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【KAKERECO DISC GUIDE Vol.57】英ブルース・ロック界重鎮アレクシス・コーナーとドリーミーなSSWの異色の出会い!JACK GRUNSKY『TORONTO』(1970)

カケレコの一押し作品をご紹介していく【KAKERECO DISC GUIDE】。
今回は、カナダのフォーク・シンガー、ジャック・グランスキー(JACK GRUNSKY)の70年作3rd『TORONTO』を取り上げます。

この作品の注目ポイントは、英ブルース・ロック界の重鎮、アレクシス・コーナーがプロデュースし、ギターでも参加していること。その繋がりからか、ミック・テイラーも4曲で参加しています。

ジャック・グランスキーはやわらかでドリーミーな歌声が魅力のシンガーです。前作のジャケットの雰囲気がピッタリ。

一方、アレクシス・コーナーといえば、しゃがれた声も渋い骨太な雰囲気のミュージシャン。歌っているわけではないですが、正反対に思える2人から生まれたのはどんな作品なんでしょうか。

ここで簡単にジャック・グランスキーの経歴を辿ってみます。

ジャック・グランスキーは、単にカナダのSSWと紹介される事が多いですが、キャリアを開始したのはヨーロッパ。
生まれたのがオーストリア。すぐ移住してカナダで育ちましたが、1964年いトロントの高校を卒業するとオーストリアへ渡り、ウィーンの芸術学校で学びます。

66年にはピーター・ポール&マリー タイプのフォーク・グループ Jack’s Angelsを結成。
4枚のアルバムを出し、人気も高かったようです。曲はほとんどジャックが担当していました。ドリーミーなメロディと紅一点の女性ヴォーカルの気品ある澄んだヴォーカルがぴったりですね。

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68年にJack’s Angelsが解散した後はソロで活動。74年にカナダに戻るまでに7枚のアルバムをリリースしています。
ラジオやテレビ出演、ヨーロッパでのツアーも精力的に行い、自身のラジオ番組を持つまでに。

74年にカナダに戻った後、80年代初めからは子どものための音楽の制作やワークショップに取り組むようになり、その分野で賞を取るなど、活躍しているそうです。

アレクシス・コーナーが『TORONTO』をプロデュースするに至った経緯はわかりませんが、この作品はロンドンで録音されています。ヨーロッパで精力的に活動する中できっかけがあったのでしょう。

ジャケットからも渋いブルース・ロック作かと思いましたが、意外にも全編で聴けるのは、前作同様やわらかいヴォーカルが光るドリーミーなフォーク。

ミック・テイラーは控えめに音を添えるといった立ち位置ですが、シンプルなブルース・ロック「Moon Child Song」では絶妙なスライド・ギターを聴かせます。アレクシス・コーナーもアコギで参加。シンプルながら力強いストロークで味わい深さを加えています。ジャックのヴォーカルも哀愁帯びて聴こえます。

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「Catherine」は、ヨーロッパでヒットした曲。優しいメロディ、やわらかいヴォーカルともにジャックの魅力が十分に味わえるフォーク・ナンバーです。

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いかがでしたでしょうか?前作のファンはもちろんの事、英ブルース・ロック・ファンにも、2人の味わい深いギターを聴いて欲しい作品です。

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