2019年1月31日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
日に日に寒さ増すこの季節。
朝の澄み切った空気の中で、あるいは暖かな暖炉の前で、伝統的なアイリッシュ/ケルト音楽を取り入れたプログレやフォークに耳を澄ますのはいかがでしょうか。
今回はカケレコ棚から、ケルトなど英国伝統音楽のエッセンスを感じる作品を集めてみました。まずはフォークからどうぞ!
英トラッドを語るうえで欠かせないミュージシャンAndy Irvine、後にスティーライ・スパンに参加するTerry Woodsが在籍したアイリッシュ・フォーク最初期のバンド。
アイルランドの深い森を想わせる幽玄なマンドリンやブズーキの音色と、秋枯れのヴォーカル…。
舞い踊るように爪弾かれる弦楽器の旋律は、まさしくアイルランドの伝統に根差したものを感じます。
アイルランド出身の女性姉妹と男性ミュージシャンによるトラッド・フォーク・トリオ、74年の2nd。
イギリスやアイルランドの伝承歌を歌った作品で、男女混声の幻想的な歌声、そしてティン・ホイッスル(アイルランドの縦笛)など伝統楽器を取り入れた作風は爽やかながらも由緒正しき芯の強さがあり、非常に魅力的。
ペンタングルなどのトラッド・フォーク好きには間違いなくオススメの一枚です。
後にボシー・バンドやアルタンで活躍するメンバーによるアイリッシュ・トラッド・フォーク・グループ、原盤は激レアの71年作。
静かに爪弾かれるギターをバックに男女4人のゲール語ヴォーカルが交わり合う、温かくも透明感のあるサウンドが絶品ですね。
次はジャケにもケルト文様をあしらったこの85年作。
ケルト音楽の影響が色濃いメロディに漂う、ちょっぴり異色のシンセサイザー。
マディ・プライアを少しか細くしたような女性ボーカルも存在感たっぷり!
英国トラッドはアイリッシュだけじゃない!というわけで、歌姫メイ・マッケンナ擁するスコットランド出身のこのグループもご紹介。
当時10代だったとは思えぬ凛とした美麗なヴォーカル、青空へと駆け抜けていくようなエレクトリック・ギターとフィドル。
フェアポートやスティーライ・スパンにも負けない英国エレクトリック・トラッド屈指の一枚ですね。
フランス北西部のノルマンディー地方で生まれ育ち、パリでトラッドに魅せられ、イタリアのローマで音楽活動を行ったというフィメール・シンガーによる82年3rd。
売り文句はズバリ「イギリスにジャッキー・マクシーが居るなら、フランスにはこのヴェロニク・シャロットが居る」!
アイルランド音楽の影響を感じさせる力強く土着的なトラディショナル・スタイルの中に、どこか気品が滲む歌声や格調高い弦楽器の音色がユニークです。
本格的なケルト音楽も聴いてみたいよという方には、このグループをオススメ!
75年半ばから後期にかけて活動し、その後のアイルランド伝統音楽界に多大な影響を与えたといわれる彼ら。
舞い踊るようなパイプやフィドルのケルティックな旋律と軽やかなアコギ。歴史ある伝統と新しいフォーク・ミュージックを結びつけたサウンドは1stから見事な完成度!
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ヴァン・モリソンの74年作を出発点に、カケレコ棚からアイリッシュ・ミュージックをピックアップしてまいります。
次のページではケルティックなプログレ作品をピックアップ!
後にボシー・バンドやアルタンで活躍するメンバーによる男女4人のアイリッシュ・トラッド・フォーク・グループ。原盤は激レアでフォーク・ファン垂涎の一枚となっている71年唯一作。時に静かに爪弾かれるギターをバックに、時に無伴奏で、女性2人のヴォーカルを中心に男性ヴォーカルもコーラスを添える温かくも透明感のある凛としたサウンドを聴かせています。トラッド・ファンは必聴の一枚。
80年代に活動した英シェフィールドのフォーク・バンド、85年唯一作。再生してすぐ、どこか不穏なシンセサイザーの音に驚かされます。ベース、ドラムがしずしずと入り込み、マディ・プライアを少しか細くしたような女性ボーカルは存在感たっぷり。まろやかなハイトーンボイスが美しいです。メロディーはケルト音楽の影響が色濃く、強烈な湿気を伴って響き渡ります。ホイッスルやマンドリンなど民族色あるオーガニックな楽器と、シンセサイザーやベースギターなどの電子楽器が幻想的に絡み合うそのサウンドは、スピリチュアルなスティーライ・スパンといった趣です。
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