2018年6月23日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,今週のカケレコFacebook
こんにちは。6月も早いもので後半。夏至を迎えて、今が一番昼が長いときですね。
昼間の長い今週、皆様どのようにお過ごしでしたでしょうか。
さて今週は、「私、このジャケに騙されました!」というテーマで、facebookに投稿してまいりました。
「ジャケに惹かれて聴いてみたけど、内容がイメージと違いすぎ」、もしくは「中身はいいのに、このジャケがなあ…」という作品、皆様も一度は出会ったことがあるかと存じます。
今回はカケレコ・スタッフがそんな(悪い意味ではないけど)「ジャケ詐欺」なアルバムをピックアップしてみました。
まずスタッフ増田が挙げるのはこちら。ご存知英国のプログレ・グループ、MATCHING MOLEの72年作『MATCHING MOLE(そっくりモグラ)』です。
学生時代、英国プログレを深く掘り進めていくうちに出会った、「カンタベリー・シーンを代表する傑作」と名高いこのアルバム。
当時「カンタベリー・ロック」という言葉も良く知らなかった私ですが、なんとなく本を読んで「ポップ」で「ユーモラス」というイメージがあったし、何よりこの絵本のような可愛らしいジャケ。
実際に聴いてみれば一曲目の「Oh!Caroline」はまさにジャケット通りの本当に愛らしく優しいポップ・ソングで、一瞬にしてこのサウンドの虜になりました。
しかしながら2曲目あたりからなんだか様子がおかしくなっていき、アルバム後半では突如アグレッシヴなインプロビゼーションを繰り広げる緻密で難解なジャズ・ロックへと変貌…。
もちろん英国屈指のテクニカル・グループSOFT MACHINEに在籍したロバート・ワイアットによるバンドなので当然といえば当然なのですが、「キュートでユーモラス」なサウンドを想像していた幼き日の私としてはかなりの衝撃を受けました。
メルヘンなジャケットと愛くるしい一曲目でいたいけな少年少女を誘い込み、複雑怪奇なジャズ・ロック沼へと叩き落とす…そんなワイアット氏のちょっぴり意地悪なユーモアが炸裂している楽しいアルバムだと思います。(増田)
今日は、ピート・デロ&フレンズの71年作『INTO YOUR EARS』です。
ロジャー・ディーンによる、ぬらぬらした虫がぐにゃりと横たわり、とっても気持ち悪いですよね!あまり触りたくないジャケットです。
いったいどんな粘着質なプログレ・サウンドが展開されるのかと思いきや、中身はとってもポップで爽やか、英国らしい憂愁のメロディーが詰まっています!
穏やかなアコースティックの楽器にジェントルなボーカル、そしてストリングスが絶妙にアレンジされており、気品あふれるチェンバー・ポップと言えるサウンド。いつまでも聴いていたくなります。
虫がピーピー鳴いているような声も登場していて、クスっと笑ってしまいます。(みなと)
今日のジャケットはちょっと心してご覧いただきたいと思います…。
ゾワワっと来るピエロ・ジャケが強烈な存在感を放つこのアルバム。
一体どんなダークでおどろおどろしいサウンドが待ち受けているのだろうと再生ボタンを押すと、格調高く情緒豊かなフォーク・ロックが流れてきて、ジャケと内容のギャップに驚かされます。
イギリスのフォーク・ロックSSW、コリン・スコットの73年2ndなのですが、彼の作品でよく知られるのは、ロバート・フリップ、ジョン・アンダーソン、ピーター・ガブリエル、ピーター・ハミルほかプログレ大御所がこぞって参加した1stの方だと思います。
でも中身は前作に勝るとも劣らない素晴らしい出来栄え。カントリーやスワンプ色が香る米憧憬のナンバーと、いかにもE英国フォーク的な気品が漂うセンチメンタルなナンバーをバランス良く配した味わい深いフォーク・ロックを鳴らします。
素朴な中にも切々とした真摯さが伝わってくるコリンのヴォーカルもとても魅力的。
ぜひジャケットの迫力に負けず耳を傾けてみてほしい名品です。(佐藤)
スタッフ増田が2つ目に騙されたアルバムはこちら、KLAATUの2nd『HOPE』です。
当時「ビートルズの覆面グループではないか」と各種音楽メディアで噂されたほど、ビートルズ直系のマジカルなサウンドを聴かせてくれるカナダの好グループ、KLAATU。
しかしながら彼らの作品全般的に言えるのは、「ジャケが地味」!
顔の描かれた太陽がドーンとあしらわれた1stもちょっとどうかという感じですが、さらにこの2ndは1stの太陽が崩れて地面に落ちているし、背景も「終末」的な不穏さが漂っているし…。
ちなみに中身はポール・マッカートニーのような瑞々しいメロディ、ロンドン交響楽団を交えたクラシカルで気品溢れるアレンジ、QUEENばりの演劇的なダイナミズムが炸裂する愛すべきプログレ・ポップ・アルバム。
アルバム名も意味深なので何か意図があってのこのジャケなのでしょうが、それにしても中身に反してポップさのかけらもないジャケがちょっぴり残念だなあ、と思った一枚です。(増田)
最後のアルバムは、「イタリアのマイク・オールドフィールド」の異名を取るミラノ出身のマルチ・ミュージシャン、PEPE MAINAの77年作『IL CANTO DELLARPA E DEL FLAUTO』です。
髭面の男性がブラッシングしているところなんて、あまり見たいものでは無いですよね・・・こんな奇妙なビジュアルをジャケットにしたのは、一体どんな目論見があったのでしょうか。
さて気を取り直して再生してみると、シュワシュワとしたシンセサイザーが気体のように漂い、ハープやシタール、フルートやタブラなど民族楽器が織りなす、瞑想的で美しいサウンドが展開されます。
全て多重録音で作り上げたこの作品、よく一人でこれだけの音をこんなに気持ちの良い配置に出来るなあ、と感動してしまいます。(みなと)
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