2019年8月27日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: ハード・ロック
スタッフ増田です。
ロックが怒涛の複雑化を遂げ、ハード・ロックやプログレッシヴ・ロックといった新たなる音楽が誕生していった1969年からちょうど50年。それを記念し、カケレコWEBマガジンでは「1969年デビュー・アルバム特集」を連載中!
今回取り上げるデビュー作はCREAMを手がけた名プロデューサー、フェリックス・パパラルディによって見出されたレズリー・ウェストの69年作『MOUNTAIN』。
ソロ名義ではありますが、タイトルからも分かる通り、後に彼が率いるロック・バンドMOUNTAINの原型であり0作目とも言えるこの作品。
英国から登場したLED ZEPPELINが世界中にハード・ロックの波を湧き起こしていった当時、「アメリカのハード・ロック」としてGRAND FUNK RAILROADと共に名を馳せたMOUNTAINは、いったいどの様に誕生していったのでしょうか。その軌跡を辿ってみましょう!
MOUNTAINと聞いてまず思いつくのは、その巨体も印象強い名ギタリスト/ヴォーカリスト=レズリー・ウェストの存在。彼のキャリアはかのラモーンズの出身校でもあるフォレスト・ヒルズ高校に通っていた際、弟のラリーや学友たちと共に結成したガレージ・バンドVAGRANTSに端を発します。
VAGRANTSは結成から一年ほどで早くもセミプロ・レーベルの目に留まり、65年にシングル・デビュー。翌66年にVanguardレーベルに移籍し2枚のシングルを、さらに67〜68年にはアトランティック・レコードの子会社ATCOレーベルから3枚のシングルを続けてリリース。この時ATCOレーベルで出会ったのが、後にMOUNTAINを結成するベーシスト兼プロデューサーのフェリックス・パパラルディでした。
彼は68年に「A Sunny Summer Rain / Beside The Sea」というシングル一枚をプロデュースし、VAGRANTSからは手を引いてしまいます。結局バンドは大きなヒットを残さずに解散してしまうのですが、パパラルディは「あの太ったギターの小僧は使える」とウェストに光るものを見出し、「もっとギターを練習するように」と彼に助言を残していったのでした。
♪A Sunny Summer Rain / Beside The Sea
一方レズリー・ウェストと並ぶMOUNTAINの重要人物、フェリックス・パパラルディは1939年ニューヨーク生まれ。ミシガン大学に入学しクラシックの作曲法やヴィオラなどの楽器を学ぶも、形式的なクラシックの世界にうんざりして同校を中退。米国陸軍憲兵や百科事典売りなどの変わった職を経験したのち、フォーク・ムーブメント沸き起こるNYのグリニッチ・ヴィレッジにてアレンジャーやベーシストとして活躍しはじめます。
そんな彼が特に一目置いたのが、66年に『FRESH CREAM』でデビューしていた英国のバンドCREAM。67年NYで彼らのステージを目撃したパパラルディはそのサウンドに感銘を受け、彼らのプロデューサーになることを申し出ます。
パパラルディは妻のゲイル・コリンズ(後にMOUNTAINの作詞およびジャケット・アートを担当)と共に「Strange Brew」や「World of Pain」といった楽曲を提供。また後にクラプトンの「レイラ」も手掛ける名エンジニアのトム・ダウドも引き連れ、67年に傑作2nd『DISRAELI GEARS(邦題:カラフル・クリーム)』を創り上げます。
エリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーといった個性の強い三者三様をまとめ上げるプロデュース力、また次作『WHEELS OF FIRE(クリームの素晴らしき世界)』では自らもヴィオラやオルガンを演奏するなど、クラシックを学んだからこその多様な音楽性の導入。ヘヴィさと複雑性の融合というハード・ロックの雛形は、パパラルディがその一角を作り上げたと言っても過言ではないかもしれませんね。
5枚組ボックス、各CDはペーパーケース入り仕様、ボーナス・トラック2曲
盤質:傷あり
状態:並
1枚は無傷〜傷少なめ、4枚は傷あり、ペーパーケースに軽微なカビ・側面部に色褪せあり
5枚組ボックス、各CDはペーパーケース入り仕様、ボーナス・トラック2曲
盤質:無傷/小傷
状態:良好
3枚は無傷〜傷少なめ・2枚は傷あり
1973年作品。70年代アメリカン・ハード・ロックを代表するマウンテンの歴史を網羅するベスト・アルバム。ピッキング・ハーモニクス、バイオリン奏法、メロディアスなソロなどレズリー・ウエストに影響受けたギタリストとしてはマイケル・シェンカー、エース・フレーリー、エイドリアン・バンデンバーグ、ランディ・ローズなど超一流どころがズラリ。70年代を代表するアメリカン・ハード・ロックの教科書ともいえるマウンテンの「ベスト・オブ・ベスト」である。
1974年作品。解散状態だったマウンテンは1973年の日本公演のため再度集結、ライヴ・イン・ジャパン「Twin Peaks」の録音で何かを掴んだパパラルディはマウンテンをもう一度復活させる決意を抱く。そこでもう一度栄光を夢見て制作されたのがこの「雪崩」。サウンドはレズリーの意向が強調されたものになり、サザン・ロック的な志向が強い。「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン」「サティスファクション」などのカバーも収録。この作品でマウンテンは解散。83年にはパパラルディはマウンテンのLPジャケットなども担っていた妻ゲイル・コリンズに射殺され、悲劇的な死を遂げた・・・。
廃盤、紙ジャケット仕様、08年DSDリマスタリング、インサート付仕様、定価1800+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
帯に小さいカビあり
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