2018年12月1日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,今週のカケレコFacebook
タグ: プログレ
こんにちは。早いものでもう12月ですね。
冬といえば北国、雪国、津軽海峡・冬景色…?という事で今週のfacebookのテーマは「演歌プログレ」。
「日本の心」などと称される演歌の歴史は意外と浅く、60年代半ばに歌謡曲から派生したジャンルであるそうです。その特徴は何といっても「哀愁」。
酒や涙、男と女・・などなど、湿っぽいテーマを分かりやすく押し出し、聴く人を楽曲世界に浸らせてくれますよね。
「哀愁」ならばプログレッシブ・ロックも負けていません。
選りすぐりの「演歌プログレ」を聴いてまいりましょう!
本日まずご紹介する「演歌プログレ」は、キング・クリムゾン「スターレス」です。
第一期キング・クリムゾンの最後のアルバム『レッド』を締めくくる、重苦しく荘厳な12分強の楽曲。
冒頭のメロトロンからして哀愁がひしひしと漂ってきて、早くも涙しそうです!
マイナー調の物悲しい雰囲気と、ジョン・ウェットンの情感たっぷりの歌唱が日本人の琴線に触れてきます…
「哀愁」と「叙情」たっぷりのこの楽曲は、まさに「演歌プログレ」と称するのにぴったりではないでしょうか。
後半になると、ゴリゴリとうねるベースに鋭いギター、高速で変拍子を打ち鳴らすドラムが激しくぶつかり合う、目もくらむような圧倒的なアンサンブル。
クライマックスにはサックスが再び哀愁のメロディーを奏で、感動的に終結となります。
悲しく激しく、そして美しい名曲です(みなと)。
本日はMOODY BLUESの70年作『クエスチョン・オブ・バランス』収録、「メランコリー・マン」をご紹介いたしましょう。
MOODY BLUESと言えば有名な「サテンの夜」や「Candle of Life」などなど、マイナー調の歌メロとクリムゾンにも劣らぬメロトロンの大洪水によって…なんとなく「歌謡曲っぽさ」を感じさせる楽曲の多いグループですよね。
そんな中でも私が特に「演歌だ!」と感じたのがこの「メランコリー・マン」。
うら悲しいアコギのイントロに悲壮感漂うヴォーカル、荘厳なコーラス…もうどこを切っても哀愁、哀愁、とにかく哀愁。
一曲通してひたすらこの哀愁のメロディが繰り返されていくのですが、中盤以降は重厚なキーボードやさらに濃厚なコーラスが重なって、もうこれ以上は無理だろうという位の哀愁をほとばしらせています。
後半のプログレッシヴな展開はないものの、「元祖スターレス」と言えなくもないこの「お先真っ暗」感。
日本人としてはこういう悲哀に満ちたサウンドが実に「たまらない」わけですが、英国人も似たような感情を抱いているのでしょうか。気になります。(増田)
今日はハンガリーより、同国を代表するバンドOMEGAの73年作『SZVIT』を取り上げましょう!
欧州圏には珍しく名前が姓→名の順だったりするなど、ちょっと親近感を感じなくもないハンガリーですが、どこか野暮ったく垢抜けなさのあるハンガリー語の響きもまた愛すべきポイント。
そんなハンガリー語によって哀愁たっぷりの節回しと共に歌い上げるOMEGAは、まさにユーロシーンにおける演歌プログレの代表格と言って良いかもしれません。
アルバムの幕開けを飾るこの曲なんて特にコテコテで、日本人なら心の琴線にビンビン触れてくるはず。大仰なストリングスの盛り上げ方も実に演歌っぽいですねぇ。
サウンドからジワリと滲み出るこの「味わい」は、そこいらのプログレ・バンドにゃあ出せません。(佐藤)
本日取り上げる作品は、南米アルゼンチンにて1977年にリリースされたジャズ・ロックの名作、RAYUELAの『RAYUELA』。
実はこの作品今年に入ってから初めて聴いたのですが、その時頭に浮かんだフレーズがずばり「演歌ジャズ・ロック」!
ジャズ・ロックと言うと楽器陣がスリリングに火花散らすインストゥルメンタルなイメージも強いですが、このバンドは「歌情」と表現される南米らしく、かなりヴォーカルを全面に出しています。
それでもって曲調もジャジーながらどこか切なげで、なおかつ叙情的ながらもちょっぴり「コッテリ」していて…。今回しつこい位連呼していますが、とにかく哀愁がほとばしりまくり。
特に演歌っぽいのがこの最終曲「Vendré Con El Tiempo」。
イントロは美しいピアノの独奏に始まりますが、なんだかそこから既に「和の心」が漂っているような気が。そこからクリムゾンに影響を受けたんだろうな、という静謐なパートに移り、次には泣きのギターが炸裂っ!
ヴォーカル・パートではマイルドな男性ヴォーカルがベテラン演歌歌手なみに熱唱しているし、そこへコクたっぷりのサックスまで絡んできちゃうし。
(そういえば先週の「泣きのギター特集」ではギター以外の楽器はあまり泣かないと書きましたが、管楽器(特にサックス)は泣きますね~)
いやはや、何度聴いても演歌そのものですね…。マイナーですが、かなり好きな作品です。(増田)
水曜日以降辺境色が強くなっておりますが、最後も遠く異郷の地よりとっておきの一枚をご紹介しましょう。
トルコのサイケ・プログレ・バンドHARDALによる79年作『NASIL ? NE ZAMAN ?』です。
とにかくこの曲を聴いてみてください。
日本の演歌はたまた昭和歌謡をそのままトルコ語で歌ってみたような、日本人の心を震わせる哀愁のメロディがとめどなく溢れ出してきて、思わずグッと来てしまいませんか?
泣きのフレーズを丹念に紡ぐギター、バックで味わい深く鳴るオルガン、ちょっと安っぽいシンセの音なんかも昭和感を高めていて実にいい仕事です。
ふらりと立ち寄った場末の酒場でかかっていそうな、哀切極まるサウンドにどうしようもなく惹かれてしまいます。(佐藤)
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