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【ユーロロック周遊日記】MOSAIK『MOSAIK』(スウェーデン/1982)

カケレコ・ユーザーの皆さん、こんにちは!

突然ですが、少し前にアップされたWebマガジン「【カケレコンピ】ダブル・キーボードで聴かせるプログレの名曲!」は、もうご覧になりましたか?

ダブル・キーボード・グループという、少しマニアックな視点で様々なプログレ・バンドの曲を取り上げているので、未読の方は是非チェックしてみてください!


【カケレコンピ】ダブル・キーボードで聴かせるプログレの名曲!

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カケレコの豊富な新品・中古在庫から、お題にフィットする楽曲でコンピレーション・アルバムを作ってしまおうという、名付けて「カケレコンピレーション」。第1弾は「ダブル・キーボードで聴かせるプログレの名曲」でカケレコンピ!

ところで、前回の記事では予想以上にたくさんのダブル・キーボード・グループが候補に挙がったため、記事スペース上、カットせざるを得なかったアーティストもたくさんいたんですよね。

そんな中から今回は、スウェーデンのダブル・キーボード・グループATLASをご紹介し、メンバーの後身プロジェクトMOSAIKにカケハしていきましょう!




●ATLAS

ATLASは1974年にスウェーデン南部の都市マルメで結成され、80年まで活動していたシンフォニック・ロック・グループです。

スウェーデンのシンフォニック・ロックといえばKAIPAやDICEが有名ですが、ATLASも本来であればそれらと同列に紹介されるべき素晴らしいグループ!

しかし、プログレ・バンドとしては遅めの79年アルバム・デビュー、さらに、ディスコグラフィーが『Bla Vardag』1枚のみということもあって、“知る人ぞ知るバンド”という評価に留まっていました。

初CD化の時点ではメンバーの素性はもちろんのこと、アルバムの制作年さえ正確にわからなかった(!)という情報量の少なさも、彼らの知名度拡大の足枷になっていたのかもしれません。

ATLASは、いわゆるCAMELフォロワーの音楽的特徴を持っており、ダブル・キーボードの強みを生かしたシンフォニック・ロックを得意としています。

79年といえば、本家CAMELはキーボーディストPeter Bardensが脱退し、新たにHAPPY THE MANのキーボーディストKit Watkinsを迎え『I Can See Your House From Here』を発表した時期ですね!

試聴 Click!


●79年作『Bla Vardag』 試聴

では、ATLASが残した唯一のアルバム『Bla Vardag』から何曲か聴いてみましょう!

まずは、1曲目に収録されている「Elisabiten」です!

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KAIPAやDICEに全く引けを取らない清涼感を持った、素晴らしいシンフォニック・ロックですね!

程よく軽快なサウンドと、北欧らしい人懐っこいフレーズの相性が抜群です。

時代性もあってかバンド・アンサンブルにフュージョン・テイストが表れていて、より親しみやすさが強調されています。

曲の後半には、メロトロンのサウンドも登場!

では続いて、2曲目に収められた「Pa Gata(I & II)」を聴いてみましょう!

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70年代中期のGENESISからの影響を感じさせるダイナミックな大曲!                                                                                        
オルガンとピアノを重ねるアプローチなど、ダブル・キーボード・スタイルを駆使した厚みのあるバンド・サウンドがかっこいいですね!

プログレッシヴ・ロックらしい7拍子フレーズもテクニカルに弾きこなしています。

いかがですか?
冒頭2曲を聴いただけで、彼らのポテンシャルの高さは十分すぎるほど感じていただけたのではないでしょうか。


●MOSAIK

さて、ATLASが80年に活動を終了すると、ギタリストJanne Perssonによるプロジェクト、MOSAIKが誕生しました。

MOSAIKの82年作『Mosaik』には、ATLASの5人のメンバーたちのうち4人が参加しています。

MOSAIKのアルバムはCD化の機会に恵まれなかったため、これまでは一部の曲がATLASの『Bla Vardag』の“ボーナス・トラックで聴けるだけ”というような状態が続いていました。

しかし2023年、ついに『Mosaik』が念願の初CD化を果たしました!

これは取り上げないワケにはいかないでしょう!


● 82年作『Mosaik』試聴

まずは、2曲目に収録されている「Bjornstorp」です!

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この曲が上記の、ATLASの『Bla Vardag』が初めてCD化した際にボーナス・トラックで収められていた曲ですね。

ギタリストのJanne Perssonがプレイするフルートで始まる、とても北欧らしい曲です。

同じくスウェーデンのCAMELフォロワーである、初期のISILDURS BANEを彷彿とさせる感じもしませんか!?
ともあれ、ATLASからの流れを感じさせる素敵な北欧プログレです!

CAMELやGENESISからの影響を感じさせたATLASに比べ、MOSAIKはJanne Perssonのソロ・プロジェクトという色合いが強く、ATLASよりも幅広い音楽性の曲を収録しています。

Janne Perssonは本作において、ギター類だけではなく、ベース、ピアノ、メロトロン、フルートなどもプレイしており、そこに元ATLASのメンバーらがサポートに入り制作されたようです。

では続いて、6曲目に収録されている「Onnestad」を聴いてみましょう!

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本作には、サックス奏者Peter Nilssonとヴァイオリン奏者Tomas Gunnarssonが参加しており、「Onnestad」ではサックス奏者Peter Nilssonがフィーチャーされていますね。

CAMELやGENESISの音楽性からはだいぶ離れ、むしろECMレーベルのような爽やかさを持った曲という印象すら持ちます。

しかし重要なのは、本作に収められたすべての曲が、ATLASはもちろんのことKAIPAやDICEにも引けを取らない北欧らしさを持っているということです。

ヴァイオリン奏者Tomas Gunnarssonの演奏もご紹介したいので、続いては7曲目の「Pappa har gatt vilse」を聴いてみましょう。

試聴 Click!

ゲスト・ヴォーカリストKarl Wittingによる、スウェーデン語のヴォーカルが入ったフォーキーな小品ですね。

ATLASはオール・インストだったので、ヴォーカル曲の存在に最初は戸惑いをおぼえるかもしれませんが、しっかりと耳を傾ければ北欧らしい素朴さを持った曲の良さに気づきます。

寄り添うようなヴァイオリン奏者Tomas Gunnarssonのプレイも素晴らしい!

では最後に、アルバムのエンディングに収められた「Mosaik: Gul, rod, orange」を聴きましょう!

試聴 Click!

この曲は、エレキ・ギターとフルートの多重録音作品ですが、この曲を最後に持ってくるというのは、なかなか攻めています。

とても前衛的で、いわゆるチェンバー・ロックのようなサウンドですが、やはり北欧の冷ややかな空気感があり、難解な音楽性など忘れてじっくり聴きこんでしまいます。

なお「Mosaik: Gul, rod, orange」は、「モザイク: 黄、 赤、オレンジ」の意味なので、ジャケットのデザインに繋がっているということでしょう!

いかがでしたか!?

プログレッシヴ・ロックにはMOSAIKのように、素晴らしい内容にもかかわらず未だにCD化のメドが立っていないという作品がいくつもあるんですよね。

カケレコは、そういった作品のリリース情報にも常に目を光らせていますので、今後も“ついにあの作品が初CD化!”なんて嬉しい情報をお届けできるかもしれません!

是非カケレコの新入荷情報をチェックしてくださいね!

それではまた次回!

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  • MOSAIK / MOSAIK

    スウェーデン、元ATLASのギタリストJanne Perssonが結成したグループの82年唯一作、シンフォ、ジャズ/フュージョン、アンビエントまでを高水準で行き来するかなりの力作!

    スウェーデン出身、79年のシンフォ名盤『Bla Vardag』で知られるATLASのギタリスト/マルチ・プレイヤーJanne Perssonが結成したグループの82年唯一作。これはなかなかユニークなバンドです。アコギとフルートによるメランコリックなインストで幕開け。ロマンティックな演奏にうっとりしていると2曲目、タイトで活きの良いドラムとリッケンバッカーと思われるブンブン唸るベースが力強くリズムを刻み始め、ギターとフルートが温かいトーンでメロディアスに疾走する、手本であろうCAMELにも肉薄するファンタスティック・プログレを繰り出してきてテンションが上がります。唐突にドラムソロが挿入されたりするのも面白い。よしこの調子で行くのかと思いきや、続く3曲目はピアノの響きがあまりに美しいかなり本格派のアンビエント調ナンバーで、前曲との振れ幅に驚かされます。そして4曲目はアコギにパーカスとヴァイオリンが絡む素朴でちょっぴりアンニュイな弾き語り。後半はジャジーなテイストも交えつつ、こんな調子で終始自由奔放に聴かせていて、これは一筋縄では行きません。でもアルバムで通底しているのが、雪が降りしきる中を一人佇むような物寂しい空気。そのあたりはやはり北欧ならではの味わいと言えます。それにしてもシンフォ、ジャズ/フュージョン、アンビエントまでをこの高水準で行き来してしまう高度な音楽性とテクニックは恐るべしです。マイナー盤にしておくには惜しい力作!

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