2021年10月19日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
プログレ・ファンが入っていると嬉しい要素っていくつかありますよね。
メロトロン、変拍子、組曲、etc.
そして何と言っても「女性ヴォーカル」ではないでしょうか。
現在のプログレ・シーンを見てみると、圧倒的に女性ヴォーカル・プログレのシェアを占めているのがポーランド。
同国プログレの中核を担うLYNXレーベルを中心にして、質の高い女性ヴォーカル・プログレ作品が量産されているんです。
今回は、そんなポーランドの素晴らしき女性ヴォーカル・プログレの数々を厳選してご紹介できればと思います。
まずは、ポーランドの女性ヴォーカル・プログレを象徴する一枚と言える名盤からまいりましょう♪
現在に続くポーランドの女性ヴォーカル・プログレの源流に位置するのが本作。
これがもはや90年代のポーランド、というより、90年代ユーロ・プログレを代表すると言ってもよさそうなシンフォ大傑作なんですよね。
GenesisとRenaissanceの遺伝子を理想的に受け継いで東欧らしいメランコリーで包み込んだようなサウンドはデビュー作にしてすでに完成されていて見事。
特に1曲目「SANKTUARIUM」は絶品で、泣きのギター、幻想的にたなびくシンセ、そしてフルートやオーボエら管楽器らが繊細に音を重ねて織り上げていくシンフォニックなアンサンブル、そして美声で切々と祈るように歌い上げるヴォーカルが静かな感動を呼びます。
そのQUIDAMと共に同国女性ヴォーカル・プログレの潮流を作り出したこのバンドも重要ですね。
QUIDAMと並ぶポーランド女性ヴォーカル・プログレの名バンドと言えばこちら。
力強く壮麗に溢れ出すシンセと可憐な女性ヴォーカルが織り成す、ポーランド産美麗シンフォニック・ロック・バンドによる1stと2ndを収録!
この2作をリリース後、10年に及ぶブランクを経て復帰、再編を挟みながらも現在まで活動を続ける人気グループですよね。
現時点の最新作がこちら!
分裂を経て、ギタリストを中心にメンバーが再編された18年作ですが、それでこの完成度は驚き。
ひたすら泣きのフレーズを紡ぎ続けるギター、復帰したオリジナル女性ヴォーカルのエモーション溢れだす歌唱に心奪われます…。
ALBIONから分裂したメンバーたちも素晴らしい女性ヴォーカル作品を残しています。
ポーランドの実力派ALBIONから脱退した女性Voやkey奏者が新たに結成したシンフォ・グループ。
抑制の効いたしっとりと叙情的な演奏によって、女性ヴォーカルの深みある表現力をより際立たせた素晴らしき一枚です。
QUIDAM直系のサウンドを聴かせたこちらも外せない好バンド!
ポーランド語によるミステリアスかつ哀愁を感じる女性ヴォーカルと、ロングトーンを多用しながら止めどなく泣きのフレーズを紡ぐギターを中心に展開される流麗なサウンドは、ずばり初期QUIDAM直系シンフォの筆頭格!
15年ぶりの作品とは思わせない完成度の18年作。
そして、現ポーランドで最も注目すべき女性ヴォーカル・プログレ・バンドと言えるバンドがこちら!
ジャケには少しビビりますが、中身はしっとり翳りのある女性ヴォーカルをフィーチャーした雄大かつどこまでも気品高いシンフォニック・サウンドが堪能できる名盤。
最近の女性ヴォーカル・プログレでどれを聴けばいいんだろう…という方には、ジャケには目をつぶっていただいてこれをオススメしたいところ!
キャッチーさを加えた最新の21年作も良かったなぁ~。
初代女性voが復帰し、ハードかつキャッチーな力強いサウンドへと舵を切った21年作6th。
疾走感抜群のプログレ・ハードにトニー・バンクス風の華麗なシンセソロを入れるこのセンス、素晴らしいなぁ。
まだまだ、素晴らしい完成度を持つ女性ヴォーカル・プログレ作品を厳選ピックアップ☆
この民謡的な「揺らぎ」が感じられる本格派女性ヴォーカルはちょっとすごいです!
そのヴォーカルと渾然一体となってダークなシンフォニック・ロックを展開する演奏陣もレベル高いなぁ。
単発なのが惜しまれるポテンシャルを持った名品ですね。
生ピアノとヴォーカルを基本に、ヴァイオリンとチェロも参加する、完全アコースティック編成で劇的に紡がれるクラシカル・ロックは、息をのむほどに美麗かつ重厚。
美声ながらどこか哀愁味を感じさせる女性ヴォーカルもドラマチックで素晴らしい!
ポーランド産シンフォ・バンドMILLENNIUMのkey奏者による17年ソロ作。
「星の王子さま」をコンセプトに展開されるのは、『狂気』フロイドへの憧憬に満ちた深遠でドラマチックなシンフォニック・ロック。
女性ヴォーカルは清楚さよりは艶があってややアヴァンギャルドな表情も滲ませる実力派で聴き応えたっぷり。
艷やかなトーンのシンセを中心とする各種キーボードとエレクトロニクスを重ね合わせて作り上げられた、このクリアかつ深遠な音世界…いかにもポーランドって感じでいいなぁ。
愛らしさとミステリアスさを備えた女性ヴォーカルも絶品だし。
幻想的にたなびくキーボードとヘヴィかつヌケの良いギター、そしてそこに映えるメランコリックな美声女性ヴォーカル!
ドイツのRPWLのサポートを務めたことも納得のイマジネーション豊かなポーランドの新鋭、2014年デビュー作!
ポーランドの女性ヴォーカル・プログレの魅力、味わっていただけましたでしょうか。
同国は他にも多くの女性ヴォーカル・プログレ作品があり、また毎月のように新作が届いておりますので、是非ご注目いただければ嬉しいです!
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2000年代以降のポーランド屈指のプログレ新鋭LOONYPARKを特集!リーダーのソロワークも含めた軌跡を辿ります。
ポーランドを代表するシンフォ・グループ。96年作の1st。ほの暗い叙情性を帯びたロマンティシズム溢れるキーボード、丁寧にメロディを紡ぐギター、優美なフルート、憂いある美しいメロディ、透明感溢れる女性ヴォーカル。東欧シンフォを代表する大傑作。
実力派がひしめく現ポーランドでも屈指の人気シンフォ・グループによる、2年ぶりとなった21年6thアルバム。本作、何より前々作まで不動の女性ヴォーカルだったSabina Godulaが復帰し、あの低音寄りで朗々と歌う個性的な歌唱を再び聴かせているのが嬉しいところ。プログレ・ハード的な疾走感でパワフルに畳みかける新境地の1曲目から、このヴォーカルが抜群に映えます。性急なリズムを刻むドラム&ベースに乗ってギター&オルガンがスリリングなユニゾンを決めるアンサンブルに、姉御系の力強い女性ヴォーカルがエモーショナルに歌い上げるスタイルがとにかくカッコいいです。このハードなサウンドにトニー・バンクス風の華麗なシンセソロを合わせるセンスも見事。2曲目以降も、リズム隊とギターが従来以上にハードに迫りつつ、メロディはよりキャッチーになった印象があります。キーボードが担うシンフォニックな美麗さは随所に残しながらも、重量感たっぷりの鋭角的なサウンドとキャッチーなメロディラインを押し出した新たなスタイルを提示する意欲作です。
ポーランド出身、女性ヴォーカルを擁するシンフォニック・ロック・グループ、08年のデビュー作。深く沈み込むように鳴らされるキーボード、ロング・トーンでゆったりと紡がれるメロディアスなギターを中心とする静謐でいて荘厳なアンサンブル。時に風のように柔らかに鳴らされるアコースティック・ギターのバッキング、ここぞで嵐のように轟くヘヴィなギター・リフ、オーケストラのように目の覚めるようなキーボードなど、映像喚起的なアレンジも特筆です。そして、しっとりと翳りのあるヴォーカルとメランコリックなメロディが静かにドラマを描いていきます。ポーランドらしいウェットな質感と流麗さで終始メロディアスに綴られる雄大な傑作。
現ポーランドを代表するシンフォ・グループMILLENNIUMのキーボード奏者Ryszard Kramarskiによるソロ・プロジェクト17年作。タイトルが示すとおり『星の王子さま』をコンセプトに据えた作品となっており、そのサウンドはMILLENNIUMと同様ピンク・フロイド、特に『DARK SIDE OF THE MOON』を強く意識したメロディアスかつ劇的なシンフォニック・ロック。リック・ライトのプレイを思い出さずにはおれないセンシティヴな美しさと微かな陰鬱さが漂うシンセから、壮麗に流れゆくキーボード・ストリングスまで、音作りの要を担う自身のキーボードワークはさすがの素晴らしさ。ただ決して前には出過ぎずアンサンブルの中で有機的に音を紡いでいる姿勢がまた好印象です。一方メインでソロを取るMOONRISEのギタリストMarcin Kruczekによるギターも特筆で、ギルモアのプレイを忠実に再現したブルージーな泣きをたっぷり含んだ極上のソロを聴かせていて感動を禁じえません。女性ヴォーカルは清楚さよりは艶があってややアヴァンギャルドな表情も滲ませる実力派。フロイド憧憬のサウンドに深遠な奥深さを与えています。往年のフロイド憧憬を見せつつもそこに違和感なくエレクトロニクスを挿入してくるモダンなセンスも冴え渡ります。フロイド好きならこれはたまらないメロディアス・シンフォの好盤!
ポーランドのシンフォニック・ロックグループ、09年デビュー作。細かく刻むジャズ・ロック調のドラムスとメランコリックな中にも叙情美を感じさせるギターを中心としたアンサンブルに乗って、しなやかさと力強さを併せ持つ女性ヴォーカルが素晴らしい歌唱を聴かせるシンフォニック・ロック。東欧特有のうす暗さが漂うシリアスな楽曲から軽快なリズムと瑞々しいアコギが爽やかに駆け抜ける楽曲まで、演奏陣が多彩なアンサンブルを繰り広げる中、それらに見事に歌声を乗せていくヴォーカルは存在感抜群。民族音楽的歌唱に根ざした独特のゆらぎを随所に感じさせる実力派で、内面をさらけだすような生々しい歌唱には思わず息をのみます。テクニカルで緩急自在の演奏と吸い込まれるような魅力を持つ女性ヴォーカルの歌声が印象的な傑作です。
ポーランドの新鋭シンフォ・グループ、18年作。前作までのキーボーディストらが別グループNOIBLAとして独立し、残ったギタリストJerzy Georgius Antczakを中心に前作や過去作にも参加していたベーシストとドラマー、そして復帰した初期の女性ヴォーカリストAnna Batkoという再編された4人編成となっています。以前までの広がりある幻想的でメランコリックな作風は残しつつも、プログラミングも散りばめたモダンでスタイリッシュなサウンドへと変化を遂げているのが特徴。キーボードはギタリストが兼任しているものの、やはりギターの存在感がアップしており、これでもかとドラマチックな泣きのフレーズを延々紡ぎ続けるギターが圧巻です。さらに復帰したオリジナル・ヴォーカリストがまた素晴らしい!前々作まで在籍した女性ヴォーカルのしっとりめの歌唱も良かったですが、時にシアトリカルとも言える表現力でエモーショナルに歌いこむ、コケットな魅力を秘めた歌唱に心奪われます。プログラミングによる装飾音も絡めつつ安定感抜群のプレイで2人を支えるリズム隊の仕事も特筆です。大きな再編を経たとは思えない完成度の高い音世界で聴かせる傑作!
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