2012年9月12日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ:
こんにちは!カケレコ・スタッフ佐藤です。
まだ残暑が厳しい今日この頃ですが、そんな暑さを吹き飛ばす大物バンドからの新作が届けられましたので、ご紹介したいと思います。
現代のアメリカが誇るプログレ・バンド、ECHOLYNの実に7年ぶりのオリジナル作となった12年作、その名もズバリ「ECHOLYN」です。
御存知の通り、すでにデビューより20年以上が経過したベテラン・バンドなのですが、ここに来てデビュー作以来のセルフ・タイトルを冠しているところに、今作における意気込みが伝わってくるようですよね。
その期待に応えるように10分超の楽曲3曲を含む2枚組の大ボリュームで展開されるサウンドは、紛れもなくいつものめくるめくECHOLYNワールドで満たされております。
快速変拍子を鮮やかに決めていく痛快極まりないアンサンブルから、GENTLE GIANTの遺伝子を感じさせる各楽器が複雑にしかし有機的に交錯し合うアンサンブルまで、まさしく緩急自在のスリリングな演奏と、アメリカ的な気質を感じさせる抜けのよいキャッチーなメロディラインとがハイレベルな融合を遂げた傑作に仕上がっています。
それに加え、大曲における巧みな構築性、ドラマティックなバラードにおけるストリングスの用い方や各楽器のリリカルな表現力などにもますます磨きがかかっており、まだまだ進化の途中といった感さえ伺えるのが恐ろしいところ。
現在ご好評をいただいているアメリカの新鋭THANK YOU SCIENTISTなど、ECHOLYNを超えたか!?と思わせる新鋭も登場しはしましたが、やはり改めて彼らの音をこうして突きつけられると、唯一無二のカッコよさに唸ってしまいます。やはり凄いです、このバンド。
さて、今回はECHOLYNに引けをとらない実力派のアメリカン・プログレ新鋭たちをピックアップしてまいりたいと思います。
まずは、上のECHOLYNと並んで現代アメリカを代表するバンドとして知られるIZZの12年作から。
ECHOLYNと比べるとシンフォニックな要素を多く含みますが、メロディ・センス、演奏技術、叙情的な演出力など、間違いなく現代プログレのトップレベルにあるバンドが彼ら。それは音を聴けばすぐにおわかりいただけることと思います。
シンフォニック・ロックであるつつもウェットでジャジー、しなやかな質感を持つアンサンブルがたまらなくイイんですよね?。それに加え映像を見ているかのような音響演出のリアルさなどはこのバンドならではの持ち味で、テクニカルなアンサンブルが迫力満点で迫ってくる、こちらも文句無しの傑作となっています。
続いてはこちらも現代アメリカン・プログレ・シーンで高い人気を誇るバンドCRYPTIC VISIONの10年作。では動画をどうぞ!
このバンドの特徴は、KANSASなどに端を発するアメリカン・プログレの血を色濃く引き継いでいる点。現にデビュー作などは本当にKANSASそのものというようなフレーズなども見受けられましたが、3作目となる本作となると、それがエッセンスとして適度な塩梅に収まっています。そこに現代風のスぺーシーなSEやシンセサイザーらがアンサンブルを分厚く覆い、、ファンタジックでスペーシーなプログレ・ハードという個性溢れる音楽性を披露します。
KANSASのみならずBOSTON、STYXなど往年のアメリカン・プログレ・ハードに慣れ親しんできた方にとってはニヤリとしていただけること請け合いの内容だと断言したいところです。
最後はこちら、米シンフォ新鋭GEKKO PROJECTの12年デビュー作をご紹介。
スピード感いっぱいのギターとキーボードがメロディアスにアンサンブルを紡いでいく冒頭で、思わず唸ってしまいます。音の質感はシンフォ・バンド的なのですが、スリリングに疾走する演奏から受ける印象は完全にジャズ・ロックのそれで、このあたりの絶妙なブレンド感覚にこのバンドの魅力が秘められているように思います。
これはECHOLYNともIZZとも異なる新たなアメリカン・プログレの形と言えるかもしれません。今後どのようにその音楽性を磨きあげていくのか楽しみなバンドの一つです。
そんなところで、今回はアメリカン・プログレの注目バンドをご紹介してまいりました。いずれの作品も個性に満ち溢れたハイレベルな力作ばかりで、今回改めて聴いてみてその充実ぶりに私自身が驚いたほどです。これはアメリカン・プログレ・シーン、今後も注目必至ですよっ!
世界のニッチなロックにフォーカスした膨大なディスク・レビュー、マニアック過ぎる特集、濃密なコラム。質・量ともに過去最大の読み応えとなった「不思議音楽館 ORANGE POWER」第6弾!!
不思議音楽館/不思議音楽館 ORANGE POWER VOL.6
ORANGEPOWER6(–)
2700円 (税込2970円)
在庫あり
最近のインディー・ロックかと思う脱力ジャケから、この目の醒めるような超絶技巧ジャズ・ロックが飛び出してこようとは。圧倒的なテンションと技巧で全編駆け抜けるピアノのパフォーマンスは驚愕モノです。
PP166(PAISLEY PRESS)
2390円 (税込2629円)
在庫あり
「ツェッペリン meets ドアーズ」と言えるサウンドを、豪快に飲み込むメロトロン!アメリカのバンドだけど、これは英ハード&プログレ・ファンもニンマリの一枚!
GEM96(FLAWED GEMS)
2690円 (税込2959円)
在庫あり
今や知る人ぞ知るニッチ盤ですが、当時は国内盤LPも出ていたという逸品。シカゴやBS&Tからブラスを取って、トラフィックやニュークリアスやピンク・フロイドに通じるメロウネスを加えた感じ?
WH90374(WALHALLA)
2390円 (税込2629円)
在庫あり
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!