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【ユーロロック周遊日記】PASKINEL『MARAUDE AUTOMNALE』(フランス/2023)

KING CRIMSONを率いる鬼才ギタリストRobert Frippは、KING CRIMSONをプログレッシヴ・ロックのカテゴリーで解釈されることを快く思っていないという話は有名ですよね。

Robert FrippとKING CRIMSONこそプログレッシヴ・ロックの象徴のような存在だと思うのですが、本当に先進的なアーティストにとっては、既存のカテゴリーなど窮屈なだけであまり意味がないのかも・・・。

ともあれ、既存の型にハメることができないということは、それだけそのアーティストの生み出すサウンドが独創的だということですね!

●ALCO FRISBASS 略歴


本日は、ANGEやATOLL、MAGMAといったバンドを輩出し、MUSEA RECORDSも籍を置くフランスから登場したバンドのご紹介です。

2015年、デビュー・アルバムながらレベルの高いサウンドを聴かせ大きな話題になったALCO FRISBASSをご存知のファンは多いことでしょう。

ALCO FRISBASSはFabrice ChouetteとPatrick Dufourというふたりのミュージシャンから成るユニットであり、2015年に『Alco Frisbass』でAltrock Recordsのサブ・レーベル、Fading Recordsからデビューしました。

彼らは2018年に『Le Bateleur』、そして2021年には『Le Mystere du Gue Pucelle』をリリースしており、順調に活動を続けています。

彼らの音楽性はカンタベリー・ジャズ・ロックの影響から語られることが多いですが、それだけでは説明として十分とは言えないでしょう。

というのも、彼らのサウンドはとてもユニークであり、シンフォニック・ロック、ジャズ・ロック、ヘヴィー・プログレ、スペース・ロック、ミニマル・ミュージック、現代音楽、前衛(R.I.O)など様々なカテゴリーが浮かぶものの、そのどこにも属さないためです。

せっかくなので、2015年のデビュー・アルバム『Alco Frisbass』の楽曲を1曲聴いてみましょう。

La Danse Du Pantin

試聴 Click!

一聴するとジャズ・ロック的なサウンドで、確かにカンタベリー・ロック的な色合い(ファズ・オルガンなど)を感じることもできますね。

しかし、それも冒頭だけで、ドイツのクラウト・ロックかと思うほどエコーを効かせたシンセサイザー、そしてSteve Reichのミニマル作品を彷彿とさせるオルガンが次々に登場し一気に音楽ジャンルの判別ができなくなります。

この1曲だけで、彼らが特定のジャンルに収まりきらない魅力を持ったユニットだということはお伝えできたのではないでしょうか!?

●PASKINELの2023年作『Maraude Automnale』


さて、そんな素晴らしい音楽性を持ったALCO FRISBASSですが、今回メンバーのPatrick Dufourによるソロ・プロジェクトPASKINELがデビュー・アルバムとなる2023年作『Maraude Automnale』をリリースしたということで、ご紹介していきましょう!

現在のALCO FRISBASSは、上記ふたりのメンバーにベーシストFrederic Chaputを加えた3人編成となっていますが、本作にはFrederic Chaputも全面的に参加し、演奏のほかミックス・ダウンなどもサポートしています。

それでは、何曲か聴いていきましょう!まずはオープニングを飾る「La danse des feux follets」からどうぞ!

La danse des feux follets

試聴 Click!

エレクトリック・ピアノとオルガン、そしてギター・サウンドを中心とするジャズ・ロック・アンサンブルですが、突然メロトロン・ストリングスによる場面転換が訪れ、シンフォニック・プログレのように変化してしまうのがユニークですよね!

ファズ・オルガンによるカンタベリー・ロック的なアプローチも健在で、やはりPASKINELも、ひとつのカテゴリーに収まりきらない音楽性を持っていることがわかりますね。

では、続いて3曲目の「Bille en tete」を聴いてみましょう!

Bille en tete

試聴 Click!

パーカッションやトライアングルなども用いて執拗に繰り返す、反復の多い楽曲ですね。

イギリスならばGONG、フランスならばMAGMAのトランス感覚に通じる音楽性と言えるのではないでしょうか。

メロトロンを使ったエンディングの盛り上げ方が浮世離れして神々しい!

あともう1曲聴いてみたいですね、7曲目に収録された「L’echo noir」をどうぞ!

L’echo noir

試聴 Click!

この曲も一筋縄ではいかないですね。

やはりエレクトリック・ピアノやオルガンを使ったジャジーな作風ではあるのですが、中盤のゴリゴリしたベース(MAGMA周辺を彷彿)辺りから雲行きが怪しくなり、メロトロンのコーラスが響けばスウェーデンのANEKDOTENやANGLAGARD、あるいはノルウェーのWOBBLERかと思うほどダークなサウンドへ。

しかし、北欧のプログレ・バンドのような寒々しいイメージではなくマイルドな肌触りを残しているあたりが、カンタベリー・ロック影響下のアーティストならではですね!

いかがでしたか?

ALCO FRISBASSにも言えることですが、聴き込めば聴き込むほどジャンルの壁が溶け落ちてしまうような、あるいは、優れた音楽を前にカテゴリー分けの無意味さを達観させられるような、素晴らしい内容のアルバムでした!

有名な新鋭プログレ・バンドのメンバーがソロ・アルバムをリリースしたけど気づいてももらえなかった、という例は少なくありませんので、この機会にPASKINELの名前はぜひ覚えておきましょう!

ALCO FRISBASSをすでにお聴きの方には関連作としてオススメできる内容ですし、それ以外の皆さんにも要注目作として強くプッシュさせていただきます!



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  • PASKINEL / MARAUDE AUTOMNALE

    人気アヴァン・プログレ・トリオALCO FRISBASSのメンバー2人によるユニット、ALCO FRISBASSが気に入ったなら必聴の23年デビュー作!

    22年作『LE MYSTERE DU GUE PUCELLE』がCDでは年間カケレコ・ベストセラー第1位に輝いた、フランスのアヴァン・プログレ・トリオALCO FRISBASS。そのメンバー3人のうちの2人、共にマルチ・プレイヤーのPatrick DufourとFrederic Chaputが結成したユニット、23年デビュー作!ずばり、ALCO FRISBASSが気に入られたなら必聴の内容です。プログラミングとは思えない「技巧」を感じる緻密なドラミングと、リッケンバッカーと思われるブンブンと唸るベースが刻む起伏に富んだリズムからしてワクワクしますが、そこにメロディアスながらちょっぴりひねたフレージングが楽しいエレキ・ギター、フワフワと浮遊するスティール・ギター、輝かしく響くメロトロン風シンセらが次々と飛び込んできます。1曲目にはALCO FRISBASSのもう一人Fabrice Chouetteがゲスト参加、デイヴ・スチュワートばりのオルガンを聴かせていて、ALCO FRISBASSそのものな一曲に仕上がっており堪りません。以降もNATIONAL HEALTHやHATFIELD & THE NORTHの芳醇さと伊PICCHIO DAL POZZOのピリッと緊張感の効いた芸術的センスを合わせたような、マジカルなサウンドの連続に興奮必至です。ALCO FRISBASSファンは勿論ですが、イタリアのFONDERIA、アメリカのINNER EAR BRIGADEあたりがお好きな方にも是非是非オススメ♪

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