2021年10月27日 | カテゴリー:カケレコ新品棚お散歩隊,世界のロック探求ナビ
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ひとつのキーワードを頼りに新品棚前をお散歩し、独断と多少の偏見まじりで、メジャー盤、ニッチ盤を問わず、新品タイトルをご紹介させていただいている「新品棚お散歩隊」、本日は「カンタベリー」を目印にお散歩してみます。
いったいどんな「カンタベリー」に遭遇することになるのでしょうか。
さっそく出発です。
まずご目に入ったのはこちら、さすがの存在感でした。
■WILDE FLOWERS / WILDE FLOWERS
ロバート・ワイアット、ケヴィン・エアーズ、ヒュー・ホッパー、リチャード・シンクレア、リチャード・コフラン、ブライアン・ホッパーなど、後にソフト・マシーンやキャラヴァンで活躍する名ミュージシャン達が名を連ねたカンタベリー・ミュージックの源流と言えるバンド、「WILDE FLOWERS」が65年~69年に残した音源をまとめたアーカイヴス音源集です。ロバート・ワイアット×ブライアン・ホッパー、ワイアット×マイク・ラトリッジ、ホッパー兄弟による62年~63年録音の初期音源をはじめ、ワイアット&ブライアン・ホッパーによる03年の音源などなど、聴きごたえ抜群聴きどころ満載の1枚です。
つづいてはこちら、伊シチリア島出身のカンタベリー・フィーリングたっぷりの新鋭ジャズ・ロック・バンド、爽やかでポップな2013年デビュー作です。
■HOMUNCULUS RES / HOMUNCULUS RES / LIMITI ALL’EGUAGLIANZA DELLA PARTE CON IL TUTTO
爽やかでヌケが良いギターのリフ、キラキラしたキーボードのユニゾンによるオープニング・ナンバーのイントロ。ドラムが入るとジャズ・ロック度を増していき、ハットフィールドを思わせる女性コーラスや、ピッキオ・ダル・ポッゾばりの緻密な変拍子のキメが入ったり、スティーヴ・ヒレッジばりの流れるように高低を行き交うミニマルなフレーズなんかを織り交ぜ、爽やかに駆け抜けていきます。ポスト・ロックやジャム・バンド的なヌケの良いポップさを軸に、カンタベリーへの憧憬をにじませたサウンドはセンス抜群。ポップでいてカンタベリーと言えば、北欧のウィグワムにも通じています。人懐っこい男性ヴォーカルとたおやかで叙情溢れるメロディも良い感じ。これはずばり名作ですよ?
お次はこちらです。初期キング・クリムゾンやカンタベリー・ミュージックからの影響を感じさせる、イタリアのプログレ新鋭トリオの16年デビュー作。
■WINSTONS / WINSTONS
ロバート・ワイアットや北欧フィンランドのWIGWAMあたりを彷彿とさせる、陰影たっぷりで憂いとポップさがあるヴォーカル&コーラスがまず印象的。曲によってはサイケ・ポップばりにキャッチーだったりも。演奏の方は、サックスやフルートやオルガンがフィーチャーされていますが、どっぷりとカンタベリーというよりかは、サイケ~ハードのエッセンスも強く感じます。良い意味で洗練されていない荒々しいリズム隊や太いトーンのクラシカルなハモンドは70sオルガン・ロック的だし、むせぶサックスやミスティックなフルートは、初期クリムゾンやVDGGを彷彿させます。
ジャケットも秋らしくてつい手にとってしまいました。カンタベリー meets ポスト・ロックな1枚です。
■INNER EAR BRIGADE / RAINBRO
カリフォルニアの新鋭ジャズ・ロック/プログレ・グループ、2012年作。オープニング・ナンバーの気持ちよさときたら!たゆたうようなカンタベリー・フレイヴァーな女性ヴォーカル、そのバックで軽快にリズムを刻むエレクトリック・ギター、ダンサンブルと言えるようなリズム隊。そんな気持ち良いサウンドにサックスが強烈なブローをお見舞いし、ゴングばりの変態ジャズ・ロックへと突入。カンタベリーやレコメンを軸に、ポスト・ロックの浮遊感やヌケの良さを加えたサウンドは実に痛快!
本日のラストはこちら、ヴィンテージ感たっぷりのサウンドが特色の英国プログレ/ジャズ・ロック新鋭バンドの19年作3rdです。
■DIAGONAL / ARC
幻想的なオルガン、渋く味わい深いサックス、ちょっぴりリチャード・シンクレアを思わせるジェントルなヴォーカル…。カンタベリー・ロックの淡い色彩感に包まれつつ、PINK FLOYDやVDGGを彷彿とさせる仄暗さにも満ちたメランコリックな音像が胸を打つ逸品。また70年代英国プログレの叙情性を明確に受け継ぐ一方で、ドラムが刻む軽やかで柔軟性のあるリズム、感傷的なギターのフレーズなど、オルタナティヴ・ロックに通ずるモダンな感性もアンサンブルの中に自然に溶け込ませていて、並々ならぬ才能を感じます。
カンタベリーと言うキーワードに感じるものがありましたら、こちらからもっと沢山のカンタベリーに出合っていただけます。
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いかがでしたか?
見慣れた散歩道も視点を変えれば知らなかった抜け道に出会えるように、新品棚にも知らなかった作品との出会いが隠れているかもしれません。
たまには新品棚も覗いてみてあげてくださいね。
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