2019年4月13日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,今週のカケレコFacebook
タグ: プログレ
今週のカケレコFBのテーマは「キャッチーなプログレ」でした。
スカッと爽やか、かつ力強く壮大なサウンドをご紹介してまいりますよ!
最初にご紹介するのはKANSASと並ぶアメリカン・プログレ・ハードの代表格、STYXによる76年作『CRYSTAL BALL』。ギタリストのトミー・ショウが加入し、バンドの人気を一気に押し上げた出世作ですね。
初期よりキャッチーでヌケの良いアメリカン・ハード・ロックに英国プログレ的な叙情性を導入することを試みていた彼らSTYX。
本作では後の作品でより顕著になってゆく洗練されたポップ・テイストも現れてはいますが、それでいてkey奏者デニス・デ・ヤングの持ち味である叙情的なオルガンやクラシカルなピアノもフィーチャーし、キャッチーな明るさとプログレの繊細さがバランス良く配された心地良い聴き心地に仕上がっています。
YESを彷彿とさせるドライヴ感&巧みなコーラス・ワークを聴かせる「Put Me On」、加入したばかりのショウが作曲&ヴォーカルを務めた愛らしい「Mademoiselle」などなどどの曲もメロディが美しく、英国プログレ・ファンも気に入る事間違いなしの名盤です。(増田)
今日はアイルランドより、フループ(FRUUPP)の74年作3rdアルバム『Prince of Heaven’s Eyes』をご紹介します。
次作4thを元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルドがプロデュースしたことでも知られる彼らですが、「愛すべき」という表現がぴったりなキャッチーな音作りでは本作が一番かもしれません。
ややバタバタしてはいますが、歯切れよくドライヴ感に溢れたアンサンブルはイエスを彷彿させます。
ただし緊張感はほとんどなく、ジャケのイメージ通り、終始温かみがあってほのぼのとした雰囲気に包まれているのがなんとも個性的。
一方で、1曲目を筆頭に、クラシカルに波打つピアノやジョワーと湧き上がるストリングシンセを伴って、優雅でロマンチックなサウンドを繰り広げる楽曲も素晴らしく、ちょっと泣けます。
どこまでも愛らしく親しみやすい稀有なプログレ作品であると同時に、いつまでも大切に仕舞っていたくもなるような珠玉の名作です。(佐藤)
今日ピックアップするのは、プログレ/メロディアス・ハード・グループ、NEKTARの75年作。
彼らの作品中最もカラフルなシンフォニック・ロックの名盤となった本作は、PETER GABRIELのサポートでも知られる米国の鍵盤奏者、ラリー・ファストが参加しており、流麗で美しいシンセサイザーが効いています。
アメリカン・プログレ・ハードに通じるようなメロディが、シンセサイザーやドライヴ感あるギター、イエス風コーラス等複雑でスリリングなアンサンブルに載せて高速で畳み掛けてきます。キャッチー且つダイナミックな名作です。(みなと)
今日は、イタリアからFORMULA 3(フォルムラ・トレ)の最終作となった73年作『La Grande Casa』を取り上げます!
伊ロック・シーン屈指のギタリストAlberto Radius、そのRadiusと後にIl Voloを結成するkey奏者Gabriele Lorenzi、そして74年の名1stを皮切りにソロで成功するドラマーTony Cicco。才能溢れる3人により結成されたFORMULA 3は、国民的ミュージシャンLucio Battistiのバックアップを受けデビューします。
初期はサイケデリックな質感が強い作風でしたが、3rdアルバムでは複数の組曲で構成されたプログレらしい作風に舵を切ります。
そして最終作となったこの4th、前作を引き継ぐプログレ要素と、イタリア独自のジャンルである「カンタゥトーレ」(歌い手の意)に通じる哀愁をたっぷり帯びた「歌」の魅力が素晴らしく調和したサウンドを聴かせてくれるんです。
一曲目冒頭、寂しげに鳴らされるアコースティックギターが徐々に熱を帯びていき、一気にシンフォニックな全体演奏へとなだれ込む劇的なオープニングにはいつも唸ってしまいます。
最終曲もまた良くって、素朴でひたむきな歌の素晴らしさに思わずホロリと来てしまいそう。(フループといい泣いてばかりですが…)
言葉にするのは難しいのですが、まるで音楽ってものの原初の素晴らしさに触れたような感動が湧き上がってくる、生涯の一枚です。(佐藤)
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最後にご紹介するのはオランダの名ポップ・プログレ・グループ、KAYAKによる1973年デビュー作『SEE SEE THE SUN』です。
彼らのサウンドを一言で表すとずばり「イエスやジェントル・ジャイアント+ELOやパイロット」。
コロコロとリリカルに転がるピアノにイエスを思わせる軽快なギターやドライヴ感のあるベース、鮮やかなコーラス・ワークに煌びやかなキーボード。
ジェントル・ジャイアントのようなテクニカルな変拍子をそこかしこに散りばめつつも愛らしいメロディでキャッチーに聴かせ、なおかつクラシカルな格調高さも自然と滲み出てくるようなアンサンブルは実に個性的ですよね。
後々の作品はメロディアス色が強くなってしまうためやや好みが分かれる所ですが、この1stや次作は英国プログレやプログレ・ポップのファンには是非聴いていただきたい逸品です。(増田)
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