていると思う。
M3は西城秀樹もフォーリーブスも(?)カバーしたが、日本人の涙腺を刺激する何かがあるんだろうな。秀樹は「エピタフ」もカバーしたが、歌謡曲っぽさがそうさせるのだろうか。マイナーコードで展開するメロディ大好きだよね、日本人。この曲のハイライトはラストの長いリフレインで入ってくるManfred MannのMini Moogソロだ。よく似ているのが、EL&Pのラッキーマンのラストの展開。フォークソング風の曲なのに矩形波のMoogソロが唐突に入ってくるというアレである。まぁこの曲についても多くは語るまい。M4のスライドギター(風?)のリフは特徴的だし、M7でまた疾走感が帰ってくるのもいい。
レア盤もいいけど、こういう「教科書」は何度聴いても発見がある。英国ロックが好きなら聴いていないのは嘘だ。ボーナストラックはシングルB面やM1のシングルバージョン。
当初スイスのバンドという紹介のされ方をしていたと記憶する2nd。旋律の美しさやフックの効いたハードな1stもなかなかの作品でそちらもおすすめしたいのだが、自作3rdそして本作2ndはメロディックハード好きなら聴いていないと嘘な作品なので紹介したい。
本作からTerry BrockがVoとなった。これは後の作風にも大きく影響し、彼らのトレードマークとなる。Deep Purpleのオーディションにも最終選考まで残ったノドは(結局Joe Lynn Turnerに決定)、カスレ気味ながらもエモーショナルでアツい。演奏はJOURNEYやSURVIVORを彷彿とさせ、瑞々しさと爽快感を与えてくれる。[where do we go from here]の疾走感、名バラード[Goodnight LA]は彼らの代表曲であろう。ゲスト参加ながらも空間を形作るKey奏者、いい仕事しています。次作「Walk in the fire」と合わせて是非。
1989年、New Trollsとのスタジオアルバム「TUTTI I BRIVIDI DEL MONDO」と前後する形で発表された2枚組ライブアルバム。
New Trollsすら聴いていないのに本作を聴かされてぶっ飛んだのを思い出す。
M1のみスタジオ録音の楽曲だが、M2以降はライブ。M2のオープニングからテンションを徐々に上げていくかのようなぞくぞく感はいつ聴いても変わらない。
聴きどころはNew TrollsによるConcerto Grosso。これはファンにはたまらんでしょう。
ラストは彼らのヒット?メドレーを披露。彼らはサポートバンドという役回りでも自分たちの演奏をしっかり聴かせてくれるのだ。そしてFausto Lealiが1曲ゲストとして華を添える。
彼女の情熱のVoが哀愁のメロディとともに聴く者を包み込みような感覚、未体験の方は是非。
個人的なことを言えば「耳慣れない」音楽スタイル(嫌いとは言ってないですよ、嫌いとは)のひとつとしてカントリーミュージックというのがある。バンジョーがチャカチャカ鳴っているとどうも苦手だ(やっぱり嫌いなのだ)。米国人には演歌なんだろうがそもそも日本の演歌を嗜まない私にとってはどちらも避けたい。
さてこのPOCO、まさに「演歌」であるカントリーミュージックにルーツがあるグループで…本作しか聴いたことがない私がとやかく言えないけど…「ジャケ買い」した一枚。だがこれがなかなかのアメリカンAORに大化けした一枚なのだ。M1はB.スキャッグスかM.マクドナルド期のドゥービーズかといった雰囲気。なかなかおしゃれで聴きやすい。そう思いきやM7のバラードはカントリーミュージックのテイスト。しかしこれは実に甘美。こういうのは大歓迎!最後期のEaglesっぽいという評も見るが、彼らよりももっと垢抜け具合が効いていると思う。そこへ時折チラ見せしてくるルーツ的なものがいいじゃないですか。おすすめ。
ええ、「つづれおり」のルーツはここにある作品。アルバム「Rhymes and Reasons」あたりまでの作風はほとんど変わらない。のびのびとした歌声。印象的なメロディを奏でるピアノ。もうこの時点で彼女のスタイルは確立していたのだ。ただバンドであるCITY名義なので、コーラスやインストパートの充実具合は、本作以降の彼女のアルバムとは趣を異にする。
ちなみにM1は冬の歌ではない。心の冷たい女性のことを皮肉っている(このたぐいの勘違いはEW&Fのセプテンバーでも起こっているが、こっちは12月の歌だ)。それでも冬に合う歌ではある。なんでだろう。リズムはジャズのスウィングの要素が入っているので注目してほしい。
M6の軽快さも絶妙。そういやTodd RundgrenのI saw the lightやIt Wouldn't Have Made Any Differenceを聴いていて思ったけど、Toddも絶対彼女の影響受けてるよね?Toddもつづれ織られたであろうC.Kingの名作、ぜひコレクションに。
ヘルツォーク監督の映画サウンドトラックということらしい。映画は観てないので一度は観てみたいと思う。さて発売された74年、このころの彼ら(というかF.フリッケ)はMoogは手放し、アコースティック路線を走り始めたころだろう。
しかしM1ではメロトロン?もしくは女性Voの多重録音によるコーラス、そして太い音のMoogの音も。これがとても劇的な効果を生んでいる。あぁますます映画を観たくなるじゃないか。どんなシーンで使われているのか気になる。そういう理由からもしかしたら音源としては1st(1970)〜フリッケがMoogでゲスト参加しているTDのZeitが発表された1972年の頃の音源も使われているのかもしれない。
もちろんアコースティックな面も実に美しい。
パンフルートそのままのM2、M3では甘いエレキギターと12弦ギターとおぼしきアンサンブルが胸を締め付ける。ファゴットかな?印象的なメロディで幕をあけるM5は、引きずるようなドラムにエレキギターが絡んで実に幻想的だ。
サウンドトラックという範疇を超えて彼らの二面性、アコースティックと電子楽器それぞれを味わえる作品。個人的には彼らの最高傑作と思っている。
LPはリリースを重ねるたびにB面の収録曲が変わったというマニア泣かせな一枚。もちろんおすすめ。
来日を熱望して止まないバンドの中に彼らSAGAは常に私の中にある。カナダのバンドとしては日本盤もリリースされながらも認知度は高いとは言えないのは何かの陰謀なのかもしれない。YouTubeでも確認できるがライブでのパフォーマンスは相当なもの。特に本国はもとより80年代から東欧での人気は絶大である(In Transitとしてリリース)。
さて、本作は3枚目。デビュー作からその楽曲の質の高さは知られていた。M.サドラーの力強くパワフルな喉はSAGAの看板だろうし、印象的なイントロと曲の半ばでギターとKeyがユニゾンソロを決めるM8、そしてM1は今日でもライブの定番曲である。
彼らの曲目にカッコ付きでchapter〜と記される楽曲は、若きアインシュタインの物語なのだそう。本作でも2曲chapterが付された楽曲があるがなぜか2章と7章。ほかの章は他のアルバムに収録されているのだろうが、なぜなんだろうね?
とにかく覚えやすいメロディ、ハードなフックが利いた楽曲はメタルファンにも受け入れられるものだ。もちろんプログレファンにも。おすすめです。
1983年発表。これを書いているのが2022年なので、発表されてから間もなく40年になる。フェアライトの鐘の音、加えてOBXaの腰の強いストリングス系の音。う〜ん、デジタルとアナログが混在した時代の音だな。QE2とかFive Miles Outあたりがロックバンド的アプローチとするならば本作はプロジェクト的アプローチか。基本的にはほとんどの楽器はマイク自身が演奏というのは変わらないのだがシンセサイザーがメイン。ジャケットの雰囲気と相まってひんやりとした感じが好き。
M2はいろんな人にカバーされまくった名曲。本作収録がオリジナル。Voにディレイかけすぎだろと思うが、まぁ許そう。歌詞はあんまりいい内容じゃないが、これはマザーグース的なレトリックなのかな?詳しい人、教えてください。
M3は不思議な曲調が印象的。Voは我らがJ.アンダーソン。M3で再びM.ライリー登場。彼女の透き通るような声質にメロメロの吾人も多いのではないか。M4は短いインストだがマイクのギターの魅力がふんだんに盛り込まれているフラメンコ調の楽曲。加えて超人的なリズムを叩くのはS.フィリップス(Judas Priest、GTR他、現TOTO)。ラストはFamilyのVo.、R.チャップマンのシャウトが光る。
人気がある作品だと思うが、電子楽器をふんだんに用いてもギターはどう聴いても彼だし、トラッドフォークを想わせるフレーズの豊かさは変わらない。やっぱり名作だと思う。
首都ブリュッセルからずっと南東、フランスのアルザス地方に近いアルロンという地方都市出身。両親がそもそも70sロックが好きだったというから家庭の中で「いい音」は常時鳴っていたんだろうな、という「英才教育」を受けたメンバー。
聴いてのとおり、VoはP.ライノットっぽい太さがあり、演奏はブルースやブギーの要素がたっぷり。
In Rock以前のDPやIron Butterflyっぽいサイケ色ほほうが色濃いように思える。
(バンド名がバンド名ですからねぇ)
また曲によってはフルート、チェンバロ(まさか本物ではないだろう…違う?)が入ったり、Vertigoレーベルの未発表音源?と思ってしまうようなひなびたオルガンや弦楽4重奏(ラストの曲)がいい味出していたりと、まぁ好きなもの、好きな要素を詰め込んだ作品。この作品が作られた当時はメンバー4人が25歳だというから、まさか70sからタイムスリップしてきたのではないか?と思ってしまうほど。
惜しいなと思うのはドラムの音作りは現代的。ちょっと高域がうるさい印象がある。まぁそれもすべての曲がそうではない。歌詞はフランス語をベースに英語が混じるのもちょっと面白い。
ベルギーの田舎町からこういう人たちが出てくるんだから、ロックの世界は広くて深いね。おすすめ。
Ohrの20番。アナログ盤だと結構いい値段ついているのをみかけるがCDでいいや。
TDを離れたK.Schulze、変態、もとい変幻自在ギタリストM.Gottsching、そしてジャンキーH.Enkeのヤバい3人による聴くドラッグ体験。
いつも思うがこのOhrからのエレクトロニクス系のドロドロさはライブだとどうだったのだろう。やっぱり何かキメないと楽しめないのだろうか。体験した人の話を是非聞いてみたいものだ。
ドラムはシュルツなんだけど、サンプルを聴いていて「あ、この人まともに(?)叩ける人なんだな」と。ジャズなんかも嗜んでいたんだろう。ゴッチングのギターはロックというよりもブルースだし。まぁロックの脱構築と再構築を同時にやっていた人たちなので、おクスリなしでも「ちゃんとしたロック」も演奏できる人たちなのだろう。
音的にはTDの1stや2ndのM1あたりを彷彿とさせる。時代が生んだクラウトサイケの古典であり、教典だ。捕まっちゃうからさすがにクスリはキメられないが、適量のアルコールと一緒にどうぞ。
個人的にはスコピの最高傑作アルバムかなと思う一枚。M1、M2、M3、M4、M6、M9と収録曲どれをとってもシングルカットできるクオリティ。彼らの持ち味であるキャッチーでフックの効いたハードな楽曲群は本作で洗練され完成されたと思う。Keyをがほとんど使われていないのが不思議なくらいだ。
個人的には海外で買った海賊版のカセットテープで聞いたのが最初で、帰国後にCDを買ったほどだ。なつかしい…それはさておき「アメリカンナイズされた云々」と評された作品でもあるが、いやいやいや、アメリカのバンドにはこんなメロディは作れないと思うよ。ブリティッシュとも違う陰りはドイツのバンドなんだなと思う。特にM4の前段の静かなパートはそんな印象がある。
当然K.マイネのVoは生き生きとしており、表現力はすばらしい。加えてR.シェンカーのギターが奏でるメロディはバンドの核となっているのは当然だ。
RCA時代よりもぐっとワールドワイドを意識したつくりになったが、そこからの1枚を選ぶなら文句なしに本作だ。
Manticoreレーベルからのリリース。ご存じの方も多いが、かのELPが所有した
レーベル。ELP自身のアルバムはもとよりPFMやBancoの英詩版アルバム、P.Sinfieldの[Still]などプログレの名作をリリースしたレーベルとして知られる。
ところがこのHansonなるバンドの音はプログレではない。ファンキーでハード。粘りのあるリズムと暑苦しいVoを核にして、よく泣きよく歌うギターは聞く度にクセになっていく。
さらにはベースがのちにWhite SnakeやVow Wowにも参加する若き村井さん、もといN.Murray。ワウワウなんかも効果的に使ってファンキーな演出は最高。こういう「黒い音」はスワンプロック好きにも訴求するのではないか。
ヒップホップ界でも本作の評価は高く、サンプリングネタとしても使われている。
「Love Yer, Need You」はリズムチェンジが激しい本作のハイライト。本作は2ndだが1stもおすすめ。
1981年というからプログレには酷な時期のリリース。彼ら初のデジタルミックスで録音された作品と記憶する。旧日本軍の小野田少尉の物語をモチーフにした作品として知られ、D.マッケイ(Key)が参加した唯一の作品もである(J.ウェットンプロデュースの彼のソロScoreはよい作品)。
この時期のCAMELはA.ラティーマーのソロプロジェクト化していた。よってA.ワードとC.ベースの3人体制+ゲストという形をとり、CAMEL名義でアルバムリリースしたようである。
他者による本作のレビューを読むと「フュージョン化」という言葉が目に付く。なるほど、C.ベースのベースがよく聞こえる印象がある。かのY.マルムスティーンは「フュージョンはベースが目立ってて嫌い」と言っていたのを思い出した。高い音階でうねるベースの音はフュージョンっぽいがこの評価は正しくない。むしろこのベースの音は本作では「あり」だ。実にかっこいいと思う。
A.ラティーマーのギターはこれまで以上に艷やかである。時には甘美に、時にはブルージーに決める。惚れてしまうやろ!
そしてD.マッケイ。彼のCP80とM.コリンズのフルートは相性が絶妙である。クリアな音色に徹したKeyは本作の核となっていると思う。
彼らは過去にSnow Gooseで観せてくれた映像美を本作でも観せてくれた。これは実に見事。おすすめ。
ホワイトヘッドのイラストレーションは本作(そして次作も)の目玉なんじゃないかなと思う。表の生首クリケットは英国プログレを象徴するジャケットだと思うし、また楽曲に合ったイラストは中ジャケで披露されている。こういう味わい深いアートワークはアナログレコードだと最大限楽しめるんだが、CDや昨今の配信スタイルになるとなかなか…。まぁアナログレコードを中古で探してもそれほど高くないはずなので是非入手されてはいかがかなと。ちなみに「巨大ブタクサの逆襲」のイラストはとてもかわいらしいのでお勧めだ。
さて、楽曲。M1、M3は言わずもがなの名曲中の名曲。プログレファンで聴いていないという人は皆無なので割愛する。ラップのような畳みかけと皮肉たっぷりの歌詞が楽しめるM5、壮大なラストM7、このあたりも絶妙だ。
T.バンクスのKeyはオルガン主体でなかなかヘヴィーかと思いきや、メロトロンをうまく導入して、しつこくなく利かせる。これはセンスがあるなと思う。本作からS.ハケットとP.コリンズが加入。前作と音作りに大きな変化はない。英国の「正しい」プログレ、というか欧米各国の後続のありとあらゆるバンドが影響を受けたであろうサウンド、やはりすばらしい教科書だと思う。
69年ですか。このバンド、いつか聴いてみたかったんだよね〜と思っていて実際聴きだしてはまったのは今世紀に入ってから。予備知識として「ジャズの要素があるブルースロック」というのだけがあった。なんかプログレっぽいミックス加減だなと思ったが、これがまんざら外れてもいなかった。M1からC.チャーチルのオルガンの陰りが英国臭くていい。M4ははA.リーとスキャットのユニゾン。これが実にカッコイイ。M5は彼らのと言えばの名曲だそうだ。
本作を聴くまでにKing CrimsonのIsland、Moody Blues、Trapezeなんかを聴いてきたけど、この回り道は大正解だったかもしれない。これらのブルース味や英国臭い陰りのようなものを経由して聴いた本作は何か共通点を感じるのだ。レーベルもDERAMだからプログレとのつながりも十分。ジャケットの雰囲気も最高だ。
プログレを通じてブルースロックに興味が出た方はぜひ。
本作を聴きたくなるのは秋。秋も深まってだいぶ寒さも感じられる頃です。
なぜなんだろうか?と思うのですが、やはりM.ピンダーによるメロトロンの魔術がそうさせているのではないかと。
冒頭の爆発音はNASAからのサンプルはお気に召さなかったようで、自分たちで作った音だそう。そのあたりも彼らのこだわりを感じます。そもそもどうやったあの音が作られたのか気になります。
アポロ計画に触発されて宇宙をテーマとしているのかなと思いきや、天空から祖先が地球にいる子孫たちを見つめているのだよ、といういかにもムーディーズらしい人間味を感じる描写が実に温かみがあっていい。ジャケットも祖先と現代とをつなぐようなイラストだし、見開きジャケットの中もまたいい雰囲気だ。
メロトロンは随所に、ほぼ全曲で使われている。中でもOut and InやWatching and Waitingなんてもう秋の夕方のBGM決定版でしょ?、メロトロンのストリングスがこれでもかという厚みで包み込んでくる。夕日が沈むのを見ながら、落ち葉で焼き芋を焼きながら聴いたらいいと思いますよ、ほんと。全曲おすすめ。
1973年。世には数々のプログレの名盤が出回っていた頃、ジャズ、クロスオーバー界隈はマイルス門下生もまたロックとの融合で試行錯誤していた頃であった。
マイルス、ハンコックそしてマクラフリン、この3人はまさにその中核だったと思う(RTFのC.コリアもいたね)。特にマイルスは先駆的だったけど批判も相当だったに違いない。まぁ先輩がいろいろやってくれたので門下生というか子分というか、周りも好き勝手やれたのはいい時代だったのだと思う。
さて、本作。J.ハマーが取り出したる秘密兵器はMini Moogだった。これが素晴らしい働きをする。前作のデビューアルバムもマクラフリンのG、グッドマンのVln、そしてハマーのローズのインタープレイが凄まじかったが、これに加えてM1、M3、M6でMoogのリードソロが加わる。かと思うと、M4のように静寂の中の緊張感を味わえる楽曲もある。本作に関しては特に、ジャズもロックも関係なしにどちらのジャンルのファンも楽しめる作品だと断言できる。加えてジャズ界初のツインバスドラを操るコブハムのプレイもM6でぜひ堪能していただきたい。
個人的には初めて買ったCDアルバムとして懐かしい…まぁそれはどうでもいいや。とにかく名盤です。
77年の唯一の作品。高校時代からの同級生がピンクフロイドとかジェネシスのカバーバンドをやっている間に曲を書き上げ、自主製作リリース。このあたりのエピソードはイタリアのSEMIRAMISと似ている。若さってすばらしいね。
LPジャケットの雰囲気はCDでは再現できなかったが、中身は本物。ボーナストラックのYESのAnd You And Iのカバーもお見事。
シャープなYESという雰囲気だが、音作りは実にシンプル。その代わり各パートのシャッキリ感が際立つという、プログレの「カッコよさ」みたいなところが全面に出るのが彼らの特徴。
フランスのプログレの特徴というか、使用楽器はソリーナ・ストリングスアンサンブルを多用する傾向がある。もしくはエミネント310か。それがまた、メロトロンとは違った冷ややかな味わいが楽しめるのでたまらん。
ボーナストラックでYESのカバーを含んでいるが、ギタートーンはCAMELとかGENSISっぽい。キーボードは同郷のPULSARとか、ドイツのNOVALISなんかを思わせる。
とにかくフレンチプログレ屈指のレア盤で、今日では2桁万円台のプレミア。
さすがにCDだけじゃなくLPも必携とは言い難い。
そういやフレンチプログレの名作と呼ばれるものは70年代後半のリリース作に多いと思う。本作もまさにそれ。一度はぜひ聴いてもらいたい作品だ。
70年のIn Rock、そして72年のMachine Headの間にリリース。中だるみ?そんなものはない。タイトル曲はグイグイと聴く者を引き付けるスピード感ある楽曲。M1にふさわしい名曲。冒頭の効果音はエレベーター?昇降機っぽい音だが、「火の玉」を演出するには下手にシンセを使うよりも効果的な感じがする。間髪入れずにスネアが細かく刻み、煽りたてる。これはもうホントに素晴らしい演出。
M5はリズムが変わっているけどメロディが印象的。ギターとオルガンのエフェクトはサイケデリックな感じで「アートロックなDP」の一面を見せてくれる。M6もそんな雰囲気ある。ハードロックに徐々に傾倒していく過渡期的な部分が出ていて興味深い。前作はもっとハードロック寄りの印象があったので、ここで迷いがあったのかも、と邪推するのも楽しい。
地味ながらもM2は本作にはなくてはならない楽曲だと思うし、M3はアメリカ盤とUK盤と収録曲が違うのも「いけず感」があっていい。両方買わなければないのも嬉しいじゃないか。
名作と傑作の間のリリースなのだが実に良作だ。今更なのかどうか、持っている方はもう一度聴いてみてくださいよ。まだの人は一家に一枚。いや、2〜3枚あってもいいアルバムだ。
1983年の2nd。エレクトロニカ界隈では知られている?プログレ界隈ではどうだろうか…ドイツの2人組ユニットで、Clusterあたりの人脈とつながっていると思われる。まぁよく知らないので大きな声は言えぬ。しかし、この2nd、いわゆるシンセミュージックというとちょっとそこはひねくれている。ノヴァトロン(メロトロンの改良型)をふんだんに使用し、メロトロン至上派を喜ばせてくれる一枚なのだ。
前作1stでも1曲にだけ使われているのだが(しかもMk2!)、この2ndは収録曲の半分はメロトロン(というかノヴァトロン)の洪水である。M1のタイトル曲でもうガッツポーズを決めるしかなく、次のM2では幾分スローな曲でもその余韻を楽しむことができる。音も混声合唱、ストリングス、オルガンとメロトロンを使い倒したかのような活用でうれしくなる。
おそらくBureauBからの再発がなかったら触れる機会はなかったと思うが、このレーベルは流通が弱いので見つけたら即買いだ。
ちなみにオリジナルLPとはジャケットが微妙に違う。
ネオプログレあるいはポンプロック…なんかボヤっとした比喩ではあるし、束ねたうような言い方になるので好きではない。マーケティング側の類別なのだろうけど、まぁそうした80年代のムーブメントの核となったバンドだ。彼らはキャリア的にはMarillionより先にデビュー(1976年)しており、メジャーレーベルデビューとマーケティング的にはMarillionが先になったというだけだ。
音的には特に前作(ライブ)の「Alive Alive」を聴いてもらえれば明らかだが、彼らはプログレというよりもむしろNWOBHMの流れを汲んでいる。なので先述のムーブメントと一緒に束ねるのは無理があると思う。
さて、発表当時はCDのリリースがなくLPのみのリリースであった。CD化はそのあと数年後のこととなる。Centaurからのリリースが最初のCD化再発盤となるが、オリジナルLPとは曲順が違う。曲も差し替え・追加がある。マニアはLPも買ったらいいが、そこまでしなくてもいい。LPと同じ曲順でのCDは2015年に国内盤のSHM-CDとして再発されたものになるが、印象は変わってくる。私はこのCentaurからのリリースに耳が慣れたのでこっちで満足。名曲Alive Aliveのスタジオ版は彼らのテーマソングのように聞こえる。生のライブで観てみたかったバンドだ。
またR.ディーンやR.マシューズに並ぶイラストレーター、P.ウッドローフによるジャケットはイマジネーション掻き立てられるすばらしいものだ。
3人になっての2nd。前作で「Follow You Follow Mie」という大ヒット曲を世に放って自信がついたのかどうか。前作よりも鋭角な音作りと音の重ね方が際立つ作品となったと思う。初のリズムマシンの導入は、P.コリンズがヴォーカリストとしての比重をさらに高めた「覚悟」的な意思表示なんだろうか。この音作りのスタイルは「We Cant Dance」(1987)まで続き、80年代Genesisらしさの基礎になったと思う。
さて本作もヒットシングルを生み出しており、エレクトリックピアノの「じゃーん」というコードがライブでの盛り上がりポイントである「Turn It On Again」が英国チャート8位。アルバムも2週連続1位と、まぁよく売れた。
ただ、シングルヒット狙いの短い曲ばかりではなく、ラストの組曲は4人時代のプログレ色を髣髴とさせる佳曲も収録。
全体的には1曲1曲に使われる楽器の音色がよく選ばれていて、かつ楽曲の展開ごとにどのように重ねるか、聴かせるかということに気を遣った構築美を味わえる作品だと思う。ピーガブ時代だけじゃない、4人時代だけじゃない、3人の時代ももっと評価されていいと思わせる一枚だ。
MetallicaのLウルリッヒが最優秀ハードロック/ヘヴィメタルパフォーマンス賞での受賞を受けて「奴らはメタルか?(笑)」と言ったとか。
まぁそれは彼がタルのこれまでの功績を知っての発言なのだろう。決して揶揄しての発言ではないと信じたい笑
それでも本作の印象は、同じ英国出身で、かつ国内での人気が高いバンドMagnumの作風によく似ていると思う。あくまでも雰囲気の話だが、それでも音楽のスタイルは本作に関してはよく似た作風となった。つまり「英国臭い」。
M1の「Steel Monkey」からメロディックだがハードな楽曲。「Jump Start」と「Raising Steam」もハードロック風だ。それでもメロディの秀逸さが際立つ。
アコースティックな「The Waking Edge」と「Budapest」、そして「Said She Was a Dancer」は過去のタルが演奏してきたスタイルを彷彿させるもので、昔からのファンも満足するだろう。反戦ソング「Mountain Men」も素晴らしい出来だ。
セールス的にももちろん成功作だったと思う。多分メタル寄りの人々にも訴求したのだろう。Iron MaidenのSteve Harrisだって大好きなタル。いくらハードになろうがメタルではありません。タルはタル。これも秀逸なアルバムだ。
1974年の3枚目、もしくはManticoreレーベルからのワールドワイドリリースの2nd、Tne World Became The Worldのイタリア語版ということになる。先にリリースされたのは英語版のほう。インストテイクはまるっきり英語版のものなので別テイクを期待してはいけない。しかし、というかやっぱり母国語のほうが感情こもると思いますよ、ええ。イタリア語版も録音され、リリースしてくれたのは本当によかったと思う。
このアルバムの聞きどころはM1とM5。優しいメロディと後半の盛り上がりを演出するのはやはり母語のイタリア語だろう。それでもあまり感情的じゃないんだなーという印象(特にM1)。M1のような前半ヘヴィな曲調には英語のほうがガツンとパンチがあるのかもしれない。それでもこの2曲のためにThe World~(英語版)と本作の両方は買ってしまう。唯一英語の歌詞のままだったM2、やっぱりイタリア語の歌詞でも聴きたかった。それでも内容は英語版同様やっぱり最高だ。叙情派シンフォニックロックの傑作と言ってよい一枚。メロトロン至上主義の方も満足する出来だ。70sプログレの教科書副読本としておすすめ。
『The Lamb Lies Down On Broadway(幻惑のブロードウェイ)』発表後、そしてピーガブ脱退後初のライブアルバム。C.トンプソンとB.ブルッフォードのツインドラムによる「Los Endos」が楽しめる作品として有名。当時の国内盤タイトルは「幻惑のスーパーライブ」。
思えばP.コリンズはこの時期にエンターテイメントの技を身につけ始めたといえる。フロントマンのピーガブが抜け、まさかドラマーがフロントマンになるとは誰も思っていなかったのではないか。メンバー唯一の労働者階級。クレバーなメンタリティがそうさせたのかは知らんけど、「よっしゃ、ワイが屋台骨引受けちゃる」とでも言ったか言わなかったか…でもまぁドラムはやっぱり誰かにとなったのだろう。ドラムとVoの兼任は今までもいなかったわけではないが、自信なかったんじゃないのかね?
C.トンプソンは本作をきっかけに長くGenesisに関係していくが、B.ブルッフォードはよくもまぁ拾ってきた、もとい引き受けてくれたもんだと思う。時期的にはUKデビュー前?クリムゾン解散直後?「Crimsonの太鼓で聴くGenesis」というのもオツなものだ。
さて、このレビューのタイトル「丁度いい」とはなにかというと、個人的な話をすると『The Lamb Lies Down On Broadway』は2枚組スタジオ盤なのでお腹いっぱいになってしまうのだ。そしてアルバムの出来としては散漫で間延びしていて成功とは言えない…これはあくまでも個人的見解だが。その中でも光る曲はある。それを他のアルバムからの曲を含めて演っているライブなので「丁度いい」のだ。『幻惑のブロードウェイ』完全再現ライブじゃなくてよかったぁ(安心)という意味での「丁度いい」と言ったほうがいいのか。
とにかく3人になる前のプログレ期唯一かつ最高のライブが聴けるのは本作。同じ2枚組で「幻惑」が付くタイトルならこっちの「スーパーライブ」のほうをおすすめする。名作。
メキシコのシンフォニックロックバンド、今の所?(既に解散?)唯一の作。
ロサンゼルス滞在中にかのR.フリップからギターのトレーニングを受けたというギタリストのマルコがこのバンドの中心人物。ギターはCAMELっぽい(特に90年代以降の)。たまに攻撃色を放つオルガンはEL&Pぽさもある。
M2の「El Eco de Tu Voz」はCAMEL風のギターワークと女性ヴォーカルが素敵。大袈裟な楽曲が続くが、時折「Paseo」や中世の影響を受けたと思わせる「Vorágine」のような短いアコースティックな曲が出てくる。これが実に効果的。そしてVo入りの収録曲で本作のハイライトである 「Corriente Abajo」はPFM や CELESTE などのイタリアの先人たちを思い起こさせる。CD2は「Iconos」という組曲でほとんどを占める。Voはあまり入らず、ほぼインストルメンタル曲になっている。彼らのKeyの音作りからは80年代以降のTangerine Dreamを思わせる重厚さを感じるところもあるが、ロックとしての構築美は十分に感じられる。
こうして聴いてみるとメンバーはかなりいろいろなプログレのアルバムを聴いていたんだろうと思う。ちなみにメロトロンっぽい音はサンプラー(E-muのEmulatorらしい)によるもの。
当初はCDは限定盤再発だったようだ。再プレスされた品も今やなかなかお目にかかれなく鳴ってきた。このH.R.ギーガー風のジャケットからは想像がつかない一大シンフォニックを堪能できる1枚(2枚組)としておすすめ。
KISSのポール・スタンレーのプロデュースという鳴り物入りでデビューした1st.実際は共同プロデューサーのマイク・ストーンの手腕だったというのはさておき、いわゆるアメリカン・プログレハードの一派である。
彼らのウリは甘美なメロディ、びしっと決まるコーラス、鳴きのリードギター、そしてメロトロンを多用したキーボードワークである。
M1からマイルドなアイドル路線のポップな楽曲。つかみはOKだ。そして彼ら最大の?ヒット曲M2。メロトロンによる印象的なイントロはこの界隈の愛好者にはたまらんのではないか。この曲に限らずメロトロンを多用した曲はM3の哀愁のバラード、再びアイドル路線のM4、「怖がらなくていいんだZE。いひひひ」なM5などどれも垂れ流しではなく、ここぞというところで贅沢に使っている。時代的にM400Sだろうが、いい味だしてますねぇ。
彼らの下地になっているのは基本的にハードロックなので、聴いていて爽快感も味わえる。去りゆく夏を惜しみながら車で湾岸を走るお供に最高だ。知らんけど。
一時期シールド品カットアウト盤のLPが大量に出回ったのはもうずいぶん前だな…と思い出に浸ってしまう。そんな一枚である。
今レビュー書いているのが2022年なので、本作発表されて50周年か。時が経つのは早いな…かつて「少年老易学成難」とかいうアルバムを出したThe Niceの狂ったオルガニスト、K.エマーソン。彼も生きていたら今年は何か本作に因んだイベントをやってくれたのかなと思ってしまうほど愛着がある作品。
エマーソンに関して言えばオルガン、箪笥、ピアノと弾き倒すのは相変わらずだが本作はピアノの比重が高いと思う。しかも収録曲の全体がしっとりしているなーと思うのは、叙情的なメロディがどの曲も印象に残るからなのかと。
M2は完全にレイクの独壇場で、ギターとヴォーカルを十分堪能できる。こういう曲が挟まるところがアルバム4枚目の余裕というところが出たのか。M3のエンディングはELPらしいコミカルさが出ているし、M4はライブでも定番となった名曲。M5のタイトル曲は美しく、本作のカラーの中心となっている。M5はライブでメロトロンをレイクに弾かせたらしいが失敗したと聞く。音の重ね方はやっぱりスタジオ録音なら実現した曲なのではと思う。
教科書的一枚として永く聴けるのは当然だが、プログレ普及用・布教用としても複数枚所有することをお勧めする。
1980年。2枚組でリリースされた彼ら唯一のライブアルバム。
1stアルバムのジャケットではイメージロゴ・イラストが大きく描かれ、この時代〜70年代アメリカンロックらしさが表れているが、2nd以降は派手なフリルのブラウス、ベルボトムのパンタロン…しかも全体的に白の衣装で揃えている姿を披露している。レーベルメイトのKissが黒なら真逆のイメージ戦略なのだろう。バンド名がANGELだからなのか…しかしまぁこれが成功したのかどうか。。。相原コージの漫画の題材になり、ザッパの楽曲のネタにもなり、という点でお察しだ。
1stはプログレ風味のハードロックとしては英国臭さも感じされたが、以降徐々にポップ化、グラムロック風味を増していく。それでも印象的なメロディと大袈裟なGreggのKeyがプログレファンにも耐えうる音だと思うし、好きな人は全アルバム揃えたくなるだろう。
さて、本作は彼らの派手派手しいテーマ曲(インスト)で幕を明ける。Greggはエマーソンばりに箪笥Moogのリボンコントローラーを操る。スタジオ盤ではメロトロンが使われている曲も、一部はPoly Moogに置き換えられている。それでも元の楽曲がいいのでこれはこれでよしとする。イメージを気にしなければ普通に良ライブ盤だ。但し、後付けの観客の歓声が機にならなければの話だが。
彼ら19枚目のアルバム、かつ13枚目のスタジオアルバム。アルバムタイトルはギリシャ神話の中に出てくる古代ギリシャ地理学によって位置付けられた極北の地であり、そこに住まう人々のことを指すらしい。
1983年の彼ら、というとE.Froese、C.FrankeそしてJ.Schmoellingの3人期。もはやロックの躍動感というよりもシンセミュージックとしての音の描き方のキャリアのほうが長くなった頃だ。本作はオリエンタルな味付けがあり、(恐らく本物の、ではなくシンセによるもの)タブラの音とかガムランっぽい音も聞こえてくる。メロディは非常にわかりやすく、選び抜かれた涼しげな音色がふんだんに使われている印象がある。
アルバムタイトルとは真逆の「無人島」を指すM1、実は極北は暖かかったのではないか(むしろ熱帯?)と思わせる不思議メロディが展開する。M2は太陽が照り付ける砂漠を想わせる。M3は本作で最もポップでキャッチーなメロディが印象的。M4はLPだとB面全部となる曲で、荘厳さと壮大さを感じる。シンセミュージックでオリエンタルというと喜多郎を想わせるが、それに共通するところもあるので比較して楽しんでもよいかと。
全英チャート100に2週間ランクインし、最高位45位。結構売れましたね。暑い日のBGMとしてもおすすめです。
1975年。このジャケットとタイトルで聴く気を無くしてしまうのは実に損だ。
かの私がそうだった。イタリアのバンドなら母国語で歌えよ!と思っていたのも確かである
しかし、しかしである。損していたのは私のほうだった。Voはピーガブを意識しているのは明らかだろうが、激しく展開し躍動感あふれる楽曲は紛れもなくPFM。抒情性に増して躍動感がさらに高まった作品に仕上がっている。[Storia di〜]とか[Per Un Amico]あたりはロックな室内楽団という印象だったが、本作や次作[Jet Lag]くらいになるとロックバンドとしての勢いを感じる。逆に勢いのいい曲が続くので圧倒されてしまうので、抒情的な曲をうまく挟んでくれたらよかったのになぁとも思う。ちなみに本作はメロトロンは入っていないはず。
とにかく、ジャケットとタイトルで誤魔化されないでほしい。テクニカルで覚えやすいメロディ、イタリアのプログレの代表選手はやっぱり彼らだなというのをまざまざと見せつけてくれる一枚。当然ながらおすすめだ。
ギリシャのソクラテスというとこのアルバムしか知らない。「Vangelisがプロデュースしたバンドの作品」ということで存在を知ったというほうが正しいか。彼らの他の作品を聴いていないので正しい評価はできないが、70s前半のVertigoから発売されたGravy Trainやmau Blitzなどの作風の流れを感じる。ロック、ブルース、フォークなどのごった煮を民族的スパイスを効かせた感じ、とでも言うべきか。おそらくKeyはVangelis本人だと思うがこの頃はオルガン(非ハモンド)メイン。但しギターとのユニゾンで太い音に聞かせる工夫や、アコースティックギターの怪しげな雰囲気(演出)は彼のプロデュースの腕が発揮されたと思う。身近なところだと「Heaven And Hell」(1975)あたりの音を彷彿とさせる。
C.Baglioni、P.Pravo、R.CoccianteなどVangelisプロデュースの作品はCD化されているのも少なくない。どうしても壮大な作風をソロアルバムの作風に聴き慣れているが、ロックに関与した70sの仕事も実に興味深い。
エッフェル塔らしきものが聳えるヨーロッパの街の夜に巨大な球体。これを月と見るかどうかはジャケットを手にした者が判断すればいいのだが、実に怪しげである。1975年、マンザネラ絡みでは歌もの中心の801と双璧を成すインストで攻めるQuiet Sun唯一の作、このジャケットインパクトは実に大きい。
音もジャケットのインパクトに負けていない。M1冒頭で一瞬聞こえるスタジオノイズ、ミキシングブースからのトークバックか。これが緊張感を一気に高める。そして冷ややかなピアノ、クリムゾンも敵に回すが如きファズっているギター、淡々と刻まれるリズムは「ジャズロックのかっこよさ、ここに極まる」と言っても過言ではない。M4の浮遊するエレクトリックピアノが印象的なスローナンバーも実に魅力的だ。元々彼らは70年代頭にごく短期間だけ活動していたのだが、マンザネラのロキシー加入でアルバムを残すことなく解散。その後メンバーの活躍があって一段落したところで「ご褒美レコーディング」と相成った、というのが本作なんだそうだ。ちなみにC.ヘイワードのドラムは、手数が多い割に、F.キリコのようなこれ見よがしに叩いているように感じない。実に巧いと思う。
しかし本作の肝はおそらくEnoのOblique Strategiesというツールにあると思う。これは短い言葉が書かれた115枚のカードで、創作的思考を引き出すものらしい。
謎めいた曲名ももしかしたらこれによって導き出されたのかもしれない。
バンド名の「静寂の太陽」とはそれぞれ対極にあるような存在を組み合わせた造語だと思うが、これもまたOblique Strategiesによるものかもしれない。
Roxyファン、KC信者、Enoマニア、カンタベリー狂…問わず広くプログレファンに愛され、謎解きしてほしい一枚。
最初から最後まで口ずさめるくらい聴き込んだアルバムっていうと、YESの「危機」とこの作品だなと。そして飽きることなく、棚から引っ張り出して聴いては「やっぱ最高かよ」と一言つぶやくのである。
ライブ録音。オーバーダビングしているようには聞こえない(フェードイン・アウトはあるが)。ハモンドも箪笥Moogもこの作品を聴いて「これがそうなんだ!」と知ったと思う。広く「ロック」のライブアルバムとして緊張感がビシビシ伝わる一枚だと思う。逆に後年発売される数々のブート盤等ではダレている感じがあるので。本作のテイクが最高だと思う。
本作は特にG.Lakeの才能に着目したい。The sageでのアコギ?エレアコ?がクラシカルに爪弾かれる。ここは美的センスを感じるよね。The Curse Of Baba Yagaあたりで聴ける荒ぶるベースも最高。もちろん艶やかなVoは言わずもがなだ。
それからC.PalmerのDs、とやかく言われがちな彼のプレイスタイルだが突っ走ってもそれはそれで味わいがある(特にLPのB面)LPのA面でも3人の息が合ったプレイを聴かせてくれる。仲が悪いだの何だの言われても、公言しても(?)プロのプレイはここぞとばかりにキメてくる。
Blues VariationではBill Evansのカヴァーを挟んでるのを知ったのは、本作を初めて聴いてからかなーり後の話であった…ここは蛇足、おまけの話。
本作はプログレのいろはの「い」、教科書中の教科書なので持っている人は何度も聞き直すこと必至だし、布教用に何枚も持っていていいアルバムだ。
再始動後初のアルバム。M.ピンダー脱退そしてP.モラーツ加入という凄い話がくっついて話題先行の作品だったと記憶する。
蓋を開けてみればJ.ヘイワードとJ.ロッジという2大メロディメイカーがいる限り音的には従来と変わらない優しい歌ものチューンのオンパレード。1981年という年代を考えると、このスタイルは新しさよりも懐古的すらある。
P.モラーツのKeyは凄腕披露とはいかず、徹底的にオーケストレーションに徹するスタイル。キラキラしたアルペジエーターはこの後も毎作のように登場する。本物のストリングスセクションも導入しているので豪華であるが、バンド感というよりもやっぱり2大メロディメイカーのプロジェクト感が強いように感じる。
M1の疾走感は新しさを感じる。アルバム[Sur La Mer]のM1にも似た清々しさがある。M3はコーラスアレンジ、テクノっぽいKeyはELOっぽさを感じるがやややり過ぎ感がある。中でもM8はR.トーマスがVoをとっているが従来のムーディーズ色が持っていたファンタジーの味わいが残る。
M1はぜひヘッドフォンで。実はハイピッチのメロトロンが鳴りっぱなしである。M6もメロトロン入り。弾いているのはP.モラーツではなくJ.ヘイワードだという話がある。
従来のメドレー形式のコンセプトアルバムの造りではなくなったが、それほど悪くはない。一度は聴いてみることをお勧めする。
2ndアルバムである本作が発表された頃には2人は既にYESに参加していたという作品。演っていることは完全にニューウェーブ、テクノなのだが、まさかYESに参加してしまうというのは面白い話だ。そのあたりのエピソードは検索すれば出てくるので割愛する。
タイトルは見事に彼らの音楽スタイルを言い表しているのではないか。当時最新鋭の機材と最先端のエフェクトを用いて新しい音の追及をしていたに違いない。プログレにFairlightが持ち込まれたのはGeoffが最初なのではないかと思う。
M4は「DRAMA」にもYES版が収録されているが、こちらのほうがコンパクトかつタイトなアレンジとなっている。ぜひ聞き比べていただきたい。
1st同様、アルバム収録曲を通して聴くと決して明るくはない。T.ホーンのぶっきらぼうなVoは機械的にすら感じるし、メロディはマイナー調。それがまたよい味わいをもたらしてくれる。
アルバムおよび楽曲の出来は1stが格段によいのだが、ラスト作となった本作2ndもまた捨てがたい。長い間CD化されなかった1枚だったと記憶している。ぜひ。
キャラヴァンの3rd「ピンクとグレイの地」である。文句なしに名作なのでまさか聴いたことがない人はいないかと思うが、僭越ながらレビューしよう。
彼らというとトレードマークのあの声、Richard SinclairのVoだ。すっとぼけ感といいうか、ほのぼの感というか。真似しようと思ってもできない味わいだ。M1ではメロトロンがさらりと使われているが、それよりも彼の声だ。もしカラオケに入っていて歌ったとしても高得点は狙えなさそうだ。それくらいの朴訥さの存在感はのちに彼がCAMELに移ってBreathlessで聴かせてくれ歌声はまさに「Mr.キャラバン」と言うしかない。
M2以降、タイトル曲までほのぼの感は続く。歌詞は国内版対訳を読めばいいのだろうけどファンタジーであろうが、現実の皮肉をこめてあろうが、なぜかどの曲も緊張感とは無縁に感じる。秋〜冬の木の下でごろりと転がってふんふんと聴いているようで聴いてないような。それでも「やっぱりいいよね、キャラヴァンって」と言ってしまいそう。LPだと片面全部を使った組曲?もやっぱりすっとぼけ感でいっぱいだ。ちょろっとメロトロンが入るが、これも気にならない。
最近ボーナストラック入りで再発されているが、ジャケットのイラストを見ながら楽しむも良し。
彼らを「プログレバンド」と認識している人は多くないのではないだろうか。70年代中頃まではメロトロンを使った曲があったり、トレードマークのMini Moogも活躍したりという「ちょっと変わった英国ロックバンド」だった思う。私自身は彼らをプログレバンドと位置づけるのは無理があると思っている。私が彼(ら)を知ったのはラストにMoogが大暴れするUriah Heepの「July Morning」である。実際、彼らのアルバムでそこまでアバンギャルドな演奏をしているものはなく、あれは特別だったことは後年知ることになる。
どの曲も実に叙情的で、ポップでキャッチーでメロディアス、どれもシングルカットできそうな素晴らしいソングライティング力。これが彼の真骨頂だ。
しかもカバー曲にもしっかり現れていて、M1とM2はすっかり彼らのモノにしている見事なアレンジ。特にM2なんて原曲のラフな感じの微塵もない。多分「私だったらこうする」マンなんだな。きっと。79年ともなるとポリシンセも普及しているのでそこをうまく使っている。こういうKeyの使い方、さらりとして巧いなぁと思う。
Sad Cafeや10cc、Jackson Heightsあたりを感じさせる英国紳士ロックと勝手に位置づけておきましょう。おすすめです。
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