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「音楽歳時記」 第八十九回 6月28日 ニワトリの日 文・深民淳

とにかくドカーンと疲れております。多分免疫系もかなりダメージ受けているんでしょう、歯とかが疼いておりますし、動作が緩慢になってきています。日本の音楽ソフト販売のシステム考えれば当然のことなんですが、現状、製造費・輸入コスト・固定費はバンバン出て行きますが、売上は一銭も上がっておりません。webショップをようやく立ち上げたので、そちらの売上は立つのでしょうが、基本は一般流通に乗せたパッケージ販売がメインですので秋くらいまではどんどん金が出ていく状態が続くでしょう。まぁ、予想通りの展開なんですが、結構プレッシャーかかりますね。いざ現実に直面するとね・・・。


先月も書いたかと思いますが、DGMディストリビューション・ジャパンはユニバーサル・ミュージックのVMLASと販売契約を交わし、8月17日より同社の販売網を通じパッケージ商品を市場に出して行きます。最初の発売はロバート・フリップ『Exposure』(CD+DVDのパッケージと日本のみのCDオンリー1枚ものの2種類)、『God Save The Queen/Under Heavy Manners』、『Let The Power Fall』、『Washington Square Church 1981』の4タイトル、5種とWOWエンタとの契約終了間際にリリースされたため、初回プレス分のみ出荷して打ち切りになっていたマクドナルド&ジャイルズ、2021年クリムゾン最後のアメリカ公演を収めた『音楽は我らが友 ライヴ・イン・ワシントン&オルバニー2021』を予定しています。

『音楽は我らが友 ライヴ・イン・ワシントン&オルバニー2021』は旧盤は制作期間の関係もあり、プラケースでの発売でしたが、今回はE式見開き紙ジャケット仕様での再発となります。ミレニアム・クリムゾンのライヴ・アルバムはこれまで全て紙ジャケット仕様出してきており、何でこれだけプラケースと顰蹙を買いましたが、ようやくこれまでの慣例通りとなります。ファンの皆様にはご迷惑おかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。


さて、6月28日はニワトリの日なんだそうです。2と8でニワなんだそうで。毎月スーパーや街の肉屋さんが頑張る29日肉の日と同傾向でひねりもへったくれもないし、話の膨らましようもない記念日なのですが、何で6月なんでしょうか? 鶏卵・鶏肉の消費拡大を目的として日本養鶏協会などが1978(昭和53)年6月に制定したそうなんですが、6月にした理由は記されていませんでした。ちなみにケンタッキー・フライド・チキンは毎月28日をトリの日としてやっているそうです。まぁ、制定当時の会長の誕生月だったとかそんな理由だったりしそうですけどね。

ニワトリといえば、コケコッコ〜。あ、それDEEP PURPLEの「Hush」であったよねと。オリジナル・ヴァージョンは狼の遠吠えで1988年発表のライヴ・アルバム『Nobody’s Perfect』にスタジオ録音マテリアルとして収録された「Hush ’88」でニワトリに代わってます。

Hush ’88

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さて、ここまで来て、奇妙なデジャヴ感覚が・・・。あれ、ニワトリの日、前にもやったんじゃねぇ? これで話をCHICKEN SHACKに持っていくともう絶対書いているな、以前、という感じです。ニワトリの日だったかどうかは別にしてCHICKEN SHACKは絶対取り上げています。でもここまで来ちゃったのでそのまま行きます。まぁ、ちょっとしたおさらいってことでね。

BLUE HORIZONを立ち上げたマイク・ヴァーノンが見出し英国産本格ブルース・バンドとしてのCHICKEN SHACKを堪能するならブラスも豪快に鳴るシカゴ・スタイルの最初の2枚ってことなのでしょうが、まるでドラクエのパーティみたいな扮装で100トンの巨大鷄探し求め、逆にやられちゃうというアートワークが妙に印象に残る3rdアルバム『100 Ton Chicken』でコンパクトなアレンジでギターが主役のストレートかつハードなブルース・スタイルにシフトし、さらにハード・ロック寄りになっていったBLUE HORIZON最終作『Accept Chicken Shack』を経て行き着いた『Imagination Lady 』が個人的にはやはり最強です。

前作まで在籍していたキーボードのポール・レイモンドも脱退し最小限のトリオ編成になっちゃいましたが、ベースに元祖ブンブン丸、ジョン・グラスコック、ドラムに元THE MINDBENDERSのポール・ハンコックをリクルート。この二人が凄かった。ハンコックは2バスドラム、ドコドコ、そこにグラスコックのベースがブリブリ。この強力なリズム・セクションの上をスタン・ウェッブのギターが爆走する超強力なハード・ロック・ワールド。はい、前にも書いておりますよ。間違いございません。しかし、まだ未聴でしたらこの機会に是非! エアーメールから出た紙ジャケット版はコレクターズ・アイテム化して高めですが、Esotericからのリマスター盤は普通の値段かと思います。

このアルバムのもう一つの凄さは、作りが一種、擬似ライヴみたいになっており、オープニングの掴み(これが強列!)、中間部にドラマティックな曲、ハードでノリが良い曲をバランス良く配置、ドラム・ソロまで入れて、最後、再び盛り上げて終わるという、ステージ構成を意識した作りにあります。アルバム全体ビシッと筋の通った上出来のブリティッシュ・ハード・ロック! かなりグッと来ますよ。

Crying Won’t Help You Now

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それでは本題。ニワトリなんでATOMIC ROOSTERを取り上げます。中心人物のヴィンセント・クレーンが1989年に亡くなっていることも関係しているのでしょうが、楽曲・版権管理が甘いようで、そのディスコグラフィーは優れたオリジナル・アルバムと適当な作りのコンピレーション・アルバムが入り混じっており、何と無く核が掴みにくいバンドでもあります。


そんな脇の甘さもあるんでしょうか、ブリティッシュ・ロック史に名を残すバンドには違いないのですが、どこかB級感も漂っちゃってます。しかしメンバーの相関関係を見ると、COLOSSEUM、アーサー・ブラウン、ANDROMEDA、LEAF HOUND、HARD STUFF、BRAND X、DEXYS MIDNIGHT RUNNERSと錚々たるバンドが並びます。


ATOMIC ROOSTERはTHE CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWNのキーボード担当だったヴィンセント・クレーンとドラムのカール・パーマーにベース、フルートのニック・グラハムによって結成されました。THE CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWNのメンバー変遷は複雑で、クレーンは結成当時からのメンバーだったのですが68年USツアー中に神経衰弱となり脱退。飛行機嫌いのオリジナル・ドラマー、ドレイチェン・シーカーも脱退し、代わりに入ったのがカール・パーマーとキーボード担当ピート・ソリー。その後、容体が安定したクレーンが68年10月に復帰するも、カール・パーマーと意気投合し復帰してすぐに脱退。ATOMIC ROOSTER結成に至ったという経緯です。

ちなみにアーサー・ブラウンからすればクレーンは馬鹿野郎的な脱退劇だったわけですが、その後も関係は続き1979年にはデュオ名義で『Faster Than the Speed of Light』を発表。またクレーンの死後、1997年に発表されたソロ・アルバム『Taro Rota』はVincent Crane Featuring Arthur Brown名義になっています。『Faster Than the Speed of Light』は奇妙な作品で、クレーンの印象的なキーボード・プレイももちろんフィーチュアされていますが、アーサー・ブラウンが関わった全てのバンドのサウンドを混ぜ合わせたかのようなぶっ飛んだサウンド全開。THE CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWN、KINGDOM COME、アーサー・ブラウン流AORサウンドが隙間なく詰め込まれた怪作に仕上がっています。


THE CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWNの流れの中で押さえておきたいのが、クレーンのメンタルの弱さです。ATOMIC ROOSTERのラインナップが流動的なのも、彼が自殺してしまうのも要因はここにあったようです。その一方でATOMIC ROOSTERって特にギタリストが流動的なんですが、そのギタリスト達ってキーボードを差し置いてという感じではなく、常にクレーンがマウンティングしちゃっているような印象が強いわけです。ヴィンセント・クレーンってメンタル面の弱さを抱える一方、ATOMIC ROOSTER=ヴィンセント・クレーンという図式を守り通そうとした感じが強く、その葛藤はかなり重たいプレッシャーになっていたのではないかと思います。


ATOMIC ROOSTERのデビュー作『ATOMIC ROOSTER』は1970年2月に発表されます。アルバム制作メンバーはクレーン、パーマー、グラハムのトリオ。EL&P結成前のカール・パーマーのプレイが聴けることもあり、キーボード主体のヘヴィ・ロックの名作として、ATOMIC ROOSTERの代表作として紹介されることの多い作品です。オルガン・ロックとしてもトップクラスの優れた作品だと思いますがここではスルーします。

やはり、ATOMIC ROOSTERが圧倒的な存在感を示したのは2nd『Death Walks Behind You』と3rd『In Hearing Of Atomic Rooster』だったのではないかと思います。クレーン、ジョン・(デュ)カン、ポール・ハモンド時代です。先にクレーンのギタリストに対するマウンティングと書きましたが、この2枚でのクレーンとカンの関係はほぼ対等。元Leaf Houndのピーター・フレンチがヴォーカルで参加する前の2ndではリード・ヴォーカルもカンが取っていることもあり比重的には若干カンよりという印象すら感じます。

まずは2nd『Death Walks Behind You』。1stのアートワークもインパクトがありますが、ウイリアム・ブレイクの「Nebuchadnezzar」をフロントに配したこのアルバムのアートワークもインパクトがあります。(GILGAMESHや日本のアイン・ソフのアートワークにも使われています)見開きジャケットの中面の墓地で撮影されたメンバー写真と共にダークなブリティッシュ・ハード・ロックのイメージを的確に伝えています。

同じ1970年発表のBLACK SABBATHの1st、DEEP PURPLE『IN ROCK』のアートワークがファンに与えたインパクトと同等のものがあったと思います。そりゃ、無いんじゃないという方もいらっしゃるでしょうが、イギリス人にとってのブレイクの知名度と浸透度を考えると強いインパクトを与えるアートワークだったと思います。

アルバムの内容も先に挙げた2作品に匹敵するものだったと思います。元ANDROMEDAのジョン・(デュ)カンの参加でハード・ロック体質がより強固なものになり、この当時のブリティシュ・ハードの王道、ギターとキーボードが対峙するスタイルを確立しています。

アルバムのトップはアルバム・タイトル曲「Death Walks Behind You」。クレーンのピアノによる不穏極まりないイントロからスタート、悲鳴のような断片的なギター、うめき声のようなオルガンのグリッサンドが重なりあうこのイントロ部分でリスナーの心をしっかりと掴みヘヴィなリフが立ち上がる瞬間で聴いている方は既に興奮度MAX。英国アンダーグラウンド・ハード・ロックの秘宝と言っても過言ではANDROMEDAのあのダークなヘヴィネスに更に磨きをかけたサウンドは強烈なインパクトを聴く者に与えます。リフの構造上一本調子に陥りやすいタイプのナンバーなのですが、クレーンが曲構成にひねりを加え、随所に細かいフックや切り返しを加えることで曲の完成度が飛躍的に向上したこと点もポイント高いですね。

Death Walks Behind You

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続く「Vug」はヘヴィなシャッフル・タイプのオルガン主体のインスト。ATOMIC ROOSTER版「Wring That Neck」といった感じのナンバー。これに続くのがシングルとしてもヒットしたキャッチーなハード・ロック・ナンバー「Tomorrow Night」。

アルバムはいよいよ佳境に差し掛かります。まず、アナログではA面ラストに当たる「7 Streets」。カン作曲のナンバーでこれもANDROMEDAの遺産を再構成して磨き上げた珠玉のヘヴィ・チューン。続くB面トップの「Sleeping For Years」もカン作曲のナンバー。重く沈み込むリフ、歪みと粘りが耳に刺さる強烈なギター・サウンド、よく練られたメロディラインの三位一体が功を奏し、オープニングのタイトル曲と双璧をなすこのアルバムの聴きどころになっています。

ATOMIC ROOSTERの魅力はヘヴィなナンバーだけでなく、クレーン作曲のバラード、スロー・ナンバーにも名曲が多く、1st収録の「Winter」、3rd収録「Black Snake」など印象的な曲が各アルバムに置かれていますが本作収録の「Nobody Else」はその中でも最高峰とも言える魅力を秘めています。この曲のピアノのリフレインがゆっくりとフェイドアウトしていくと間髪入れずクレーンによるキーボード・ロックの集大成とも言える「Gershatzer」がスタート。オルガン、ピアノが乱舞し目まぐるしい展開を見せる名演を持ってこのアルバムは終了となります。

Nobody Else

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代表曲「Devil’s Answer」と共にヒット・シングルとなった「Tomorrow Night」が収録されていたことあり、『Death Walks Behind You』は注目を集めます。注目を集めたことで、「ちょっとヴォーカル弱くね?」みたいな論調もあったのでしょう。B&Cレーベル本体からサブ・レーベルのペガサスにレーベルを移しての3rdアルバム『In Hearing Of Atomic Rooster』にはピーター・フレンチが専任ヴォーカルとして参加します。ピーター・フレンチのヴォーカル・スタイルはLEAF HOUNDやこの後のCACTUSのアルバムでも明らかなようにかなり押しの強いタイプです。しかしながら、『In Hearing Of 〜』でのフレンチは前後のバンドでのパフォーマンスに比べるとおとなしめです。フレンチならではのスタイルはしっかりと残していますが、全体に演奏に埋れている雰囲気が強いです。

これから先は私見であり、かなり穿った見方なのですが、フレンチのポテンシャルが100%活かされなかった背景にはヴォーカル強化を隠れ蓑にしてカンの影響力を削ぐ、ヴォーカリストは作品を成功させるためのパーツのひとつでバンドの顔ではないというクレーンの思惑もあったのではないかと思うのです。実際、このアルバム完成後カンとハモンドは脱退し、元QUATERMASSのジョン・グスタフソンと後にHARD STUFFとなるJOHN DU CANN’S DAEMONを即スタートさせます。

残されたクレーンはドラムにリック・パーネル、ギターにスティーヴ・ボルトン、ヴォーカルに大御所クリス・ファーロウを迎え、レーベルもDAWNに移籍し、新生ATOMIC ROOSTERをスタートさせます。R&B、ファンク系サウンドがトレンドとなりつつあった時代へ向けての軌道修正という意味もあったのでしょう。バンドの売りとして迎えた看板ヴォーカリストだけあって、ファーロウ参加の2作品のヴォーカル処理はフレンチの時と打って変わって思い切り前面に出ています。
この扱いの違いもフレンチ参加はある種の策略?と感じる要因になっています。

ともあれ、『In Hearing Of Atomic Rooster』も成功を収めた前作の勢いをそのまま継承した質の高いハード・ロック楽曲が揃った作品となりました。後のファーロウ時代のR&B/ファンク路線を予感させるキレの良いオープニング曲「Breakthrough」、クレーンの特色のひとつであるオルガンとピアノ同時弾きが冴える押しの強いインスト・ナンバー「A Spoonful Of Bromide Helps The Pulse Rate Go Down」、湿り気を帯びたサウンドとダークで粘着質のヴォーカルが不穏なムードを醸し出すスロー・ナンバー「Black Snake」、如何にもカンらしい疾走タイプのハード・ロック「Head In The Sky」など聴きどころ満載です。

A Spoonful Of Bromide Helps The Pulse Rate Go Down

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それぞれの思惑はともあれ、クレーンにとってフレンチの起用は後のファーロウ時代の方向性を作り上げる上で大きなヒントとなった間違いないでしょう。


ATOMIC ROOSTERを脱退したカンとハモンドはよりストレートなハード・ロック路線を求めジョン・グスタフソンをベースに迎え、DAEMONをスタートさせます。DAEMONはその後BULLETとバンド名を改め、PURPLEレーベルと契約を交わしたところでHARD STUFFとなります。HARD STUFFがPURPLEレーベルに残した2作品はストレートなハード・ロック路線の1st『Bulletproof』と屈折度の高いファンク・ハード・ロック路線の2nd『Bolex Dementia』がありますが、一般的には1stの方が人気があるようですね。

2作品のサウンドの違いはカンによるところが大きかったようです。ATOMIC ROOSTER在籍時からクレーンとの確執があり、フラストレーションが溜まっていたのでしょう。カンはハード・ロック・タイプの楽曲を多数ストックしており、ATOMIC ROOSTERを脱退し、DAEMONを結成した段階でやりたいサウンドが既に固まっていた訳です。1994年にKISSING SPELLレーベルからDAEMON名義で発表された『The Entrance To Hell』はPURPLE契約以前の初期段階の音源が収められていましたが、これ、ほとんど『Bulletproof』のプロトタイプと言って良いサウンドが既に完成していたことを証明しています。この『The Entrance To Hell』は2010年に今度はBULLET名義で再発されますが基本同じ音源です。音質面では2010年版に軍配が上がりますが、僕のように買ってしまってから「内容、同じじゃん!」ということにならないようご注意ください。

やりたいことを自由にやりたいという強い衝動に突き動かされたカンは『Bulletproof』制作時に手持ちの楽曲をほとんど使い果たし、『Bolex Dementia』制作時には手持ちの曲が少なく、グスタフソンの持ってきた曲が大幅に増えたことでサウンドが変化したわけです。

確かに『Bolex Dementia』はクセの強いファンク・ロック楽曲満載で『Bulletproof』に比べると取っ付きにくく、セールス的にも失敗してしまうのですが、この『Bolex Dementia』を面白がったアーティストがいるわけです。はい、そうです。イアン・ギランです。

DEEP PURPLEを脱退してどの方向へ向かおうか模索していたイアン・ギランはこのグスタフソンの屈折ファンクにヒントを得、ここにジャズ・フュージョンのテイストを加え初期IAN GILLAN BANDのサウンドを作り上げたのでした。


話をATOMIC ROOSTERに戻すと、別々の道を歩むことになったクレーンとカンですが共に1973年には活動がそれぞれ手詰まりとなり、第一線から脱落。細々と活動を展開することになります。互いの才能は認め合ってはいても確執のある両者は別々の道を歩みますが、70年代が終わり80年代が始まった瞬間に再びその道が交わります。NWOBHMの勃発でニューウェーヴ時代には過去の遺物扱いされていた往年のハード・ロック・バンドが再び脚光を浴びる時代が到来。再びチームを組んだクレーンとカンはEMIと解約を交わし、カンの持ち味であるポップなメロディラインを活かしたスピード感のある「Do You Know Who’s Looking For You?」を1980年にシングルとしてリリース。1973年発表の『Nice ’N’ Greasy』以来のアルバム『ATOMIC ROOSTER』を発表します。カンが主導権を握ったハード・ロック路線の作風で、オープニングの「They Took Control Of You」の出だしはほんとんどBLACK SABBATHの「Neon Knights」みたいだったりと初期ATOMIC ROOSTERのサウンドからはかなり変化していますが、粘着質でグラム・ロック時代のヴォーカリストっぽいスタイルのカンのヴォーカルと適度にポップなオルガン&ギターによるハード・ロック・サウンドはマッチングも良く、世間一般では駄作扱いされていますが、結構楽しめる作りになっていると思います。

ATOMIC ROOSTERはこの後もクレーン&カンのコンビで82年までシングルを発表しますが、再び決裂。決裂後なぜかポール・ハモンドが復帰し、ギターにバーニー・トーメという編成で活動した時期もありますが、最終的にはクレーン&ハモンドの組み合わせで、最早ハード・ロックでもプログレでもないブリット・ポップの出来損ないか、間違った方向を向いたMANFRED MANN EARTHBANDかと言った雰囲気の居た堪れない最終作『Headline News』を1983年に発表し活動停止となります。



 
最後に今回、ATOMIC ROOSTERまとめて聴いて思ったことを書きますと、ジョン・デュ・カンのねっとりした歌い方ってどことなくマルコシャス・バンプの秋間さんに似てない?ってことでした。というわけで、久々にマルコシ聴いてみようかね。大昔、BURRN!に在籍していた頃、彼らのインディーズからのミニ・アルバムのレビューを担当して、一発で気に入り観に行った新宿ロフトでのライヴ、衝撃的に良かったなぁ・・・今も鮮明に記憶に残っています。また、秋間さんがロンドンに行った時、VAMPのアンプ(ヘッド)を手に入れて、それを抱きかかえて日本に持ち帰ったって話、ロックの逸話として好きです。VAMPのアンプってT.REXの『Electric Warrior』のアートワークでマーク・ボランの後ろにそびえ立つあのタンス・アンプです。






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ATOMIC ROOSTERの在庫

  • ATOMIC ROOSTER / ATOMIC ROOSTER

    Carl Palmer在籍の英オルガン・ハード・グループ、70年1st

    THE CRAZY WORLD OF AUTHR BROWN出身のVince Craneを中心に結成され、後にNICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lakeと共にEL&を結成することになるCarl Palmerが在籍していたことで知られているイギリスのハード・ロックグループの70年デビュー作。その内容はVince Craneのクラシカル且つハードなオルガンとNick Grahamのへヴィーなギター、そしてテクニカルなCarl Palmerのドラムが躍動するワイルドな作風であり、所々でブルース・フィーリングやジャズのアプローチを取りながらハード・ロックでまとめた音楽性が個性的です。ブラス・セクションやフルートなども巧みに取り入れた好盤。

  • ATOMIC ROOSTER / MADE IN ENGLAND

    元COLOSSEUMの名R&BシンガーChris Farlowが加入、Vincent Craneの理想に近いサウンドが実現した4作目、72年リリース

    ATOMIC ROOSTERの4作目。ジーンズ地のジャケットで有名な作品です。Vincent Craneの主張が強く浮いてしまい、前作リリース後にメンバー全員が脱退!レーベルもドーンに移籍しています。新メンバーは、ギターにSteve Bolton、ドラムスにホースのRick Parnell、ヴォーカルにColosseumのChris Farlowという布陣。やはり、注目は重鎮Chris Farlowの参加。Farlowのソウルフルな歌唱が、バンド・アンサンブルを大切にしながら、全体を上手くまとめています。結果的にVincent Craneの理想に近いサウンドが実現したのではないでしょうか。アングラ臭も残したファンキーなサウンドはユニーク。また、Kingdom Come風のRick Parnell作のオカルトチックな2曲もお薦めです。

  • ATOMIC ROOSTER / DEVIL’S ANSWER(全20曲)

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  • CHICKEN SHACK / 40 BLUE FINGERS FRESHLEY PACKED AND READY TO SERVE

    スタン・ウェッブ率いる英ブルース・ロックの名グループ、68年作

    フリートウッド・マック、サヴォイ・ブラウンと並び英ブルース・ロックを代表するグループ、記念すべきデビュー作。リーダーStan Webbによる攻撃的に切り込むギター、Andy Silvesterのグルーヴィーなベース、そして紅一点Christine Perfectによる芳醇かつ繊細さの残るヴォーカルやピアノが織り成す、哀愁に満ちたブルース・サウンドは絶品。

  • CHICKEN SHACK / O.K.KEN ?

    名ギタリストStan Webb率いる英国ブルース・ロックの人気グループ、69年作

    FLEETWOOD MAC、SAVOY BROWNとともに“英国三大ブルース・バンド”に並び称されるCHICKEN SHACK。硬派なブルースマンStan Webbと、才色兼備の紅一点Christine Perfectという強烈な二枚看板を掲げる彼らが、69年に発表した2nd。カヴァー中心だった前作を経て、オリジナル曲の割合がぐっと増し、独自のユーモアが随所に散りばめられ、バンドのアイデンティティが見事に花開いた快心作。大胆に導入されたホーンが決して濃密なブルース臭を侵すことなく華やかさを添えている。BBCラジオの名物DJであるJohn Peelのナレーションを曲間に配したコンセプチュアルな遊び心も愉しい。ちなみにそのSEは05年のリマスター時にカットされてしまい非常に残念。ジャケットも最高にクールな、英国ブルースの最重要レーベル「ブルー・ホライゾン」が世に送り出した名盤のひとつ。

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