2017年10月12日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
以前ご紹介したドイツのPAISLEY PRESSレーベルに続き、注目のリイシュー・レーベルが登場しました。
その名もAMPHONOTONESレーベル。
2016年よりロック・アルバムのリイシューを手掛けている新興レーベルなのですが、特筆はジャンルの多彩さ。
PAISLEY PRESSは、英国&ユーロのプログレ作品へのこだわりを感じさせるラインナップとなっていましたが、
このAMPHONOTONESは、英ロックやユーロ各国のプログレに加え、サイケ、ハード・ロック、カントリー・ロック、アシッド・フォーク、果てはNWOBHMやメロディアス・ハードに至るまで、良い意味で節操のないラインナップが魅力的な再発レーベルなのです。
それでは、こだわりが見えないところが逆に面白い、AMPHONOTONESレーベルのリイシュー作品をご紹介してまいりましょう☆
JASON CREST、ORANG-UTAN、SAMUEL PRODYに在籍したメンバーによるバンドで、ツインギター編成と来たら、マイナー英ハードのファンはイチコロでしょう!ウィッシュボーン・アッシュばりの骨太かつスリリングなツインギター、憂いある哀愁のヴォーカル、無駄なくスタイリッシュにまとめられた曲調、すべてが素晴らしいいぶし銀英ロックの逸品。これが20年ものあいだ未発表だったとは…。
VELVET OPERAやSTRAWBSに参加したギタリストによるソロ作なのですが、トラッド調の躍動感溢れるアコースティックギターのプレイに、哀愁のフレーズを紡ぐエレキギター、ジャジーなブラス・セクション、シンセサイザーなどがスリリングにフレーズを応酬する16分の大曲が飛び出してきて驚き。マイナーながらプログレッシブに尖った感性が発揮された力作!
あのトニー・アイオミがサバス加入直前に在籍していたサイケ・バンドがこのVELVETT FOGG。本作はアイオミ脱退後に発表された69年の唯一作ですが、後任ギタリストに彼の従兄弟であるPaul Eastmentが参加しています。内容はヴァニラ・ファッジや初期パープルのようなアート・ロックに近いオルガン・ロック。重厚に歪んだハモンドの溢れ出すようなハーモニーとささくれ立ったファズ・ギターのコンビネーションは聴き応え抜群です。少しCRESSIDAっぽい哀愁あるヴォーカルもいいし、これは好盤。
フランス出身のSSW/ギタリストによる78年作。途切れることなくかき鳴らされるリズムカルなアコギ、流麗にフレーズを紡ぎ出す見事なソロアコギ、ゆったりと哀愁の旋律を奏でるエレキギター、リリシズム溢れる美しいピアノと淡いハモンド、アンビエント調に断片的に鳴らされるマリンバやトライアングル、そして美声スキャットらがアーティスティックに配置され、静謐で浮遊感のある独特の世界観を織り上げていきます。アンビエント・ミュージックを聴く方にも響くものがありそうなサウンドです。
仏EGGレーベルの作品群の中でも屈指の傑作として語られてきたのが本作!HELDONのRichard PinhasとFrancois Augerが全面参加し、HELDONを彷彿させるエレクトロニクスによるミニマル調の無機的なサウンドをベースに、陰鬱さの中にほのかにファンタジックな色合いを持ったスペイシーなシンセ、哀愁の旋律を奏でるギターなどが織りなす、フランス産らしい儚さと美しさが滲むエレクトロ・プログレ。さすがの名作です。
60年代から名うてのセッション・マンとして活動していたメンバー達により結成されたフランスのグループ。なんともポップで愛らしいジャケットが印象的ですが、アコギ・アルペジオの弾き語りをベースに、管弦楽器によるクラシカルで格調高いアレンジを施したフレンチ幽玄フォーク。甘く切ないヴォーカル、優しく包み込むようなメロディーラインとも絶品です。ケベックのHARMONIUMを彷彿させます。
イエス直系のダイナミズムを軸に、フルートやヴァイオリンなど管弦楽器が音像を広げ、アニー・ハズラムを彷彿させる女性ソプラノ・ヴォーカルが歌いだす。
ジャーマン・シンフォの名作に間違いなし!
ジャーマン・プログレッシヴ・フォークの名作として人気の高い一枚ですね。Annie Haslamを想起させるソプラノボーカルBeate Krauseを擁し、ドイツロマン派を強く意識した深みのある音像と気だるげなデカダンスを感じさせるフォーク・ロック。同郷EMTIDIにも通じる、どこか浮世離れした味のあるサウンドを作り上げています。
BLUE CHEERで知られ、YARDBIRDSへの加入も打診されたという米ギタリストですね。何とも大胆不敵なタイトルですが、へヴィでサイケデリックなサウンドはさすがに圧巻。重くパワフルなドラムとディストーションたっぷりの重厚なギターが終始鳴り響き、ヴォーカルはジミヘンを彷彿とさせサイケ感たっぷりだし、ブラック・サバスを彷彿とさせるダークでへヴィな曲もたまりません。
コネチカット州ニューヘヴン出身のトリオ・バンドが79年に自主リリースした、オリジナル盤は激レアで知られる一枚。ニール・パートを思わせるオカズとタム回しを披露するドラムとよく動くテクニカルなベースによる爆発的な手数でまくし立てる強靭なリズム隊に、切れ味鋭くギターが切り込んでくる、このあまりにスリリングなアンサンブル!ズバリRUSHの疾走感とBLACK SABBATHのダークな重厚感をかけ合わせたようなプレHMの傑作!
後にFOREIGNERのヴォーカルとして活躍するLou Grammが在籍したことで知られるNYのバンドによる75年作1st。「FREEの再来」と言われたように、Paul Rodgersを思わせるLouのヴォーカルが印象的で、重く気だるい雰囲気漂うブルース・ロックを聴かせますが、アップテンポな曲はBAD COMPANYを思わせるキャッチーなメロディアス・ハードで勝負します。
前作よりメロディアス・ハードな面が強く出た、前作と同年リリースの2nd。
「CCRの弟分」としてデビューしたカリフォルニアのバンド。抜けの良い乾いたギター、タイトなリズムセクション、まさしくジョン・フォガティの弟のようなやんちゃなハスキーボイス・・・愛すべきB級カントリー・ロック!
REDWING / TAKE ME HOME
「CCRの弟分」、73年3rd。前作からのカントリー・ロック路線を引きつぎつつ、エレピを加えたメロウなナンバーや、ペダル・スティールギターやフィドルを加えたインスト・カントリー曲、オルガンとピアノが心地良くレイドバックしているナンバーなど、ロックンロール色が抑えられ、ジャケのなだらかな丘のような、牧歌的なサウンドへと変化を見せる一枚。
B.T.Oを脱退したRandy Buchmanが新たに結成したIRONHORSEに盟友C.F.Turnerが合流、発展的に結成されたのがこのUNION。豪腕に物を言わせたパワフルなギタープレイと雄たけびのようなヴォーカルが全編で炸裂する豪快なハード・ロックに、パワーポップ的なキャッチーさが加わった完成度の高い一枚に仕上がっています。
いかがでしたか?
どういう基準でリイシューする作品を選んでいるのかがとても気になる、かなり面白いレーベルですよね。今後の動向にも注目してまいりましょう。
気になる作品を見つけていただけたなら幸いです☆
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Annie Haslamを想起させるソプラノボーカルBeate Krauseを擁し、ドイツロマン派を強く意識した深みのある音像と気だるげなデカダンスを感じさせるフォーク・ロックグループの78年作。バンド名が表すとおり、牧歌的で飾り気のないフォーク・ロックサウンドが根底にはあるものの、そこにジャーマン・ロックならではの奥深さと内省的な表情、そして適度なサイケデリアが絶妙に内包されており、隠し味で使われているシンセサイザーもジャーマン・エレクトロ的なメディテーショナルなサウンド。同郷EMTIDIにも通じる、牧歌的でありながらも決して生命的にならない、どこか浮世離れした味のあるサウンドを作り上げています。
後にFOREIGNERのヴォーカルとして活躍するLou Grammが在籍したことで知られるNYのバンドによる75年作1st。「FREEの再来」と言われたように、Paul Rodgersを思わせるLouのヴォーカルが印象的で、重く気だるい雰囲気漂うブルース・ロックを聴かせますが、アップテンポな曲はBAD COMPANYを思わせるメロディアス・ハード。米ロック好きにも英ロック好きにもお薦めです。
後にFOREIGNERのヴォーカルとして活躍するLou Grammが在籍したことで知られるNYのバンドによる75年作2st。「FREEの再来」と言われたように、Paul Rodgersを思わせるLouのヴォーカルが印象的。前作よりメロディアス・ハードな面が強く出ています。
イギリス・バーミンガム出身のサイケデリック・ロック・グループ、69年唯一作。ブラック・サバスのトニー・アイオミが短期間在籍していた事で知られていますが、サバス結成のため一度のギグのみで離脱。その後はアイオミの従兄弟Paul Eastmentがギターを務めています。いかにもB級サイケ的な謎のジャケに反して、内容はヴァニラ・ファッジや初期パープルのようなアート・ロックに近い、かなり真っ当なオルガン・ロック。サイケ的な浮遊感やお遊び要素も多少残してはいますが、決してチープではなく重厚に歪んだハモンドの溢れ出すようなハーモニーとささくれ立ったファズ・ギターのコンビネーションは聴き応え抜群。時にジョン・ロードの如き濃厚インプロビゼーションや、CRESSIDAを彷彿とさせる寂しげなヴォーカルとの哀愁漂うアンサンブルも披露して、英国オルガン・ロック好きなら間違いなく楽しめるであろう好盤です。
CCRの弟分としてファンタジーレーベルからデビューした、カリフォルニア州サクラメント出身カントリー・ロック・バンド、72年2nd。抜けの良い乾いたギター、タイトなリズムセクション、まさしくジョン・フォガティの弟のようなやんちゃなハスキーボイスで、初期イーグルスのような疾走感あるカントリー・ロックを奏でています。チャック・ベリーの「BYE BYE JOHNNY」「CAROL」やルーファス・トーマスの「WALKING THE DOG」の軽快なカバー以外はオリジナル曲です。ストーンズそのままのようなギターリフ、ビートリッシュなコーラスワーク等々、UKロックの影響を受けた愛すべきB級カントリー・ロック。
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