スタッフ佐藤です。
1月25日と26日に行われたザ・フラワー・キングス来日公演。その1日目を観てまいりました!
TFKと言えば、90年代以降のプログレッシヴ・ロック・シーンを牽引してきた、もはや説明不要のビッグネームですよね。
70年代にスウェーデンの名グループKAIPAで活躍したギタリストRoine Stoltを中心に1994年に結成。四半世紀にわたり第一線を走ってきたその足跡は下記リンク先の特集記事にまとめてありますので、ぜひチェックいただければ幸いです。
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新作リリース&来日決定を記念して、スウェーデンの大御所バンドTHE FLOWER KINGSを率いる才人ロイネ・ストルトに迫ってまいりたいと思います!
99年の初来日から4回目、2019年11月にリリースされたばかりの最新作『WAITING FOR MIRACLES』を引っ提げて行われた今回の来日公演。メンバーはこの5人です。
2015年に、20年にわたり不動のキーボーディストだったTomas Bodin、そしてドラマーFelix Lehrmannが脱退。2019年に新キーボーディストとドラマーを迎えており、その手腕を観ることができる意味でも注目の公演でした。
メンバーがステージに登場すると、まず目に飛び込んでくるのは、いつもながら派手だけどどこか上品さが漂うロイネの着こなし。ライティングの関係で正確な色は分かりませんでしたが、コントラストの効いた縦ストライプ柄のジャケットに濃い紫(?)のパンツを見事に着こなしギターを構える立ち姿のなんと様になること。音楽シーンを見渡しても、ここまであのファッションが決まる63歳はそうそういないでしょう。
イントロダクションを経ての1曲目は、最新作から「Black Flag」。
シャラーンとギターを鳴らしながらロイネがあの味のある渋い声で歌い出すと、シンセやオルガン・サウンドが優しく包み込むように鳴らされTFKの音世界が立ち上がってくる冒頭で、早くも感動が込み上げてきます。
ハッセの熱いヴォーカルが映える中盤も聴き所。拳を握り長髪を振り乱して力強く歌い上げる姿は、ロッカー然とした圧倒的なカッコよさを放っており、悠然と構えるロイネとは「静」と「動」の関係という感じです。
ちなみにギターはロイネが通常の右利きの構えで、ハッセが逆の左利きの構え(本来は右利きらしいです)。その2人がフロントに立つと、ステージがビシッと画になっていて、これがまた痺れるんです!
そして満を持してのロイネによるギターソロ!艶のあるトーンで鳴らされるブルージーさも織り込んだメロディアスなプレイは、間違いなくプログレ界最高峰の気持ちよさを誇っています。これまで3回彼らのライブに足を運んでいますが、毎回いつまでも聴いていたいと思わせてくれる魔力が宿っているんですよね。
久々(?)の単独公演というのもあって、いつも以上に曲間のMCがたっぷりだったのも嬉しかったなぁ。(言語能力の問題であまり聞き取れませんでしたが…)
ロイネと新キーボーディストのザックが、「確かTFKのアルバムで初めて聴いたのが『RETROPOLIS』だったんだよね?」「そうだよ!」みたいなやり取りをしたあと(多分…)、「There Is More To This World」がスタート。
ここではシンセ、オルガン、ピアノが次々と奏でられ神々しく幻想的な世界を描く序盤のキーボードを見事にこなすザックの華麗なプレイが素晴らしい!ロイネも心地よく宙を舞うようなギターで応じます。
さらにリズム・セクションが前に出た曲なので、イタリア人ドラマー、ミルコのドシドシとダイナミックに迫りくるドラミングが俄然冴えわたります。
ロイネのバックで短いスライドギターを弾いた後、すぐにタンバリンでリズムを取り始めたりと、ハッセのマルチプレイも演奏に彩りを加えていました。
『RETROPOLIS』は特に好きなアルバムなので、聴けて嬉しかった~。
続いて新作からのポップな「Miracles For America」、02年作『UNFOLD THE FUTURE』収録の「The Truth Will Set You Free」と披露されます。
この間のMCだったか、メンバーによると”日本通”らしいヨナスが唐突に「ウチマタ」「ケサガタメ」と柔道技を呟き、観客を湧かせていました。柔道ファンなのかな?
演奏面でも安定感および存在感のあるプレイはさすがで、超絶ベースソロ曲も堪能できました。
次は再び『RETROPOLIS』より、タイトルナンバー「Retropolis」が登場!
おそらく過去の公演でもあまり披露されていなかったこのアルバムから2曲聴けるとは思わなかったので興奮しました。ワイルドに唸りを上げるオルガンとロイネのハードなギターが絡むオリジナル通りの展開が鳥肌モノでしたね!
そして「Life In Motion」「We were Always Here」と続き、ラストは待ってましたの名曲「Stardust We Are」!
ハッセによる魂のこもった熱唱にはいつもながら目頭を熱くしてしまいました。この曲と、今回は演りませんでしたが『Banks Of Eden』の「Rising the imperial」は、ライヴで聴くと毎回泣かされちゃうんですよね。
アンコールは、00年作『Rainmaker』よりハードでドラマチックな「Last Minute On Earth」、『PARADOX HOTEL』の「What If God Is Alone」をプレイした後、まさかのビートルズ『Hey Jude』!
ハッセが力強くも丁寧に歌うメインパートを経て、最後は観客も巻き込んでの大合唱という実にライヴを締めくくるに相応しいフィナーレでした。
発足から25年という歳月が過ぎたTFKですが、こうして生でその演奏を聴くと、やはり彼らこそまだまだプログレ・シーンの最高峰だと確信できる、そんな堂々たる貫禄と瑞々しい感性をあわせ持つパフォーマンスでした。やっぱりフラキンって最高!
DVD、2枚組、帯・解説付仕様、NTSC方式、リージョンフリー、定価4800+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯に軽微な色褪せ・ケースに若干汚れあり
ご存じプログレッシヴ・ロック界を代表するギタリストRoine Stolt率いる人気グループ、久々となる2枚組の2020年作。前作より加入した鍵盤奏者Zach KamminsによるHans Lundinを思わせる柔らかくも芯のあるシンセやオルガンのプレイと、Roineによる歌うように情感豊かなギターがエモーショナルに交歓する、ハードさよりもドリーミーな面を強く感じさせるシンフォニック・ロックを繰り広げます。抜群の安定感でタイトにアンサンブルを支えるリズム隊もいつもながら素晴らしいし、ハスキーながら伸びのある歌声が魅力のHasse Frobergも、熱く歌い上げる力強い歌唱と囁くようにジェントルな歌唱を織り交ぜ、表現力豊かに歌っていてさすがの一言です。S. Hackett周辺で活動するサックス奏者Rob Townshendによるジャジーで軽やかなソプラノ・サックスをフィーチャーしたナンバーも聴き所。ロジャー・ディーンの幻想的なジャケット通りと言える、夢の世界を冒険するようなどこまでもファンタジックなサウンドが胸に迫る作品。KAIPAファンなら是非!
現代北欧プログレを代表するバンドによる96年発表の3rd。ファンタジックで雄大な音の広がりとダイナミズムたっぷりのアンサンブルはデビュー作から変わらず健在ですが、本作ではシンフォニック・ロックというよりはプログレッシヴ・ロック的な骨太さがより強調された演奏が特徴的。シンフォニックで荘厳なシーンとハードタッチなサウンドで突き進むシーンとを巧みに配して劇的に進行していくアンサンブルが見事に決まっています。コンセプト作ならではと言うべき、起伏豊かなドラマ性を湛えたストーリーテリングもまた素晴らしいもので、これこそあらゆるプログレ・ファンに聴いていただきたいと思えるシンフォニック・ロックの傑作です。
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