2022年6月3日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
プログレ・ファンも必聴と言えるジャズ/クロスオーバー/フュージョン作品は沢山ありますが、その中でも最も血沸き肉躍るサウンドを聴かせてくれるのが、マハヴィシュヌ・オーケストラではないでしょうか。
『ビッチェズ・ブリュー』レコーディングに際し「ジミヘンのように弾け!ジミヘンになれ!」とマイルス・デイヴィスに言われまくったジョン・マクラフリンは、『ビッチェズ』でのプレイを土台にして、彼ならではの「知的に暴走する」ギターを体得しました。
その成果を存分に聴かせるべく立ち上げたマハヴィシュヌ・オーケストラの記念すべき1stアルバムは、もはやハード・ロックと言って問題ないほど狂暴に歪んでいながらも、タガが外れるギリギリのところで抑制を利かせた驚異的なギタープレイが聴き手を圧倒します。
今回は、そんな彼らの1st『内に秘めた炎』を始点に、マクラフリン彷彿の知的かつ狂暴なギターが聴ける作品を取り上げてみたいと思います!
まずは改めて、マハヴィシュヌ・オーケストラ1stの強烈な1曲目を聴いてください。
うむむ…何百回と聴いても変わらず凄まじい…。まさにジミヘンを倍速にしたようなプレイにはもう開いた口が塞がりませんよね。そんなギターと対等に渡り合うジェリー・グッドマンのヴァイオリンもこれまた超絶。これが本当にジャズ畑の人間たちによる演奏か!?
実はマイナーなユーロ・ジャズ・ロックには結構マクラフリン・リスぺクトなギタリストを擁するグループ多いんですよね。
まずはノルウェーから、このマイナー・バンドをチョイス!
スリリングな音運びのエレピとマクラフリン直系の超絶ギターがソロを回す、「ファンキーなMAHAVISHNU ORCHESTRA」と言える1曲目から最高だなぁ。
緊張感はそのままに、淡く揺らめくエレピやエフェクターを駆使して「氷のような音」で弾くギターが北欧的なイマジネーションを広げる以降のナンバーも素晴らしい。
ジャケも北欧バンドとしての矜持が感じられて良い~。
北欧ならスウェーデンにもMO系マイナー・ジャズ・ロックの逸品が!
北欧らしい透明感あるクールなジャズ・ロックを聴かせていたかと思ったら、突如マハヴィシュヌばりのスリリングなバカテク・アンサンブルが炸裂して仰天!
特にマクラフリンに通じる知的な凶暴さを持ったこのギターのカッコよさと来たら!
こちらは英国ロック・ファンも必聴の1枚ですよ~。
英QUATERMASSのジョン・グスタフソン&ピート・ロビンソンが、北欧の凄腕たちと組んだ超絶ジャズ・ロック作!
このテンションMAXで畳みかける凄まじい演奏、MAHAVISHNU ORCHESTRAファンなら「おおっ!」となるはず。
英国組の実力は言わずもがなですが、「速吹きフルート」B.J.Lindhやマクラフリンばりのテクで弾きまくるJan Schafferも負けてません!
R.フリップとJ.マクラフリンを合わせたような攻撃的なギターと、ふくよかなダブルベースの響きが対比する、フランス発個性派インプロ・ジャズ・ロック!
硬質さと芳醇さの絶妙な均衡が見事!
一部楽曲ながら、南米にもマハヴィシュヌ・タイプのジャズ・ロックが!
陽気なサルサ風ジャズ・ロックで幕を開けたかと思うと、2曲目はマハヴィシュヌ直系の硬質で緊張感ある演奏を聴かせて、まるで別バンド。
これは南米ジャズ・ロックの隠れ好盤ですね。
ラストは、我らが日本のグループによるこの21年作が相応しいでしょう!
まるでクリムゾンが『RED』のテンションそのままにジャズへ傾倒したような、国産ヘヴィ・ジャズ・ロック!
この緊張感、マハヴィシュヌ・オーケストラのファンもイチコロだろうな…。
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ジョン・ゾーンに学んだ女性サックス奏者、吉田野乃子が主宰するnonoyaレコーズよりリリース、吉田のバンド立方体・零のドラマーを中心に、ギター/ギター/チューバという変則ラインナップで結成されたバンドによる21年1stアルバム。いやはやこれは強烈!まるでクリムゾンが『RED』のテンションそのままにジャズへと傾倒したかのような、嵐のように畳みかけるヘヴィ・ジャズ・ロックに一曲目より度肝を抜かれます。凄まじい手数で変拍子まみれのリズムをたたき出すドラムに食らいつくように、フリップとジョン・マクラフリンが共演してるかのような緊張感みなぎるプレイで牙をむくツイン・ギター。ゴリゴリと硬質に弾き倒すマハヴィシュヌ時代のマクラフリンっぽいプレイと、ロングトーンを多用した神経質かつどこか気品もあるフリップっぽいプレイの2本のギターの絡みが最高にカッコいいです。ユニークなのがチューバの存在で、ベースの役割を担いながらも、時に優雅かつ奔放に浮遊するメロディアスな表情もあって、硬派なアンサンブルに柔らかなタッチを添えています。マハヴィシュヌ・オーケストラや『RED』あたりのクリムゾンがお好きなら、このテクニカルな重量級サウンドは絶対痺れます。オススメ!
スウェーデンを代表するKey/管弦楽器奏者Bjorn J:son LindhやQUATERMASS〜HARD STUFFのJohn Gustavsonらによるプロジェクトで73年に唯一作を残したBALTIK。そのメンバーだったB.J.Lindh、John Gustafson、Jan Schaffer(g)らに、Gustafsonの盟友Peter Robinsonが合流して結成されたジャズ・ロック/フュージョン・グループ、74年唯一作。全楽器が圧倒的なテンションと音数でスリリングに疾走するド派手なジャズ・ロックは、かなり明白にMAHAVISHNU ORCHESTRAへの対抗心を感じさせるもの。ガンビア出身ドラマーMalando Gassamaがパーカションも多用し猛烈な手数で捲し立てると、Gustafsonも負けじとキレのあるベースで応じ、その上でSchafferの熱量高いテクニカル・ギターとRobinsonの目にもとまらぬエレピが火花を散らします。凄いのがそこに割って入るLindhのフルート。ギターの速弾きと難なくユニゾンするスーパープレイはさすがの一言です。Ian Andersonばりの唾吐きフルートも決まってます。数あるMAHAVISHNU ORCHESTRA直系ジャズ・ロックの中でも、このテンションMAXの畳みかけは屈指の凄まじさでしょう。英国とスウェーデンの凄腕たちが持ち前のテクニックを存分に披露したジャズ・ロック痛快作!
ノルウェーのジャズ・ロック/フュージョン・グループによる74年1st。1曲目は手数多くもズシズシと迫りくる存在感抜群のリズム・セクションに乗って、スリリングな音運びのエレピとマクラフリン直系の狂暴かつ知的なギターがソロを回す、ファンキーなMAHAVISHNU ORCHESTRAと言えるテクニカル・ジャズ・ロックで度肝を抜きます。2曲目は緊張感はみなぎっているものの、淡く揺らめくエレピやエフェクターを駆使して「氷のような音」で弾くギターが北欧的なイマジネーションを広げており見事。MAHAVISHNU ORCHESTRAの影響が濃い火花の散るようなアンサンブルが基本ながら、各楽器は涼しげで透明感ある音色というのが面白いところであり、いかにも北欧のグループという味わいです。
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